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HTML化した人:lain.
召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その22
1 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/25(木) 18:31:09.80 ID:ogGCPCEo
┏━ ノ ー‐  j  ji       |l|     _,,,,,_    ji     ji     i  i!  ,_,,xz   .|l| |l|   ┃
┃  -イ.ー┬‐ | ーチ‐      ||        |!  ーナ ̄|   ト-、  |  |!    /    ||  ||   ┃
┃.   │ _|   レ _ノ  `"⌒)  o     ,__,,」  ノ´ 、ノ   .|     丿   /^\  .o .o ━┛
                . ̄

――かつて、人間と魔族が共存し、争いを繰り広げていた時代…
   幻獣を召喚し魔物を倒す者がいた…。
   名を「召喚士」…。後に「救世主」と呼ばれる者である…。


                           ――かもしれない…。

〜前回までのあらすじ〜

朱雀先生の称号を受け継ぎ、魔王を倒す為、旅を続ける召喚士…。、
パーティー仲間の強くて頼れる二枚目の戦士、いつも明るく笑顔が
可愛い魔道士。スタイル抜群ツンデレな盗賊との冒険はまだまだ続く。
ヤマタノオロチ討伐も佳境に入り、彼らに訪れる結末とは…!?

◆7xまとめ様(いつもありがとうございます)
http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/summoner_ike_Cockatrice.html

◆キャラクター人気投票所(ありがとうございます!)
http://vote3.ziyu.net/html/cocka.html

◆専用あぷろだ(絵の支援ありがとうございます!)
http://ux.getuploader.com/cockatrice/

◆前スレ(その21)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
2 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/25(木) 18:31:51.96 ID:ogGCPCEo
◆過去ログ(その1〜20)
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1256864948/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257265640/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257266712/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258207232/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258977379/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1259802767/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1260686779/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1261734559/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1262770503/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1263825599/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1264909048/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1266505073/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1269413340/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1272349542/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1274882847/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1276786014/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1278595800/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1280599031/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1282639369/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1285213402/
3 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/25(木) 18:55:02.75 ID:zmdRsxQP
もう22なのか
早いもんだな
全話ログで残ってて、見返すとオレの書込みがちらほらと・・・
ハズカシイ!(*/∀\*)イヤン
4 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/25(木) 20:39:02.72 ID:OLzUOhMo
ついに22スレか
>>1さんいつもご苦労様
5 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/25(木) 21:08:04.08 ID:pFlE9cDO
>>1乙っす
6 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/25(木) 21:10:58.18 ID:V0m15Y60
>>1
いつもありがとう!
7 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/25(木) 22:43:19.13 ID:g6Z8u660
>>1乙です
あと78スレファイトです!
8 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/25(木) 22:57:55.20 ID:5kuX.sQo
>>1おつ
50スレ目辺りでは召喚士たちは余裕で魔王を倒すんだろうなぁ
9 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/25(木) 23:35:22.25 ID:UTPVBvUo
>>1に惜しみない乙を贈ろう
10 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/25(木) 23:40:30.84 ID:Ksi56bko
>>8
そんな序盤に魔王を倒してしまって大丈夫なのか?
11 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/26(金) 01:13:31.02 ID:A2PUSGgo
>>1
名代戦闘中にすることないからって
スレの事考えてるなんて
しかもまだしばらく暇人さんだな
12 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/26(金) 03:11:14.96 ID:vydxhYDO
>>10 
バラモスみたいなもんだろ
13 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/26(金) 08:23:13.25 ID:EC3/pN6P
いやいや
ゼムス→ゼロムスもたいなもんだろ
14 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/26(金) 09:18:02.91 ID:8MDt.cDO
乙です。
連日の投下、感謝感激。
15 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/26(金) 14:38:21.56 ID:QHB0FkDO
>>1乙!
新スレおめでとうございまーす!
16 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/26(金) 17:58:16.94 ID:wJo5Q0oo
ネクロマンサー「倒す…?私をですか?」

戦士「お前だけじゃねぇ。ヤマタノオロチってのもだ」

ネクロマンサー「……ククッ」

召喚士「……」

ネクロマンサー「通じないよ。私に五行は、ね」

戦士「言ってんだろ。何が何でも殺すってな」

ネクロマンサー「大した威勢だ。だがね、通じないよ。私に五行は、ね」

召喚士「……」

ネクロマンサー「……些か語りすぎたか。まぁ試してみるがいい」

魔道士「……っ」

ネクロマンサー「お望み通り、ヤマタノオロチをお目に掛けようではないか」

名代「来るぞ!!」

ネクロマンサー「ここで息の根を止め、更には糧としてくれるわ!」

泉の上へと浮遊し不敵に笑うネクロマンサー。

それを合図のように受け、泉の水面が波打ち、洞窟内に振動が起こり始めた。
17 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/26(金) 17:59:49.23 ID:wJo5Q0oo
ザザザザッ…

盗賊「……」

土忍「……」

雷忍と水忍の行った道を無言で追う二人。

盗賊「……っ!?」

土忍「…出口か」

タタタッ…スタッ

盗賊「これ…は……!?」

土忍「…水の跡。交戦があったようですな」

盗賊「ふ、二人は…?」

土忍「……既に先へ進んだ模様」

盗賊「私達も……」

土忍「参りましょう。進めそうな道は…あれか」

盗賊「だな。穴の中に足跡が残っている」

土忍「水で地面が濡れた事…幸い致しましたな」
18 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/26(金) 18:00:38.63 ID:wJo5Q0oo
ゴゴゴゴゴ…

盗賊「!?」

土忍「地響き…!?これは……」

盗賊「何か起きている!急ごうっ!」

土忍「…はっ」

ゴゴゴゴゴ…

火忍「何だ…っ!?」

風忍「この先だ!やはり何かあったようだな…」

火忍「悪い事になってなきゃいいが……」

風忍「……行こう」

ゴゴゴゴゴ…

水忍「…こ、これは…!?」

雷忍「先程の輩かもしれんな」

水忍「まさか……ヤマタノオロチ……」

雷忍「遠くはないはずだ。行くぞ!」
19 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/26(金) 18:03:05.40 ID:wJo5Q0oo
ゴゴゴゴゴ…

女剣士「こ、これは…っ!?」

帝「……」

ドンッ!!

鬼丸「……ッ!!」

戦士「な…んだよ、この威圧…っ!!」

魔道士「う…あぁ」

召喚士「……」

ゴゴゴゴゴ…

名代「これ程とは……ヤマタノオロチ…!!」

泉の中より出でし巨大な顔。その数は5つにも成る。

鱗に覆われ無数の角を模し、紅く染まる瞳に鋭利で獰猛な牙。

それは大蛇と呼ぶにはふさわしくなく、さしずめ竜である。

コカトリス「召喚士、これは……」

召喚士「……うん、相当強い…っ!」
20 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/26(金) 18:04:17.07 ID:wJo5Q0oo
ゴゴゴ…

ヤタガラス「……ん!?」

崖の上へ止まり戦場を見つめるヤタガラスがピクリと顔を上げる。

ヤタガラス「この気配……」

バサァ

ヤタガラス「おぉーい」

チュインッ…キィンッ!!…ガイィンッ!!

夜行「…?」

隊長「……隙あり!!」

夜行「……ふん!」

バキャアァ!!…ズザザザザァ

隊長「……ちっ」

夜行「何だい?水を差さないでくれないかい?」

ヤタガラス「この気配、感じんのか?」

夜行「……?」
21 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/26(金) 18:04:51.94 ID:wJo5Q0oo
ヤタガラス「ヤマタノオロチが目覚めたで!」

夜行「……ほぉ」

ヤタガラス「ほな、ウチらも戻ろか」

夜行「まさか残りの生娘が揃ったのかねぇ…?」

ヤタガラス「そうは思えん。無理矢理起こしたんやろ」

夜行「……」

ヤタガラス「なぁに、心配いらんて。五つ程度でも十分……」

ヒュオッ!!…ギィンッ!!

夜行「……しつこい野郎だねぇ」

隊長「それがウリなもんで…ね!」

ガキイィンッ!!

隊長「はぁ…はぁ……っ」

西方参謀「弓隊!!」

城主「射てぇ!!」

後方の弓隊より一斉に矢の射撃が始まり、その隙に隊長は後方へ退く。
22 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/26(金) 18:05:52.14 ID:wJo5Q0oo
シュシュシュンッ…シュシュンッ!!

ヤタガラス「おわっと!ほな、先に行くでぇ!」

夜行「へいへい。すぐに行きますよっと」

ブオンッ!!…キンキンキンッ!!

西方参謀「次は付加するぜぇ!」

弓隊「いけぇ!!」

バシュシュシュシュンッ!!

夜行「……」

隊長「まずいな……」

西方参謀「…あん?」

隊長「あの野郎、こっちが頭部狙いだっての気付きやがった…」

西方参謀「ちょいとしつこく狙いすぎたか…」

隊長「ま、相手もウィークポイントだしな。気にかけてんだろ」

西方参謀「どうする?」

隊長「無論、逃げる前に叩く!」
23 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/26(金) 18:06:56.12 ID:wJo5Q0oo
ザッ

西方参謀「お前もそろそろ疲労が限界じゃねぇのか?」

隊長「四の五の言ってられっかよ」

西方参謀「しゃーねぇ、全力で一撃叩き込め。援護する!」

隊長「……頼む!」

ダッ!!

夜行「……もう少し遊んでやりたいけど、事情が事情なんでねぇ」

フワッ

夜行「ここいらで失礼するよ…ヒヒッ」

隊長「逃がすかよ!」

城主「全軍追撃!!」

足軽「おぉう!!」

ドドドドドドッ

夜行「全く…しつこい……」

隊長「でええりゃああぁぁ!!」

夜行「!?」
24 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/26(金) 18:08:33.22 ID:wJo5Q0oo
上空を闊歩する夜行の背後より、隊長が壁を走り飛ぶ。

城主「かかっ、壁を…走って…!?」

西方参謀「ブチかませぇ!!」

ドドオオォォンッ!!

隊長の手にした長剣がうねりをあげ、西方参謀の炎を刀身に纏う。

夜行「ちぃ…っ!!」

隊長「……っ!!」

ガッキイイィィンッ!!

夜行「……ぐ…ぬ…!!」

隊長「……おおぉぉ!!」

ギチギチギチ……バキャアアァァ!!

全力で放たれた隊長の一撃は夜行の構える刀をへし折り、一撃を放つ。

隊長「……ざまぁみろ」

夜行「…見事。ヒヒッ」

長剣は夜行の額をかすめ、脇腹に左拳を受けた隊長とともに地面へと落下する。
25 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/26(金) 18:09:34.97 ID:wJo5Q0oo
ドシャアァ

夜行「……刀をへし折り、一撃を加えるとは…初めてだわ」

ヒュオッ

西方参謀「待ちやがれっ!!」

城主「隊長殿ーっ!!」

タタタッ…ググッ

隊長「…肋骨を何本か……やられた…っ」

城主「な、なんと…!しかしお見事な一撃でござった!」

隊長「ト…ドメ刺せなきゃ意味はねぇ…っ、先に…奴を……」

西方参謀「ここは俺に任せろ。城主殿は兵を率いて奴を追ってくれ」

城主「……畏まった!また後で…必ず!!」

足軽頭「…追撃いぃ!隊長様の武士道に続くのだ!!」

足軽「おぉーっ!!」

西方参謀「大将首……逃しちまったなぁ」

隊長「バ…ッカ言え、これからだ。……行くぞ!」
26 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/26(金) 18:10:58.71 ID:wJo5Q0oo
ドドオオォォ……

ネクロマンサー「…クククッ」

ヒミコ「ヤマタノオロチ様……」

5つの首の内1つが、唸りをあげ始動する。

戦士「よけろぉ!!」

ゴウッ!!

帝「く…っ!」

魔道士「きゃあぁ!!」

ゴガガガガガッ!!

一同は伸びる首を辛うじてかわし、その抉られた地面を見据え言葉を失う。

女剣士「……っ」

ネクロマンサー「さぁ、どうやって倒すかね?この強大なる者を」

名代「鬼丸、戦士殿!」

鬼丸「前衛は任しとけ!……と言いたいところだが」

戦士「…今回ばかりは…ヤベェかもな!」
27 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/26(金) 18:14:41.60 ID:wJo5Q0oo
ダッ!!

伸ばした首を縮めるヤマタノオロチに、戦士と鬼丸が左右より斬りかかる。

戦士「だっりゃあ!」

シュンッ!!…ガキイィン

戦士「早えぇ…っ!」

名代「鬼丸!!背後だ!!」

鬼丸「何ィ!?」

ゴガッ!!

鬼丸の背後より2つ目の首が伸び、その角で身体を突き上げる。

鬼丸「ぐ……あぁ!!」

名代「鬼丸!!」

更に迫る3つ目の首。口を大きく開き、鬼丸へと襲いかかる。

戦士「くっそ……」

名代「…っ!」

すかさず名代は札を手に取り、それをヤマタノオロチへと投げ飛ばす。
28 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/26(金) 18:15:45.02 ID:wJo5Q0oo
ボウゥンッ!!

天狗「……」

名代「天狗、その首を……」

名代が指示を出しかけた瞬間、4つ目の首が天狗へと急接近する。

召喚士「まずいっ!」

天狗「……!!」

ガボォッ!!……ボシュウウゥゥンッ

帝「い、一撃……!?」

ヤマタノオロチに噛み砕かれた天狗が札へと姿を変え、ひらひらと落ちる。

戦士「鬼――」

ズガアアァンッ!!…ドシャアァ

魔道士「……あ……ぁ…っ」

吹き飛ばされ壁の破片に埋もれる鬼丸。

召喚士「コカトリスー!!」

コカトリス「おう!」
29 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/26(金) 18:22:21.41 ID:wJo5Q0oo
ゴウッ!!

ネクロマンサー「気を付けなさい。あれは石化を用いますよ」

ヤマタノオロチ「……」

4つ目の首を掻い潜り、5つ目の首へと旋回し向かうコカトリス。

コカトリス「……喰らうがいいっ!」

ドドオオォォンッ!!…ゴアオオォォッ!!

先程とは打って変わり、密集した弾丸のような石化の吐息がコカトリスの口内より放たれる。

ヤマタノオロチはそれを正面に見据え、声も上げず口を開き笑う。

ゴウッ!!

コカトリス「!?」

魔道士「そんな…っ!!」

召喚士「突風で…弾き返した…!?」

コカトリス「そうそう出来るものではないぞ…っ」

ネクロマンサー「それがヤマタノオロチの実力です。ククッ…」

召喚士「……っ」
30 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/26(金) 18:35:27.96 ID:c6rQNB60
1乙
ヤマタノオロチは良質な生娘を5人食べたのかな…?
31 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/11/26(金) 18:51:23.82 ID:wJo5Q0oo
それではここいらで失礼します!
ご支援&>>1乙ありがとうございます!ノシ
32 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/26(金) 19:14:42.12 ID:W3e5VkAO
>>1

フリーザが残り二回も変身する事が出来ると知った時のような衝撃が今…
ヤマタノオロチ、生娘ばかり羨ましい野郎だ
33 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/27(土) 00:22:54.41 ID:g5nEf2DO
巫女が鍵ってんだから巫女が5人の生娘をレイプしたんじゃね?
34 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/27(土) 02:15:27.86 ID:JW7HQASO
首一本に一人は少な過ぎるだろ
実際はもっと多かったんじゃない?
35 : ◆1otsuV0WFc2010/11/27(土) 02:44:13.77 ID:WiH.B0.o
ザッ…

名代「鬼丸は…!?」

戦士「…こ…んのっ!」

グッ…ガラガラガラッ…ドシャアァ

戦士「無事か…!?」

鬼丸「…っつう、無事…じゃあねーけどな…っ」

崩れた岩の中より、流血した鬼丸が這い出す。

帝「……治癒は…出来んのか?」

名代「残念ながら…。召喚士殿は?」

召喚士「人間相手なら可能ですが…魔族は無理ですね……」

名代「…では仕方ありませんね。……鬼丸」

鬼丸「…?」

名代「一度後退しなさい。その怪我では継続は無理だ」

鬼丸「…いんや、そうはいかねぇよ」

名代「何を言って……」
36 :間違えてageちゃった… ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/27(土) 02:45:10.97 ID:WiH.B0.o
鬼丸「ここで退いたら…誰が前を張れるってんだ」

名代「無理をするな、死にたいのか!」

魔道士「そうですよ!」

鬼丸「こちとら一度死んだ身だ。いつ死んでも惜しくはねぇ」

召喚士「……」

鬼丸「それによ、こんな大物…なかなかお手合わせ出来ねぇぜ」

戦士「……だ、そうだ」

召喚士「……」

戦士「鬼丸は俺が面倒見る。いいだろ?」

鬼丸「…ああ!相棒に背中託すぜ」

名代「……分かりました。……鬼丸!」

鬼丸「あん?」

名代「死ぬなよ…!」

鬼丸「…グハハッ!旦那もなっ!」

戦士「おっし…!第二ラウンドだ…行くぜ!」
37 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/27(土) 02:45:47.14 ID:WiH.B0.o
帝「……よし」

女剣士「…?」

帝「敵は今、右方を警戒しておる」

女剣士「……」

帝「われらは左端へ回り込み…間隙を突くぞ」

女剣士「っ!!」

タッ!!

女剣士「上様っ!?……名代!!」

名代「!?」

女剣士「上様の援護を!」

名代「何…っ!?」

召喚士「魔道士さん!」

魔道士「はいっ!」

戦士と鬼丸が気を引いている隙に、帝は左端の首へと斬りかかる。

帝「はあぁ…っ!」
38 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/27(土) 02:46:35.61 ID:WiH.B0.o
タタッ

ネクロマンサー「…?」

ネクロマンサー「……ウウゥゥ」

召喚士「気づかれた!?」

帝「…もう……少しっ」

飛び掛る帝めがけ、ヤマタノオロチが牙をむく。

魔道士「やあぁ!!」

ドドオオォォンッ!!

女剣士「壁…!?」

魔道士は瞬時に土の壁でヤマタノオロチの突進を遮る…が。

バゴオオォォッ!!

魔道士「くぅ…っ!!」

召喚士「壁を…一撃で!?」

帝「十分…っ!」

崩れゆく土壁の脇より、十束剣の一閃が竜の首へと放たれる。
39 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/27(土) 02:47:02.75 ID:WiH.B0.o
シャキイィンッ……サクッ

帝「……っ」

ヤマタノオロチ「……ウゥ」

スタッ

帝「……」

女剣士「お退き下さい!!」

帝「……うむ」

タタッ……ザッ

ネクロマンサー「…ほぉ、傷を付けるか。これはなかなか…どうして」

女剣士「無茶をなさいますな!」

帝「無茶ではないぞ。十束剣ならばあれをも手負える」

女剣士「……っ」

帝「証拠にほれ、かすっただけにも関わらず…切れ味が更に増しておる」

召喚士「た、確かに…その剣ならば有効的ではありますが……」

帝「…で、あろう?ふふっ」
40 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/27(土) 02:49:50.64 ID:WiH.B0.o
名代「だからとて、上様を前線に立たせるなどと……」

帝「ここへ来て身分も何も関係あるまい」

魔道士「上様…っ」

帝「死ねば皆、同じ。勝たねばならぬのだ」

召喚士「……」

帝「戦えるものが前に立つ。戦の道理であろう?」

名代「……確かに…そうではありますが」

帝「ここで戦って朽ちようが、都に座して朽ちようが…結果は変わらぬ」

女剣士「…上様」

帝「名代、お主が指揮を誤ってどうする。……全滅するぞ?」

名代「……分かりました。上様のお覚悟…とくと受け取りましたぞ」

召喚士「ならば、こちらも本気で行きましょう!」

名代「ええ…上様を護衛します。召喚士殿も全力で願います」

召喚士「……はいっ!」

名代「残りの札は…2枚」
41 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/27(土) 02:50:49.53 ID:WiH.B0.o
手にした札の1枚を、名代は勢いよく投げ飛ばす。

シュバッ…バシュウウゥゥッ!!

名代「……毘沙門天!」

召喚士「こちらも行きます…!行けっ!スフィンクス!!」

シュイイィィンッ…ドズウウゥゥンッ

毘沙門天とスフィンクス。二匹の巨大な壁が5つ首の竜へと立ちはだかる。

戦士「…来たな!待ってたぜ…この時をよ!」

鬼丸「よーし、壁は出来たな。突っ込むぜ!」

帝「女剣士っ、続け!」

女剣士「御意に。この命に賭けても…上様をお守り致します!」

ダッ!!

四人の前衛が一列にヤマタノオロチへと駆け出す。

召喚士「スフィンクス!!」

スフィンクス「はいよー!任せてーっ!!」

その四人を守るように、スフィンクスが一つの首へと飛び掛った。
42 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/27(土) 02:51:53.48 ID:WiH.B0.o
ズシイイィィンッ!!

スフィンクス「このーっ!!」

ヤマタノオロチ「……」

ガブッ!!…ギリギリギリッ

スフィンクス「いってー!このやろー!!」

ガブッ!!

互いの喉元に食らい付き、両者はいっぽも譲らず静止する。

名代「ならば毘沙門天は中央だ」

毘沙門天が中央で構える一つの首へと掴み掛かり、その動きを押さえ込む。

召喚士「コカトリス!!右だ!!」

コカトリス「ああ!コイツを…押さえ込む!」

ゴウッ!!…バシュウゥ

コカトリス「何も貴様を石化せずとも……」

ギュオッ!!…ゴオオォォッ!!

コカトリス「泉を石化させてしまえば…首とて伸ばせまい!」
43 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/27(土) 02:53:29.22 ID:WiH.B0.o
機転の効いたコカトリスの一撃が右端の首を封じ込める。

戦士「残りは2つ…!そのうちの1つは……」

鬼丸「俺らが貰ったぁ!!」

ヤマタノオロチ「……アアァァ」

ドドオオォォンッ!!

魔道士「炎が…っ!!」

戦士「ならば……!」

ヤマタノオロチが放つ火炎の吐息を、戦士の盾が間一髪防ぐ。

戦士「ぐ…おおぉぉ…っ!!」

ズズズッ…

押されながらも懸命に防ぐ戦士。その背後より鬼丸が跳躍する。

鬼丸「……っらああぁぁ!!」

ブオッ!!…ガイイィィンッ!!

鬼丸「固……ってぇ!」

金棒による一撃はヤマタノオロチの額を捉え直撃するが、

ダメージはほとんどなく反撃の牙が鬼丸へと向けられる。
44 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/27(土) 02:55:47.12 ID:WiH.B0.o
名代「鬼丸!!」

鬼丸「同じ手は…食うかよ!!」

咄嗟にその手にした金棒をヤマタノオロチの口内へと放り込む。

ブンッ!!

ヤマタノオロチ「ッ!?」

チャキッ

鬼丸「……切り札だ!受け取りな!!」

ズバシュッ!!……スタッ

鬼丸「…なかなかの斬れ味!」

戦士「その刀…っ」

鬼丸「国綱…。コイツだけはいつでも一緒だ!」

戦士「……魂のこもった…良い刀だ」

鬼丸「おうよ!アイツも一緒に戦ってるのさ!」

鬼丸による国綱での一撃は痛手には至らぬものの、

ヤマタノオロチの首一つを泉の中へと押し戻した。
45 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/27(土) 03:26:30.02 ID:lWNkqsDO
泉に俺のミルクを注ぎ込んだら100年は封印できるな
46 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/27(土) 06:42:52.84 ID:BkisFQDO
ああ、100年経っても童貞なのは間違いないわ
47 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/27(土) 07:16:58.21 ID:oGiw5YDO
武士……(´;ω;`)
48 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/27(土) 13:47:31.52 ID:nXVexwDO
金曜深夜更新キテター!!!
>>1乙! 武士の絡む話はウルっときそうになるな…
49 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/27(土) 18:25:58.44 ID:PtGHHvg0
つか本国同盟交渉なら間違いなく皇太子来るべきだっただろ…
即刻意気投合して手を取り合って前線に突っ込んでく姿が目に浮かぶ
50 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/27(土) 18:32:56.74 ID:CkVBoW2o
エリートと女剣士がお互い苦労しますねって意気投合して仲良くなr・・・ないな
百合百合だもんな
51 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/27(土) 20:21:31.36 ID:5CgqWzoo
あぁ・・・武士殿・・・
52 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/27(土) 21:55:09.08 ID:v1H7GwE0
>>45

    r'ニニ7      
     fトロ,ロ!___     
 ハ´ ̄ヘこ/  ハ
/  〉  |少  / |    
\ \    /| |
 ┌―)))――)))‐―┐
  ヽ ̄工二二丁 ̄ .
   〉 ヽ工工/ ;′∬     
  lヽ三三三∫三三\;'     
  h.ヽ三∬三三';.三三\';∫ 
  └ヽ ヽ三,;'三三∬三;'三\'"
    ヽ |__|烝烝烝烝烝烝|__|  
      lj_」ー――――‐U_」 .

53 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/27(土) 23:39:24.86 ID:WiH.B0.o
ドボオオォォッ

戦士「水の中に戻っていった…?」

鬼丸「やったか?」

戦士「一時的に退がっただけだろう」

鬼丸「だよなぁ。手ごたえなかったもんよ」

戦士「怪我の影響か…?」

鬼丸「んー、まぁそれもあっけど…それだけ強えぇって事だ」

戦士「通常攻撃じゃあダメって事か……」

一つ大きな息を吐くと、戦士は鬼丸へ声を掛ける。

戦士「鬼丸、援護…頼むぜ」

鬼丸「おうっ!」

戦士「魔道士!」

魔道士「!?」

戦士「……付加を頼む!」

魔道士「……は、はいっ!」
54 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/27(土) 23:40:08.67 ID:WiH.B0.o
叫ぶ戦士は戟を鬼丸へ放り渡すと、雷切を鞘から抜き構える。

戦士「……ふーっ」

ダンッ!!

スフィンクス「こ……のぉー!!」

召喚士「スフィンクスが押し返せないなんて…なんて力だ…!」

バッ!!

戦士「おりゃあぁ!!」

魔道士「撃ちます!!」

身構える魔道士の杖から凍える波動が巻き起こり、氷を形成する。

ドドオオォォンッ!!…ギキイィィンッ!!

ヤマタノオロチ「……ウウゥゥ」

召喚士「戦士を……援護する!!」

スフィンクス「おっけー!!」

首元に噛み付く顔を強引に引き離し、重心を低く落とすスフィンクス。

スフィンクス「両手…はんまーぱーんちっ!!」
55 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/27(土) 23:41:18.28 ID:WiH.B0.o
スフィンクスは拳を握り合わせ、それをヤマタノオロチへと叩きつける。

ガオッ!!……ズッガアアァァンッ!!

ヤマタノオロチ「…ガ……アアァァッ」

バシィッ!!

スフィンクス「うわぁーっ!」

もたげた首をかち上げ、ヤマタノオロチがスフィンクスの巨体を吹き飛ばす。

グオッ…ドシャアアァァ

戦士「十分!!」

上向いたヤマタノオロチの鼻へ、氷を纏い稲光る雷切の一刀が振り下ろされる。

ヒュバッ!!…ゴシャアアァァッ!!

ヤマタノオロチ「…ギ……イイィィ…ッ!」

戦士「どうだ……!?」

ググッ…

鬼丸「させねぇよ!!」

カウンターで反撃を狙うヤマタノオロチの角を、戦士が戟と国綱で防いだ。
56 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/27(土) 23:41:57.15 ID:WiH.B0.o
ガッキイイィィンッ

ヤマタノオロチ「……ッ」

戦士「もう…一丁ぉ!!」

魔道士「はいっ!!」

今度は激しい炎が魔道士の頭上で巻き起こり、雷切へと付加する。

戦士「でりゃああぁぁ!!」

ブオッ…ガシュウウゥゥッ!!

ヤマタノオロチ「……オオォォ」

ザッバアアァァンッ

召喚士「やった!」

スタッ

戦士「ダメだ、退かせただけだ…っ」

召喚士「十分だよ!今のうちに他の首を……!」

戦士「おっしゃ、行くぜ!」

鬼丸「おう!」
57 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/27(土) 23:42:41.66 ID:WiH.B0.o
名代「…なんという力…っ!……だが!」

ググッ…ズズズッ

毘沙門天「……」

ヤマタノオロチ「…グ……ウゥ」

帝「…はぁっ!」

サクッ!!

ヤマタノオロチ「…ウウゥゥ!」

女剣士「させぬっ!」

グオッ…キィンッ!!

女剣士「っ!!」

帝「無事か!?」

女剣士「問題ありませぬ。力押しされただけで…」

帝「すまんな。盾をさせてしまって……」

女剣士「…う、上様…っ」

帝「もう一度行くぞ。今度は左から回り込む」
58 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/27(土) 23:43:26.18 ID:WiH.B0.o
女剣士「…は、はいっ!」

タタッ…

ネクロマンサー「…ふむ」

ヒミコ「……」

ネクロマンサー「これはどういう事であろうな」

ヒミコ「…ヤマタノオロチ様の力が…完全ではありませぬ故」

ネクロマンサー「それにしても…随分押されていますねぇ」

ヒミコ「…私が行きましょう」

ヒュッ…

ネクロマンサー「……早すぎましたかねぇ。ククッ」

名代「…あれはっ……巫女!」

フワッ…ストッ

ヒミコ「…うふふふっ、みんな…ヤマタノオロチ様の前にひれ伏すのよ!」

名代「巫女…っ」

帝「諦めよ。あれは最早、敵だ」
59 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/27(土) 23:44:29.91 ID:WiH.B0.o
名代「……分かって…おります」

ヒミコ「おやおや、お前さんが相手かい?」

帝「…良かろう。私が相手をしてやる」

名代「上様っ!」

帝「お前に討てるのか?出来ぬであろう…?」

名代「……」

帝「構わぬ。名代はヤマタノオロチを頼む」

名代「……御意に」

帝「では……参る」

女剣士「お供致します」

ヒミコ「・・・うふふっ、かかってらっしゃいな」

ザッザッザッ…チャキッ

帝「……」

ヒミコ「うふふふっ」

飄々と構えるヒミコの前に、帝は十束剣を携え対峙する。
60 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/27(土) 23:44:59.51 ID:0R6b1cIo
>>55
最後の行が・・・戦士?
61 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/11/27(土) 23:55:21.06 ID:WiH.B0.o
>>60
すみません…鬼丸です…
62 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/28(日) 00:37:51.15 ID:bh6fBrYo
ススッ…

帝「……」

ヒミコ「さぁ、どうします?う・え・さ・ま」

女剣士「…貴様ぁ!」

タンッ!!…ヒュオッ

ヒミコ「…うふふふっ、甘い甘い」

キィン

女剣士「……?」

ヒミコ「そんなヤワなこうげきじゃ、この一反木綿…倒せませんわよぉ?」

女剣士「……っ」

キィン…ガインッ!!…キィン…キィンッ

ヒミコ「あら残念……」

女剣士「……」

ヒミコ「貴方、生娘じゃあないのね」

女剣士「……っ」
63 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/28(日) 00:39:07.85 ID:bh6fBrYo
ブオンッ!!

ヒミコ「良質な力を持ってるから…ヤマタノオロチ様への供え物になるかと思ったけど」

バッ

ヒミコ「生娘じゃないなら、用はないわね」

シュルシュルシュルッ…グイィ!!

女剣士「うあぁ…っ!」

ヒミコ「おほほほっ!このまま絞め殺してアゲル!」

バシュッ!!

ヒミコ「……!?」

女剣士「…か、かはっ!ごほごほっ!」

帝「二人おる事を忘れるでないぞ」

ヒミコ「……小生意気ね」

女剣士「…た、助かりました……っ」

帝「……」

女剣士の助けに入りヒミコの手の甲を切りつけた帝は、十束剣の見つめる。
64 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/28(日) 00:45:20.01 ID:bh6fBrYo
帝(……力が増している。やはり…既に妖化しておるか)

ダッ!!

帝(一縷の望みと思うたが……仕方あるまいっ!)

間合いを話すヒミコに対し、帝は再び接近戦を仕掛ける。

ヒュンッ!!…ギイィンッ!!

帝「……女子の力とは…思えぬな」

ヒミコ「…まぁ、失礼な若君ね。それでは女子に好かれ……」

ババッ

ヒミコ「……貴方、そう…そういう事」

帝「……」

ヒミコ「こんなところにもいるじゃない…っ!良質な……生娘が!」

帝「何…っ?」

ヒミコ「ヤマタノオロチ様っ!この者を…!!」

ネクロマンサー「……?」

ヒミコの叫びに応じ、ヤマタノオロチが首をすぼめ近寄る。
65 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/28(日) 00:47:16.24 ID:bh6fBrYo
ズオオォォッ

召喚士「な……何だっ!?」

ヤマタノオロチ「……ウウゥゥ」

ネクロマンサー「どうしました…?まさか……」

ヒミコ「さぁ、どうかこの者を贄に!!」

女剣士「上様っ!」

ダッ!!

ヒミコ「邪魔はさせぬ!」

ガシィ!!……グググッ

女剣士「…えぇい!そこをどけっ!!」

ヒミコ「さぁ!今のうちに……!!」

向かい合う女剣士とヒミコ。その脇でヤマタノオロチがゆっくりと、

その首を帝の下へと地を這うように近づいてゆく。

名代「上様っ!!」

帝「……くっ!」
66 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/28(日) 00:48:29.32 ID:bh6fBrYo
ヒュンッ!!……ガキイィンッ!!

ネクロマンサー「……?」

帝「手裏…剣…!?」

ザッ

風忍「…どうやら間に合ったか!?」

火忍「いんや、大遅刻みたいだぜ」

名代「風忍殿!火忍殿!」

帝「お主等…っ、無事であったか…!」

火忍「遅くなり申した!申し訳ありませんっ!」

風忍「これがヤマタノオロチ…!!」

ヒュッ……スタッ

ネクロマンサー「ネズミが増えましたか……」

ザッ

雷忍「…カカッ、こっちにもいるぜ」

水忍「巫女殿…やはり貴方は妖に…っ」
67 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/28(日) 00:50:28.83 ID:bh6fBrYo
ザッ…スタッ

火忍「…おい、姫と土は!?」

水忍「途中で別れた。まだ来ておらぬようだな」

火忍「んだとぉ!?無責任な……」

雷忍「今は争っている場合じゃない。上様を援護するぞ」

火忍「…ああ。雷、いくぜ!」

ヒュッ!!

風忍「水、我らは奥の援護に回るぞ」

水忍「承知!」

タタタッ

魔道士「皆さん…!!」

召喚士「…あとは、盗賊さんと土忍さんか」

名代「大丈夫です。二人もじきに来る事でしょう」

戦士「おうよ。俺らは眼前の敵を倒す事に集中するのみ!」

鬼丸「だな!!」
68 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/28(日) 03:45:31.62 ID:q6vzerUo
やっぱ帝は女だったか・・・
雷忍め・・・
69 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/28(日) 04:32:10.06 ID:XS6AHwDO
帝ちゃんには個人レッスンが必要だね^^ 
僕のゾディアックをさすってごらん^^
70 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/28(日) 05:43:03.79 ID:VqkWbTw0
1乙
帝は女の子か…
雷忍は相当のロリコンだね
71 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/28(日) 09:17:52.20 ID:h/FocMwo
百合な女剣士も、そんな理由だったのね
72 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/28(日) 10:10:24.65 ID:4BhiJNso
何故、雷忍も女だと気づかない…
73 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/28(日) 11:59:13.82 ID:jz/HawIo
>>72
おい





おい
74 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/28(日) 15:38:22.91 ID:1diU6MDO
僕っ娘とか俺得
75 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/28(日) 16:13:32.67 ID:Az6SGyYo
朕っ娘
76 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/28(日) 16:18:47.00 ID:EfwzF.U0
>>75

    r'ニニ7      
     fトロ,ロ!___     
 ハ´ ̄ヘこ/  ハ
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  ヽ ̄工二二丁 ̄ .
   〉 ヽ工工/ ;′∬     
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  h.ヽ三∬三三';.三三\';∫ 
  └ヽ ヽ三,;'三三∬三;'三\'"
    ヽ |__|烝烝烝烝烝烝|__|  
      lj_」ー――――‐U_」 .
77 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/28(日) 16:30:55.35 ID:BvTDcdYo
                                    ...、,...
                                /:;:;:;:;:;:;ヽ
               ,ィ¬.ー..、               |:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:iヽ、                 謝罪
                 /.: : : : : : ム            ノ!:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;、ノ | `' ・、,_
             i: : : : : : : :.リt- 、._           ム:;:;:;:;:;:;:;:;:ム  |   / i
             ,v: :: :, ,、:!ノi! |   `ハ        { `ヾiヾ、`ヾ  i   ,'  !     この度は、帝様の性別を男だと誤
              l 乂、: i .i!'ヽ! !  7 i       ゙ト、 | マ 7 _|  ,'  ∧   って認識し、雷の野郎ホモショタとか
                 }、   | ヤ リ .|  〈  、       i 、 ー 、,ノ'´ー'' ヽ!   |   良い趣味してんなと蔑みの視線を送
               〉ヽ、 \! ノ,.ィ'¬ ゛,  !         i `,  ヽ `ー'゙/冫 .U   っておりました。二度とこの様な勘違
             Y   ト Y。 ヽ,,〉 |   l       !  〉 ヽlo /  イ'´ !   いからの謂れのない誹謗中傷の無い
.                 !  〉`' ヽ,     ト、 }       i i `   !。 ̄  イ|  |.   様原因究明、再発防止に勤めてまい
              ! ム  U,..  !   !       !ノ   リ、.     |  !.   ります。誠に申し訳ありませんでした。
                  ', ノ'    i゚:    |  :!.        i_!   / ∨  ,. !_,, 」
                    |〈   ∧    i_, .」        | |`ヽ'  .ヤ'´  i  |
                 T`ー┘ ;ヽ' "´ り l        ヽ!    :!.     リノ'
               ヽ!     i     レ'          |   U     !
                |    |!    |             |    i!    i
                !    ii    i           |    !!     !
78 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/28(日) 16:52:13.22 ID:ROjhD2.P
\謝ってすむと思ってるのか!/
                         \解散しろ!/
79 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/28(日) 17:17:44.85 ID:BxvLE1c0
帝「実は女の子だったんだよって、ミカドはミカドはカミングアウトしてみたり」




思い付きでやった
反省はしてない
80 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/28(日) 18:06:13.30 ID:HKdn7MDO
>>75
こっちん♪こっちん♪こっちん♪こっちん♪
81 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/28(日) 21:26:05.74 ID:4ebpTHko
>>79
お前のせいで帝が脳内で勝手に打ち止めで再生されるじゃないか
82 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/28(日) 23:08:54.23 ID:bh6fBrYo
ザザザッ…タッタッタッタッタ

火忍「首はこちらが引き受けます!上様は巫女を…!」

帝「任せたぞ」

風忍「ははっ!」

女剣士「上様に指示するとは…無礼な奴め!」

帝「いまはそのような事、気にしている場合ではない。的確な指示だ」

女剣士「……っ」

帝「それよりも我等は、目の前の敵に集中するぞ」

ザッザッザ

ヒミコ「邪魔が入ろうが…結果は変わらないよっ!」

ヒュッ!!……ガキイィンッ

ヒミコ「……二度までも…忌々しい奴…っ!」

女剣士「上様へは…指一本触れさせぬ!」

ヒミコ「……ならば諸共、あの世へ落ちるがいいっ!」

女剣士「……っ」
83 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/28(日) 23:09:31.35 ID:bh6fBrYo
ザザザザザザッ

火忍「…火炎手裏剣!」

シュバババッ…ゴウッ!!

ヤマタノオロチ「……オオォォ」

チュインッ…キィンッ

火忍「弾き返した!?」

雷忍「カカッ、なんつう表皮だよ」

召喚士「一行では無理です!二行合体以上でないと……」

火忍「……だとよ、めんどくせぇ妖怪だ」

雷忍「…カカッ、全くだな」

火忍「まずはあのデカブツを上様から引き離す」

雷忍「…だな。それから私とお前で…二行いくぞ」

火忍「その腕で大丈夫か?」

雷忍「……大丈夫、とは言い難いな。任せても構わんか?」

火忍「…おう。最初は俺が行かせて貰う!」
84 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/28(日) 23:10:17.39 ID:bh6fBrYo
バサァ…ゴウッ!!

召喚士「コカトリス、スフィンクスの援護を!」

コカトリス「…うむ!」

ヤマタノオロチ「ウウゥゥ」

シュバッ!!…キィン

召喚士「戦士!」

戦士「ここは引き受ける!お前らは…アイツを!」

ヤマタノオロチの前に割り込む戦士が、正面頭上を指差す。

召喚士「ネクロマンサー……!」

ネクロマンサー「……ククッ」

召喚士「…分かった。魔道士さん、行きましょう」

魔道士「は、はいっ!」

召喚士「戦士っ、ここは任せるよ!」

戦士「ああ。そっちこそ頼むぜ……オッサンの仇討ちだ」

召喚士「……うんっ!」
85 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/28(日) 23:33:02.01 ID:bh6fBrYo
タッタッタッタッタ

召喚士「…!?」

水忍「此方は私達が引き受ける。真っ直ぐ進め!」

魔道士「助かりますっ!」

召喚士「この先の…戦士と鬼丸をお願いします!」

風忍「心得た!」

シュバッ…タッタッタッタッタ…

ネクロマンサー「……来たか、召喚士」

召喚士「ネクロマンサー!」

魔道士「マジシャンさんの……仇っ!」

ネクロマンサー「仇…?それはこちらとて同じ事……」

召喚士「……」

ネクロマンサー「君らのお陰で大切な人形を何体も失った……」

召喚士「身勝手を…!ここでお前を…倒す!!」

ネクロマンサー「来るがいい…。見せて貰おうか、コカトリスの力とやらを!」
86 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 00:06:45.48 ID:JsdfA7go
ザザッ

風忍「無事か!?」

鬼丸「まぁ…なんとかな!」

戦士「アンタらも大丈夫か?」

水忍「…ああ。しかし、これがヤマタノオロチか…っ」

戦士「なんとか首二つは退けたが…時間の問題だ」

鬼丸「とにかく強い。トドメを刺すにゃあ骨が折れるぜ」

風忍「二行以上を併せなければならんのだな…?」

戦士「…ああ。出来るかい?」

水忍「……やろう」

風忍「…行くか」

戦士「俺らが正面から囮になる。裏を取ってくれ」

水忍「承知した。任せるぞ!」

戦士「鬼丸!もう一丁…突っ込むぞ!」

鬼丸「おうよ!!」
87 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 00:19:26.09 ID:JsdfA7go
ザザッ

水忍「……さて、そっちはいいか?」

風忍「…ああ」

水忍「…いくぞ!!」

ババッ!!

風忍「風遁……秘奥義!」

水忍「水遁、秘奥義!」

二人は同調するように、同時に印を結び両手を組み合わせる。

風忍「疾風……」

水忍「……怒涛!!」

ギュオオォォッ!!

水流を伴う竜巻が水忍の身体を包み込む。

水忍「ぐ……く…っ!!」

それはやがて水忍の纏わり付くように吸収され、身体全体を飲み込んだ。

風忍「すまんな…水、私が手負いのばかりに……」
88 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 00:23:30.82 ID:JsdfA7go
ザザザッ…スタッ

雷忍「あれは…水と風か」

火忍「そんじゃ、こっちもいくかい」

雷忍「…うむ」

火忍「お前はその身だ、俺がやる」

雷忍「…すまんな」

火忍「さぁ、いつでもいいぜ!」

雷忍「…よし、雷遁秘奥義…!!」

火忍「火遁っ、秘奥義!」

ババッ!!

雷忍「電光……」

火忍「……石火ぁ!!」

ギュオオォォッ!!

火忍「ぬ…ぐぐ…うぅ!!」

先程と同様、稲妻を伴う炎が一気に火忍の身体を飲み込み、包み込んだ。
89 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/29(月) 00:26:44.78 ID:p5Sn4Koo
ネクロマンサー「見せてもらおうか連邦軍のMSの性能とやらを!」
90 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/29(月) 02:58:13.74 ID:ovwclEDO
俺「みせてもらおうか!盗賊ちゃんの処女の力を!」
91 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/29(月) 03:20:56.52 ID:V8V7sqw0
>>90
御館様「聞かせて貰おうか。貴様の断末魔の声を!」
92 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/29(月) 11:49:56.68 ID:2j.w7Dwo
ヒミコ「……貴方、そう…そういう事」

召喚士「……」

ヒミコ「こんなところにもいるじゃない…っ!良質な……生娘が!」

召喚子「何…っ?」
93 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/29(月) 14:30:29.73 ID:93IVm3E0
へへっ楽しくなってきたぜ
94 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:00:09.59 ID:E5lNbkko
『遁術』。忍法として用いられる術の名称であり、五遁三十法とも呼ばれる。

五遁は即ち、火、水、土、風、金の五行に基づき構成されている。

『遁』とは即ち、逃げる為の術を意味し、通常、忍びの用いる術に於いては、

諜報活動や暗殺を生業とする彼らにとって、非常時における脱出手段に過ぎなかった。

かつては数多の流派が存在した忍。その中でも藤蔵と影が

大きくのし上がった理由の一つに『遁術』を逃走術から格闘用、実戦向けの

忍術へと昇華させた事がその一つとして大きく取り上げられる要因であろう。

その中でも数代前より築き上げられてきた『遁術の合体』。

その膨大な力は度々、要人の危機を救い、戦の形勢を逆転させるに及ぶ

切り札として、代々藤蔵の権威と名声をささえ続けている。

しかしその代償は、使用者に対する莫大な魔力と力を蓄積、

それを開放する事による肉体への膨大なる負担。

下忍はもとより、上忍でさえ下手をすれば命を落とすかもしれない。

そんな荒業を躊躇う事なく使用する彼等、五忍。

それを為すは、奥義伝承者としての自信か、己が担う使命の重さか。
95 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:00:40.53 ID:E5lNbkko
ゴゴゴゴゴゴッ…

火忍「はああぁぁ…」

水忍「……こおおぉぉ」

火忍と水忍。二人の身体が通常とは異なり、それは敵にとって、

風貌や状態のみにおいても、危機を感じさせるに至る。

ネクロマンサー「な…なんだ、あれは…!?」

ヒミコ「…!?」

キィン!!

帝「どこを見ておる!」

ヒミコ「…こ…の……っ!」

ネクロマンサー「あれはちょっと…いけませんねぇ」

フワッ

ネクロマンサー「……!?」

コカトリス「どこへ行く…?」

ネクロマンサー「……」
96 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:01:13.60 ID:E5lNbkko
ザザッ

召喚士「逃がすか!」

魔道士「……」

ネクロマンサー「コカトリス程の召喚獣が…何故、人間に従うかね?」

コカトリス「……」

ネクロマンサー「何百年…何千年と見てきたのであろう?」

コカトリス「貴様は元々、人間であったのだろう?」

ネクロマンサー「……」

コカトリス「臭いで分かる。純粋な魔族のものではない」

ネクロマンサー「そのような事はどうでもいい」

コカトリス「いや、人間を捨てた貴様には…分からぬ事よ」

ネクロマンサー「……?」

コカトリス「何故…私が、人間と共におるのかをな…!」

ネクロマンサー「ちぃ…っ!」

コカトリス「……喰らうがいいっ!!」
97 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:01:39.75 ID:E5lNbkko
ゴアオオォォッ!!

コカトリスの放つ石化の吐息がネクロマンサーの頭上より降り注ぐ。

ネクロマンサー「……ッ」

ヒュオッ

コカトリス「……邪魔はさせぬ」

ネクロマンサー「どうあっても通さぬつもりか」

召喚士「勿論だ」

ネクロマンサー「……小賢しいぃ!!」

大きく背を仰け反らせ、勢い良く針状の触手が地面を走る。

ズガガガガッ!!…バシュウウゥゥ

コカトリス「召喚士!!」

召喚士「……っ!」

魔道士「やぁっ!」

ドドオオォォンッ!!…ボゴオオォォ!!

ネクロマンサーの触手を魔道士が起こす土壁が弾き返す。
98 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:02:31.88 ID:E5lNbkko
バギイイィィッ!!

魔道士「くう…っ!」

ネクロマンサー「…ククッ!」

タンッ!!

召喚士「逃がすかっ!!」

コカトリス「おう!」

ネクロマンサー「甘いですよ…!」

ザッバアアァァッ!!

召喚士「な…っ!?」

名代「またしても…ヤマタノオロチ…!」

コカトリス「もう復活したか…っ」

ネクロマンサー「さぁ、こやつらを始末するのだ」

召喚士「……くっ」

ネクロマンサー「おっと、その娘は生かしておきましょう。ククッ」

魔道士「……っ!!」
99 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/29(月) 19:02:41.64 ID:JUjgrgAO
>>1

帝は偉いなぁ、どこかの王子とは大違いだな

てか、一年以上行けコカを読んで、やっと気づいたんだ…
俺の在るべき姿はヤマタノオロチだったのだと
好きで好きでしかたない、生娘の魔導師ちゃんを食べるのが俺の役割だったんだね
魔導師ちゃん長い間ごめんね、お待たせ!
100 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:03:08.24 ID:E5lNbkko
コカトリス「させぬっ!!」

ギュオッ…バシュウッ!!

ヤマタノオロチ「……オオォォ」

コカトリス「はあぁーっ!!」

ドドオオォォンンッ!!…バキバキバキィ!!

両者の吐息が空中で激しくぶつかり合う。

コカトリス「…ぐ…うぬ!」

召喚士「押し…切れぇ!!」

バゴオオォォンッ!!…パラパラパラッ

召喚士「相殺…したか……っ」

魔道士「召喚士さん!」

召喚士「しまった!!」

その隙を突いて、ネクロマンサーは火忍と雷忍の元へ移動する。

ネクロマンサー「させませんよぉ…っ!」

帝「…雷っ、右方から来ておるぞ!」
101 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:03:37.58 ID:E5lNbkko
雷忍「…火っ、お前はそのまま…首に仕掛けよ!」

火忍「……頼…むぜぇ…っ!」

バチバチと電撃を纏い炎に包まれた火忍が、どっしりと重心を構える。

刹那、電撃は徐々に足元へと移動し、地中の小石が激しく跳ね上がる。

ネクロマンサー「くらえぃ!」

バシュウウゥゥ!!

雷忍「しま…っ!」

ドドオオォォン!!…ボゴオオォォ!!

ネクロマンサー「!?」

雷忍「土の…壁…っ!?」

召喚士「魔道士さん、流石です!」

魔道士「い、いえ…っ!私じゃありません…っ」

召喚士「…!?」

火忍「……いいところに…来てくれたぜぇ!」

火忍は正面後方の崖上を見上げ、ニヤリと笑う。
102 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:04:04.28 ID:E5lNbkko
ザッ

土忍「…待たせたな」

雷忍「土…っ!!」

ネクロマンサー「まだ鼠が…っ、小癪な……」

ビュオォッ!!…ギュルギュルギュルッ!!

ネクロマンサー「…!?」

空中のネクロマンサーを制するように巻きつく鎖。

ネクロマンサー「この鎖…見覚えがある…!!」

ザスッ

盗賊「……貴様…ぁ」

魔道士「盗賊さん!!」

召喚士「ご無事で!!」

盗賊「ネクロマンサー。貴様は私が…っ!!」

雷忍「今だ!!ゆけぃ!!」

火忍「奥義…っ!電光石火ああぁぁ!!」
103 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:04:31.07 ID:E5lNbkko
足元の電撃がふと、地面で弾ける。

バシュンッ!!

召喚士「消え……」

名代「いやっ、あの落雷…!!」

それは一本の稲光となりて、頭上高くで小さく光り、再び弾ける。

ネクロマンサー「ッ!?」

今度は大きく光り輝き、一本の落雷となりて降下する。

ピシャッ!!…ドドドドオオォォォォンッ!!

魔道士「きゃあぁ!!」

召喚士「くぅ…っ!!」

バチバチバチバチッ!!…ズガアアァァンッ!!

ネクロマンサー「…ぐく…っ」

ヒミコ「っ!!」

女剣士「隙あり!!」

タンッ!!…バシュッ!!
104 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:05:01.99 ID:E5lNbkko
ヒミコ「……っ」

帝「はあっ!」

ザシュッ!!

ヒミコ「ぐぅ……」

スタッ…ポタポタポタッ

女剣士「お見事!」

帝「お主もな」

右肩を押さえるヒミコは、火忍による電光石火の一撃を浴びた

ヤマタノオロチの首を見上げ、一度後方へと退く。

女剣士「待て…っ!」

帝「いや、深追いするでない。手負い猪という言葉もある」

女剣士「…御意に」

ズガアアァァンッ!!

帝「…!?」

女剣士「ヤ、ヤマタノオロチが…っ」
105 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:05:37.93 ID:E5lNbkko
グラァ……ズドオオォォンッ!!

縦真二つに切り裂かれたヤマタノオロチの首一本。

もたげるように地面へと叩きつけられ、やがてはピクリとも動かなくなった。

ネクロマンサー「……」

盗賊「…………」

土忍「……」

召喚士「……」

魔道士「や…った…!?」

バチバチバチィ…シュタッ

火忍「…へ、へへ…っ。……がはっ!」

雷忍「火!!」

火忍「…や、ったぞ…ざまあみやがれ…っ」

雷忍「…よくやった。退がって今しばし休むが良い」

火忍「わり…っ。そうさせて貰うわ……」

雷忍の肩へもたれ掛かるように担がれ、火忍は後方の石床へと腰を落とした。
106 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:06:04.69 ID:E5lNbkko
鬼丸「…すっげぇ!」

戦士「…まずは、一つ取ったな!」

風忍「こちらもいきますよ」

戦士「おう!盾は心配するな!」

鬼丸「死ぬ気で守ってやるぜ!」

ダンッ!!

ヤマタノオロチ「…アアァァ」

戦士「動き押さえるぐらいなら…っ!」

鬼丸「なんとかしてやらぁ!!」

ビュオッ!!…ガギイイィィンッ!!

戦士「……ほおぉ、イカした籠手…付けてるじゃねーか」

鬼丸「鬼の籠手ってな。相棒こそ良い趣味してんな!」

戦士「…こいつか?コイツはこういう使い方もあるんだ…ぜ!」

上顎をかち上げ支える炎の盾が、斧へと形状を変化させる。

ガシャンッ!!
107 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:06:32.04 ID:E5lNbkko
戦士「……でっりゃあぁ!」

左手に斧、右手に雷切。両手に武器を構え、戦士は右足で踏みつけた

ヤマタノオロチの下顎を更に踏み込み、二つの得物を交差させ、放つ。

ブオォッ…ドッグオオォォ!!

ヤマタノオロチ「……ァァ!」

戦士「雷と…炎で、簡易的二行だ!」

鬼丸「…グハハッ、荒々しいなぁ。刀折れちまうぞ?」

戦士「そんときゃそん時だ。腕の良い鍛冶屋がいる!」

鬼丸「…グハハ!そりゃいいや」

戦士「動きは封じてる!今だっ!!」

水忍「こおおぉぉ…っ」

戦士「!?」

鬼丸「…何だぁ、ありゃあ…?」

風忍「細氷・・・いやっ、氷霧と言うべきか」

水忍の足元に風が巻き起こり、全身はキラキラと氷の結晶に包まれた。
108 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:07:01.19 ID:E5lNbkko
雷忍「…水、決めろよ」

火「……っ」

召喚士「あれは…ダイヤモンドダスト!?」

魔道士「で、でも…もっと小さい…目にも見えない氷の破片みたいですよ」

ゴゴゴゴゴゴッ

水忍「秘奥義……疾風怒濤っ!!」

声を荒げる水忍の足元の風が、一挙に爆発する。

ドウンッ!!

突風の勢いを利用し、水忍の身体は高く跳躍され、

纏った粒子状の氷が、まるで鋭い刃物のように回転され、一気に降下する。

バシュンッ!!

ネクロマンサー「…放…せぇ!!」

盗賊「!?」

ググッ…バチィンッ

魔道士「鎖が…っ!」
109 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:07:31.00 ID:E5lNbkko
盗賊「…ちっ」

召喚士「コカトリスー!!」

ゴウッ!!

コカトリス「逃がさぬと…言っておろう!」

ネクロマンサー「しつこい…っ!」

コカトリスよりまたも放たれる石化の吐息。

ネクロマンサーは身体をねじるように、それを間髪かわす。

召喚士「まだまだぁ!」

スフィンクス「ぱーんちっ!!」

ゴオッ!!

ネクロマンサー「くっ!」

チュインッ

スフィンクス「やばっ、かすっただけだ!」

ネクロマンサー「これ以上は…させぬぞっ」

水忍とヤマタノオロチの間へ、懸命に割り込もうとするネクロマンサー。
110 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:08:01.01 ID:E5lNbkko
シュバッ

ネクロマンサー「……はっ!」

背後より迫る飛来物にネクロマンサーは顔色を変える。

その後方にて飛来物、即ちクナイを投げ飛ばした盗賊の姿が目に入る。

ネクロマンサーは咄嗟に空中で軌道を変え、クナイを必死でかわす。

土忍「ただのクナイに…随分警戒心の強い輩だな」

ネクロマンサーの脳裏に一瞬、わずか一瞬ではあるがフラッシュバックする。

最北の村で盗賊に一撃食らわされた五行をの施されたクナイ。

なんの変哲もないクナイと分かっていながらも、過剰に反応し回避を選んだ。

わずかその刹那の刻が、水忍の一撃を許す結果と相成った。

ネクロマンサー「しま…っ……」

ズシャアアァァァァ!!

ヤマタノオロチ「グ……ギャアアァァーッ!!」

鬼丸「いよっしゃあ!!」

戦士「これで…二匹目!」
111 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:08:31.85 ID:E5lNbkko
ドッズウウゥゥンッ……バタバタバタッ

伸ばした首の中間部分より、真っ二つに落とされたヤマタノオロチの首。

その斬り落とされた部分がのた打ち回り、やがて動かなくなった。

ヒュオッ…スタッ

水忍「…ごほごほっ!がは…っ……!」

戦士「大丈夫か!?」

水忍「あ、ああ…。すまない」

ザッ

風忍「水、掴まれ」

戦士「任せるぜ」

風忍「ああ。すぐに戻る」

戦士「鬼丸っ!次は中央…名代さんの援護だ!」

鬼丸「おうよ!!」

タッタッタッタッタ

風忍「…水、よくやったな。見事也」
112 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:09:01.10 ID:E5lNbkko
ザッ…ドサッ

水忍「…う…っ」

風忍「ここで休んでおれ」

雷忍「さぁて、そろそろ行くか」

風忍「その怪我で、休んでなくて良いのか?」

雷忍「…カカッ、こんなもの…怪我の内に入らないさ」

風忍「……」

タタタッ

火忍「…いよぉ、ざまぁないな」

水忍「…人の事が申せるのか?」

火忍「…けっ、俺はすぐに…戻るさ」

水忍「その割には立つ事もままならぬようではないか…」

火忍「…言ってろ。黙って休んでるんだな!」

水忍「…その台詞、そっくりそのまま返させて貰うぞ」

火忍「……けっ!!」
113 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:09:31.15 ID:E5lNbkko
ザザッ…フワァ

ネクロマンサー「まさか……まさか、ヤマタノオロチの首が…二つも」

ヒミコ「ヤマタノオロチ様…っ」

召喚士「これで残るは…」

ザッ

名代「……六つですね」

魔道士「えっ!?」

名代「ヤマタノオロチとはそもそも、『八岐大蛇』と申す」

召喚士「……」

名代「……『八岐』とは、八つに分岐している事を意味します」

召喚士「!?」

名代「それは即ち、『八つ岐を持った大蛇』…という意味合い」

召喚士「つまり…先程からいる五つ以外に……」

名代「まだ三つ……首があるはずです」

ネクロマンサー「……ククッ、ご名答」
114 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:10:01.17 ID:E5lNbkko
召喚士「!?」

ネクロマンサー「諸事情でね、今は三つ程お出し出来なかったのですよ…」

盗賊「…出せなかった?」

ネクロマンサー「ヤマタノオロチを完全体へ仕上げるには……」

チラリ

魔道士「……っ」

ネクロマンサー「良質な生娘が必要なのです」

言葉を続けながら、ネクロマンサーは右手で合図を促し、

毘沙門天と組するヤマタノオロチを一度、引き揚げさせる。

ススッ…ズズズッ

名代「!?」

ネクロマンサー「しかも、一つの首につき一人の生娘……」

召喚士「貴様…っ」

ネクロマンサー「これがまた、骨の折れる作業でしてねぇ…ククッ」

土忍「……」
115 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:10:30.86 ID:E5lNbkko
ネクロマンサー「ただの生娘なら数多おりますが…良質となると…ねぇ」

名代「ま…さか…っ!」

ネクロマンサー「そう。彼女のように素晴らしい力を持った、生娘がね」

巫女であった者、ヒミコを指差しネクロマンサーは静かに笑う。

ネクロマンサー「半分はあっさりと見つかりました」

召喚士「身勝手な事を言うな!」

ネクロマンサー「……」

召喚士「見つかった?お前が攫ったんだろう!」

ネクロマンサー「…だから何です?弱いから捕食される。それだけの事」

召喚士「貴様という奴は…っ」

名代「召喚士殿、落ち着くのだ」

召喚士「……っ」

ネクロマンサー「クククッ、冷静ですねぇ。この娘…お知り合いのようですが」

ヒミコ「…うふふふっ」

名代「……」
116 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:11:00.79 ID:E5lNbkko
ネクロマンサー「この娘を食わせて残り三つ。十分と思いましたが……」

フワッ

ネクロマンサー「計算外でしたね。ここまでやるとは……」

鬼丸「ざまぁみやがれってんだ!」

ネクロマンサー「二つの首を失い、残り六つ……」

ヒミコ「御労しや……」

ネクロマンサー「ですが、まだチャンスは我々にあるようですねぇ」

召喚士「……?」

ネクロマンサー「まさか三つも揃うとは……私は運がいい」

名代「何を…企んでいる…っ!」

召喚士「何かまずい…!魔道士さん、後ろに下がって下さい!!」

魔道士「は、はいっ!」

召喚士「盗賊さんも!!後方へ!!」

土忍「姫……指示に従うべきかと」

盗賊「……ああ」
117 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:11:30.47 ID:E5lNbkko
ヒュオッ…スタッ

召喚士「……三つ?」

魔道士「……?」

召喚士「三つ…って……何だ……?」

名代(確かにおかしい……。何が三つなのだ!?)

召喚士と名代は周囲を見渡し、一つのある仮定を導き出した。

召喚士「……ま……さか…っ」

名代「以外に…考えられん!!」

ダッ!!

ネクロマンサー「此方が喰らうか、貴様等が打ち倒すか…最後の勝負だ!」

ヒミコ「ヤマタノオロチ様の邪魔はさせぬっ!」

召喚士「戦士、鬼丸!上様を守れーっ!!」

名代「魔道士殿と盗賊殿は最後尾まで退かれよ!!」

魔道士「は、はいっ!」

盗賊「…行くぞ、魔道士」
118 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:12:01.07 ID:E5lNbkko
土忍「動ける者は前へ出よ!壁になるぞ!」

雷忍「…カカッ、あいよ」

風忍「……これより先、進ませぬ!」

ドズウウゥゥン!!

召喚士「!?」

ズゴゴゴゴゴッ

戦士「な…んだっ!?」

ネクロマンサー「クハハハハ!ヤマタノオロチの本領を見せてくれるわ」

泉の中よりゆっくりと浮上するヤマタノオロチ。

切断された二本の首を除く六つの首が、巨大な口を開き雄叫びを上げる。

それらは全てが分離した存在ではなく、さらに下より現れる、

一つのとてつもなく大きな体から伸びている。

ベキベキベキィ!!…ズガアアァァッ!!

風忍「泉が……割れて…っ」

帝「まさか……これが本体なのか!?」
119 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:12:31.84 ID:E5lNbkko
土忍「一匹の…巨大な妖怪であったのか!」

召喚士「名代さんが先程言っていた意味、分かりました…」

名代「……そう。『八つ岐を持った大蛇』がこれです」

鬼丸「すっげぇなぁ…!こんなん相手にしてたのか」

戦士「初見か!?」

鬼丸「ああ。初めて見るぜ!」

戦士「……こりゃ超大型のドラゴンってとこだな」

ネクロマンサー「さぁ、見せてみよ!その力の全てを…っ!」

ヤマタノオロチ「ウ…オオオオォォォォンッ!!」

二つ一組に縦列した巨大な首が、鞭のように大きくしなる。

風忍「来るぞぉ!!」

名代「毘沙門天っ!!」

召喚士「スフィンクス!!」

しなる首は中央に固まる一同めがけ、一斉に弾き出され、襲いかかる。

ブンッ!!…グオオォォッ!!
120 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:13:00.99 ID:E5lNbkko
毘沙門天「……」

スフンンクス「てやーっ!!」

バゴオオォォッ!!

名代「なに…っ!?」

召喚士「――っ!!」

ボシュウウゥゥンッ!!

スフィンクス「うわぁーっ!!」

バシュッ!!…シュイイィィン

戦士「一撃……だとぉ!?」

突進する三つの首により、一撃で消失する毘沙門天とスフィンクス。

召喚士「がふ…っ!!」

ガクンッ

魔道士「召喚士さんっ!!」

帝「まだ止まってはおらぬぞ!」

戦士「召喚士を退げろぉ!」
121 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:13:30.73 ID:E5lNbkko
ダッ!!

土忍「…土遁、磐石!!」

素早く印を結び地面に両手を置く土忍。

ドドオオォォンッ!!…ボゴゴゴゴッ!!

それにより何重にも織り成す土壁が地中より一気にせり上がる。

ヤマタノオロチ「ウオオォォォォンッ!!」

バゴゴゴゴッ!!…ズッガアアァァンッ!!

女剣士「な…何重もある壁を……一撃で…っ!?」

土忍「がは…っ!!」

ゴシャアァ!!

盗賊「土っ!!」

風忍「姫!お退がり下され!!」

ザザッ

戦士「させっかよぉ!!」

鬼丸「ぬおぉ!!」
122 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:14:00.90 ID:E5lNbkko
ガシイィッ!!…ズズズズズッ

戦士「圧され……」

バッ!!

女剣士「はぁっ!!」

風忍「風遁…旋風!!」

ガシィッ!!

鬼丸「四人…がかりでぇ……」

戦士「止まら…ねぇのかよ…っ」

ゴッシャアアァァッ!!…ガラガラガラッ…ドドォ…

召喚士「…う……っ」

戦士「ぐ……く…っ」

名代「馬…鹿な……っ」

ヤマタノオロチ「ウオオォォンッ!!」

ヒミコ「ヤマタノオロチ様…っ、暴走している…!?」
123 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:14:31.05 ID:E5lNbkko
ズガガガガッ!!

魔道士「やあぁっ!!」

ドドオオォォンンッ!!…ボッゴオオォォッ!!

盗賊「はぁっ!!」

ジャラララッ…ギュオッ!!

ヒミコ「そのような粗末な壁と鎖でぇ!」

バゴオオォォンッ!!

魔道士「きゃあぁーっ!」

盗賊「くっ…やはり駄目か…っ」

ガギギイイィィンッ!!

盗賊「!?」

魔道士「止ま……った…?」

ヒミコ「何…っ!?」

ヤマタノオロチ「ウオオォォ…ッ」

帝「…ふーっ、ふーっ」
124 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:15:00.89 ID:E5lNbkko
次々と打ち破られた包囲網。その殿である帝の十束剣が、

最後の最後でようやくヤマタノオロチを食い止める。

帝「……ぬ…うぅ」

ギチチッ…ギリギリギリッ

雷忍「上……様っ!」

ヒミコ「一つならいざ知らず、三つも同時に止められるものか」

帝「…く…ぅっ!」

バチイィンッ!!

ヒミコ「弾いた!?」

帝「…まだ…まだだっ!」

魔道士「そ、そうです!」

盗賊「……」

チャキッ

ヒミコ「……っ!」

帝「さぁ、来るなら来……」
125 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:15:31.12 ID:E5lNbkko
ヒュンッ

ネクロマンサー「ご苦労様です」

帝「!?」

盗賊「後ろ…っ!」

ヒュンッ!!…パシィ

盗賊「!?」

ネクロマンサー「その鎖ももう…見飽きました」

盗賊の放つ鎖を素手で掴み、ネクロマンサーは言葉を更に続ける。

ネクロマンサー「うまく貴方達、三人が残りましたね…ククッ!」

水忍「ど…ういう、事だ……っ」

ネクロマンサー「見えますか?」

名代「……!?」

ネクロマンサー「弾いた三つの首の背後に潜む…影が」

召喚士「駄…目だ、あの三つを…近づけては……」

ネクロマンサー「ここに揃いし三人の生娘。それらを頂く!」
126 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:16:00.76 ID:E5lNbkko
戦士「な……に…!?」

名代「帝…は女子だ…っ、誰か動ける者は……」

ヒュンッ…ギュルギュルギュルッ

盗賊「あう…っ!」

魔道士「んく…ぅ!!」

帝「く…うぅ!!」

ネクロマンサーの体より伸びる触手が、三人を縛り付ける。

グググッ…

更にはそれを上空へと押し上げ、ヤマタノオロチの前へと近づける。

ネクロマンサー「さぁ、献上しようではないか。生娘…三人を!!」

火忍「や……めろぉ…!」

召喚士「コ…カト……リス…!」

グググッ

ヤマタノオロチ「…ウ…オオォォォォンッ!」

ネクロマンサー「クククッ…クックック!クハハハハッ!!」
127 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:16:31.54 ID:E5lNbkko
ガラッ

風忍「…う…ぐっ」

ガシッ

風忍「…?」

雷忍「…秘奥義、いくぞ」

風忍「…!?」

雷忍「動けるのは私と風、お前だけだ」

風忍「ば、馬鹿を言え!相反する二行で…放てるものか…っ」

雷忍「かかっ、一発程度…大丈夫だろうよ」

風忍「ただでさえ手負いのお前だ、下手をすれば……」

雷忍「御託はいいさ。もう切り札はそれしか残ってないだろ?」

風忍「……」

雷忍「……私な、若様に託されたのだ」

風忍「雷…?」

雷忍「守らなければならんのさ。どちらもな」

風忍「……よ、よかろう」
128 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:17:01.01 ID:E5lNbkko
ググッ

雷忍「一気に仕掛ける」

風忍「……死ぬなよ」

雷忍「…カカッ!保証は出来ないさ」

ザッ

戦士「ち…くしょぉ……」

グイッ…ガシッ

戦士「…!?」

火忍「……」

戦士「サ、サンキュ……」

火忍「お前、姫様に惚れてんだろ?」

戦士「…!?」

火忍「姫を助けて…抱き抱えた方が勝ちだ」

戦士「こんな時に何言って……」

火忍「こんな時だから言えるんだよっ!」
129 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:17:30.79 ID:E5lNbkko
戦士「……っ」

火忍「惚れてんだろ!?」

戦士「……ああ。惚れてるよ」

火忍「…正直じゃねぇか。嫌いじゃねーぜ、そういう態度」

戦士「……盗賊は…俺が助ける!」

グググッ…ヨロッ

名代「召喚士殿……っ」

召喚士「名代さん…」

名代「手は…ありますか?」

召喚士「……正直、ありません」

名代「…左様か。私も…残るは札一枚」

召喚士「それは…?」

名代「ご存知の通り、戦闘には役立たぬ式神ですよ」

召喚士「……」

名代「しかし、うまくいけば囮程度にはなれるやもしれぬ…」
130 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:18:02.99 ID:E5lNbkko
召喚士「!?」

名代「刻を狙い…最後の力を振り絞って下され」

召喚士「名代…さん…っ!?」

ヨロッ…フラフラフラッ

召喚士「名代さん!!」

グググッ…

魔道士「う…あ……っ」

盗賊「…あ…ぐっ!!」

ギチギチッ

帝「……っ!」

ネクロマンサー「…ん?……な、何だ…っ!?」

ヒミコ「正面ですっ!!」

ゴゴゴゴゴゴッ

風忍「風遁……秘奥義」

雷忍「雷遁、秘奥義…」
131 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:18:30.82 ID:E5lNbkko
ババッ!!

風忍「疾風……」

雷忍「……迅雷!!」

スギュウウゥゥンッ!!…バシュンッ!!

雷忍「が……ああぁぁ!!」

火忍「雷…っ!?」

風忍「や、やはり負担が……」

雷忍の身体に巻きつく竜巻と雷光。

土忍「雷……やめろ、やめるんだ…!」

それらは全てが足元へと集約し、一気に解き放たれる。

チッ!!

名代「消…えた……!?」

女剣士「い…いや…っ、上だ!」

ネクロマンサー「なっ!?」

慌てて頭上を見上げるネクロマンサー。しかし雷忍の姿は既になく、

尾を引いた稲妻が己の足元へと伸びている。
132 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:19:01.78 ID:E5lNbkko
ネクロマンサー「――!!」

ボンッ!!

ネクロマンサー「…目で…追いきれぬ……とはっ」

腹部を貫かれたネクロマンサーはバランスを崩し、触手が粉末状となり散る。

ボフンッ

召喚士「魔道士さんっ!!」

戦士「盗賊ーっ!」

ダダッ!!…ガシィッ!!

落下する二人を受け止める召喚士と戦士。

土忍「上様…っ」

ガシィッ!!

鬼丸「…っとと、間に合った」

帝「…鬼丸」

ヨロッ…スタッ

帝「そ、そうだ!雷は……!?」
133 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:19:31.60 ID:E5lNbkko
鬼丸はただ無言のまま上空を指差す。

帝「っ!!」

ヒミコ「ネクロマンサー様!」

ネクロマンサー「私は良いっ!それよりも…まだ止まっておらぬ!」

ヒミコ「!?」

ボンッ!!

ヤマタノオロチ「ウオオォォンッ!!」

ブシュウゥゥ!!

雷忍「……まずは…一本」

胴より千切れ落ちゆく首より先に、雷忍が地へと着地する。

スタッ……ドズウウゥゥンッ

雷忍「がふ…あ…っ!!」

ガクンッ…フルフルフルッ

雷忍(今の一撃で……内臓が…カカ…ッ)

名代「これで残り…五本」
134 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:20:01.34 ID:E5lNbkko
ネクロマンサー「おのれ…おのれおのれええぇ!」

下半身を吹き飛ばされたネクロマンサーは逆上に任せ、

全ての触手を帝へ一心不乱に繰り出し放つ。

雷忍「上…様ああぁぁ!!」

名代「おのれぇ!!」

迫り来るネクロマンサーの触手めがけ、名代が最後の札を放つ。

ボシュウウゥゥンッ

座敷童「…おぉ、いきなりかぁ!」

ネクロマンサー「なにぃ!?」

触手は間に入った座敷童へと触れ、その身を貫かれた式神は、

身体を札と煙幕へと変え、その中より名代が姿を現す。

名代「囮くらいには…なったかな」

ヒミコ「…貴様ーっ!!」

召喚士「名代さん!!」

名代「今だ!構わず奴をっ!!」
135 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:20:31.47 ID:E5lNbkko
召喚士「……っ!」

名代「討つのだ召喚士殿!私に構わず…っ!!」

召喚士「…行けっ!コカトリス!!」

シュイイィィンッ

ネクロマンサー「しまっ――」

召喚士「うおおぉぉーっ!!」

ヒミコ「ネクロマンサー様ぁ!!」

ドドオオォォンンッ!!…ゴゴオオォォッ…

名代「……」

召喚士「…そ…んな……」

ネクロマンサー「……」

ヒミコ「…ネ…クロマ――」

ビキビキビキィ…ピシッ

ネクロマンサー「…く、ククッ、よくぞ盾になってくれました…っ」

召喚士「…巫女…さんが…っ」
136 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:21:07.12 ID:E5lNbkko
フラッ

コカトリス「召喚士!!」

魔道士「し、召喚士さん…っ!」

コカトリス「…これまで…か」

シュイイィンッ

帝「雷!!」

チッ!!

風忍「雷!!やめ……」

ボンッ!!

ヤマタノオロチ「…オオォォ!!」

ドッズウウゥゥンッ!!

雷忍「ごふ…っ!!がはぁ!!」

ネクロマンサー「馬鹿な…っ、ど…どこにそのような力が!?」

ボンッ!!

ヤマタノオロチ「オオォォォォンッ!!」
137 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:21:45.65 ID:E5lNbkko
ドッズウウゥゥンッ

土忍「残り……三本」

雷忍「……ごはぁ!!」

チュインッ!!…ビリビリビリィ!!…ゴシャアァッ!!

水忍「雷ぃ!!」

空中で光を失い落下する雷忍。その元へ水忍と土忍が駆け寄る。

土忍「……こ、これは…っ」

水忍「――っ」

雷忍「…か…まうな……あと、み……っつ」

帝「馬…鹿者ぉ…っ」

雷忍「うえ…さま……っ、ぶじで…よか…っ」

帝「…そこで…休んでおれ…っ」

名代「……巫女…っ」

鬼丸「旦那、号令しろ!」

名代「……あ、ああ」
138 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:22:12.11 ID:E5lNbkko
ザッ

名代「残る首は三つ!動ける者は手分けして当たれ!!」

戦士「…こんな手負いのドラゴンぐらい…簡単に葬ってやる」

火忍「…俺の炎を貸してやる。有難く使え」

戦士「…助かる!」

魔道士「召喚士さん!?」

召喚士「コカ…トリスを……」

グラァ…ガシッ

土忍「無理をするな。休め」

水忍「姫、我ら…残り僅かですがお使い下され」

盗賊「…ああ。頼む!」

ザッザッザ

鬼丸「……俺が盾になる。頼むぜ!」

帝「……っく……ひっ、ひぐっ」

鬼丸「…グハハ!そんなんじゃあ前が見えんだろ!」
139 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:22:39.33 ID:E5lNbkko
グイッ…ゴシゴシッ

帝「…す、すまぬ…っ」

鬼丸「雷の為にも、一発で決めてくれや」

帝「……」

名代「……頼むぞ!!皆ぁ!!」

ネクロマンサー「…ククッ」

戦士「でりゃああぁぁ!!」

火忍「火遁っ!!焔あぁ!!」

ドドオオォォンッ!!…ジャキッ

戦士「っりゃああぁぁーっ!」

ブオンッ!!……ザシュウウゥゥ!!

ネクロマンサー「今回は認めましょう……」

盗賊「…はあぁ!!」

ヤマタノオロチ「ウオオォォンッ!」

土忍「土遁…磐石!!」
140 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:23:15.49 ID:E5lNbkko
ドドオオォォンッ!!…ベキベキベキィ!!

土忍「…三枚程度でも…弱った貴様など…止めてみせる!!」

水忍「水遁…大津波っ!!」

盗賊「…よしっ!!」

ドドオオォォン!!

水忍「薄緑に付加した土と水……」

盗賊「……やああぁぁ!!」

土忍「これで…術も空っぽだ……」

ザシュウウゥゥッ!!……ドドオオォォンッ!!

名代「……残り…一つ!!」

ネクロマンサー「次は…こうはいきませんよ…!」

フオンッ

鬼丸「さぁ、最後の最後……決めてこいや!」

女剣士「上様には…近づけさせんっ!」

帝「……はあっ!!」
141 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:23:48.25 ID:E5lNbkko
ヤマタノオロチ「ウオオォォンッ!!」

女剣士「させるかぁ!!」

ガシィ!!…バキイィッ!!

女剣士「がは…っ!!」

鬼丸「まだまだぁ!!」

ヤマタノオロチ「ウオオォォ――」

鬼丸「でっりゃああぁぁ!!」

ガギギギギギッ!!

鬼丸「お前のお陰で…弱まったぜ…っ」

女剣士「……頼…む」

ドサッ

鬼丸「で…っりゃああぁぁ!!」

バチィッ!!

鬼丸「今だぁ!ブチかませぇ!!」

雷忍「う…え……さま…っ」
142 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/29(月) 19:24:57.85 ID:E5lNbkko
帝の手にした十束剣が、ヤマタノオロチの最後の首へと振り下ろされる。

帝「ああぁぁ!!」

十分に魔力を要したその刀身は、首を根元より圧し斬るように切断し、

今ここに、八本の首全てが胴体より斬り落とされた。

ザシュウウゥゥッ……ドッズウウゥゥンッ

雷忍「…み…ごと……っ」

スタッ

帝「…はぁ…はぁ……っ、ひぐ…っ」

フラッ

鬼丸「おっと、しっかりしろ!」

帝「…ひぐっ……うっ…うぅ…っ」

名代「終わ……った…」

魔道士「召喚士さん…見えますかっ!?た、倒しましたよ…っ!」

召喚士「…やった…のか…っ」

143 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/11/29(月) 19:27:46.45 ID:E5lNbkko
こんばんは。本日もご支援ありがとうございますですよー!
物量投下につき、いつも以上に誤字脱字あるかも…ご容赦を…

戦闘もスピード感出そうとはしょりすぎちゃったかな…?
色々と脳内補完にてお願い致します!

では帰宅致しますー!お疲れ様でしたー!!ノシ
144 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/29(月) 19:36:07.26 ID:UUmAP52o
誰だよ、戦士が主人公って言ってたやつ……どうみても雷忍だろ
145 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/11/29(月) 19:40:36.34 ID:c8j1YADO
いい加減ネクロマンサーは死ね
146 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/29(月) 19:54:01.12 ID:40suUEDO
ネクロマンサー「私が死ぬということはあなたの死を意味しますよ?」
147 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/29(月) 20:52:52.53 ID:MYpMLoYo
雷がかっこよすぎて画面が霞むんだが
148 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/29(月) 20:54:46.09 ID:.fdG46DO
>>1超乙
まさかこんなに投下してたなんて・・・
お疲れ様です!

雷忍よ、帝は俺に任せろ
149 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/29(月) 21:12:02.60 ID:dkwkJwDO
最後の方ネクロマンサー全員にスルーされて負け惜しみが独り言になってたな
150 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/29(月) 21:20:05.92 ID:h0J6cao0
>>1乙
雷忍漢すぎる
151 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/29(月) 21:58:13.85 ID:nmPliUDO
>>1乙!超乙!!
もう乙しか言えない。>>1
152 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/29(月) 22:51:41.80 ID:3tLxPsAO
いやあ、やっぱ面白いね>>1
153 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[saga sage]:2010/11/29(月) 23:59:44.21 ID:N.DcC.DO
画面が霞んで見えるんだけど、携帯壊れちまったのかな…

雷、お前はよくやった(´;ω;`)
154 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/30(火) 00:54:52.47 ID:x54CtAso
なぜ火でなく雷なんだ…クッ
>>1が素晴らしすぎて愛してやまない
155 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/30(火) 04:43:34.93 ID:EN7Jy0c0
1乙
雷忍…ロリコンとか言ってごめんね…
156 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/30(火) 08:30:05.37 ID:j2BgQ6AO
>>1

ロリコンさんはロリコンでもやる時はやるって事を証明してくれたんだ
ロリコン、フォーエバー
157 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 15:45:59.86 ID:eGMGTcko
――……

兄様「…大丈夫。お前なら出来るさ」

雷忍「……若…っ」

兄様「頼んだぞ、雷」

雷忍「本当に…行かれるのですか、若?」

兄様「お前も分かっているだろう?」

雷忍「……し、しかし…っ」

兄様「お前だからこそ、任せられるのだ」

雷忍「何度も言わせるな。お前なら出来る。自分を信じろ」

雷忍「……」

兄様「済まぬな」

雷忍「い、いえ…っ、私は……」

兄様「俺はお前を誇りに思う。そして…弟のように。勝手すぎるか…ははっ」

雷忍「わ……若…っ!」

兄様「んー?」
158 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 15:46:33.93 ID:eGMGTcko
雷忍「某は……孤児に御座いまする……」

兄様「…そうだな。それで藤蔵に来たわけだ」

雷忍「御館様に拾って頂きました」

兄様「うん。そうだ」

雷忍「で、ですから某は……」

兄様「父上は申しておったぞ?」

雷忍「……?」

兄様「お前を息子のように思うておる、と……」

雷忍「――!?」

兄様「だから俺とお前は兄弟。違うか?」

雷忍「わ……若っ」

兄様「だからお前に託すんだ」

雷忍「……み、身勝手すぎまする」

兄様「はははっ!……妹を、盗賊を守ってやってくれ。兄として」

雷忍「若……」
159 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 15:47:23.34 ID:eGMGTcko
兄様「それと、もう一つ」

雷忍「……?」

兄様「帝をお守りしてくれ」

雷忍「…み、帝を…でございますか!?」

兄様「お前にだけ話す。……帝は女子だ」

雷忍「――!!」

兄様「これがもし外に漏れるような事があらば、この国は戦乱と化す……」

雷忍「帝が……お、女子…っ」

兄様「信じ難いであろうが事実だ」

雷忍「……っ」

兄様「まだ赤子であらせられる上様が女子と分かればどうなる?」

雷忍「先の帝は没し……お世継ぎも他になく……」

兄様「そう。即ちお家が断絶と相成る。それに…他家の大名が黙ってはおらぬ」

雷忍「……成程」

兄様「この国を戦火に染めぬ為にも…上様を男子として守り立てねばならぬのだ」
160 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 15:48:01.41 ID:eGMGTcko
雷忍「……過酷な…道ですね」

兄様「…ああ、上様にはこの先辛い人生が待っておるかもしれぬ」

雷忍「……」

兄様「だからお前が、傍で身を守り……笑ってやれ」

雷忍「……笑うのは…苦手です」

兄様「笑ろうて暮らさねば、福は来ぬぞ?」

雷忍「……っ」

兄様「ほれ、笑ってみぃ?……わははははっ!!」

雷忍「…カ、カカッ…カカカッ」

兄様「面白い笑い方をするのう?わはははは!!」

雷忍「若……っ!」

兄様「ははっ、すまぬすまぬ」

雷忍「帝が女子と存じておるのは…?」

兄様「我らに父上……そして、老中の四名だ」

雷忍「……」
161 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 15:49:03.77 ID:eGMGTcko
兄様「但し、老中には十分気を付けよ」

雷忍「……?」

兄様「彼の者、上様を利用し将軍家を牛耳ろうと目論んでおるやもしれぬ」

雷忍「な、なんと…っ」

兄様「心してかかれ」

雷忍「何故、若様は私に託して…行かれてしまうのです!?」

兄様「表面ばかり綺麗に繕っても、土台がしっかりしておらねばすぐに崩れる」

雷忍「で、では……まさか影を……!?」

兄様「元は一つのお家。本家と分家の壁など必要ない。取り払ってくれる」

雷忍「……若」

兄様「既に父上へ依頼して、内通者として処遇して貰う手筈も済んだ」

雷忍「何故そこまで!?堂々と為されば宜しいでは……」

兄様「そう簡単にいかぬものなのだ、本家と分家の隔たりというものはな……」

雷忍「過酷…過ぎまする……」

兄様「上様の人生に比べれば…容易いものさ」
162 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 15:49:40.32 ID:eGMGTcko
雷忍「…せ、せめて姫には」

兄様「無駄な心配はかけたくない」

雷忍「若……」

兄様「盗賊はああ見えて、血気盛んなところがある…」

雷忍「……」

兄様「もし本当の事を申せば、必ず己も付いて行くと駄々をこねる」

雷忍「……」

兄様「そして振り切って往けば必ず一人で飛び出すに違いない」

雷忍「……否定は…出来ませぬ」

兄様「で、あろう?だから良いのだ」

雷忍「……っ」

兄様「いつかはきっと忘れるさ。それまでは兄代わりとして守ってくれ」

雷忍「…重い…ですね」

兄様「すまんな」

雷忍「……」
163 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 15:50:15.46 ID:eGMGTcko
兄様「さて、そろそろ冷えてきたな……おっ!」

雷忍「……」

兄様「見よ、二つ星だ。もう冬を迎えるのだなぁ……」

雷忍「道理で冷えるわけですね」

兄様「二つ星が…いつまでも輝くと良いなぁ」

雷忍「…私は雷忍に御座いまする」

兄様「……」

雷忍「空が曇ろうとも、その稲光でいつまでも輝かせてみせまする」

兄様「……」

雷忍「あの……二つ星のように」

兄様「…ああ。俺は影となり、その輝きを更に引き立てて見せるさ」

雷忍「…若、どうか……ご無事で!!」

兄様「お前もな。戻ったら…一献付き合え」

雷忍「…恐悦至極!」

兄様「はははっ!楽しみにいておるぞ!」
164 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 15:51:33.39 ID:eGMGTcko
……――

雷忍「……?」

帝「……ぃ!雷ぃ!!」

雷忍(……こ…こは……?)

風忍「雷っ!?気付いたかっ、しっかりせよ!」

雷忍(……ああ、そうか。そういえば…そうだったな)

召喚士「ど、どいて下さい…っ!」

名代「……」

召喚士「行けっ!シービショップ!!」

シュイイィィン…パアアァァ

召喚士「――!?」

シービショップ「…ダメじゃ。もはや手遅れよ」

魔道士「そんな……っ!」

召喚士「何言ってんだよ!?手遅れって…そんな事……」

ガシッ
165 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 15:53:06.13 ID:eGMGTcko
召喚士「……!?」

雷忍「いい……んだ……」

盗賊「か、雷……!」

雷忍「も、もう…良いのだ。良いのだよ……カカ…ッ」

火忍「いいって何だよおい!!ふざけんなよ!!」

土忍「……火」

火忍「いいわけねーだろがよぉ!!しっかり……」

土「火!!」

ビクッ

土忍「……黙るんだ」

火忍「……っ」

水忍「下半身は…風による切り傷と雷による火傷で…もう……」

風忍「両腕も…炭化が進んでいる…。こ、これでは……」

雷忍「……皆…無事な…ようだな……っ」

帝「雷…っ!雷ぃ!!」
166 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 15:53:42.39 ID:eGMGTcko
ガバッ

雷忍「…上様…か?」

帝「雷!しっかりせい!!」

雷忍「お顔が…拝見出来ず……まこと残念……」

女剣士「まさか…光を失って……っ」

雷忍「し、しかし…不思議なものよ。痛みは…無くなった……っ」

戦士「召喚士の治療で…痛みは消えたか…」

雷忍「…カカッ、ありがとうよ」

召喚士「……っ」

雷忍「……鬼丸…い、いるか…?」

鬼丸「…おう」

ザッザッザッ…ドスン

鬼丸「何だ、介錯か?」

雷忍「カカッ、気の早い…奴だ」

名代「鬼丸!!」
167 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 15:54:39.99 ID:eGMGTcko
鬼丸「…冗談だよ!」

名代「空気を読まぬか…馬鹿者…っ」

鬼丸「んで、何だ?」

雷忍「お主とも…不思議な縁よ」

鬼丸「だな」

雷忍「庄屋の一件じゃ……世話に…なったな」

鬼丸「なぁに、大した事ぁしとらんよ」

雷忍「同じ雷行の使い手として……う、上様を…頼むぞ」

鬼丸「…使い手ったって、使う得物もありゃしねぇよ」

雷忍「藤蔵の者に…指南を受けよ……」

鬼丸「……だとよ」

風忍「相分かった」

雷忍「……ひ、姫…っ」

盗賊「雷……っ」

タタッ…ガバッ
168 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 15:56:03.72 ID:eGMGTcko
盗賊「雷ぃ!何故、無茶をしたのだ!こ、この…たわけ…ぇ!!」

雷忍「カカッ……申し訳…ありませぬ……」

盗賊「…っく…っく……んっ」

雷忍「姫様……お泣きなさりまするな……」

盗賊「ひくっ……ひん…ひん……っ」

雷忍「……こ、これを……っ」

ゴソッ…グッ…ググッ…

盗賊「こ…っれ……」

雷忍「雷遁の……奥義書です……」

盗賊「……ひぐっ、すんすん…っ」

雷忍「今の姫…なら…ば、使いこなせまする……」

ブスブスブスッ…ボロッ

盗賊「――!!」

水忍「炭化が進んで……っ」

崩れゆく雷忍の右手よりこぼれ落ちた雷遁の奥義書。

それを盗賊は、決して地面へ落とさぬよう懸命に両手で受け取る。
169 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 15:57:13.93 ID:eGMGTcko
雷忍「…ご、ごふっ!……がは…っ」

盗賊「雷…っ、雷…!!」

雷忍「…上……様」

帝「…ここに…おるぞ」

雷忍「よか……った……」

魔道士「ひぐ…っ!う…っ、うぅっ」

帝「雷ぃ!傍に…私の傍におると申したではないかぁ!」

雷忍「…カ…カカッ、某…嘘つきに御座います故……」

帝「ば…馬鹿者ぉ!…ひぐっ!」

雷忍「姫……上様……」

盗賊「…うっ、うぐうぅ…っ」

雷忍「某……お二人を…ごほっ!い、妹のように思うておりました……」

盗賊「わ、私だって…雷を兄のように……っ」

帝「そ、そうだぞ…っ!」

雷忍「勝手ながら……妹のように……」
170 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 15:57:58.30 ID:eGMGTcko
風忍「もう良い!喋るな……!」

ガシッ

風忍「……?」

名代「言わせてやりましょう……もう…助かりませぬ」

火忍「馬鹿…やろ…っ」

水忍「……っ」

雷忍「なぁ……二つ星は……輝いておるか……?」

土忍「……」

雷忍「がはっ!!ごほごほ…っ……ごふっ」

召喚士「雷忍さんっ!!」

雷忍「二つ星は…………」

火忍「……ぐ…うぅっ!」

ザッ

火忍「風ぇ!!」

風忍「……何だ」
171 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 15:58:57.27 ID:eGMGTcko
火忍「お前との合体奥義なんぞ…役に立たねぇってさっき言った!!」

風忍「……火?」

火忍「訂正する!!今からやんぞ!!」

風忍「お前……」

雷忍「ごほっ!がふ……っ」

盗賊「雷っ!!しっかりせい!!」

帝「雷…ぃ、雷ぃ!!」

ザッ

戦士「……?」

火忍「火遁……秘奥義いぃ!!」

風忍「風遁…秘奥義……」

火忍「花鳥……」

風忍「……風月!!」

火忍と風忍による合体奥義『花鳥風月』。物理攻撃は一切なく、

ただ、風景と相手の脳裏に幻覚を浮かび上がらせる術である。
172 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 16:00:10.73 ID:eGMGTcko
名代「こ……れは…っ」

召喚士「け、景色が……!?」

魔道士「ひぐ…っ、き…綺麗ですぅ……ひぐっ」

浮かび上がる夜空の下には、木々が生い茂り、色とりどりの花々が咲き乱れる。

戦士「す…げ……」

土忍「……水」

水忍「…ああ。やるか」

ザッ

土忍「…土遁……秘奥義」

水忍「水遁、秘奥義」

ババッ

土忍「高山……」

水忍「……流水」

土忍と水忍による合体奥義『高山流水』。物理攻撃は一切なく、

ただ、周囲の者を幻聴にて惑わす術である。
173 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 16:00:59.24 ID:eGMGTcko
鬼丸「こりゃあ……」

女剣士「…川の…せせらぎ!?」

召喚士「野鳥や…虫の声も……っ」

名代「なんという……なんという美しい光景か…っ」

雷忍「……おぉ…あ…れは……」

水忍「見えるか雷、二つ星はしっかり輝いておるぞ」

帝「ひぐっ…ひっく…ひっく……」

盗賊「…う……うぐっ…ぐ…っ!」

ブスブスブス…

土忍「……かなり…炭化が進んでおります」

名代「…雷忍殿」

雷忍「……」

名代「……辞世の句を」

魔道士「――っ!!」

雷忍「そ…某は……忍。辞世の…句…など……」
174 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 16:02:15.54 ID:eGMGTcko
帝「そんな事はないっ!お主は…お主は立派な武士<もののふ>ぞ!」

雷忍「うえ……さま…ぁ…」

ボロッ…ブスブスッ…

盗賊「か、雷…っ!!」

雷忍「こ、心得も……ない……」

名代「そんなものは無用だ。お主の生きた証を述べれば良いのだ!」

雷忍「い…きた……証……」

帝「…う…うっ、ひっく…ひ……っく……」

雷忍「……ボソッ」

名代「……仕った」

雷忍「……若…ぁ」

ボフンッ…パラパラパラッ

女剣士「か、身体が…っ!?」

盗賊「雷!?雷いぃーっ!!」

雷忍「二つ星……守り…ましたぞ」
175 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 16:03:24.57 ID:eGMGTcko
パラパラパラッ…

火忍「馬っ鹿やろおおぉぉ!!」

パラパラッ…

召喚士「く…うぅ…っ!!」

パラッ…

盗賊「嫌だっ!嫌だよ!雷…っ!雷いぃーっ!!」」

雷忍「……カカ…ッ――」

帝「雷いいぃぃーっ!!」



鬼丸「灰に…なっちまったなぁ…」

魔道士「ひぐぅ…!うっ!うぅーっ!!」

フワッ

召喚士「……?」

戦士「灰が……舞い上がって……」

水忍「……光っている…っ!」
176 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 16:05:20.13 ID:eGMGTcko
灰と化した雷忍の身体。それは体内に蓄積した雷と風により発光と浮遊を繰り返す。

土忍「…まるで…蛍のような」

名代「…蛍ですね」

盗賊「う…あぁ…!ひぐっ、う……うぅ…!!」

名代「雷忍殿は、蛍なのですよ……」

帝「雷ぃ…っ、私は……私は…ぁ……!」

名代「二つ星の下でひっそりと輝く、儚い蛍だったのですよ」

風忍「……任務、ご苦労であった」

火忍「……う…ああぁぁー!!」

名代「……」

名代は筆と髪を手に取り、句を記す。

ススッ

名代「…雷忍殿の…辞世の句です」

盗賊「雷は…っ、私の……藤蔵の誇りだ…!!」

帝「あぐ…っ、あ…りがとっ……雷ぃ……っ」
177 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 16:06:19.30 ID:eGMGTcko


雷忍「……ん…っ」

――「おー、やっと起きたか」

雷忍「……わ、若!?」

兄様「全く、お前はいつまで寝ておるのだ」

雷忍「あ…っ、す…すみませぬ」

兄様「全うしたな」

雷忍「…ええ、全う致しました」

兄様「お前には、色々と苦労かけたな……」

雷忍「…カカッ、何を仰いますか!」

兄様「さぁ、約束どおり…一献傾けようではないか」

雷忍「…ははっ。有難き幸せ!」

兄様「二つ星を眺めながら、夜空の下での晩酌も乙なものよ。はははっ!」

雷忍「全くで御座いまするな!カカカカカッ!」

178 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 16:07:17.50 ID:eGMGTcko


――雪空に 雷鳴止みて 輝くは 東の空の 二つ星かな


東方、最北の洞窟最深部にて……雷忍逝く。

                          享年二十九――
179 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/30(火) 17:08:54.09 ID:C0Cxb46P
うあああああああああああああ!!!
180 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/30(火) 17:13:53.69 ID:Qoqp6BY0
くそっ…電車の中で雨が降るなんて聞いたことねぇよ…
>>1の書き方は上手いなぁ、イメージしやすいから感情移入が簡単に出来る。
181 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 18:01:30.91 ID:eGMGTcko
パアアァァンッ

女剣士「景色が…戻った…」

ドサッ

火忍「……もう…空っぽだ。何もかも…っ」

土忍「……」

ザッザッザ…ススッ

鬼丸「…何してんだ?」

名代「雷忍殿の身体であったものだ。持ち帰る」

サッサッサッ

鬼丸「…どれ、手伝うか」

名代「……」

風忍「姫様…立てますか…?」

盗賊「…うぅっ、ひぐぅ……」

水忍「上様も……」

帝「……うっ、ぐぅっ……うぅ」
182 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 18:02:28.45 ID:eGMGTcko
ザッザッザ

戦士「……」

召喚士「……」

戦士「あのヤローは…逃げたか?」

召喚士「……うん」

戦士「……そうか」

召喚士「……」

魔道士「ひぐっ…ひぐぅ…うぅーっ」

スッ…テクテクテク

召喚士「魔道士さん…」

魔道士「召喚士さぁん……うぅ−っ!」

ガバッ

魔道士「ら…雷忍さんが…っ!うぐぅーっ!」

戦士「……」

召喚士「……」
183 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 18:04:13.32 ID:eGMGTcko


風忍「準備は良いか?」

水忍「ああ」

土忍「…こちらも大丈夫だ」

名代「それでは、行きましょう」

戦士「盗賊、行くぞ」

盗賊「……」

魔道士「盗賊さん。荷物…持ちます」

盗賊「魔道士……」

魔道士「手も……」

盗賊「…ありがと」

ギュウゥ

召喚士「……名代さん?」

名代「上様、行きまするぞ」

帝「…………」
184 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 18:04:55.23 ID:eGMGTcko
ザッザッザ

名代「…上様」

帝「名代……私は……」

スッ

帝「……?」

名代「辞世の句に、雷忍殿を包みました」

名代は掻き集めた灰を封した紙包みを帝へ手渡す。

名代「お持ち下され」

帝「……っ」

名代「これでもう二度と、雷忍殿は上様のお傍を離れませぬ」

帝「……うん…うんっ」

名代「さぁ、行きましょう」

鬼丸「おぶって行ってやろうか?」

帝「…及ばぬ」

鬼丸「んじゃ掴まれ。怪我でもされたらアイツに怒られちまう」
185 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 18:05:38.32 ID:eGMGTcko


テクテクテクテク

戦士「こんな…長かったっけか…」

召喚士「……」

戦士「行きは無我夢中で、必死で進んでたもんな」

帝「……」

鬼丸「…なぁ」

帝「……」

鬼丸「自分のせいで死んだ、なんて思うなよ」

帝「……」

鬼丸「上様がいなきゃあ、みんな死んでた」

帝「……」

鬼丸「それによ、アイツの選んだ道だ。笑ってやれ」

帝「…今は……整理が付かぬ」

鬼丸「それでいいさ。受け入れられるだけ十分よ」
186 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 18:06:22.23 ID:eGMGTcko
重い足取りの中、一同はようやく洞窟の外へと抜ける。

ザッザッザ

女剣士「……着いた」

土忍「…もうすっかり…日が昇っておるな」

テクテクテク…ザッ

風忍「戻ったぞ…大地に」

水忍「終わったのだな。ようやく……」

火忍「……ああ」

ドズウウゥゥンッ!!

召喚士「!!」

戦士「な…何だ!?」

ボコボコボコッ!!…ズウウゥゥンッ

大蛇「…キシャアアァァ!!」

名代「大蛇っ!?」

女剣士「こ、コイツら…まだいたのか!」
187 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 18:07:07.02 ID:eGMGTcko
ザッ

鬼丸「退がってろ」

帝「……っ」

戦士「召喚士、魔道士、盗賊!いけるか!?」

召喚士「…召喚は…無理だ」

戦士「ちっくしょお…っ!」

盗賊「これまでか……」

バシュシュシュンッ!!…ドスドスドスッ!!

魔道士「!?」

名代「こ…れは……!!」

ドドドドドドッ…

城主「かかれーっ!上様をお守りするのだあぁ!!」

足軽頭「突撃ーっ!!」

足軽「おおぉぉ!!」

帝「……や、奴等…っ」
188 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 18:07:44.20 ID:eGMGTcko
ヒュンッ!!…ズバシュッ!!

戦士「隊長!!」

隊長「…ふーっ」

チャキッ

隊長「……やったんだろうな、ヤマタノオロチ」

戦士「…ああ」

西方参謀「ご苦労!後は俺らに任せておけ!」

ドドオオォォンッ!!…ゴアオオォォッ!!

大蛇「ギアアァァーッ!!」

隊長「ふんっ!!」

ザシュッ!!…ドシャアアァァ

隊長「早く退がれ!!」

魔道士「あ、ありがとうございます…っ!」

城主「名代様、上様を後方へ!!」

名代「かたじけない!」
189 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 18:08:16.95 ID:eGMGTcko
キィンキィン…チュインッ…バシュシュシュッ!!

大蛇「…ギ…ガアアァァ…ッ!」

ドシャアァァ

足軽「立てますか!?」

火忍「す、すまぬ…っ」

弓隊「威嚇射撃…射てぇ!!」

足軽「今のうちです!!さぁ!!」

風忍「行くぞ…っ!」

タタタッ!!

火忍「…死ぬなよ」

足軽「…有難き御言葉っ!!」

タッタッタッタッタ

足軽頭「先程の妖怪に比べれば屁でもない!押し切るぞ!!」

足軽「おぉーっ!!」

城主「数は圧倒しておる!恐れるな、当たれ当たれぃ!!」
190 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 18:09:10.87 ID:eGMGTcko
ヒュンヒュンヒュンッ

隊長「でえぇりゃああぁぁ!!」

ザシュウウゥゥッ!!

大蛇「グギャアアァァ!!」

西方参謀「トドメだ!」

ドドオオォォンッ!!…ゴウッ…メラメラメラッ

西方参謀「……殲滅…ヒック!」

隊長「オイシイとこ持っていきやがって…」

西方参謀「おやおや、こんな雑魚で満足かね?」

隊長「……けっ」

西方参謀「結局逃げられちまったか…」

隊長「まぁいいさ。当初の目的は果たしたようだしな」

チラッ

召喚士「」「……」

隊長「…に、しちゃあ顔色が暗いけどな」
191 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/11/30(火) 18:23:42.78 ID:eGMGTcko
>>157
× 雷忍「何度も言わせるな。お前なら出来る。自分を信じろ」
○ 兄様「何度も言わせるな。お前なら出来る。自分を信じろ」

前回ご指摘あったのに…分かってたのに…
そのままコピペしちゃった…うわああぁぁん!

大事なシーンが出だしから台無しでした。こんばんは…
本日もご支援ありがとうございました…では失礼致します…
192 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/30(火) 18:31:52.39 ID:rVMUhsAO
やっと追いついた感動と雷忍のことで屋内なのに雨降ってら…

>>1乙です!
無理せず頑張ってください
193 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/11/30(火) 19:06:31.02 ID:j2BgQ6AO
>>1

今日は1日中俺のお腹が腹痛ゴロゴロの雷注意報だった。
とか言いたかったのに、切なすぎてそんな空気になれなかった…
シーユー!雷!
194 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/30(火) 20:02:22.62 ID:KCjzHKoo
>>191
それでこそ俺たちの>>1
195 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/11/30(火) 20:12:33.75 ID:03ADWQAO
鬼丸が華麗に死亡フラグを回避したな…
196 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 23:58:32.63 ID:IPYxmrgo
ドドッドドッドドッ…

足軽頭「全て片付けたぞ!我らの勝利だ!!」

足軽「うおおぉぉ!!」

ザッザッザッザッザ

城主「上様!ご無事で!!」

鬼丸「ご無事よ!……なぁ?」

帝「……」

城主「ならば、勝ち鬨を!!」

帝「勝ち鬨……私が……」

城主「はい。お願い致しまする」

帝「……」

名代「どうなさいました、上様?」

帝「……私は」

名代「勝ち鬨を上げなて下され。散っていった者達の為にも」

帝「……」
197 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 23:59:03.38 ID:IPYxmrgo
ザッ

弓隊「お、おい…っ!あの高台を見ろ!!」

足軽「上様だ!上様が勝ち鬨を上げられるぞ!」

帝「……」

名代「皆様ご一緒に……」

隊長「いや、俺らは部外者です。ここで結構ですよ」

西方参謀「それに、ああいうのは性に合わねぇや。なぁ?」

戦士「ああ」

召喚士「……」

名代「…畏まりました。鬼丸、行くぞ」

鬼丸「俺か?」

名代「上様の脇に控えておれ。託されたのであろう?」

鬼丸「…へいへい。早速の任務ってやつですかい」

名代「では上様、其方の皆が見渡せる位置へ」

帝「…う、うむ」
198 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/11/30(火) 23:59:29.81 ID:IPYxmrgo
ザッザッザ

足軽頭「……おぉ」

ザワザワザワ

帝「……っ」

足元に広がる、役二千の傷付いた兵達。帝はぐるりと見渡し俯く。

帝(私は……)

足軽「上様じゃ!上様ぁ!!」

弓隊「上様のお顔をこんな間近で拝見出来るとは…命を張った甲斐があったわ」

足軽頭「静かにせぬか!上様のお声が聞こえぬであろうっ!」

帝「皆……」

西方参謀「さぁさぁ上様!お待ちかねですぞぉ……ヒック」

盗賊「……」

魔道士「上様……」

戦士「ビシっと決めてくれよ!」

召喚士「……さぁ、勝ち鬨を!」
199 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/01(水) 00:00:01.05 ID:ns1DM8Ao
グッ

帝「……っ」

両拳を力強く握ると、帝は俯いた顔を上げ声を発する。

帝「此度の戦は…東方の将来を左右する大切なものであった」

風忍「……」

帝「邪なる妖は今後も我々の東方を脅かすであろう」

水忍「……」

帝「だが、私は…いや、余は信じておる」

土忍「……」

帝「東方にはそなた等のような、勇敢で勇猛で…そして……」

火忍「……」

帝「互いに命を預けられる、頼もしい武士<もののふ>がいる!」

女剣士「……」

帝「何度、侵略者が来ようとも……打ち払えると!!」

名代「…上様…っ」
200 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/01(水) 00:00:43.04 ID:ns1DM8Ao
ウオオォォォォ!!

帝「我々は……勝った」

鬼丸「……」

帝「誰の手柄でもない……全員の手柄である!」

隊長「……」

帝「ヤマタノオロチは打ち倒した!!」

西方参謀「……」

帝「今後は守るだけではない!我らが攻める刻である!!」

戦士「……」

帝「自らの手で……妖怪共を追いやろうではないか!」

魔道士「……っ」

帝「……ひとまずは胸を張り、都へ凱旋しようではないか!!」

召喚士「……」

帝「勝ち鬨を上げよっ!!」

叫びにも似た号令と共に、帝は天へ十束剣を突き上げる。
201 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/01(水) 00:01:24.07 ID:ns1DM8Ao
チャキッ

城主「えいえいおーっ!!」

足軽頭「えいえいおおぉぉーっ!!」

魔道士「えいえいおー!えへへっ!!」

召喚士「…は、ははっ!あははっ!!」

足軽「お、おいっ!!あれを見ろ!!」

弓隊「な……なんと…!!」

召喚士「く…雲が……広がって……」

盗賊「晴れた……」

火忍「あんなに…雪も降ってたのによ…っ」

吹雪が止み、割れる雲の隙間より、太陽が顔を出す。

足軽「…天が…照らされたぁ!う、上様のお力じゃあ!!」

水忍「天照とは……」

風忍「…こ、これは…っ」

名代「……出来すぎですね、ふふっ」
202 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/01(水) 00:03:45.58 ID:ns1DM8Ao
帝「こ、これはただの偶然だぞ…っ」

弓隊「天照の命……天照命だ!!」

足軽「天照帝!!」

ワアアァァッ

帝「こ、これ……っ」

名代「あやかっておきましょう。皆の士気も上がりまする」

帝「しかしだな…っ」

土忍「こういう時は改名するのが宜しいかと」

帝「改名……刀をか?」

土忍は黙って力強く頷く。

帝「……う、うぅむ」

名代「天叢雲剣<あまのむらくものつるぎ>」

帝「……?」

名代「あ、いえ…っ。何となく思い付いたもので……」

帝「天叢雲剣か…悪くないな、うん。そう改名すると致そう」
203 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/01(水) 00:25:15.51 ID:ns1DM8Ao
ザザッ

足軽頭「各隊、整列致しました」

城主「うむ」

名代「それでは、これより帰還致す」

帝「皆の者、本当にご苦労であった」

城主「北の城へ向けて……進発!」

ザッザッザッザッザ

隊長「……」

西方参謀「どうした?奴を取り逃がしたのが心残りか?」

隊長「…いや、いいさ。この者達ならきっと倒してくれるよ」

戦士「…終わったな」

盗賊「…ああ。終わった」

魔道士「本当に…私達本当に倒したんですね……」

召喚士「……ええ。さぁ、帰りましょう」

本国時間にて12時45分。ヤマタノオロチ討伐戦の終了を迎えた。
204 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/01(水) 00:39:49.32 ID:Shf7AO2o

電車で泣いた
隣困ってたw
205 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/01(水) 00:41:44.14 ID:ns1DM8Ao
〜オマケ〜

帝「我々は一人の英雄を失った。これは敗北を意味するのか?否!始まりなのだ!」

…略

帝「私の弟(みたいな存在)、諸君らが愛してくれた雷忍は死んだ、何故だ!」

ネクロマンサー「坊やだからさ」

〜オマケ2〜

ネクロマンサー「見せて貰おうか、コカトリスの力とやらを!」

雷忍「疾風迅雷いいぃぃ!」

ネクロマンサー「えぇい!東方の人間はバケモノか!」

〜オマケ3〜

ネクロマンサー「ぜ、全滅?8本のヤマタノオロチの首が?3分もたたずにか…!?」

ドカーン

ネクロマンサー「認めたくないものだな…。自分自身のの若さゆえのあやまちというものは」



ネクロマンサー「一人…違うキャラが混じっているようだが……?」
206 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[saga sage]:2010/12/01(水) 00:50:08.93 ID:c6E.TgDO
うおっ!
>>1深夜更新乙!

今回のおまけはシャアか?

帝「帝が女の名前で何が悪いっ」
207 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/01(水) 01:08:28.33 ID:Shf7AO2o
>>206
ネクロマンシャア「今の私はネクロマンサーだ、それ以上でもそれ以下でもない。」
208 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/01(水) 01:51:53.64 ID:gJG5.j60
>>207
名前で不覚にも
209 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/01(水) 02:26:26.43 ID:28Ej6fQo
いちおつ
やはり>>1は抱かれたい男No.1
210 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/01(水) 03:03:04.87 ID:AYpHpcAO
ネクロマンサーの存在感がデカすぎて、魔王がミルドラースのようだ
211 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/01(水) 08:34:30.76 ID:jMbLH2AO
>>1

これで竜脈からのエネルギー供給もいよいよなくなるのか…
魔物達にはどの位の影響があるのだろう

マグネループみたく、あっても気づかないけど、無いと違和感。みたいな感じになるんかな
212 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/01(水) 09:58:02.13 ID:ZUhqcwDO
>>207くっそwwwwww

>>1乙乙!
213 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/01(水) 13:10:03.39 ID:C/sv0Ek0
シャア→百式→金ピカ→ドクロ→黄金バット

214 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/01(水) 13:49:08.07 ID:lDSBLhg0
1乙
帝が女の子ってわかってから、何をしてもかわいく思えてきた
なんでだろ?
215 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/01(水) 14:00:41.83 ID:TNEmsl6o
お前らが単純って事さ

泣いた乙
216 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/01(水) 17:19:42.03 ID:2.6hNSkP
そうか王子と同い年か・・・・

そうか
217 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/01(水) 17:25:04.98 ID:uXRLyY6o
ザッ

盗賊「行くのか…?」

風忍「ええ。報告せねばなりませぬ故…藤蔵へ戻りまする」

盗賊「そうか……」

水忍「明日、藤蔵へお越し下され」

土忍「…お仲間も連れて」

盗賊「明日?」

火忍「お待ち致しておりまする」

盗賊「……分かった。伺おう」

風忍「では、失礼致します」

シュバッ!!…タタタタタッ…

盗賊「……」

戦士「盗賊ー行くぞー!」

盗賊「あ、うん…っ」

タッタッタッタッタ…
218 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/01(水) 17:25:42.25 ID:uXRLyY6o


名代「上様は…お眠りになられたか」

鬼丸「あぁ。疲れたんだろうな」

己の背中ですやすやと眠る帝を、鬼丸は肩越しに覗き込む。

名代「このお年であれだけ過酷な戦いを通したのだものな……」

鬼丸「大したモンだよ…グハハ!」

名代「初陣と言っても過言ではない此度…。辛いものになってしまわれた」

鬼丸「まぁ…大丈夫だろ」

名代「…?」

鬼丸「旦那だってよ、これで終わりじゃねーだろ?」

名代「勿論だ。此度は己の無力さを痛感した……」

鬼丸「……」

名代「都に戻り…その後、改めて修験の旅に出る」

鬼丸「その間、上様は任しときな」

名代「…頼むぞ」
219 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/01(水) 17:26:24.98 ID:uXRLyY6o
北の城より出発した時とは打って変わり、帰路は晴天に恵まれ兵の足取りも軽い。

それは先の、帝が勝ち鬨を上げた際の行為において、

彼ら東方の兵に対する神格化を促すに、十分なものとなった。

たんなる偶然なのか、はたまた帝の力によるものなのか。それは誰も知らない。

本国時間、15時50分過ぎ。将兵らは北の城へと入城した。
220 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/01(水) 17:27:12.34 ID:uXRLyY6o
〜北の城〜

城兵「上様の凱旋なるぞ!!開門、開門ーっ!!」

ゴゴンッ…ギギギギイイィィ

開門と同時に先頭に位置する騎馬隊がゆっくりと馬を進める。

東方兵「よくやった!!ご苦労!!」

城兵「我らの勝利じゃあ!」

ワアアァァ

湧き上がる歓声を受け、次々と入城する兵達。その中腹に位置する

帝ら召喚士達の一行も、北の城へと足を踏み入れた。

戦士「着いた……」

召喚士「お疲れ様」

魔道士「上様は大丈夫ですか…?」

鬼丸「ん?ああ……そろそろ起こさないとな」

ユサユサッ

帝「……ん…っ」
221 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/01(水) 17:27:58.80 ID:uXRLyY6o
ワアアァァァァッ!!

帝「こ……れは…っ!?」

名代「北の城へ…帰って来ましたぞ」

女剣士「……ああ」

帝「……」

足軽「上様ーっ!上様ーっ!!」

城兵「おぉ!上様がお戻りになられたぞー!!」

鬼丸「ほれっ、手でも振ってやれよ!」

帝「お、おい…っ!」

グイッ

鬼丸「グハハ!いい眺めだろう?」

帝「……全く」

足軽「上様ー!」

帝「……ふふっ」

鬼丸に担がれ肩に座る帝は、出迎える兵達に笑顔で手を振った。
222 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/01(水) 17:29:09.57 ID:uXRLyY6o


ザッ

城の本丸に集う一同。上座の名代がゆっくりと口を開く。

名代「では、此度の戦いを報告致しまする」

帝「…うむ」

城主「本隊ですが、妖怪『夜行』の襲撃により150名程が討死……」

ザワッ

城主「これでも被害は少ないかと存じます」

帝「……」

城主「隊長殿、西方参謀殿が懸命に戦ってくれました故……」

帝「……恩に着るぞ」

名代「夜行については討ち取った報告が御座いませぬ」

隊長「ええ。取り逃がしました……申し訳ない」

名代「いえいえ、お気になさらず。退かせただけでも大手柄です」

隊長「……っ」
223 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/01(水) 17:30:22.90 ID:uXRLyY6o
西方参謀「ヤマタノオロチ復活の報告と同時に後退しましたが……」

召喚士「……」

西方参謀「宙を舞い、悪天候も重なり見失いました」

帝「止むを得ぬだろう。ご苦労であった」

西方参謀「…はっ」

隊長「おそらくは北に逃げました」

名代「北……。魔王の元か」

召喚士「俺もそう思います」

帝「今後、再び相見えるであろうな」

名代「ええ。来るべき日に備えを増やす必要が御座いまする」

女剣士「敵は思った以上に強大でした…っ」

帝「……だな」

名代「続きまして、ヤマタノオロチ討伐隊の報告です」

帝「……」

名代「参加なされた上様は無論ご存知ですが、討伐を達成致しました」
224 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/01(水) 17:31:27.23 ID:uXRLyY6o
ザワザワッ

名代「被害は…負傷者多数。一名討死……」

城主「まさか…藤蔵の五忍と謳われた程の者が…」

盗賊「……」

名代「彼が全てを担ってくれたのです」

隊長「……」

名代「雷忍殿の働きなくば…我らは全滅していたやもしれませぬ」

召喚士「…はい」

魔道士「……っ」

西方参謀「しかし、犠牲はあったもののヤマタノオロチは倒したのですな?」

名代「それは間違いありませぬ」

戦士「……」

隊長「龍脈については…?」

名代「これから調査してみぬ事には何とも……」

召喚士「……」
225 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/01(水) 17:32:50.23 ID:uXRLyY6o
名代「しかしながら、根底の部分は潰しました」

魔道士「ど、どうなるんです…っ?」

名代「今後、流れ出る力は蓄積分のみという事です」

戦士「蓄積分…?」

名代「力を新たに作り出す、即ちヤマタノオロチは消えました」

召喚士「ええ…」

名代「つまり今後新たに魔力が生産される事はない…」

西方参謀「なるほど。あとは備蓄分のみという事か…っ」

名代「推測に過ぎませぬが…固いと思います」

盗賊「…では、それがなくなれば」

戦士「魔物は力を使えないって事か?」

名代「場合によっては…存在自体すら消滅するかもしれません」

魔道士「そ、存在って……」

戦士「大勝利じゃねぇか!」

召喚士「……いや」
226 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/01(水) 17:34:17.52 ID:uXRLyY6o
盗賊「…?」

召喚士「確かに勝利には違いないけど…一概には……」

女剣士「…どういう事だ?」

隊長「蓄積量だろ?」

帝「蓄積量?」

名代「ええ。遥か昔より今まで、どれ程の魔力が蓄積されていたか……」

召喚士「俺の考えでは、相当量だと踏んでいます」

名代「私もだ」

西方参謀「何十年何百年……あるいは何千年分か…検討もつかんな」

戦士「そ、それじゃ…あのバケモンを倒しても意味ねーって事かよ!?」

名代「そんな事はありませぬ」

魔道士「…?」

名代「今まで龍脈を司っていた者が、突如居なくなったのです」

西方参謀「コントロールは効かなくなり、龍脈も正常には働かんさ」

帝「……成程」
227 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/01(水) 17:35:22.02 ID:uXRLyY6o
名代「それに、後の世の安寧は約束されたではないですか」

魔道士「あ、そっか…。何千年後か分かりませんけどぉ……」

盗賊「…未来には…魔物が居なくなる」

名代「そういう事です」

魔道士「だったら十分、意味だってあるじゃないですか!」

戦士「そりゃ…そうだけどなぁ……」

隊長「魔王ぶっ倒すのは俺らの仕事だろ?」

戦士「……だな」

帝「……報告は以上か?」

城主「ははっ!」

名代「今後についてですが、まずは洞窟最深部の調査を行います」

西方参謀「危険はないんですかい?」

名代「あるやもしれませんが最大の危機は無くなりました」

帝「……」

名代「そして、北に棲まう魔王の討伐……」
228 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/01(水) 17:36:24.60 ID:uXRLyY6o
帝「隊長殿、西方参謀殿」

隊長「…はっ」

帝「まずは本国の王と話がしたい」

召喚士「!?」

西方参謀「…仰せのままに」

隊長「何時が宜しいですかな?」

帝「早ければ早い程良い。明日でも良いくらいだ」

名代「上様……!?」

帝「まずは話をせねば始まらぬであろう」

城主「……っ」

帝「同盟するか否かはそれから判断致す」

西方参謀「…畏まりました。連絡を取りましょう」

帝「頼む」

名代「…以上で宜しいか?意見なくば閉会と致す」

帝「……ないようだな。では、以上だ。ご苦労であった」
229 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/01(水) 17:37:32.04 ID:uXRLyY6o
ザッザッザ

戦士「さて…終わったな」

魔道士「これからどうします?」

召喚士「そうですね……」

名代「すまぬが、もうしばしお付き合い頂けるか?」

魔道士「へ…っ?」

帝「都へ凱旋だ。共に来ては貰えぬだろうか…?」

召喚士「う、上様のご依頼とあらば……っ」

帝「…手間をかける。ふふっ」

名代「一刻後にここを発ちます。ご準備を」

戦士「りょーかい!」

魔道士「それじゃ行きましょうかっ」

召喚士「失礼致します」

盗賊「……では」

帝「うむ。また後ほどな」
230 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/01(水) 17:41:52.64 ID:uXRLyY6o
〜城の裏手〜

鬼丸「……」

ザッザッザ

戦士「やっぱここにいたか」

鬼丸「…おーう、終わったのか?」

魔道士「はいっ!鬼丸さんは…武士さんに報告ですか?」

鬼丸「ああ、この刀も役に立ったぞ……ってな!」

召喚士「そうだよねぇ…」

戦士「なーんか、人間臭い事しちゃって…らしくねぇなぁ」

鬼丸「んー?悪いかよ!」

魔道士「言われて見れば…なんだか人間っぽくなってきてるような…」

盗賊「……ああ」

鬼丸「…グハハ!あんまりジロジロ見るんじゃねーよ!」

戦士「もうすぐ出発だとさ。都に帰るってよ」

鬼丸「おう!行くとすっかぁ!!」
231 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/01(水) 17:46:42.65 ID:uXRLyY6o
足軽頭「上様、ご出発ー!」

名代「ご苦労様でした」

城主「いえ、名代様やご一同様こそ!」

隊長「世話になりました」

西方参謀「またお目にかかれると・・・よいですな!ヒック」

城主「是非に!」

帝「……では、出発」

魔道士「帰りは輿じゃないんですか?」

帝「あれは色々と理由があってな…。それに……」

盗賊「…?」

帝「皆と顔を合わせて話が出来ぬなど…つまらぬ」

戦士「…ははっ!それもそうですな!」

召喚士「うんっ!」

帝「折角じゃ、何か本国の話を聞かせてくれ」

魔道士「喜んで!ええへっ!!」
232 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/01(水) 17:59:55.41 ID:uXRLyY6o
〜藤蔵〜

侍女「…ふーっ。もう夕方……」

サッサッサ

侍女「……」

ヒュンッ

火忍「…門の掃き掃除とは、これは大儀であるぞ」

侍女「…あら、お帰りなさい。遅かったわねぇ」

水忍「…色々と、な」

侍女「なぁに?色々って……」

風「……来い。御館様の所へ行くぞ」

侍女「ちょ、ちょっと……っ!」

土忍「…すまんな。火急の用件なのだ」

侍女「…はいはい。あれ、雷は?上様と都へ戻ったの?」

風忍「……っ」

侍女「……?」
233 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/01(水) 18:03:19.48 ID:uXRLyY6o
スタスタスタ

侍女「何なのよぉ…姫も居ないし……」

火忍「姫は都へ向かった。明日には来る」

侍女「さっきから真面目な顔しちゃって…火の癖に珍しいわねぇ」

火忍「……」

スタスタ…ザッ

風忍「…戻りました」

御館様「……うむ。ご苦労」

水忍「ご報告したき事があり…一同集いますれば……」

御館様「…入れ」

風忍「失礼致しまする」

シュッ…スタスタスタ

御館様「楽にせい。して……任は如何に?」

土忍「…無事、ヤマタノオロチを始末致しました」

御館様「…うむ、ご苦労であった」
234 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/01(水) 18:07:40.23 ID:uXRLyY6o
火忍「し、しかしながら……っ」

風忍「…ご報告したき事が…御座りまする……っ」

御館様「申してみよ」

水「……」

風忍「……雷が……逝きました」

侍女「――!?」

御館様「…………」

水忍「ヤマタノオロチとの交戦にて…命を落としました…っ」

侍女「う…嘘……っ」

火忍「私の責でございます!されば私を――」

風忍「いえ、雷を死なせたは私の責で御座いまする」

御館様「下がれい」

水忍「……っ」

御館様「誰の責でもない…雷の未熟が招いた結果よ。下がって十分に休め」

土忍「……御館様」
235 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/01(水) 18:32:25.13 ID:qePolvUo
>>1乙です

あらためて泣けて来るよ
御屋形様も皆が居ると泣けないんだな
236 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/01(水) 18:32:33.78 ID:L8SqiQDO
御館様、会いたかったぜ!
237 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/01(水) 18:35:09.38 ID:uXRLyY6o
風忍「……失礼…致しまする」

スゥッ…

侍女「御館様…お茶、お入れ致しましょうか?」

御館様「構わぬ。お前も下がって良い」

侍女「……はい」

スウッ…パタン

御館様「……」

スタスタスタスタ

水忍「御館様…表情には出さぬが、心底辛いであろうな……」

土忍「…我が子のように可愛がってきたのだ。辛くないわけなかろう」

風忍「先日も…姫より若様のお話を聞かされたばかりだと言うのに……」

火忍「近頃…悲しい報告ばっかりだな……」

風忍「明日には姫もいらっしゃる。そうしたら……」

水忍「…そうだな。約束であったな」

火忍「……ああ」
238 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/01(水) 18:40:12.40 ID:28Ej6fQo
全日本が泣いた
239 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/01(水) 18:45:09.62 ID:QxDj9r6o
雷って らいって読むので合ってる?

らいにんが男前過ぎてツライ…
240 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/01(水) 19:11:28.25 ID:2.6hNSkP
>>182
魔道士「ら…雷忍さんが…っ!うぐぅーっ!」

称号は雷忍(らいにん)でおk
しかし個人名としては・・・・・・・・

>>164
帝「……ぃ!雷ぃ!!」いかづち?

>>165
盗賊「か、雷……!」かみなり?


どっちなんだよっ!(´;ω;`)
241 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/01(水) 19:20:58.75 ID:28Ej6fQo
>>240
さらに全日本が泣いた
242 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/01(水) 19:25:58.01 ID:6xxX5w.o
帝のは「・・・・・・(かみなり)ぃ!雷ぃ!!」
だろ
243 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/01(水) 19:52:20.98 ID:lLCSxgAO
ライラライラライラライ
244 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/01(水) 19:54:26.43 ID:jMbLH2AO
あだ名みたいなもんだろ、
例えば俺だって、名前は仮に太郎だとしても、あだ名はバイキンとかタミフルだし。

一文字も合わないニックネームなんだよ。俺みたいにな
245 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/01(水) 20:47:12.29 ID:jd5dUoAO
>>244
これ以上俺から水分を奪わないでくれ
246 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/01(水) 21:33:57.91 ID:v0KuYQDO
>>244
ワロタwwwwww








ワロタ……(´;ω;`)
247 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/01(水) 21:38:58.20 ID:.gCXuh2o
>>244
ちょっとインフルエンザの俺のところに来てくれないか?
248 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/01(水) 21:53:20.79 ID:zO7TbQAO
戦士達も一緒になって魔物が後で消えるってよろこんでいるがこれどういうことなんだ?

いい魔物には影響ないのかい?
249 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/01(水) 22:08:00.14 ID:w0lKb1Io
>>248
い〜いところに気付いたね
褒めて遣わす
250 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/01(水) 23:52:24.97 ID:ns1DM8Ao
パッカパッカパッカ…

戦士「おっ、夕焼け…!」

召喚士「もうこんな時間なんだねぇ」

魔道士「…っとと」

召喚士「魔道士さん、大丈夫ですか?」

魔道士「す、すみません…っ。馬はなかなか…経験がなく…って」

召喚士「左側の手綱を…そう、そんな感じで……」

鬼丸「おーい、相棒ー!」

戦士「あん?」

鬼丸「国綱の鍔なんだがよ、ちょっと緩んじまってよ。直せるか?」

戦士「…どれ、貸してみ」

鬼丸「すまねぇ、助かる!」

盗賊「……」

パッカパッカパッカ

盗賊「……!?」
251 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/01(水) 23:53:48.33 ID:ns1DM8Ao
帝「…疲れておらぬか?」

盗賊「上様……」

ススッ

帝「下がらずとも良い」

盗賊「しかし……馬を併せるなど……」

帝「不服か?」

盗賊「い、いえ…っ。そういうわけでは……」

帝「のう、盗賊?」

盗賊「…は、はいっ」

帝「そなた等の話を色々と聞かせて貰った」

盗賊「……」

帝「若い…しかも女子でありながら……強いのう」

盗賊「…そんな事はございませぬ」

帝「いやいや、少なくとも私はそう思うぞ?」

盗賊「……」
252 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/01(水) 23:56:38.24 ID:ns1DM8Ao
帝「しかし…不便そうだのう」

ポヨン

盗賊「……?」

帝「いや、その…豊満な胸が……」

盗賊「な、何を仰って……!」

帝「いや、すまぬ……」

盗賊「…邪魔なだけでござりまするっ」

帝「そ、そうか?」

盗賊「…そうですっ」

帝「だが、男は弱いと聞くぞ?」

盗賊「上様…っ!!」

帝「…ふふっ。すまぬすまぬ」

盗賊「…男も女も関係ござりませぬ」

帝「……」

盗賊「…己の信念を以ってすれば…関係ござりませぬ」
253 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/02(木) 00:00:15.42 ID:dhau9zgo
帝「信念……成程のぅ……」

盗賊「…私は女である事を恥じてはおりませぬ。むしろ誇りに思っておりまする」

帝「盗賊……」

盗賊「…女子であっても、戦って…誰かの為に戦えまする」

帝「……そうか、そうであるな」

盗賊「……ええ」

帝「ふふっ。ありがとう」

盗賊「……?」

帝「…いや、何でもない」

盗賊「……は、はぁ」

パッカパッカパッカ

名代「上様、まもなく都への道へ入りまする」

帝「…うむ。日が完全に暮れる前に都へ入るとしよう」

名代「ははっ。やや速度を上げまするぞ」

帝「うむ」
254 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/02(木) 00:04:10.94 ID:dhau9zgo
まもなく日は暮れ、討伐隊の一行は都へと辿り着いた。

〜都〜

町人「来たぞー!上様じゃあ!!」

女「上様ーっ!」

ワアアァァ

戦士「すっげぇ人だかり……」

召喚士「やっぱり上様の存在は大きいからね」

魔道士「ですよねっ」

名代「上様、皆が出迎えてくれておりますぞ」

帝「……ああ」

帝は馬上より左右の出迎えに手を振り、笑顔で応える。

鬼丸「さて……と」

戦士「…行くのか?」

鬼丸「…ああ。俺は橋の下が性に合ってる。落ち着くしな…グハハ!」

戦士「……そっか」
255 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/02(木) 00:06:58.23 ID:dhau9zgo
鬼丸「俺はいつでもあそこにいる」

戦士「…ああ。また必ず来る!そん時は……」

鬼丸「…おう!元気でな、相棒!!」

戦士「お前もな…鬼丸っ!!」

二人は固い握手を交わし、ニッコリと笑顔で向かい合う。

魔道士「鬼丸さんっ!お元気で!!」

盗賊「…世話になった」

鬼丸「おう!」

召喚士「…また、会う日まで!」

鬼丸「お前らもしっかり頑張ってな!!」

ザッザッザッザッザ

戦士「……すっかり人間らしくなっちまって」

魔道士「ええ。もう魔物なんかじゃないですよ!人間ですっ!」

盗賊「……」

召喚士「…さぁ、俺らも城へ向かいましょう」
256 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/02(木) 00:10:12.70 ID:dhau9zgo
〜都、帝の城〜

門番壱「…開門、開門ーっ!!」

門番弐「上様……ご到着ぅー!!」

隊長「…やっと終わったな」

西方参謀「…だぁな」

隊長「…ん?どこ行くんだ…城に入らんのか?」

西方参謀「先にワークショップ経由で殿下に密書を送る」

隊長「…おぉ、すまん。任せる」

西方参謀「フットワークは軽いに越した事ぁない。先に行っててくれや」

隊長「……ああ」

西方参謀は一人、ワークショップへと向かう為、脇道へと消えて行った。

戦士「隊長、どした?」

隊長「…おう、んじゃ行くとするか」

魔道士「名代さんが宴をするって言ってましたよ!」

隊長「ほぉー!そいつは楽しみだ…ははは!!」
257 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/02(木) 00:15:14.28 ID:dhau9zgo
こんばんはー!此度も多大なるご支援…まことに感謝っ!!
掻い摘んで少しレスをば…

>>207
これは素晴らしい…!いただきます!

>>216
良いところにお気づきで……

>>239-240
雷忍(らいにん)、雷(かみなり)で一応考えてます
>>242さんが正解ですー!!

>>244
魔道士「そんな事はありませんっ!そんな失礼な事言う人は…気にする必要ないですよ!」

>>247
お大事になさって下さい!

>>248-249
まぁそうなんです…。彼らも葛藤を抱えていると思います…

では、おやすみなさいです!!ノシ
258 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/02(木) 00:18:46.35 ID:dhau9zgo
〜オマケ〜

雷忍「…うーむ。非常に拙い事となったぞ」

スタスタスタ

師匠「おっと、新しい客か?若いのにご苦労なこった」

雷忍「……!?」

師匠「どしたい?何を悩んでる?」

雷忍「い、いえ…実はですね……」

師匠「何だよ、この師匠様が話ぐらい聞いてやらんでもないぞ?がはははっ!」

雷忍「実は…ロリコン疑惑を残したまま死んでしまいまして……」

師匠「……」

雷忍「なかなか汚名返上する機会もなく…どうしたものかと……」

師匠「……諦めな」

雷忍「えっ!?」

師匠「ここに来ちまったらもう出番はねぇよ。諦めな!がっはははは!!」

雷忍「そ、そんな…!そんなああぁぁ!!」
259 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/02(木) 00:43:04.02 ID:pJldBYAO
かつてあれほど漢らしい最後を迎えたロリコンがいただろうか…ww

>>1乙!
260 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/02(木) 02:40:25.34 ID:xigUjcSO
ショタコン→ロリコン→主人公

あたし男だけど抱かれたい////
261 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/02(木) 06:34:09.19 ID:PcNGwV60
1乙
ある意味、帝が大人の女性になる前にいけて
雷は良かったんじゃないの?
262 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/02(木) 09:28:42.23 ID:3IwR1g.0
>>261
わろた
263 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/02(木) 10:18:55.67 ID:nUH3r5ko
カムアウトフラグを感じたのですが
264 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/02(木) 18:03:18.29 ID:dxx.5Uso
テクテクテク…

召喚士「あれ…?名代さんは……」

魔道士「さっきまで…一緒だったんですけど…」

戦士「一旦屋敷に寄るって言ってたぞ。先に行っててくれって」

召喚士「……そっか」

盗賊「…行くとするか」

魔道士「はいっ!」

テクテクテクテクテク

〜名代の屋敷〜

タッタッタッタッタ

名代「……っ」

使用人「…おぉっ、旦那様……!」

名代「大事ないか!?」

使用人「わ、私は…それよりも巫女様がっ!」

名代「……ああ、存じておる」
265 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/02(木) 18:04:19.61 ID:dxx.5Uso
使用人「それと……小姓が……」

名代「…!?」

ダッ!!

名代「……はぁ…はぁ」

タッタッタ…ガラッ

名代「……はぁ…はぁ……はぁ」

医者「……」

名代「…こ、小姓は…っ?」

医者「…この通り、眠っておられます」

小姓「……」

名代「命に別状はないのだな…っ?」

医者「はい。手傷を負ってはおりますが大丈夫です」

名代「……そ、そうか」

小姓「……ん」

名代「!?」
266 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/02(木) 18:05:21.04 ID:dxx.5Uso
小姓「……名代…さま…っ」

名代「具合はどうだ?大事ないか!?」

小姓「も、申し訳ありませぬ……巫女殿を……」

名代「……」

小姓「巫女殿を…お守り出来ませんでした…っ」

名代「……小姓」

使用人「昨晩…怪しげな妖怪が屋敷へ侵入しまして……」

小姓「数名で迎撃でいたのですが…全く歯が立たず……」

名代「皆、よくやってくれた。礼を言うぞ」

小姓「…そんな事は。……すみません」

名代「妖怪は黒尽くめの人型だな…?」

使用人「その通りで御座います」

小姓「刃が…幾ら斬っても刃が通らず……不死身の妖かと」

名代「もう良い。今はゆっくりと休むのだ…」

小姓「申し訳……ありませぬ……っ」
267 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/02(木) 18:06:08.24 ID:dxx.5Uso
〜帝の城、大広間〜

家老「よくぞ戻られた!さぁさぁ、お座りなされ!」

召喚士「失礼します」

魔道士「…うわぁ!」

戦士「相変わらず凄げぇな……」

盗賊「……だな」

隊長「……よっこいしょっと」

テクテクテク

隊長「おう、早かったな」

西方参謀「おっ、生魚か…!これは酒に合いそうだ!」

戦士「そればっかだな……」

帝「名代はまだ戻って来ぬのか?」

女剣士「……そのようで」

家老「直に戻って参ります。料理が温かい内に…先に始めましょう」

帝「……そう致すか」
268 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/02(木) 18:07:28.74 ID:dxx.5Uso
ザッ

帝「ヤマタノオロチは倒した。これもひとえに皆の力があったからこそだ」

女剣士「……」

帝「労いも兼ねて、まずは疲れを癒してくれ」

スゥッ

杯を掲げる帝に続き、一同も無言で杯を頭上へ掲げる。

家老「……さぁ、祝いましょう。たらふく召し上がって下され」

西方参謀「……んっ、んぐっ、んぐっ……ぷはぁー!」

盗賊「早っ!」

魔道士「これは…何ですか?」

女中「烏賊の塩辛に御座りまする〜」

魔道士「塩辛?……あ、美味しい…っ!」

召喚士「戦士、お疲れ様」

戦士「おう、サンキュ」

トクトクトクッ
269 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/02(木) 18:08:20.17 ID:dxx.5Uso
戦士「……ぷはぁ!うんめぇ!」

召喚士「……」

戦士「…どした?素直に喜べないか?」

召喚士「……まぁ」

戦士「上様」

召喚士「え…?」

戦士「…ん」

促す戦士を見て、召喚士は帝の方へ顔を向ける。

戦士「長年、雷忍と共に過ごして、ましてや最年少で…女で…」

召喚士「……」

戦士「そんな上様が心配かけまいとあれだけ笑顔で振舞ってる……」

召喚士「……」

戦士「その心意気にお前が乗らないでどーすんだよ」

召喚士「…ごめん」

戦士「まぁ、気持ちは分かるけどよ…っ」
270 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/02(木) 18:09:01.56 ID:dxx.5Uso
トクトクトク

帝「酒か?」

家老「何を仰られるか。茶に御座います」

帝「そうか」

テクテクテク

女剣士「……」

帝「楽しんでおるか?」

女剣士「…はい」

帝「…何か言いたげだな」

女剣士「献杯でなくとも、宜しかったのですか?」

帝「…折角の勝ち戦ぞ。気を盛り下げてどうする」

女剣士「ご、ご尤もにて……

帝「それに、献杯などして喜ぶと思うか?」

女剣士「……」

帝「辛い時こそ笑顔でいる。そういう男であろう?雷は……」
271 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/02(木) 18:09:35.39 ID:dxx.5Uso
テクテクテクテク

帝「おぉ、戻ったか」

名代「小姓が負傷致しましたが大事ありませんでした」

帝「そうか。あのネクロマンサーという輩だな?」

名代「間違いありませぬ」

帝「厄介な輩よ……」

名代「召喚士殿や盗賊殿とも因縁がおありのようで…」

帝「……」

名代「彼らがきっと…討ち果たしてくれるでしょう」

帝「……だな」

名代「上様、明日のご予定ですが……」

帝「ああ。私は予定通り行くぞ」

名代「…そう…ですか」

帝「色々と処務がある事は存じておるが、折角の誘いだ。それに……」

名代「止めは致しませぬ。行ってらっしゃいませ」
272 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/02(木) 18:10:38.56 ID:dxx.5Uso
歓談の刻はあっと言う間に過ぎ去り、東方にも夜更けが訪れる。

魔道士「ご馳走様でした!」

召喚士「では、失礼します」

名代「本当に宿へ行かれるのか?宜しければ此処に……」

隊長「いいや、それには及びませぬ!恐れ多い!」

西方参謀「我ら、既に宿の手配も済ませております!」

戦士「……コイツら」

家老「左様か。では、おやすみなさいませ」

盗賊「…上様、ごゆるりと」

帝「うむ。お主等もな」

微笑む帝へ一礼し、召喚士らは城を後にする。

テクテクテク

戦士「さーて、あとはゆっくり寝て…明日は藤蔵かぁ」

魔道士「ですね!久々に盗賊さんのおうちですっ!」

盗賊「……」
273 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/02(木) 18:11:24.17 ID:dxx.5Uso
テクテクテク

隊長「どしたい?」

召喚士「あ、いえ…。先に宿へ行ってて下さい」

西方参謀「……?」

召喚士「ちょっと…酔い過ぎてしまったみたいで…」

戦士「水でも調達してこようか?」

召喚士「大丈夫!風に当たってから戻るよ」

魔道士「…大丈夫…ですか?」

召喚士「ええ!ほんと…大丈夫ですから!」

盗賊「…じゃあ先に…行ってるぞ」

隊長「夜中は冷える。すぐに戻れよ」

召喚士「はい」

戦士「……んじゃ、行くか」

ザッザッザッザッザ…

召喚士「……」
274 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/02(木) 18:18:37.73 ID:dxx.5Uso


召喚士は一人、町外れの土手に場所を移す。

召喚士「……はぁ」

ドサッ…ゴロン

召喚士「…………」

深夜の北風がそよぎ、召喚士の頬を撫でる。

召喚士「行け…コカトリス……」

シュイィン

召喚士「……ゴメンね。戦闘でもないのに」

コカトリス「……いや」

召喚士「……ねぇ、コカトリス」

コカトリス「悔いているのか?」

召喚士「……っ」

コカトリス「お前という奴は……」

召喚士「……」
275 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/02(木) 18:32:04.38 ID:dxx.5Uso
バサァ…

コカトリス「召喚士、お前は良い意味でも悪い意味でも実直すぎる」

召喚士「……」

コカトリス「真っ直ぐで正直な奴だ」

召喚士「コカトリス……」

コカトリス「お前は背負いすぎなのだ。何でも一人でな」

召喚士「……そう…かなぁ」

コカトリス「もっと力を抜いて、生きたらどうだ?」

召喚士「……あのさ」

コカトリス「……」

召喚士「泣いている奴が居たら、笑って手を差し伸べるのが当たり前」

コカトリス「…………」

召喚士「…師匠が昔、言ってたんだ。」

コカトリス「……奴がか?らしくもない」

召喚士「…ははっ。そうだよね」
276 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/02(木) 18:35:41.80 ID:dxx.5Uso
スッ

召喚士「きっと俺は泣いてたんだよね」

コカトリス「…?」

召喚士「故郷が魔物に攻められて…一人、泣いてたんだ」

コカトリス「……」

召喚士「師匠が笑って手を差し伸べてくれた……」

コカトリス「そうかもしれぬな」

召喚士「あ、そうだ…!コカトリスは覚えてたりしない!?」

コカトリス「…ん?」

召喚士「俺の故郷……最北の村の事」

コカトリス「ああ、すまんな。記憶がない」

召喚士「……そっか」

コカトリス「…と言うよりも…この世界では記憶が曖昧なのだ」

召喚士「……?」

コカトリス「過去の事は部分的にしか覚えておらぬ」
277 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/02(木) 18:39:15.56 ID:dxx.5Uso
召喚士「それって……どういう事!?」

コカトリス「お前も知っての通り、我らはまた別の世界に生きておる」

召喚士「うん…前に言った事あるよね」

コカトリス「お前はあの時の事を覚えているか?」

召喚士「……えっと…ぉ」

コカトリス「……」

召喚士「…あれ、内容が思い出せない…っ!?」

コカトリス「それと同様だ。曖昧な記憶しか残らぬらしい…」

召喚士「そうなんだ……」

コカトリス「幸い、私はお前と専属契約を結んでおる」

召喚士「うん」

コカトリス「だから召喚主の記憶はしっかりと残っておる」

召喚士「そっか…。じゃあ専属以外の召喚獣は……」

コカトリス「なかなかそうもいかぬだろうな」

召喚士「そういう事だったんだ……っ」
278 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/02(木) 19:50:02.96 ID:spcq06AO
ユニコーン痴呆疑惑か…
更には性格までも破綻とは…救われんな

てか、ユニコーンとヤマタノオロチって嗜好一緒だな
すごいやユニコーンさん
279 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/02(木) 20:44:48.80 ID:2uGuquEo
>>278
ごめん、俺は文盲なようで何言ってるかわからない
誰か通訳してくれ
280 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/02(木) 21:18:51.57 ID:847X89I0
わろた
たぶん初代ユニコーンと二代目ユニコーンは同一で
ある日突然性格が変わってしまったって思ってるんじゃない?
それでユニコーンとヤマタノオロチは処女大好き
すごいやユニコーンさん
281 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/02(木) 21:42:50.94 ID:spcq06AO
>>280
おめぇすげぇな…
282 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/02(木) 22:16:12.87 ID:JUy2hnso
>>280
ありがとう
スッキリした
283 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/02(木) 23:41:33.13 ID:0ggN4oSO
>>209
明らかに>>1は女だ
俺は鬼丸並みだから臭いで分かる

284 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/02(木) 23:41:39.20 ID:dhau9zgo
コカトリス「…まぁ、お前一人が悩んでいても仕方あるまい」

召喚士「うん……」

コカトリス「今は一人ではないのだからな」

召喚士「……あ…っ」

コカトリス「仲間に迷惑掛けまいと一人で抱え込む事こそ逆効果だぞ」

召喚士「コカトリス……」

コカトリス「仲間とは、そういうものではないのか?」

召喚士「……ありがとう」

コカトリス「……」

召喚士「俺はもう…迷わない」

コカトリス「……ふん」

召喚士「ありがとう…コカトリス」

コカトリス「お前に死なれると厄介だからな」

シュイィン…

召喚士「……ははっ」
285 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/02(木) 23:42:47.09 ID:dhau9zgo


召喚士「……」

テクテクテク…カラカラッ

隊長「わははははは!!」

西方参謀「そこでね、私がビシっと決めてやったわけですわっ!」

隊長「てめぇ!そこは俺が斬りかかったシーンだろうが!!」

女将「ほほっ、お二人共…お手柄だったんですねぇ」

西方参謀「そーなんですよ!まぁ上様にも頭を下げられたりしましてなぁ」

隊長「…しかしですね、全ては東方の。ひいては……貴方の!」

女将「あら、おかえりなさい〜」

召喚士「た、ただいま…です。盛り上がってますね」

テクテクテク

戦士「…おーう、戻ったか」

召喚士「戦士」

戦士「先にひとっ風呂浴びさせて貰ったわ」
286 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/02(木) 23:43:21.35 ID:dhau9zgo
召喚士「…あ、俺もそうするよ」

西方参謀「しかしね、その夜行ってのが…なんと不死身でねぇ〜」

隊長「そうそう。それを俺がビシっと葬ってやったわけですよ!」

女将「へぇ〜不死身なのに倒しなさったんですの…!」

召喚士「……」

戦士「んじゃ、先に部屋行ってるわ」

召喚士「飲まないの?」

戦士「城でも振舞って貰ったしな。十分だよ」

召喚士「そうだよね…」

戦士「「コイツらがおかしいだけだ」

召喚士「…う、うん」

西方参謀「…おうコラ、さっきからフザケた事言ってんじゃねぇぞ?」

隊長「てめぇこそホラばっか吹いてんじゃねぇよ…!」

召喚士「じゃ、じゃあ…行ってきます」

戦士「お、おう……」
287 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/02(木) 23:44:17.81 ID:dhau9zgo
カポーン

魔道士「盗賊さーん、洗顔取って下さーい!」

盗賊「…はい」

魔道士「ありがとうございますー」

チャポッ

盗賊「……っつ」

魔道士「…ふーっ、私も入ろー!」

チャポッ

魔道士「い、いた…っ!」

盗賊「…染みるよな」

魔道士「……し、染みます…っ」

盗賊「…でも…温泉は傷に良い」

魔道士「…は、はい。お肌にも良いので我慢します…っ」

盗賊「……うん」

魔道士「…うんっ」
288 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/02(木) 23:45:32.68 ID:dhau9zgo
ザバッ

召喚士『…いつ…っ!!』

魔道士「あっ!今の声……!」

盗賊「…召喚士だな」

魔道士「召喚士さーん!」

召喚士『…!?』

魔道士「大丈夫ですかー!」

召喚士『え、ええ…っ。湯が傷に染みて……』

盗賊「…やはりか」

魔道士「痛いですよねー!」

召喚士『魔道士さんもですか!?』

魔道士「はい…。おへその下辺りが……」

召喚士『……』

盗賊「…あとは胸もだな」

召喚士『……』
289 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/03(金) 00:19:18.64 ID:oJC1m0Mo


戦士「おう、おかえり」

召喚士「……ただいま」

戦士「どした?」

召喚士「…い、いや…何でもない」

戦士「…そっか。悩みがあんなら遠慮なく話してくれよ?」

召喚士「う、うん……」

ガチャガチャガチャ

戦士「…何だ?」

召喚士「さぁ……」

ガチャガチャッ

西方参謀「表へ出ろ」

隊長「いい度胸だ。白黒付けようじゃねーか」

女将「ちょ、ちょっと二人共…っ。やめて下さいな……っ」

夜は更け、長い一日が終わった。
290 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/03(金) 00:23:52.34 ID:oJC1m0Mo
〜次の日〜

女将「それじゃ皆様方、お気をつけて」

召喚士「はい。お世話になりました!」

戦士「また来ます!!」

魔道士「……顔、どーしたんですか!?」

隊長「……ちょっとな」

西方参謀「気にせんでくれ」

盗賊「…では、行くか」

テクテクテクテク

隊長「そんじゃ気を付けてな」

魔道士「隊長さん達は行かないんですか…?」

西方参謀「都に残ってるよ。本国からの返事も待たにゃならんし……」

隊長「一応、任務中だしな」

戦士「そっか」

召喚士「それでは、行ってきます」
291 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/03(金) 00:26:23.05 ID:oJC1m0Mo
召喚士達は隊長、西方参謀と別れ、藤蔵を目指す為都を出発した。

西方参謀「さーてと……」

隊長「んで、何だって?」

西方参謀「あん?」

隊長「行ってきたんだろ?ワークショプ」

西方参謀「…ん、ああ」

パラッ

隊長「…なになに……って!?」

西方参謀「……フットワークが軽いのも困りものだ」

隊長「…どうすんだよ」

西方参謀「そうするもクソもねぇよ……ヒック」

隊長「……」

西方参謀「大人しく都で……」

ドンッ

西方参謀「…おっと、すまん」
292 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/03(金) 00:29:22.34 ID:oJC1m0Mo
少女「……」

西方参謀「だ、大丈夫だったか?」

少女「こちらこそ…すみません」

テクテクテクテク

西方参謀「……?」

隊長「んで、どーすんだ?」

西方参謀「どうするもあったもんじゃねぇよ。来るってんだから仕方ねーだろ」

隊長「いくら東方の帝が良いっていうからってよぉ……」

西方参謀「流石は殿下ってとこだな…がはは!」

隊長「笑い事じゃねぇ!」

西方参謀「とりあえずだ、名代殿に話をつけておこう」

隊長「…だぁな」

西方参謀「……まさか昨日の今日で東方来ると言い出すとはなぁ…」

隊長「恐れ入ったよ…全く…」

西方参謀「そんで、名代殿の屋敷はどこだ?」

隊長「……知るか」
293 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/03(金) 00:35:49.71 ID:oJC1m0Mo
〜帝の城〜

テクテクテク

家老「おや、名代殿。早朝から如何致した?」

名代「お早う御座います。上様は…?」

家老「それが見当たらんのだ…。全く…どこへ行かれたのやら……」

名代「……」

家老「それに女剣士殿も見当たらぬ。まさか、また二人でお忍びなどと…」

名代「…すぐに戻りますよ。きっと」

家老「むぅ、ならば良いが……」

名代「はい」

家老「そうそう、名代殿は見ておられぬか?」

名代「……?」

家老「先程から城内にて見かけぬ少女を目撃したと複数の者から報告が……」

名代「少女……。そうですか」

家老「妖怪などの類でなくば良いが…」
294 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/03(金) 00:38:44.63 ID:oJC1m0Mo
名代「成程…ご安心を。妖怪などでは御座りませぬ」

家老「そ、そうか…?」

名代「はい。大切なものですよ」

家老「……?」

名代「近いうちに分かりまする。では、失礼」

テクテクテクテク

名代「…そうか。ふふふっ」

テクテクテクテクテク…

城を出た名代はその足で橋の下へと向かう。

名代「上様は…?」

鬼丸「もう行ったぞー。女剣士が付いてる…大丈夫だろ」

名代「そうか。お姿を拝見したか?」

鬼丸「…グハハ!まぁな!!」

名代「……そうかぁ」

鬼丸「帰ってくるのを楽しみにしてな…グハハハッ!!」
295 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/03(金) 00:40:37.61 ID:oJC1m0Mo
〜藤蔵〜

魔道士「到着〜!」

盗賊「なんとか昼前に着けたな」

召喚士「久々ですねぇ」

戦士「…ああ」

テクテクテク…ギギイィ

戦士「見張りは居なくなったんだな」

盗賊「…ああ。もう影もなくなったしな」

召喚士「そっか……」

タッタッタッタッタ

盗賊「…ま、まずいっ!!」

魔道士「…へっ?」

タッタッタ…ガバッ

侍女「姫ぇ〜っ!!」

ギュウウゥゥッ!!
296 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/03(金) 00:43:51.43 ID:oJC1m0Mo


侍女「……」

盗賊「だから何度も申しておるだろう!たわけっ!」

侍女「だってぇ……」

盗賊「窒息死させる気か!」

侍女「ごめんなさぁい……」

魔道士「ま、まぁまぁ…。お久しぶりです〜」

侍女「ようこそ、お待ちしておりましたわ!ささ、どうぞどうぞ」

召喚士「失礼します」

戦士「失礼……」

ヒュバッ!!…カカッ!!

戦士「!!……手裏剣!?」

火忍「…ほぉ、よくぞ避けたな、合格だ。東方に入る資格はあるよう……」

ゴチンッ!!

火忍「痛っ!!」
297 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/03(金) 00:46:15.79 ID:oJC1m0Mo
土忍「…そんな試験はない。……ようこそ皆様方」

風忍「さぁ、お荷物を」

魔道士「ありがとうございますー!」

侍女「さぁ、姫。御館様にご挨拶してらっしゃい!」

盗賊「…父上はどちらに?」

侍女「書斎じゃないかしら」

盗賊「…行ってくる」

侍女「あ、待ちなさい」

盗賊「……?」

侍女「…じゃーん!」

魔道士「着物だっ!」

侍女「…ちゃーんと着替えてからねぇ〜」

盗賊「またか……っ」

水忍「皆様方も奥の部屋にてお着替え下され」

召喚士「あ、すみません…。ありがとうございます…!」
298 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/03(金) 00:50:49.23 ID:oJC1m0Mo
〜オマケ〜

師匠「がはははは!!さぁ、追いつけるかな!?」

シュタタタタタッ

召喚士「は、早いっ!」

戦士「まさか…それで師走とか言うんじゃねーだろうな?」

ドキィ!!

師匠「な…なんの事かなぁ?」

召喚士「師走って忙しいよね…年賀状作らされたり…。ただですら仕事増えてしまって…」

魔道士「な、何の話をしてるんですかっ!?」

盗賊「…代弁…かな?」

召喚士「いや!そんな事でめげてどうする!」

魔道士「立ち直り早…っ!!」

召喚士「色々あると頭がこんがらがって…色々発散したくなるんですよ…ふふっ…」

戦士「……病んでるな」

盗賊「…ああ」

師匠「……あのー。俺…は?」
299 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/03(金) 00:55:23.24 ID:FVYfTPoo
>>1乙!

>>289の『ガチャガチャガチャ』が卑猥な効果音に思えたぜ……
300 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/03(金) 03:45:58.65 ID:D1FpW9w0
1乙
火忍は戦士へのライバル心むきだしだね
301 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/03(金) 05:41:11.16 ID:5NeKtkAO
>>1

師走クソワロタwwwwwwww
302 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/03(金) 07:42:32.72 ID:HPXqZts0
なるほど、しそうと読めば師匠に聞こえますってか……
303 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/03(金) 07:55:22.76 ID:iEiRwUDO
まだやってたんだ…
304 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/03(金) 07:56:27.01 ID:lNSki2DO
>>298

>>1・・・・・
忙しいときは無理しなくていいんだぜ
305 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/03(金) 08:19:15.78 ID:tP22lUAO
>>1

師走が忙しすぎて、仕込みをし忘れた
なんてな!

師走 し忘れた!サンキュー!
306 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/03(金) 10:27:11.19 ID:Rc2rKago
乙!

風呂で召喚士の八岐大蛇が!
これが良質な生娘2人の威力か。。。
307 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/03(金) 17:27:32.85 ID:rAdGRfUo


奉公人「……よし、出来ました」

召喚士「ありがとうございます」

戦士「東方の服を着るのも久々だな」

風忍「…おぉ、本国の方が着る姿もなかなか風情よ」

土忍「…うむ。よく似合っておられる」

召喚士「ありがとうございます」

火忍「…ふん、どうだかねぇ」

シズシズシズ…

魔道士「お待たせしましたー」

水忍「……おぉ」

風忍「これはまた……っ」

魔道士「に、似合いますかね…へへっ」

火忍「…いやはや、異国の方が着る姿も風情がありますなぁ!」

土忍「……」
308 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/03(金) 17:29:00.86 ID:rAdGRfUo
スゥッ…シズシズシズ…

風忍「……おぉ…っ!」

土忍「…姫、お似合いですぞ!」

魔道士「わぁ…!盗賊さん素敵…!!」

盗賊「……っ」

侍女「なーに照れてるんですかっ!」

盗賊「だってこんな…艶やかな……」

召喚士「いえいえ、凄く似合ってますよ!」

戦士「ああ」

盗賊「戦士……」

火忍「…姫、とてもお美しゅうございます。あ、いや…普段の姫がどうとか……」

盗賊「ところで喪服でなくとも良かったのか?」

水忍「普段より黒装束の我らです。華やかに見送りましょうぞ」

盗賊「そうか……そうだな……」

火忍「……つまりはですねその…普段にも増して倍…いや!数倍にも増し……」
309 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/03(金) 17:30:42.10 ID:rAdGRfUo
シズシズ…スッ

盗賊「……盗賊です」

御館様「…うむ、入れ」

ススッ…

盗賊「父上におかれましたは、益々のご健勝……」

御館様「堅苦しい挨拶はよい」

盗賊「……」

御館様「此度はご苦労であった。よくぞ上様をお守りした」

盗賊「いえ……」

御館様「雷については残念であった」

盗賊「……私は…っ」

御館様「お前が已んでいても仕方あるまい」

盗賊「……」

御館様「皆が待っておるのであろう?行くとしようか」

盗賊「…はい」
310 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/03(金) 17:31:24.21 ID:rAdGRfUo
テクテクテク

召喚士「…へぇ、裏手にこんな広い平原が…っ!」

魔道士「少し寒いですけど…気持ちいいですねぇ!」

水忍「春や夏であれば緑も生い茂り、良いのだがな…」

戦士「いやいや、冬も見晴らしよくて…なかなかのもんですよ」

土忍「この先に丘がある。そこにいたそう」

グイッ…ゴロゴロゴロ

火忍「…つーか重いなこれ。積み過ぎじゃないのか?」

風忍「つべこべ言わず引け。一気に押すぞ」

土忍「13人分の飲食物を積んだ荷車だからな」

火忍「へいへい」

水忍「…よし、いいだろう。速やかに支度を済ますぞ」

魔道士「あっ、手伝います〜!」

風忍「いやいや、客人に手伝わせるなど……」

魔道士「好きなんで構いませんよっ!えへへ…!!」
311 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/03(金) 17:31:54.45 ID:rAdGRfUo
ザッザッザッザ

侍女「お待たせー!もう準備出来たー?」

火忍「見りゃ分かるだろ。ほれ、さっさと手伝え」

盗賊「…よし、何をすればいい?」

火忍「姫!?」

御館様「これを運べば良いのか?」

火忍「御館様!?めっ、滅相もない!某にお任せを!!」

侍女「生返事するからそうなるのよっ、もう」

召喚士「こっち、大丈夫でーす!」

風忍「ではそのまま敷いて下され」

魔道士「料理はこれとこれを…こっちに置いて……」

戦士「…よっと、こんなもんか」

水忍「なかなかの手際。素晴らしいな」

戦士「旅暮らしもだいぶ長いっすからね。なぁ…?」

召喚士「うん」
312 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/03(金) 17:32:29.63 ID:rAdGRfUo


土忍「…では、始めるとするか」

風忍「火、音頭とれ」

火忍「お、俺かよ…!?」

盗賊「頑張れ」

火忍「……えー、ゴホン」

侍女「ちょっと、立って言いなさいよ!」

火忍「え、あ…ああ!」

スクッ

火忍「えー、こうして一同会する機会も早々ありませぬ」

水忍「…固いぞ」

火忍「うっせ!……ですから〜今日は無礼講で楽しみたいと思います」

土忍「……」

火忍「約束したんだ…皆で酒宴をしようってな」

風忍「……ああ」
313 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/03(金) 17:32:57.48 ID:rAdGRfUo
火忍「だから、今日は雷の分まで笑って楽しもうじゃありませんか」

御館様「……」

火忍「……それでは、乾ぱ――」

テクテクテク

火忍「……?」

盗賊「どうした…?」

火忍「…おいおい、どっから入り込んだんだぁ?」

火忍の一言に一同が背後を振り返る。

火忍「お嬢ちゃん、悪いがここは藤蔵の敷地内……」

少女「知っておる」

火忍「知ってる…?じゃあ悪いが立ち去ってくれ」

少女「…うーむ、折角のお呼ばれであったが…仕方あるまいか」

風忍「…あ…れ?お主、女剣士か?」

少女の背後に立つ女性が俯きにながら無言で頷く。

女剣士「……正装のつもりだが…こ、こういう服は慣れてなくてな…っ」
314 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/03(金) 17:37:47.95 ID:rAdGRfUo
水忍「…み、見違えたな。いや…似合っておるぞ」

女剣士「う、うるさい!殺すぞ!!」

火忍「何で女剣士が……って…え、えぇと…あれ……」

御館様「もしや……上様か…っ?」

魔道士「えぇーっ!?」

少女は微笑んで応える。

帝「…ふふっ。私もなかなかのものであろう?」

火忍「――っ!!」

侍女「ひ…ひええぇぇ!!上様が…女子だったなんてえぇ!」

土忍「…そういえば侍女には話してなかったな」

風忍「…あ、ああ」

帝「これからは性別など偽らず、いや…隠す事なく生きようと思う」

召喚士「う、上様…っ」

帝「のう、盗賊……?」

盗賊「上様…っ」
315 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/03(金) 17:38:41.30 ID:rAdGRfUo


火忍「…………」

帝「も、もう良いから表をあげい…」

火忍「そうはいきませぬ!存ぜぬといえど…とんだご゙無礼を…っ!」

盗賊「お前は本当に土下座が好きだなぁ」

侍女「放っておきましょう。自業自得ですよっ」

女剣士「しからば、介錯を」

帝「よいよい。城の者ですら気付かなかったのだ、致し方あるまい」

戦士「そりゃあ…今まで男と思ってたら…なぁ…」

魔道士「こんなにカワイイ女の子だなんて、誰も分かりませんよ〜」

帝「…なんだか、照れるのう」

御館様「では一同が揃ったところで改めて乾杯と致すぞ」

風忍「折角ですので上様、お願い致しまする」

帝「…良いのか?」

水忍「雷も喜びまする」
316 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/03(金) 17:39:15.91 ID:rAdGRfUo
帝「……」

スクッ

帝「藤蔵、そして本国の皆…大変ご苦労であった」

御館様「……」

帝「皆の力でヤマタノオロチは見事、討ち果たす事が出来た」

女剣士「……」

帝「そして……」

召喚士「……」

帝「雷、今はゆっくりと休むが良い……」

スッ

侍女「…さぁさぁ、食べましょう!」

土忍「…火、いい加減立たぬか。邪魔だぞ」

火忍「……憑かれてるのかな。厄払いにでも行くか…っ」

盗賊「上様、どうぞ」

帝「……ありがとう」
317 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/03(金) 17:40:17.02 ID:rAdGRfUo
ススッ

盗賊「お覚悟を…決めたのですね」

帝「ああ。。そなたのお陰だ」

盗賊「そ、そんな事……」

帝「いやいや、女子でも立派に生きていける。力を貰った」

盗賊「……」

帝「私はそんな世を築きたい…そう思ったのだ」

盗賊「上様……」

帝「老若男女問わず、皆が平等に暮らせる…そんな国、そんな世をな」

盗賊「素晴らしいお考えです」

帝「だから、まずは己がその道を示さねばならぬ」

盗賊「……」

帝「簡単には行かぬであろうが、盗賊や皆のお陰で自信が付いた」

盗賊「…はい」

帝「共に頑張ろうではないか。…ふふっ」
318 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/03(金) 17:50:29.44 ID:rAdGRfUo
ザッザッザッザッザ

侍女「天気にも恵まれて、良かったわねぇ〜」

水忍「全くだな」

風忍「さぁ上様、姫」

盗賊「うん」

帝「……」

荷車より13人目の食べ物と酒を取り出し、帝と盗賊を先頭に、

小高い丘の頂上に生える一本の大きな木へと、12人は足を進める。

女剣士「……」

土忍「…見晴らしも良く、少し贅沢すぎるかな」

火忍「…ははっ、そうだな」

ザッザッザ

木の根元にしゃがみ込む帝と盗賊が、花と飲食物を供える。

帝「……」

盗賊「……雷」
319 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/03(金) 17:53:51.62 ID:rAdGRfUo
御館様「いずれは墓石も立てるとしよう」

盗賊「ええ…」

帝「……」

ゴソゴソッ

魔道士「それは…?」

帝「遺灰だ。半分はここに埋めようと思うてな」

戦士「……」

帝は小さな両手で木の根元を掘り始める。

女剣士「上様っ!?私がやります…!」

帝「良い…。自分でやりたいのだ」

盗賊「私が手伝います…」

ゴソゴソッ…ザッザッザ

帝「……これで…良し」

盗賊「……はい」

掘った穴の中へ、帝は雷の遺灰を半分程、丁寧に埋めた。
320 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/03(金) 18:09:33.93 ID:rAdGRfUo
風忍「墓石には名と辞世の句も刻まねばな」

火忍「おう、そうしよう」

御館様「上様」

帝「ん?」

御館様「宜しければ、彼奴に返句を頂けませぬか?」

帝「返句…返句か。そうだな」

御館様「紙と筆を」

侍女「はいっ」

帝「……うむ」

サラサラサラッ

帝「これで…良いかの?」

御館様「…ええ。きっと喜ぶ事でしょう」

帝「そうだと良いな」

盗賊「きっと…喜んでおります」

召喚士「ええ……」
321 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/03(金) 18:19:33.00 ID:rAdGRfUo


風忍「……では、屋敷に戻ると致しましょう」

御館様「…うむ」

盗賊「……」

テクテクテクテク

召喚士「……」

――『カカッ!』

召喚士「えっ…?」

召喚士は突如振り返り、それと同時に空が一瞬光った。

ゴロゴロゴロッ…

水忍「雷鳴…?」

侍女「こんな晴天なのに……」

召喚士「きっと……雷忍さんが笑ったんですよ」

盗賊「…ああ」

帝「……またな、雷」
322 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/03(金) 18:32:25.43 ID:rAdGRfUo
耳に飛び込んだ声は、ただの雷鳴かそれとも幻聴かもしれない。

でも俺にとっては、雷忍さんからの感謝の返答…そんな気がしたんだ……。



後日、木の下には墓石が建てられ、雷忍の名と辞世の句が刻まれた。

また、その裏には帝から賜った返句が刻まれている。



――宵空に 隠れて見えぬ 二つ星 道ぞ照らすは 蛍一匹
323 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/03(金) 18:40:06.52 ID:rAdGRfUo
〜???〜

ビュオオォォォォ…ザッ

ネクロマンサー「……」

夜行「…ヒヒッ、よう」

ネクロマンサー「これはこれは」

夜行「しくじったらしいなぁ…?」

ネクロマンサー「…ククッ、申し訳……」

ヒュオンッ!!

ネクロマンサー「…おぉ、これは怖い。鞘に納めて頂けませんか?」

夜行「…ヒヒッ、貴様は二度と東方に手を出すな」

ネクロマンサー「……」

夜行「人間上がりの分際で、ましてや東方ででけぇツラした結果がこれかい?」

ネクロマンサー「……」

夜行「魔羅様からお咎めが出る前に…さっさと消えちまいな」

324 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/03(金) 18:45:55.12 ID:rAdGRfUo
ネクロマンサー「……致し方、ありませんねぇ」

夜行「……」

ネクロマンサー「では、失礼しますよ……ククッ」

フォンッ

夜行「……」

バサッ…バサッバサッ…

ヤタガラス「良かったんか?帰しちまって……」

夜行「やっぱりあんな奴らにゃ頼るべきじゃあないわな」

ヤタガラス「…せやなぁ」

夜行「…次は、いよいよだわ」

ヤタガラス「…魔羅様が直々に…っ」

夜行「……さぁひとまず戻ろうかねぇ」

ヤタガラス「仕切り直しせなアカンな!」

夜行「……ヒヒッ!」

吹雪く漆黒の闇の中、夜行とヤタガラスは溶けるように消えて行った。



〜第二十六部、完〜
325 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/03(金) 18:50:09.61 ID:rAdGRfUo
二十六部、ようやく終わりました。時間かかってすみません…!
では失礼致します。ご支援ありがとうございましたー!ノシ
326 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/03(金) 18:51:20.46 ID:MS5kDH6o
一乙!!
327 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/03(金) 19:14:18.62 ID:.8338IDO
乙です!
328 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/03(金) 19:32:43.59 ID:HPXqZts0
オチンポ様クルーーーーーーー!?
329 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/03(金) 19:33:58.84 ID:Xr9NQwAO
乙。あと七十四部か頑張れ!
そしたら漫画になってアニメになってゲームになって続編ケテーイか!
330 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/03(金) 19:34:34.76 ID:NbKbknQo
ご立派でいらっしゃる魔翌羅様。
331 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/03(金) 19:56:40.15 ID:IODi91co
           /´ ̄`ヽ            , --、               
          /  人   l             /    \      
        / /爻ヽ  ヽ      , ---、 | く⌒ヽ ヽ , -─‐-、   
        { /∠⌒ヽ }  }       / ,--、ヾ> ヽ } レ'  , ---、 ヽ    ____,
        レ'彡イ {Uj }ヾミイ       {  \ } }|  V /  /     `! |  !  
    ⌒)ノ  |  ドこzン八三}     ,ィ\/⌒ヾ ̄ヾノ_ノ  ァ'-─-、 ゞL__,〃 
     (ソ⌒ヽ! ト--イ ⌒__,ハ  ,ィシvく}了ミy'´7´l}_, -‐┴-、   `ヽ  ̄ ′ 
       レ)   ! ト--イ (  ノ `ーべ⌒ヽ>y' 〃, -┴┴ミ、_}_}_}_j ヽ⌒) j     
      ヽ)、___,>、ト--イ ))〈     ト_チrく    // ̄ヽ、_) / /  _..._  
  '⌒>‐ミ、 \)こZヾ--ヘ{{ l|  y' ゝ ヾミ゙)'}|≧>、 / /バ⌒ヽn V/ 〃⌒ヽ 
  (⌒ヾ>ニKド、⌒Yく_/ヽj} 人_ゝ__>==1 r彡"´/ / | |   /y'}[__//   .`
    ,ィ  ゙̄Vソ,イノ \__ム丁了)ノr'ン´フノ ィ彡/| | ヽヽ. // ヽVソ´     
   / / r‐ヘ `Y {    [二[| ,勹77´ ̄ シ三彡'/| |\ ヽV/ミ、_} Kミ、
  { {   トZべ.」 |   [三}〒ラ77 (_)(_) r三/ / | |> \f⌒l/l | L }
 ヾl |  l三ィ∧ l __. [三}⊥.イ工===ァべ/ /,ィ| |/>l{ l>}X.| |゙)レ′
  ヾ, ヽ  {三N>} Y二ヽ」ニ/l⌒ヾ´  /  {O}___」 |/rくゝ _ソ\l |(
   >、 \ 缶jfハ >n' fy' l ⌒y} //⌒\/rヘ l/ /7j\j j
  /∧>、_/フイ/7-Vきy'/1 |(⌒)|}./|ト、   \j.ハ ヽ. //) l| //
  !{ニ///,イ///∠7/Zl{ |ィ^トl|\.j| ノへ.____}へ. V/´ ヽV./
  ゞ〃'Tヽ 〃´ ̄ ̄〃⌒l  VハVj  }ソ       ヽ \  //
  ケミ三彡"     /   ゝ ゞ='ノ二/         \ ゝ" /

ご立派様で支援
332 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/03(金) 20:18:40.33 ID:d6g0QWQo
ペニス対マラか…
333 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/03(金) 20:20:54.97 ID:jsF/QRwo
魔翌羅様に不覚にも
>>1
334 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/04(土) 05:30:52.42 ID:GnQEF2AO
火忍の土下座がもはや安すぎて吹く

>>1乙でござる
335 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/04(土) 08:53:38.41 ID:3QGQSnk0
1乙
何か御館様が盗賊に優しくなってきた

336 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/04(土) 15:02:27.68 ID:qBrXv9w0
>>1
親方様に悲しいニュースばっかりだからなあ
337 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/04(土) 16:16:52.39 ID:IfsFnLAo
いちおつおつ

魔羅様「私の名前どうしてこうなった」
338 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/04(土) 19:39:31.03 ID:YkFCoEDO
巫女とは何だったのか
339 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/04(土) 21:08:03.43 ID:N9kzvkAO
>>336
いつのまに新キャラが…と思ったら『おやかたさま』かwww
340 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/04(土) 21:46:38.31 ID:r/W.GhIo
みんなも乙!
この連載はいい連載だー
もう一年もなんてライフワークだな
ええ全く素晴らしい
でも、いつかは終わりが来るかと思うと
すごく切ない、気
がする
何かね
かなしいよな
341 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[saga sage]:2010/12/04(土) 22:25:35.57 ID:PbHXW6DO
>>340
残念だったな、人外萌えに目覚める作業に移るんだ!
342 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/05(日) 03:20:21.82 ID:K5l3sbko
>>340
いえ、何も
343 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/05(日) 03:21:48.36 ID:f98HRqIo


召喚士「行けっ!コカトリス!!」

    〜第二十七部〜
344 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/05(日) 03:22:17.78 ID:f98HRqIo
束の間の酒宴、そして雷の弔いを終えて、

召喚士や帝らは藤蔵の屋敷へと戻った。

奉公人「お、おかえりなさいませ!」

御館様「うむ」

侍女「何か…あったの?」

奉公人「お客様が…お、お見えに……」

風忍「客…?」

御館様「どこの者だ」

奉公人「そ、それが……っ」

帝「……」

奉公人「お、御館様にではなく……」

帝「……私か?」

テクテクテク…

使い番「ご報告……う、上様…っ!?」

帝「…うむ」
345 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/05(日) 03:23:18.96 ID:f98HRqIo


使い番「い、いやはや驚きました…っ.。まさか上様が…お、女子……」

帝「それより、何用か」

使い番「ははっ。ご家老様より言伝に御座りまする!」

帝「……申してみよ」

使い番「はっ、本国より書が届きまして……」

魔道士「本国…!?」

使い番「本国の王より、直々に謁見なさりたいと……」

召喚士「!?」

帝「なんと…っ」

盗賊「…ほ、本国の王…って」

戦士「皇太子殿下だろうな」

土忍「…しかし…早すぎるな」

召喚士「…隊長達だ」

女剣士「……?」

召喚士「本国へ報告すると言ってましたから…」
346 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/05(日) 03:23:55.27 ID:f98HRqIo
風忍「それにしても動きが早いな…」

帝「此方としては願ったりだ。それで…いつ来られると…?」

使い番「そ、それが……既に東方へ向かわれておるとの事…」

帝「何…っ!?」

戦士「……早すぎんだろ」

召喚士「…う、うん」

帝「……」

使い番「ご家老様、名代様は上様のご判断を仰ぐと……」

帝「…帰るぞ」

女剣士「え…?」

帝「都へ帰るぞ。……会おう」

水忍「良いのですか…?」

帝「折角お越しになるのだ。それに乗らない手はない」

御館様「……確かにそうかもしれませんな」

帝「すぐに手筈を整えい。それと……」
347 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/05(日) 03:24:25.43 ID:f98HRqIo
チラッ

召喚士「……?」

帝「召喚士らは本国の王と面識があったな?」

召喚士「え、ええ……」

帝「お主等さえ良ければ、共に来ては貰えんだろうか?」

盗賊「…そ、それは構えいませんが」

魔道士「い、いいんですか…?」

帝「うむ。利用するような形になってしまうかもしれんが…」

召喚士「俺らは全然問題ないですよ」

戦士「ああ。一緒に行きましょう」

帝「助かる」

侍女「そ、それじゃすぐに用意しますね!みんな、着替えて!」

戦士「おう!」

火忍「上様、くれぐれもお気を付けて!」

帝「……うむ、有難う」
348 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/05(日) 03:25:19.07 ID:f98HRqIo
ザザーン…ザザーン…

〜洋上〜

皇太子「……」

右秘書官「どうしました?海など見つめて…」

皇太子「…いや、東方の海も初めてなものでな」

右秘書官「……はぁ」

皇太子「東方の王か、一体どんな者であろうな」

右秘書官「まだ幼いと伺います。交渉は後見人になるでしょうな」

皇太子「……うむ」

エリート「…しかし、殿下の気まぐれにも困ったものだな」

右文官「お陰で窮地を切り抜けたではありませんか」

エリート「……まぁそれもそうだが」

右文官「一時凌ぎに過ぎぬが…良いタイミングであったわ」

エリート「……」

右文官「もう間もなく着くかな。殿下にもお伝えして船内に戻るとしよう」
349 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/05(日) 03:26:00.98 ID:f98HRqIo
遡る事数日前、本国では一つの動きがあった。

〜本国、王宮〜

エリート「……チェックメイト」

コトッ

皇太子「……むっ」

エリート「チェスでは殿下を越えてしまいましたかな…」

皇太子「こやつめ…ハハハ」

エリート「ははっ」

タッタッタ…コンコン…カチャッ

青年兵「失礼致します…っ!」

エリート「このような夜分にどうした?」

皇太子「……」

コトッ

青年兵「はっ。じ、実は……」

皇太子「何だ、申してみよ」
350 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/05(日) 03:27:07.02 ID:f98HRqIo
青年兵「左大臣様が…面会をと……」

エリート「このような時間にか!?」

青年兵「すでに玉座の間へお出ででございます!」

エリート「…ちぃ、一体何だと言うのだ」

皇太子「…まぁいい。すぐに向かう」

エリート「殿下…!」

皇太子「無下に帰すわけにもいくまい」

エリート「それはそうですが…何か目論見があるのかも…」

皇太子「…ん、チェックメイトだぞ?」

エリート「え…っ?」

コトッ

エリート「あっ!!…い…いや、こんなところに空きがあったか…!?」

皇太子「勝負は私の勝ちだな。さて、行くとしよう」

スタスタスタ

エリート「殿下!?…さては入れ替えましたな!大人気ない…っ」
351 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/05(日) 03:27:35.15 ID:f98HRqIo
カツカツカツカツ…ギィッ

皇太子「…待たせた。何用か」

左大臣「これは殿下ァ。夜分にすみませんなァ」

皇太子「構わん。用件を述べよ」

左大臣「先日の強盗事件もようやく一段落着きましてなァ…」

皇太子「そうか、災難であったな」

左大臣「そこで、そろそろ議会を開こうかと……」

エリート「何!?」

左大臣「我らとて、国民からの税金を湯水のように使うわけにはいきませぬ」

青年兵「……」

左大臣「無駄な経費は早々に処置を施さねばなりませんからなァ」

皇太子「…もっともだな」

エリート「そ、それで……いつ議会を開かれるおつもりか?」

左大臣「そうですなァ……近日中、いや…数日中にはァ……」

青年兵「っ!?」
352 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/05(日) 03:28:03.84 ID:f98HRqIo
エリート「急ぎすぎではないのですか?準備も何も…」

左大臣「準備?ただの話し合いに準備なの必要かね?」

エリート「それはそうですが……」

左大臣「それとも、何か小細工でも考えておるとかァ?」

エリート「……まさか」

左大臣「…どのみち票数で決議するもの。条件は一緒よ」

エリート(何をぬけぬけと…!票で左翼が上回る事は火を見るより明らかではないか!)

左大臣「準備に一日二日要します。出来次第すぐに連絡致しましょう」

皇太子「……分かった」

左大臣「予定は空けておいて下されよ?フッハハハ」

コツコツコツコツコツ…

青年兵「で、殿下……っ」

皇太子「致し方あるまい。いずれは分かっていた事だ」

エリート「……っ」

皇太子「とにかく今日はもう休むとしよう。お前らも下がるがいい」
353 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/05(日) 03:31:28.70 ID:f98HRqIo


青年兵「…まずい事になりましたね…っ」

エリート「……」

青年兵「ど、どうなさいますか…?」

エリート「今更説得も難しいだろうしな……」

青年兵「い、いよいよ打つ手なし…ですか…」

エリート「…まだ時間はある。限りなく短い時間ではあるが」

青年兵「エリート様…」

エリート「とにかく、各方面の右翼協力者へコンタクトを取るぞ」

青年兵「は、はい!」

エリート「それから北の大軍師殿にもだ」

青年兵「明日の朝一番で伝令を飛ばします」

エリート「頼むぞ」

青年兵「はっ!それでは…おやすみなさい」

エリート「…ああ、おやすみ」
354 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/05(日) 03:41:29.44 ID:JnVVpB2o
深夜更新きた!
355 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/05(日) 04:55:43.44 ID:gtowZwDO
>>1乙!
深夜更新キテター!!
年末で忙しいみたいだし無理して体調崩さないように気をつけてな−
356 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/05(日) 10:39:30.25 ID:qI7xTwDO
ヤマタノオロチの件は解決したし左大臣ざまぁwwwwwwな展開に期待
357 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/05(日) 23:11:53.36 ID:f98HRqIo
コツコツコツ…

左秘書官「お疲れ様でした。いかがでした?」

左大臣「…別に、これと言った事もない」

左文官「馬車を正面へ回せ」

従者「ははっ」

左秘書官「それで…動きはありそうですか?」

左大臣「どうだかなァ…。動くにせよ大した手はあるまい」

左秘書官「それもそうでしょうが……」

左文官「しかし……」

左大臣「……」

左文官「ここ最近、性急ではありませんか?」

左大臣「…んー?」

左文官「あ、いえ…っ。なんと言いますか……」

左大臣「…ほぉ、焦っているとでも言いたいのかァ…?」

左文官「そ、そのような事は決して……!!」
358 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/05(日) 23:12:29.79 ID:f98HRqIo
左秘書官「左文官殿が申される事も一理ございます」

左大臣「…なに?」

左秘書官「一連の騒ぎで一部の国民に不信感が出ております」

左大臣「……」

左秘書官「こちらのみ…というわけではありませんが……」

左大臣「…ふぅむ」

左文官「中には魔王軍と通じているなどという不穏な噂も…」

左大臣「……」

左文官「い、いや…っ!通じているなどというわけではなく…!」

左大臣「…貴様らはどう思うのだ?」

左秘書官「まさか、そのような事…微塵たりとも…」

左大臣「では構わんだろう。捨て置けい」

左文官「しかし……右翼の風説による罠とも考えられます」

左大臣「……失望したなァ」

左文官「……!?」
359 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/05(日) 23:13:27.97 ID:f98HRqIo
左大臣「貴様らが物ともせぬ噂を…民が信じると思うかね?」

左秘書官「尤もですな」

左文官「……っ」

左大臣「最近慌しかったからなァ。貴様らも疲れておるのだろう…」

左文官「……」

左大臣「また忙しくなる。休めるうちにしっかり休めよ…?」

左秘書官「…はっ」

左大臣「今日はこのまま屋敷へ戻る。貴様らも直帰するが良い」

左文官「……は、ははっ」

左大臣「…ではなァ」

カツカツカツ…

左大臣「……そうそう」

左文官「…?」

左大臣「先の噂」

左秘書官「魔王軍と通じているというヤツですか?」
360 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/05(日) 23:14:00.05 ID:f98HRqIo
左大臣「一つ…言っておくがァ、私はなァ……」

左文官「……」

左大臣「もし魔王軍と手を組む事が利益になるのならばァ……」

左秘書官「……!?」

左大臣「我らの理想とする国…世界の為とあらば、魔王軍と手を組むぞ」

左文官「っ!!」

左大臣「……フッハハハァ。もしもの話だよ」

コツコツコツコツコツ…

左文官「……怖い…お方だっ」

左秘書官「だが、それが左大臣様よ」

左文官「……っ」

左秘書官「己の正義とあらば、悪魔とも契約なさる…そんな方だ」

左文官「……あ、ああ」

左秘書官「左大臣様の理想は我らの理想…。さぁ、戻りましょう」

左文官「う……うむ」
361 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/05(日) 23:15:36.07 ID:f98HRqIo
〜次の日〜

カツカツカツ…

エリート「…おはよう。眠れたか?」

青年兵「おはようございます…。一睡も出来ませんでした……」

エリート「…だろうな。私もだ」

コツコツコツコツ

皇太子「…おはよう……二人して顔色が優れんな。大丈夫か?」

青年兵「……おはようございます」

皇太子「気持ちの良い朝だな。さぁ朝食にしょうか」

コツコツコツ…

エリート「……大胆と言うか……暢気と言うか」

青年兵「まぁ…それが殿下の良いところでもあります」

エリート「まぁな」

青年兵「…あ。各方面への伝令は先程完了致しました」

エリート「ご苦労。さて…と、我々も朝食の共をするとしよう」
362 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/05(日) 23:16:49.04 ID:f98HRqIo
右文官「はっ」

カツカツカツカツ…カサッ

皇太子「どれ……」

青年兵「うまく…いったのでしょうか…?」

エリート「確か一度は入国に失敗したと聞いたが…」

青年兵「その後に観光名義でもう一度出発なされました」

エリート「…そうであったな。して、殿下…如何なる内容で?」

皇太子「…これより東方の北側へ向かうとの事だ」

青年兵「北へ…ですか?」

皇太子「……ヤマタノオロチ討伐に参戦すると書いてある」

エリート「――っ!!」

青年兵「ヤ……ヤマタノオロチ…討伐!?」

皇太子「書の到着から逆算すると、既に交戦中かもしれんな……」

青年兵「え、援軍は…宜しいので!?」

エリート「同様の伝書は本部にも行っているだろう。それで動きがないとすると…」
363 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/05(日) 23:17:42.70 ID:f98HRqIo
青年兵「しかし…っ、敵は強大と伺います…っ!」

エリート「そう簡単に援軍など出せぬさ。出来ていれば彼らが行く事もあるまい」

皇太子「そういう事だ」

青年兵「……っ」

皇太子「思ったより早かったな」

エリート「ええ。同盟後に共闘がベストではありましたが……」

皇太子「致し方あるまい。そうそう都合の良いようにはいかんさ」

青年兵「……」

エリート「あとは…何と…?」

皇太子「…うむ。こちらは吉報だ」

青年兵「…?」

皇太子「東方の王が面会に前向きだそうだ」

エリート「なんと…っ!!」

青年兵「やりましたね!」

皇太子「…まずは一歩前進だな」
364 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/05(日) 23:19:42.78 ID:f98HRqIo
青年兵「しかしながら…今は時期が悪かったですね……」

エリート「まぁな。だがそう分かっただけでも収穫さ」

皇太子「……いや、待て」

エリート「…?」

皇太子「行こうではないか」

青年兵「へ、へ…っ?」

皇太子「東方へ行こうではないか。明日にでもすぐに」

エリート「なっ、何を仰っているのです!」

右文官「このような時に……」

青年兵「……あ…っ」

皇太子「…そうだ」

エリート「ま、まさか…この時だからこそ…行くというのですか!?」

皇太子「そうだ。良かったじゃないか…活路が見出せたぞ」

右文官「そ、それはそうですが……」

エリート「東方の事情すら分からぬまま行かれるなど……」
365 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/05(日) 23:37:16.19 ID:f98HRqIo
青年兵「そ、そうですよ…!しかも東方ではヤマタノオロチと交戦すると……」

皇太子「かといって、本国に居れば左翼の思う壺ではないのか?」

エリート「……」

皇太子「まぁ…あちらにも都合はある。ダメなら東方観光でもしようではないか」

青年兵「殿下…っ」

右文官「……」

エリート「……分かりました。但し条件があります」

皇太子「何だ?」

エリート「一つは戦闘に関わらない事。一切の武装は持参致しません」

皇太子「…良かろう。それで、もう一つは?」

エリート「私も付き従います」

皇太子「…分かった。エリートと右文官の二人が共に来たまえ」

右文官「わ、私も…ですか?」

皇太子「君の仕事だろう?」

右文官「……は、はぁ」
366 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/05(日) 23:42:01.70 ID:f98HRqIo
皇太子「青年兵、君は本国に残り右秘書官と左翼の動きをチェックしてくれ」

青年兵「か、畏まりました!」

皇太子「いざとなれば右大臣にも手を借りると良い」

青年兵「…はっ!」

エリート「父には私からも口添えしておく」

青年兵「では、すぐに準備へ取り掛かります」

皇太子「頼んだ」

右文官「西方参謀殿にも伝書をしておきましょう」

エリート(これで一時的ではあるが…左大臣の思惑からは逃れられるか…)

皇太子「東方か…。手土産はどうするかな…」

エリート「……」

皇太子「…どうした、顔が険しいぞ。もっとリラックスしたらどうだ?ははっ」

エリート「……っ」

一抹の杞憂を残し、こうして皇太子らは東方入りをする事と相成った。

彼らが出航する丁度その頃、東方ではヤマタノオロチの討伐が完了したのであった…。
367 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/06(月) 00:20:20.44 ID:1OW6cvso
それではここまでにて!ご支援感謝感謝!
ではおやすみなさーい!ノシ

〜オマケ〜

皇太子「……ブツブツ」

ソーッ

青年兵「…で、殿下は何をなさってるのです?」

エリート「…さぁな。遠足気分で身支度でもしているんじゃないか?」

青年兵「ま…まさかぁ。はは…っ」

エリート「私も下準備をしなくてはな。いくぞ」

青年兵「はい」

スタスタスタ

皇太子「…折り畳み傘に…替えの下着…と」

ゴソゴソッ

皇太子「ん…?そういえば……」

ゴソッ

皇太子「……おやつはいくらまでだったか。まぁ…適当に持っていくか。はははっ」
368 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/06(月) 00:35:52.29 ID:VpSx.kDO
>>1乙っす
369 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/06(月) 00:39:10.20 ID:uMjpEDso
いちおつ
370 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/06(月) 01:32:43.53 ID:V/FZYeU0
1乙
同盟はうまくいきそうだね
371 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/06(月) 01:37:57.82 ID:MHMiWkDO
>>1乙!
殿下と東方の面々は相性良さそうだな
今から掛け合いが楽しみだwwww
372 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/06(月) 02:19:33.75 ID:wvkCXkUo
殿下、王子、帝・・・どうしてこの世界のお偉方は戦闘、外交の前線に立ちたがるのか

控えめなのは三男くらいじゃねぇか
373 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/06(月) 13:37:58.85 ID:hPMnuOwo
いちおつおつ
これ以上、人物(外交官等)が出るとキャラ増esくぁwwせdrftgyふじこlp
374 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/06(月) 16:35:33.88 ID:7JI1w/s0
戦場のことを知らんで軍縮しようとする東の島国のバカよかマシじゃないか
375 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/06(月) 16:40:06.80 ID:am1fTVco
>>372
上に立つ人間はその身を持って規範を示さなければならない

どっかの東の島国が異常に腐ってるだけ
376 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/06(月) 17:35:23.05 ID:wvkCXkUo
わざわざ切り込み隊長にならんでもいいだろwwwwww
377 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/06(月) 17:37:27.25 ID:9zXvfgEo
こんばんは。今日もご支援ありがとうございます!
確かに揃いも揃ってぶっ飛んでますね…
王子以外は多少自重するような気がします…

>>373
こ、これは不二子のような外交官を出せと!?…嘘です
自分でも把握が怪しくなってきたので新キャラは減ると思います↓続き
378 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/06(月) 17:37:55.48 ID:IjI1QAI0
さあ早く
379 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 17:38:14.15 ID:9zXvfgEo
〜経済機関庁舎〜

左翼兵「とにかく事実関係を整理するのだ!」

左文官「いつの話だそれは!?」

カツカツカツカツ

左大臣「随分と騒がしいなァ……」

左文官「さ、左大臣様…っ」

左大臣「一体何があったのだァ?大商家が破産でもしたかァ…フハハァ」

左秘書官「殿下が出航されたそうです」

左大臣「出航?何処へだァ…?」

左秘書官「……東へ向かったと」

左大臣「東?…この期に及んで東方司令部を抱き込むつもりかァ」

左文官「無駄足だとは思いますが……」

左大臣「先日、右翼のヒヨッコが乗り込んで撃沈したらしいじゃないかァ」

左秘書官「青年兵ですね。確かに説得も出来ず引き下がっております」

左文官「…しかし、此度は殿下直々で…っ」
380 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 17:38:59.61 ID:9zXvfgEo
左大臣「…フッハハハァ。本当に心配性な男よ…貴様はァ」

左文官「……っ」

左大臣「まァ、貴様の言う事も然りか。それで、殿下以外にはァ?」

左翼兵「エリート様と右文官様が同行の模様…!」

左大臣「秘書官やヒヨッコは抜きか。確かに本腰入れておるようだなァ」

左文官「司令部丸ごと抱え込む事は不可能でも…一部の切り崩し程度なら…」

左大臣「直々の演説で可能かァ?……ふぅむ」

左秘書官「……」

左大臣「わざわざくれてやる事もない…かァ。よし、手を回しておけい」

左秘書官「……気になりますね」

左大臣「…それ程の事かァ?」

左秘書官「いえ、殿下とてそこは分かっているのではないでしょうか」

左大臣「…何が言いたい?」

左秘書官「狙いは……本当に東方司令部なのでしょうか?」

左文官「議会と聞いて慌てて行動に移られたのでしょう」
381 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 17:39:29.34 ID:9zXvfgEo
左大臣「……待て、どういう意味だァ?」

左文官「…で、ですから…近日中に議会との事で……」

左大臣「貴様ではない。秘書官…何が本当の狙いだと申すのだァ?」

左秘書官「殿下の狙いは……東方司令部の…更に東なのでは――」

左文官「…!?」

左大臣「な……に?」

左文官「まさか……東方との同盟交渉に…!?」

左秘書官「いや、あくまで推測ですが…可能性は無きにしもあらず」

左大臣「…成程なァ。抱え込むより易しと踏んだかァ」

左文官「い、如何致しますか!?」

左大臣「如何も何もなかろう。そこまでは追いきれんよ」

左秘書官「ひとまず東方司令部へ手を打ち、そこで様子を伺いましょう」

左大臣「…うむ。頼んだぞ」

左文官「……早急に東方司令部へ人をやるのだ!急げ!」

左大臣「……やってくれる……右翼」
382 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 17:40:01.07 ID:9zXvfgEo
〜海上、現在〜

皇太子「……もう間もなく東方か」

エリート「…何ですかそれは?」

皇太子「……チョコレートだが。お前も食すか?」

エリート「…結構です」

右秘書官「さて、左翼は動きますかね?」

右文官「あれしきの事で撹乱出来たとは思えぬがな」

エリート「まぁそうでしょうね。しかし殿下不在では議会も何もありませんよ」

右文官「それもそうか……」

皇太子「……うーん、やや甘みが足りんな。これは外れか…」

エリート(一体…殿下はどこまでお考えの上で動いておられるのだろうか…)

海兵「申し上げます。まもなく東方、都へ入港致します」

皇太子「おっ、ご苦労」

右秘書官「やはり小型の船であればすんなり入港出来るようですね」

エリート「…さて、いよいよ本番だな」
383 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 17:40:33.24 ID:9zXvfgEo
〜前日、本国王宮にて〜

右秘書官「……」

青年兵「……」

カツカツカツ

王宮兵「申し上げます」

右秘書官「…?」

王宮兵「高官様、お二人に面会をお求めになられております」

青年兵「高官様が…!?」

右秘書官「…良かろう。 応接間へご案内せよ」

王宮兵「はっ」

青年兵「殿下ご不在の時に…何用でしょうか?」

右秘書官「…さぁな。高官殿はやや歩み寄っているとは言え、未だ左翼…」

青年兵「……何か探りを入れに来たとも」

右秘書官「…心してかかるよう」

青年兵「ははっ」
384 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 17:40:59.58 ID:9zXvfgEo
〜応接間〜

カチャッ…キィ

青年兵「失礼致します」

右秘書官「…お待たせ致しました」

高官「こちらこそ、急な面会で申し訳ない」

起立し一礼する高官へ着席を促しながら、二人も席へと着く。

右秘書官「ご存知と思いますが、殿下はご不在につき我々が…」

高官「存じておる。東方司令部へ向かわれたと左翼内でも話が持ちきりだ」

青年兵「……」

右秘書官「…ならば、一体何用でしょうか?」

高官「…うむ。左翼上層部については、どうもそうでないようなのだ」

青年兵「…?」

高官「殿下は、東方へ向かわれたのではないか?」

右秘書官「……」

高官「…そう考えておるようだ」
385 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 17:41:34.76 ID:9zXvfgEo
右秘書官「成程。しかし我々も東方司令部へ向かうとしか伺っておりません」

高官「…………」

青年兵「……」

右秘書官「……」

高官「恐らく…二人が考えている通り、探りを入れてくるよう言われた」

右秘書官「…随分とご正直でいらっしゃる」

スクッ

高官「…気を付けよ、単純な小細工など見抜いてしまう連中よ」

右秘書官「…ご忠告、感謝致します」

高官「……ふっ」

カツカツカツ…

青年兵「…も、もうお帰りで…?」

高官「あまり長居しておると、私の立場も危ういのでね。失礼」

右秘書官「……ご苦労様です」

高官は二人へ向けて微笑を見せ、応接間を後にした。
386 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 17:42:03.48 ID:9zXvfgEo
青年兵「……」

右秘書官「…これはチャンスかもしれんな」

青年兵「…?」

右秘書官「左翼の連中、疑心暗鬼に陥っているな」

青年兵「そ、そのようで……」

右秘書官「…ふっふ。殿下の気まぐれな行動が功を奏したか…ふっふふふ」

青年兵「……」

右秘書官「…ごほん。我らも東方司令部へ向かうぞ」

青年兵「!?」

右秘書官「奴等が裏を突こうと言うならば、我らもそれを利用しようではないか」

青年兵「つ、つまり…えぇと……?」

右秘書官「難しく考える必要はない。今回は型にはまった策などないよ」

青年兵「…は、はい」

右秘書官「その都度臨機応変に策を為す。無策の策…と言ったところか」

青年兵「なるほど…っ」
387 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 17:42:30.42 ID:9zXvfgEo


右秘書官「…陸路の方が若干は早いか」

王宮兵「ターミナルからの馬車を考えますと…どうでしょうかね」

青年兵「……」

右秘書官「殿下が東方司令部にどれ程滞在されるか分からんからな…」

王宮兵「早めに追われた方が宜しいでしょう」

青年兵「…あ、あの」

右秘書官「…?」

青年兵「一つ…手段がありますが……」

右秘書官「陸路と海路以外に手段などあるのか…?」

青年兵「は、はい…っ。空を……」

王宮兵「空路……がははは!それは便利、夢のような話ですなぁ…!」

右秘書官「青年兵、すまんが真剣に考えてくれないか?」

青年兵「い、いや…真剣です」

右秘書官「……?」
388 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 17:42:59.84 ID:9zXvfgEo


王宮内を離れ、青年兵らは中庭へと場を移した。

王宮兵「……っ」

青年兵「出でよ、ワイバーン!!」

シュイィン

王宮兵「こ…これが召喚獣…っ!!」

ワイバーン「……また貴様か」

青年兵「世話になるよ、ワイバーンさん」

右秘書官「お、お前…召喚獣と話せるのか…!?」

青年兵「…右秘書官様、世間は広いものですよっ」

ヒョイッ

右秘書官「……こ、これに…乗るのか」

ビクビクッ…ソーッ

右秘書官「…お、落ちたりしないだろうな!?」

青年兵「僕の魔力次第ですかね…では、行きましょう!」
389 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 17:43:28.92 ID:9zXvfgEo
豪快な羽ばたきと共に、ワイバーンが大空高く飛び立つ。

ドウッ!!…バサッ…バサァ…

王宮兵「……す、すご…っ!!」

ギュオオオォォ

右秘書官「――っ!!」

青年兵「しっかり掴まっていて下さい!飛ばしますよ!!」

ドウンッ!!

右秘書官「ほ……本当に空を…っ!ゆ、夢のようだ…っ」

青年兵「片道くらいなら…僕の魔力でも事足りるはずだ…っ!」

ギュオオォォ…ドシュウウゥゥンッ!!

〜経済機関、庁舎〜

左秘書官「…ほぉ、二人は東方司令部へ行くと申していたのですね?」

高官「そのようだ」

左大臣「……」

左文官「そのような手を打ってきますかね…」
390 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 17:43:58.20 ID:9zXvfgEo
タッタッタッタッタ

左翼兵「申し上げます!右秘書官様、青年兵様が王宮を出たと…!」

左文官「何ぃ!?」

左大臣「それで、何処へ向かったのだァ?」

左翼兵「東方司令部へ向かわれたと…!」

左秘書官「高官殿の探りが決めてになりましたな」

高官「…?」

左秘書官「これでまんまと右翼の核となる連中を…おびき寄せました」

左大臣「つまり…殿下の行き先は東方司令部で確定だァ」

左秘書官「ここで工作にせよ殿下の演説にせよ…阻害出来れば…」

左文官「……東方司令部は今後とも靡く事はない…か」

左大臣「奴らの事だァ。油断はするなよ?何があるか分からんからなァ」

左秘書官「無論です。付け入る隙など与えませんよ」

高官「……」

左大臣「さぁて、折角ガラ空きになった本国だ。他の手も打っておくかァ」
391 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 17:44:31.40 ID:9zXvfgEo


ザザーン…ザザーン…

海兵「ターミナル、到着致しました」

カツカツカツ…

右文官「ご苦労」

皇太子「ここから司令部へは馬車であったな」

エリート「はい。お乗り下さい」

皇太子「…うむ」

右文官「…よっと。いいぞ、出してくれ」

ガラガラッ…パッカパッカパッカ…

エリート「殿下、分かっておられると思いますが…視察だけですからね」

皇太子「…何だ?私が暴れるとでも思っているのか?」

エリート「…可能性はあります」

皇太子「相変わらず手厳しい奴だな。はははっ」

エリート「……」
392 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 17:44:59.45 ID:9zXvfgEo
ゴウッ!!

右秘書官「……く…ぅ!!」

青年兵「…間もなく……大陸の東に入ります…っ!」

ゴオオォォ…ビリビリビリッ

青年兵(……思ったより負担が…大きいな…っ)

ワイバーン「お前一人ではないせいだろう」

青年兵「っ!!」

ワイバーン「無理をするな。速度を落とし…低空に入るぞ」

青年兵「あ…りがと…っ!」

ギュオッ……ドシュウウゥゥ…



青年兵「……はぁ…はぁ……はぁ」

右秘書官「青年兵、大丈夫か…?」

青年兵「…はぁ…は、はい…っ。すみませ……っ」

ワイバーン「…全く。とんだ無茶をしよるわ」
393 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 17:45:37.52 ID:9zXvfgEo
青年兵「ご、ごめん……」

ワイバーン「…ふん」

シュイィン

右秘書官「…しかし、凄いものだな」

青年兵「すみません…っ。まだ司令部まで距離があるというのに……」

右秘書官「いやいや、ここまで来れただけでもかなりの短縮になった」

青年兵「そう言って頂けると…救われます…っ」

右秘書官「…ふっ。但し、この事は殿下に言うでないぞ?」

青年兵「…ま、まぁそのつもりはありませんてしたが…また何故です?」

右秘書官「殿下の事だ。遊戯に利用されるぞ?」

青年兵「あ…っ」

右秘書官「……さて、ここからどうするかな」

ドドッドドッドドッ…

右秘書官「ん…?この音は…馬の蹄か…!?」

青年兵「右秘書官様っ!あれを…!!」
394 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 17:46:09.30 ID:9zXvfgEo
前方より砂煙を上げ、一台の馬車が二人の元へと近づいてくる。

ドドッドドッドドッ

右秘書官「しめた…馬車かっ!おおーい!!」

ドドッドドッ…ドドォ…

御者「…や、やっぱり…人がいる!?」

青年兵「すみません、もしお手すきなら乗せて頂けませんか?」

御者「そ、そりゃあ構いませんが……」

右秘書官「では、有難く…」

青年兵「失礼します」

御者「へ、へい…っ!」

ドドッ…パッカパッカパッカ…

御者「いえね、それで帰路の途中だったんですがね……」

右秘書官「成程、そうでしたか。お陰で助かりましたよ」

御者「魔物らしきのと人間が一緒に降りたったように見えたもんで…慌てて…」

青年兵「は、はは…っ。交戦中でそう見えたのでしょう!はははっ!」
395 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 17:46:45.69 ID:9zXvfgEo
右秘書官「馬車も物資も襲われ途方に暮れていたところですよ」

御者「いやはや、良かった良かった!」

右秘書官「しかし気を付けなされよ?」

御者「…へ?」

右秘書官「いくら人が居るからと、魔物の傍に近寄りすぎるは命知らずですぞ」

御者「ちょいと勇みすぎやしたね…ご忠告感謝します!」

右秘書官「まぁそのお陰で、我らもこうして乗せて頂いているわけだが…」

青年兵「……全くです」

御者「行き先は真っ直ぐ東方司令部で良かったですか?」

右秘書官「ええ。お願いします」

御者「了解致しました!そんじゃあ飛ばしますよ!!」

青年兵「お願いします」

右秘書官「これなら何とか、殿下に追いつけそうだな」

青年兵「…はい!」

ドドッドドッドドッ…
396 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 17:47:22.70 ID:9zXvfgEo
〜東方司令部〜

東方副司令「もう間もなくだぞ、列を崩すな」

当方兵「殿下、ご到着なされました!!」

東方司令「…全員ー敬礼ぃーっ!!」

ザザッ!!

正門をくぐる馬車を東方の兵らが左右一列に並び、皇太子を敬礼で出迎える。

パッカパッカパッカ…ドドォ

東方司令「敬礼やめぇー!全員……正面、戻れっ!!」

ババッ…ジャッ!!

東方副司令「殿下のお見えである。こちらへ注目せよ!」

カチャッ

皇太子「…ご苦労」

エリート「……」

右文官「……」

カツカツカツ
397 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 17:47:58.15 ID:9zXvfgEo
東方司令「殿下、此度は視察の程まことに有難う御座います」

皇太子「いやいや、こちらこそ急な来訪…世話をかける」

東方司令「…いえ、とんでも御座いません」

ザッ

皇太子「東方の諸君、務め…ご苦労である」

東方兵「…おぉ」

魔道兵「で、殿下直々に御言葉を…っ!」

皇太子「東方司令部は他の司令部と違い、かなり負担をかけてしまっている」

東方副司令「……」

皇太子「何か力添え出来れば良いが…大変申し訳なく思う。すまんな」

東方兵「何を仰られますか!殿下のお顔が拝見出来ただけで十分です!」

魔道士「はいっ!我らは殿下の…そして本国の為に勤めておるのです!」

皇太子「…頼もしい限りだ。以後も宜しく頼むぞ」

ワアアァァァァ!!

東方兵「殿下ぁーっ!!」
398 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 17:48:28.53 ID:9zXvfgEo
カツカツカツ…

右文官「相変わらず見事な手際よ。あの短い挨拶でよくもまぁ…」

エリート「狙っての事かどうかは分かりませんがね…」

右文官「……それが殿下の怖いところよ。はははっ」

エリート「……全くですよ」

ぽつりと呟くエリートは、前方を歩く皇太子の顔を見つめる。

皇太子「それで、こちらはどうだ?不自由はないか…?」

東方司令「…特にこれといって御座いません」

皇太子「そうか。何か不自由あらば早急に申せよ?」

東方副司令「痛み入りまする」

皇太子「東方副司令、君も身体は大丈夫か?」

東方副司令「お陰様で何とか…。ご迷惑をお掛け致します」

皇太子「…いや。今後は後方支援として…東方で頑張ってくれ」

東方副司令「ははっ!」

皇太子「……どれ、東側も視察させて貰うか」
399 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 17:48:56.94 ID:9zXvfgEo
〜東方の都、現在〜

海兵「お足元ご注意下さいませ」

皇太子「うむ…すまんな」

トッ…スタスタスタ

皇太子「……おぉ、これが東方…!!」

エリート「異国というのも…なかなか……」

タッタッタッタッタ

右文官「…おぉ!?」

皇太子「…やぁ」

ザッ

隊長「……」

西方参謀「お待ちしておりました…殿下」

皇太子「堅苦しい挨拶は抜きだ。それで、東方の王は…?」

隊長「朝方より外出され、夜にはお戻りになられるようです」

皇太子「……そうか」
400 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 17:49:26.33 ID:9zXvfgEo
西方参謀「しかし書を見た時は驚きましたぞ…ヒック」

皇太子「ははっ。善は急げと申すではないか」

隊長「……」

エリート「さて、夜まで時間がありますな。どうなさいますか?」

皇太子「決まっておるだろう」

右文官「……?」

皇太子「観光だ。隊長…西方参謀、案内せよ」

エリート「殿下……」

皇太子「ははっ。果報は寝て待てと申すではないか」

西方参謀「…がっははは!仰るとおりにて!」

隊長「…ではご案内致しましょう。何をご覧になられますか?」

皇太子「まずは街並みだな。あとは任せるよ」

隊長「…はい」

皇太子「いやはや楽しみであるな。はははっ」

エリート「……」
401 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 17:49:56.94 ID:9zXvfgEo


ザッザッザッザッザ

西方参謀「…して、これがその店というわけでございます」

皇太子「…ほぉ。ここがそうか」

看板娘「いらっしゃいませっ!本国からの観光ですかっ?」

皇太子「ああ。えぇと…この『あんみつ』とやらを一つ…いや、二つ?」

エリート「一つで」

看板娘「あいっ!ありがとうございますっ。あんみつ一丁〜!」

店主「へいへいっ!」

皇太子「…よっと」

右文官「オープンカフェのようなものか…?」

隊長「まぁそういう事になりますな」

皇太子「…東方の気候も本国とは若干差があるのだな」

エリート「そうですね。此方の方がやや肌寒い感じが致します」

皇太子「……」
402 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 17:50:27.01 ID:9zXvfgEo
テクテクテク

看板娘「はいっ、あんみつ一丁お待たせしましたっ!」

皇太子「おぉ、きたきた。どれ……」

スクッ……パクッ

右文官「…いかがですか?」

皇太子「……うむ。これは美味!」

看板娘「ありがとうございますっ。お茶はおかわりありますからねっ」

皇太子「これはありがたい。…モグモグ」

ズズーッ

皇太子「……はぁ」

エリート(……満面の笑みだな…っ)

皇太子「しかし…不思議なものよ」

隊長「…?」

皇太子「つい昨日見た海の先に、このような異文化の国が広がっているとはな」

エリート「……ええ」
403 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 17:51:37.95 ID:9zXvfgEo
〜昨日、東の城壁にて〜

ザッザッザッザ

皇太子「これが噂の……」

エリート「月の宴はつい先日終えたばかりでしたか?」

東方副司令「ええ、その通りです」

右文官「本国の城壁より…遥かに堅固だな…っ」

皇太子「それはそうだ。海風や嵐からも守らねばならん」

東方司令「殿下の申す通りです」

皇太子「…それ、上に登ってみるか」

グッ…テクテクテク…

東方副司令「殿下!?」

エリート「一度言い出したら聞きませぬ。我らが付きます……」

東方司令「…副司令は戻っていろ。ボクが行くよ」

東方副司令「は、はぁ…」

テクテクテクテク…ザッ
404 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 17:52:12.29 ID:9zXvfgEo
皇太子「……これは絶景!」

右文官「ひ、ひえぇ……高い…っ!」

エリート「右文官殿も下で待たれては?」

右文官「そ、そうさせて貰う……ひいぃ…っ」

ザッザッザ

東方司令「……いかが…ですか?」

皇太子「…凄いな。世界は広いという事を痛感させられるよ」

東方司令「……」

皇太子「あの…遠方に見える陸が、東方か?」

東方司令「…あれは東方の手前に広がる小島です」

皇太子「そうか。ここから見ても東方はまだ遠いか…」

エリート「……」

東方司令「あの……殿下…」

皇太子「ん?」

東方司令「不躾ながら…東方に何か思惑でもおありで…?」
405 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 17:52:51.83 ID:9zXvfgEo
皇太子「……あるよ」

エリート「!?」

東方司令「……」

皇太子「東方だけではないさ」

東方司令「…?」

皇太子「いつかは国などという隔たりなく…世界で繋がりたいと思っている」

東方司令「世界……」

皇太子「ああ、世界だ。飢えも戦いもない…平和な世界だ」

エリート「……殿下、そろそろ戻りましょう(これ以上は心臓に悪すぎる…っ)」

皇太子「…ん、ああ」

ザッ

――「うわーっはっはっはっは!!」

エリート「っ!?」

東方司令「…あの……バカッ」

皇太子「この声…っ!」
406 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 17:53:31.61 ID:9zXvfgEo
ババッ!!…ビュオオォォ…

東方参謀「ワシはここだ!ここにおーる!!」

エリート「上か…っ!?」

バッ!!…ギュオオォォ…スタッ

東方参謀「殿下、ご機嫌麗しく……」

皇太子「やはり君か、東方先生!」

エリート「あれは…東方参謀殿か…!」

東方参謀「いやはや…見ぬうちにまた凛々しくなられましたなぁ!」

皇太子「そういうお前は変わらんなぁ…はははっ!」

東方司令「…知っておるのか?」

エリート「え、えぇ。まぁ……」

東方参謀「陛下の容態は…?思わしくないと伺うが……」

皇太子「最近じゃお前のような口煩い者達が消えて…すっかり弱っているよ」

東方参謀「…ワシとて何も好きで離れたわけではありませんぞ」

皇太子「分かっている。君のような者が前線に居てくれるからこそ助かってるのだ」
407 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/06(月) 18:24:21.92 ID:JARy.16o
豪快な羽ばたきと共に、ワイバーンが大空高く飛び立つ。

ドウッ!!…バサッ…バサァ…

王宮兵「……す、すご…っ!!」

ギュオオオォォ

右秘書官「――っ!!」

青年兵「しっかり掴まっていて下さい!飛ばしますよ!!」

ドウンッ!!

右秘書官「サラマンダーより、ずっとはやい!!」

青年兵「え?」

右秘書官「え?」
408 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 18:27:08.03 ID:9zXvfgEo
東方参謀「…うわはははっ!口も上手くなりましたなぁ!」

皇太子「全く…折角褒めていると言うのにこれか…はははっ」

ザッザッザッザッザ

皇太子「視察といっても、我らに出来る事はこの程度か」

エリート「…ですね。あまり関与しすぎると国軍本部の顔を潰しかねません」

皇太子「だな。さて…戻るとしようか」

テクテクテクテク

右文官「…ふーっ。終わりましたか」

皇太子「右文官、頭脳以外も鍛えた方が良いぞ」

右文官「良いのですっ!私の仕事は城壁の上へ登る事ではございませんっ!」

皇太子「…はははっ。それもそうだな」

エリート「さぁ行きますぞ」

右文官「…んっ?何やら正門のあたりが騒がしいな……」

皇太子「……?」

東方司令「…誰か、何があったのか報告致せ」
409 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/06(月) 18:30:07.20 ID:am1fTVco
おつ

>>407
そういうのは>>1の投下が終わってからにしろ
410 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 18:32:45.00 ID:9zXvfgEo
ドドォ…

御者「お待たせしやした!」

右秘書官「有難う。助かった」

御者「いえいえ!」

青年兵「では、ありがとうございました!」

右秘書官「…んっ?」

ドドッドドッ…ドドォ…

青年兵「…反対側にも馬車が…。殿下…ですかね?」

右秘書官「い、いや…あの馬車は…!!」

ガチャッ…ゾロゾロゾロ…

左翼士官「…右秘書官か。お前も来ていたのか」

青年兵「あ…あれは…っ!」

右秘書官「…左翼の連中だ」

左翼士官「お前らは先に入っていろ。すぐに行く」

左翼兵「はっ」
411 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/06(月) 18:37:21.43 ID:9zXvfgEo
>>407>>409
いや、こちらが間隔空いてしまったせいなので…すみません
ちょっと切って仕事に集中してきます!ノシ
412 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/06(月) 18:51:40.71 ID:JARy.16o
いや、こちらこそ早まってしまって申し訳ない
「ウフフ、もうデちゃったの?///案外だらしないのね?///」ペロペロ
って弓使いにしょっちゅう怒られるぐらい我慢できない性質なもんで
413 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/06(月) 20:15:38.74 ID:SFYxI2DO
今日は季節外れに暑かったから、>>412は頭湧いちゃったんだな

ご愁傷様です
414 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/06(月) 23:05:05.74 ID:mQ5WVsDO
餡蜜二つ頼もうとしたのは、部下の分じゃなくて自分で二つ食べるためなのか?
415 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 23:37:12.64 ID:1OW6cvso
カツカツカツ…

左翼士官「…ん?見ない顔だな」

青年兵「は、始めまして……」

左翼士官「新米か。頑張りたまえよ」

青年兵「……はい」

左翼士官「それで、殿下のお手伝いかね?」

右秘書官「…だとしたら?」

左翼士官「…何を企んでいるかはしらんが」

右秘書官「……」

左翼士官「好きにはさせんよ。まぁ大人しくしている事だな…」

カツカツカツ…

青年兵「あの方は……?」

右秘書官「裏方だよ。経済機関の実務を担っている連中さ」

青年兵「実務…っ?」

右秘書官「厄介だぞ。奴らには感情論や同情は一切ない」
416 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 23:37:44.75 ID:1OW6cvso
カツカツカツカツ…

左翼士官「…おや、これは殿下。もう演説は終えたのですか?」

皇太子「演説?そんな大層な事はしてないさ」

左翼士官「そうですか。てっきり東方司令部を篭絡されに来たのかと思いましたよ」

エリート「貴様、言葉に気を付けよ。殿下に対し何という……」

皇太子「構わん。少し時期が悪かったようだな。これで失礼するとしよう」

左翼士官「……そう願いたいものですね」

エリート「……」

左翼士官「…何か?」

右文官「い、行きましょう…っ」

カツカツカツ

左翼士官「…ふん。コバンザメの青二才め」

左翼兵「会見の準備が整いました」

左翼士官「ご苦労。僅かに芽生えた芽であろうと…摘まねばな。くくっ」

左翼兵「さ、左様で御座いますな……っ」
417 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 23:38:18.76 ID:1OW6cvso


右文官「…全く。相変わらず無礼な輩だっ」

エリート「……」

皇太子「そう目くじらを立てるな。相手の思う壷ではないのか?」

エリート「それはそうですが…礼節弁えぬ振る舞いには些か……」

ザッザッザ

右秘書官「殿下!」

皇太子「お前ら…来ていたのか!?」

青年兵「たった今、到着致しました」

エリート「…立った今?」

皇太子「早いな。それで、何か急ぎの用件か?」

右秘書官「お耳を……」

ボソボソッ

皇太子「……そうか。高官が」

右秘書官「今しがた左翼士官にも会いました」
418 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 23:40:01.67 ID:1OW6cvso
皇太子「ああ、私も会った。左翼も動きが早いものだな」

右秘書官「関心している場合ではないですぞ?」

右文官「それで…如何なさるつもりだ?」

エリート「予定は変えませぬ。東方へ向かいます」

青年兵「……」

右秘書官「しかし、ここにきて…ただそれで終わりというのも味気ない」

右文官「…?」

右秘書官「一石投じてみては…?」

エリート「何か策があるのですか?」

右秘書官「殿下のお声は届いたのですよね?」

右文官「…まぁ、説得に至るまではいかぬがな」

右秘書官「それでも、みすみす逃さぬ手はありますまい」

右文官「それもそうだが……」

皇太子「何をしようと言うのだ…?」

右秘書官「まずはですね……」
419 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 23:45:10.72 ID:1OW6cvso
〜都、現在〜

皇太子「…あぁ、美味かった!」

看板娘「ありがとうございましたっ!」

皇太子「これは帰りに土産として買っていこう」

エリート「……はぁ」

皇太子「青年兵には悪い事をしたからなぁ」

右文官「…くくっ」

右秘書官「……」

右文官「…あっ、いや……失礼」

隊長「何かあったのですか?」

エリート「…えぇと、まぁ…色々と」

西方参謀「左翼…ですかね?」

右秘書官「……東方滞在中に手を考えねばなりませぬ」

皇太子「まぁ、今は観光を楽しもうじゃないか。次はどこだ?ん?」

エリート「……」
420 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 23:48:46.73 ID:1OW6cvso
〜東方司令部、前日〜

青年兵「…へっ?」

右文官「い、今…なんと申した!?」

右秘書官「ですから、東方司令部へ潜りこみます」

エリート「……だ、大胆というか…無謀すぎる…っ!!」

右秘書官「だからこそですよ。誰もそんなことするとは思わないでしょう」

皇太子「…はっははは!それはそうだ」

エリート「しかし、難しいですね……」

右文官「協力者がおらぬ事にはどうにもならん。素性を調べられたら終わりだ」

エリート「そもそも誰が潜り込むのです?顔は割れてますよ」

右秘書官「一人居るではないですか。新米が……」

チラッ

エリート「……あ」

青年兵「……え…っ?」

右秘書官「ここは青年兵しかおりませぬ」
421 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/06(月) 23:52:38.87 ID:1OW6cvso
青年兵「も…もしかして僕が…司令部へ!?」

右秘書官「そういう事になる」

青年兵「むむ、無理ですよ!!」

右秘書官「……しまったな…っ」

右文官「…?」

右秘書官「先程、厄介なヤツに顔を見られてしまった…っ」

エリート「左翼士官ですか」

右秘書官「……やはり無謀すぎましたかね。ふふっ」

皇太子「……いや、面白いな。やってみよう」

青年兵「殿下っ!?」

皇太子「すまんな青年兵。力を貸して貰えないか?」

エリート「殿下!」

皇太子「なぁに、先日の件もある。露見したところで罪は軽いさ」

右文官「縁起でもない!失敗を前提に話されるな…っ」

右秘書官「まずは第一に協力者ですが……」
422 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 00:03:42.01 ID:v5y8Mp6o
右文官「いるのか…?ただですら敵地にも等しいここで……」

右秘書官「何も内部でなくとも良いのですよ…?」

皇太子「いや、いる。協力者とまでいかぬかもしれんが」

右文官「……!?」

エリート「まさか……」

皇太子「…ああ。東方先生なら話は分かってくれるはずだ」

右秘書官「東方先生…?あの東方参謀殿ですか?」

皇太子「ああ見えても左翼一辺倒というわけではないよ。彼は」

エリート「右翼も左翼も関係ないお人ですからね」

皇太子「互いの正しいところだけを見ておられる御仁だ」

右秘書官「……ならば、頼れそうですな」

右文官「そしてもう一つ……素性だが……」

右秘書官「よりによって左翼士官に見られたのは痛いな……」

皇太子「…いっその事、変装でもするか?」

青年兵「……っ!?」
423 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 00:07:21.88 ID:v5y8Mp6o
皇太子「冗談だよ冗談。はははっ」

右秘書官「……変装…っ!」

右文官「まさか…本気か!?」

右秘書官「変装か…確かに可能やもしれませんね」

エリート「どのような変装を施すのだ?青年兵のような童顔では老けさせるのも難しいですよ?」

青年兵「……」

右文官「しかもこのような薄い顔では…人相を変えるのも困難…」

青年兵「…………」

右秘書官「筋肉や体格もしっかりしているわけではないですしねぇ」

青年兵「………………」

皇太子「……そうなれば、手は一つしかないな」

エリート「まさか……」

右文官「まさか…ですね……」

右秘書官「まさかのようですね……」

青年兵「え…っ?えぇ?……えぇ!?」
424 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 00:12:18.38 ID:v5y8Mp6o


右秘書官「お越し頂きました」

皇太子「わざわざすまんな。東方先生」

東方参謀「…悪巧みなら協力はしませんぞ」

皇太子「悪巧みではないよ。本国の明日を担うものだ」

東方参謀「…全く。本国は相変わらず右翼だの左翼だのと…」

右文官「ご理解頂きたい。それでこそ均衡が取れているという事もあるのだ」

東方参謀「…して、何をするおつもりか?」

皇太子「一人、部下を東方司令部へ潜り込ませたい」

東方参謀「……その人物を見てから考えたいところですな」

エリート「…手厳しい方だ」

皇太子「…仕方ない。青年兵」

青年兵「はっ。失礼致します」

テクテクテク

東方参謀「…むぅ!?貴様は……っ」
425 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 00:16:09.72 ID:v5y8Mp6o
青年兵「…と、東方先生!?」

東方参謀「小僧…いや、青年兵か」

右秘書官「…面識がおありで?」

青年兵「先日、こやつが単身乗り込んできたであろう?」

エリート「…そういえば」

青年兵「その時、色々とお話させて頂いたのです」

皇太子「それでどうだ?私ら一番のお気に入りなのだが」

東方参謀「……」

青年兵「……っ」

東方参謀「…わっはははは!良かろう。この小僧なら預かり甲斐があるわっ!」

右文官「そ、それでは…!」

東方参謀「東方司令部におるうちは、ワシが手出しはさせん」

エリート「ありがとうございます…!」

皇太子「助かる。すまんな…東方先生」

東方参謀「ワシはこの者が気に入りました。ましてや殿下直々のご依頼では…断り切れませんな」
426 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 00:20:58.59 ID:v5y8Mp6o


右秘書官「しかし思わぬところで…ラッキーでしたな」

エリート「ましてや一度経験のある青年兵ならば…好都合であったか」

右文官「問題は……変装か」

皇太子「衣服や小道具はあったのか?」

エリート「ターミナルからの行商から買い入れました。手痛い出費ですよ…」

皇太子「・・・分かった分かった。後ほど経費で落とすが良い」

エリート「勿論です…!自腹など洒落になりません!」

海兵「で、出来ました〜」

バサッ…テクテクテク

右文官「こ、これは……っ」

右秘書官「海兵の中に女性が居て…助かりましたね…」

皇太子「……おぉ、これは予想以上ではないか!」

エリート「いいな?……今より君は『青年子』さんだ!」

青年兵「……っ」
427 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/07(火) 00:26:11.06 ID:v5y8Mp6o
ご支援ありがとうございました!
では、寝ます…おやすみなさい!ノシ

>>414
その通りでございます

〜オマケ〜

パッカパッカパッカ

戦士「腹減った〜」

召喚士「都まであと半分くらいだよ」

盗賊「…握り飯…用意して貰えば良かったな」

帝「仕方ない。近くの茶屋で小休止致すか」

魔道士「あっ!あそこにありますよっ!」

女剣士「なんて好都合……」

店員「いらっしゃいませ」

戦士「団子と握り飯!それから……」

女剣士「茶を。上様は如何なさいます?」

帝「……あ、あんみつ一つ!いやっ、ふ…二つ…っ!」
428 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/07(火) 00:46:43.11 ID:H1lt29Ao
1乙。
今日も面白かったです。

まったく女装好きだなぁ。
429 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/07(火) 01:19:52.35 ID:pnUdcQgo
青年子と召喚子の百合・・・いや薔薇・・・?ハァハァ
430 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/07(火) 03:30:51.54 ID:vzC.joAO
女装ワロタww
431 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/07(火) 04:04:40.96 ID:PAm4J6I0
1乙
変装好きだよね、帝も男装だったし
432 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/07(火) 05:20:57.63 ID:k1dXF2DO
>>1
これは参考資料が必要だな
433 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/07(火) 10:52:33.25 ID:/lqs1cAO
ガチムチ戦子まだー?
434 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/07(火) 11:16:25.77 ID:G87BAgAo
女装代の経費使い込みがばれて
キャミソールエリートと呼ばれるようになるんですね
わかります
435 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 16:55:53.61 ID:dzFRQYoo
スタスタスタ…

東方参謀「……むっ!?」

青年子「……」

東方参謀「青年兵……か?」

右秘書官「どうです?見事な変装でしょう」

皇太子「うむ。大したものだ」

東方参謀「……うわーっはっはっは!」

エリート「……」

東方参謀「ここまでしよるとは…。いや、褒めておるのだ!わはははっ!」

青年子「……ありがとう…ございます」

右文官「それで、どのように潜り込ませるのです?」

エリート「東方先生の親族という事にでもするしかありませんな」

東方参謀「そうだな。姪、という事にしておこうか」

皇太子「すまんな。手間をかける」

東方参謀「この程度のの迷惑で…殿下らしくもないですぞ」
436 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 16:56:38.69 ID:dzFRQYoo


右秘書官「では、手筈をご説明致します」

皇太子「頼む」

右秘書官「まず、我々はひとまず…軍船へと戻り夜を待ちます」

右文官「夜?」

右秘書官「夜間の方が隠密行動は確立が上がります」

エリート「顔もまじまじと見られないしな…」

青年子「……」

右秘書官「そこで青年兵…青年子殿には東方司令部へ向かって頂きます」

青年子「…はい」

右秘書官「東方先生は司令部にて待機していて下され」

東方参謀「うむ。時間を決めて正門まで出迎えに行こう」

エリート「手紙があると良いか。後で作成しておきます」

右秘書官「左翼士官が何時まで東方司令部にいるか分かりませんが…」

青年子「……」
437 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 16:57:25.04 ID:dzFRQYoo
右秘書官「それまでに出来る限りの事をしてみて下さい」

皇太子「やり方は君に任せる。自分で考え、自分の判断で動くのだ」

青年子「…やってみます」

右秘書官「但し、戦闘だけは一切を禁止します」

青年子「…心得ております」

右秘書官「相手が仕掛け、命の危機に及ぶ時のみ許可する」

青年子「はっ!」

右文官「工作と言っても援護も計画もない。無茶だけはするなよ?」

エリート「そうだ。左翼の戯言を最低限封じれば良い」

青年子「はい、ありがとうございます」

右秘書官「青年子殿の手筈が整い次第、軍船を本国へ出航致します」

右文官「本国?」

右秘書官「無論、空のままです。我々は観光船に乗り換え、東方へ向かいます」

東方参謀「やはり狙いは東方か……」

右秘書官「どうぞ、ご内密に」
438 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 16:58:36.68 ID:dzFRQYoo
東方参謀「内密と言えど、奴等とて気付いておるのだろう?」

エリート「確信はないようです。本命は東方司令部と思わせました」

東方参謀「…ふぅむ」

右秘書官「撤退時期や緊急要項は東方からも指示を送る」

青年子「お願い致します」

右秘書官「では我らは一旦、軍船へ戻ります」

東方参謀「うむ。ワシは司令部に戻り、待機していよう」

エリート「後ほど手紙を送ります。最寄のワークショップはご存知ですか?」

東方参謀「ターミナルなら簡易的なショップがあるはずだ」

右秘書官「それならば問題なさそうだな」

皇太子「…よし、それでは宜しく頼む」

青年子「はっ!」

東方参謀「……ふむ。それでは失礼するぞ」

青年子「よ、宜しくお願いします!」

東方参謀「…声はもう少し高い方が良いな。わーっはっはっは!」
439 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 16:59:35.94 ID:dzFRQYoo
〜東方の都、現在〜

コツコツコツ・・・

西方参謀「ここは『神社』と言いましてな、まぁ教会のようなものですかね」

皇太子「…ほぉ」

エリート「これは興味深い構造ですね。これは何だ?」

隊長「門…にしては扉も何もないな…」

皇太子「こういう場所は右文官や右秘書官に見せたかったな」

エリート「仕方ありませんよ。彼らも仕事がありますから」

皇太子「まぁな。都の中心部からは離れられん…か」

西方参謀「ここは不思議な場所でしてね」

エリート「不思議…?」

西方参謀「東方の皆は縁結びの神が祀られている場所だと言いまする」

隊長「縁結び……」

エリート「縁…結び…」

皇太子「縁結び…か」
440 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 17:00:17.93 ID:dzFRQYoo


ガランガランガラン

西方参謀「そしてら次に、賽銭を入れます」

エリート「……賽銭?」

西方参謀「願いを込めて金を納付するそうです」

皇太子「…成程な」

チャリンチャリンチャリン

エリート「殿下、随分入れましたね」

皇太子「お前こそ放った金が東方で幾らか把握しているのか?」

隊長「…ケチってもしかたありませんからな」

皇太子「…お前らも随分と放ったな」

西方参謀「つ、次に二礼二拍手一礼で祈りまする」

エリート「二礼して……。二拍手」

パンパンッ

四人の独身壮年は手を合わせ、深く目を瞑る。
441 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 17:00:45.42 ID:dzFRQYoo
皇太子「……よし、最後に一礼してこれで完了だな」

エリート「殿下に縁があると宜しいですな」

皇太子「……お前もな」

エリート「なっ!?私はそのようなつもりでは…」

皇太子「私とてそうだ。勘違いするな」

西方参謀「で、では参りましょうか」

皇太子「しかし、西方参謀は随分と東方に詳しいのだな」

西方参謀「ガイドブックにて猛烈に勉強しました」

エリート「熱心ですね」

西方参謀「いやぁ、東方がすっかり気に入りましてね…がははっ!」

皇太子「ほぉ」

西方参謀「退役後には東方で宿経営なども悪くないかなぁ…と」

隊長「!?」

皇太子「それは楽しみだ。公用で利用出来るよう頼むぞ」

西方参謀「おぉ!それは有難いですなぁ…がっははは!」
442 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 17:01:26.52 ID:dzFRQYoo
ザッザッザッザ…

隊長「すっかり夕暮れですね」

エリート「…ええ。殿下、もうご満足ですか?」

皇太子「ああ。色々と楽しませて貰ったよ」

西方参謀「日が暮れる前に都の中心部へ戻りましょう」

エリート「そう致しましょう」

ザッザッザ…ピタッ

エリート「殿下、どうなされました?」

皇太子「…いや、地上では本国と東方…これ程までに文化が違う…」

隊長「……」

皇太子「だが、見上げれば夕暮れや空は変わらぬものだな」

西方参謀「……ですな」

皇太子「やはり…世界は一つに繋がらねばならん」

エリート「……殿下」

皇太子は夕暮れの空をしばらく見つめた後、再び前へと歩き出した。
443 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 17:02:00.76 ID:dzFRQYoo
〜本国ターミナル、24時間前〜

ドドッドドッ…ガラガラガラ…

海兵「ご苦労様です。ご無事で…!」

エリート「すまんが急ぎ、船内会議室の準備を」

海兵「はっ!」

エリート「それと封筒と便箋を頼む」

海兵「かしこまりました!」

エリート「…殿下?」

皇太子「ん、ああ…。すまんすまん」

ザッザッザ

皇太子「夕暮れが綺麗だなと思ってな」

エリート「夕暮れ…?王宮から見る景色と違いがありますか?」

皇太子「王宮か…。王宮からの夕暮れはまた違う景色だな」

エリート「……?」

皇太子「東方の夕暮れは…どうだろうな」
444 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 17:03:00.88 ID:dzFRQYoo
〜船内、会議室〜

右秘書官「では、始めます」

右文官「まずは最低限、必要な物を手配しておこう」

エリート「はい。手紙については手配しました。あとはしたためるだけです」

右秘書官「東方参謀殿との合流時間を記入せねばなりませんな」

右文官「21時か22時頃で良いのではないか?」

エリート「はい。問題ないかと思います」

右秘書官「では、21時に東方司令部正門という事で」

青年兵「…分かりました」

皇太子「何だ?変装はやめたのか?」

青年兵「何時間もあのまま待機していられませんよ…っ」

皇太子「はははっ。それもそうか」

右秘書官「青年兵は必要な物をピックアップしておいてくれ」

青年兵「分かりました」

右文官「あとは船の手配か」
445 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 17:04:18.97 ID:dzFRQYoo
エリート「……おい」

海兵「はっ」

タッタッタ

エリート「東方への便はあるのか?」

海兵「都へ直接…ではありませんが、東方南の島までの便であれば…」

右文官「最終便は何時までだ?」

海兵「はっ。深夜の便も出ております。巡回船ですので…」

エリート「ならば問題はなさそうだな」

右秘書官「東方、南の島経由でそこから本島行きへ乗り換えよう」

右文官「それで、我らはいつここを発つつもりだ?」

エリート「遅ければ遅いほど都合が良いですね」

右秘書官「青年兵を見送り、少し間をおきたいと思う」

エリート「様子見も兼ねてですね」

右秘書官「…うむ。軍船出航は0時頃が妥当か……」

エリート「問題ないと思います」
446 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 17:05:45.65 ID:dzFRQYoo
右文官「念のため、船の時間を調べておいてくれ」

海兵「ははっ!」

タッタッタッタッタ

右秘書官「これでうまく騙せれば良いが……」

エリート「軍船が本国に着けばいずれはバレます。一時凌ぎに過ぎませんよ」

右文官「まぁ、それはそうだがな……」

右秘書官「東方にさえ入ってしまえばこちらのものです」

エリート「ええ…。うまく日程を調整さえすれば……」

右文官「その間に青年兵の働きに期待するかな」

青年兵「…が、頑張ります!」

右文官「ふっふ…冗談だよ。肩の力を抜いて励んでくれ」

青年兵「はい!」

エリート「では私は、手紙を書くと致しますか」

右秘書官「右文官殿は乗船券の手配をお願いします」

右文官「うむ。心得た」
447 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 18:30:13.20 ID:dzFRQYoo


右文官「な、なんだとぉ…!?」

右秘書官「…!?」

テクテクテク

エリート「どうしました?」

右文官「東方行きの船が……」

エリート「……?」

海兵「げ…現在東方では、大規模な交戦により危険な為…船舶の出入りを凍結すると……」

右秘書官「何だとっ!?」

右文官「マ…マズイ事になったぞ……」

エリート「……何か…何か手はないものか」

皇太子「他に…ターミナルへ出入りしている船はあるのか?」

海兵「あとは行商の船と…国軍の巡回船程度でしょうか…」

皇太子「巡回船…?」

海兵「あ、海上警備のパトロール船です」
448 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 18:37:23.44 ID:dzFRQYoo
右秘書官「警備艇か…!」

エリート「待て、それはいつ巡回しているのだ?」

海兵「い、いえ…特にきまってはおりませんが…1日数回は……」

皇太子「夜……深夜もか?」

海兵「は、はい…っ」

エリート「……それだ」

右秘書官「小型と申したな。武装や規模はどの程度なのだ?」

海兵「さほど優れてはおりません。足は速いのですが……」

エリート「いや、好都合だ」

右秘書官「大した武装のない小型船なら、直接都へ入港出来るぞ…っ!」

右文官「思わぬラッキーであったな。まずはその警備艇を捕まえねば…」

エリート「海兵、国軍の者がターミナルへ入ったら報告せよ」

海兵「かしこまりました!」

右秘書官「…とりあえずは一安心か。全く…ヒヤヒヤさせてくれる」

皇太子「はははっ。全くだな」
449 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 18:49:56.56 ID:dzFRQYoo
エリート「はははっ、じゃありませんよ」

皇太子「…?」

エリート「聞いておりましたか?出入りを凍結しているのですよ」

皇太子「…そうか、折角乗船出来ても…入港出来るか分からんというわけか」

右秘書官「それについては隊長殿と西方参謀殿が手引きしてくれるでしょう」

エリート「身を明かせば可能かとは思いますが……」

皇太子「まぁエリートの心配ももっともではあるな」

エリート「そうです。楽観視は出来ませんぞ」

右秘書官「あとは…交戦が終わってくれれば良いのだがな……」

右文官「都合良く終わるとは思えんがなぁ…。大規模ななのであろう?」

エリート「とにかく…前へ進むしかない、という事か……」

皇太子「…もう19時か。警備艇は来ないな」

右秘書官「早く捕まえぬ事には青年兵を安心して送りだせん……」

エリート「信じて待つしかあるまい…」

皇太子「……そうだな」
450 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 18:53:11.40 ID:dzFRQYoo


右文官「……もう…20時を回ってしまったぞ」

エリート「青年兵、一応女……変装の準備を進めてくれ」

青年兵「…はい」

スタスタスタ…

右秘書官「最悪、行商の船で乗り込むか…?」

エリート「それは無謀ですよ。殿下と知られれば……」

右秘書官「だよなぁ……」

タッタッタッタッタ

海兵「こ、国軍の警備艇が入港致しました!」

右文官「何っ!!」

エリート「……間に合った!」

右秘書官「すぐに向かいましょう!」

エリート「殿下と右文官殿はここで待機を!」

皇太子「うむ」
451 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 18:59:37.90 ID:dzFRQYoo
〜ターミナル〜

スタスタスタ

海兵「こちらが国軍の警備艇です」

右秘書官「思ったよりしっかりしているではないか」

エリート「これなら十分ですよ」

警備兵「ご苦労様であります!」

右秘書官「東方まで行った事はあるか?」

警備兵「はっ!途中までではありますが…経験があります!」

エリート「問題なさそうですね」

右秘書官「うむ」

警備兵「……?」

エリート「いいか、よく聞きたまえ。これより殿下が隠密で視察をなさる」

警備兵「で、殿下でありますか!?」

エリート「そう、そして…あくまで隠密での視察だ。決して口外するでないぞ?」

警備兵「……っ!!」
452 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 19:04:06.77 ID:dzFRQYoo
右秘書官「君以外に、警備隊は何名おるのだ?」

警備兵「はっ。自分を含め、乗組員は三名であります!」

右秘書官「三名程度なら大丈夫だろう」

エリート「…よし。予定通り、事を進めましょう」

右秘書官「うむ。君達と船はここで待機していてくれ。何時でも出られるようにな」

警備兵「畏まりました!!」

恐縮する警備兵を後に、エリートと右秘書官は軍船内の会議室へと戻る。

テクテクテク…カチャッ

エリート「…おっと、失礼」

青年子「あ…っ」

ヨロッ…ガシィ

エリート「だ、大丈夫か!?」

青年子「あ、ありがとうございます…エリート様」

ドキィ!!…バッ!!

エリート(…な、何をドキドキしている…っ、相手は青年兵ではないか!俺っ!)
453 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/07(火) 19:06:46.04 ID:dzFRQYoo
うへぇ…仕事が立て込んでて…なかなか進まずすみません!
それでは失礼致します!ご支援ありがとうございました!ノシ
454 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/07(火) 19:13:05.81 ID:dvTNX0go
>>1乙!
エリートwww誰得www
455 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/07(火) 19:36:50.59 ID:7.HlP6DO
エリート婚期逃したからといってそっちに走るのはどうかと思うぞ……
456 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/07(火) 19:46:23.09 ID:bHsz6SEo
青年子か・・・ありだな・・・
457 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 23:02:28.21 ID:v5y8Mp6o
皇太子「おいおい、イチャイチャしている場合ではないぞ?」

エリート「殿下っ!!」

皇太子「…冗談だよ」

右秘書官「これで全ての手筈は整いました」

右文官「後は…なるようになるだけだな」

エリート「青年へ…子」

青年子「……はい」

エリート「くれぐれも気を付けよ。深入りはするなよ?」

スッ

青年子「これは…?」

エリート「短刀だ。胸に忍ばせておけ」

青年子「ありがとうございます!」

右秘書官「では、作戦を開始致します!」

エリート「21時まで時間がない。馬車を飛ばせ」

青年子「はいっ!!」
458 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 23:03:25.49 ID:v5y8Mp6o


右文官「良いぞ、馬車を出せ!」

御者「飛ばしますよ…お嬢さん!」

青年子「あ…貴方は……っ」

御者「…へ?どこかでお会いしましたっけ?」

青年子「え…い、いやっ…人違いですわ!ほほほっ!」

御者「では行きますよ〜!」

バシィッ!!…ガラガラガラッ…

右秘書官「人払いご苦労。誰にも見られてはおらんな?」

海兵「はっ。それはもうバッチリ大丈夫です」

エリート「では、船内に戻って待機致しましょう」

そう言うとエリートは右文官、右秘書官の後を追い船内へと戻った。

テクテクテクテクテク…

エリート「殿下…無事、出発致しました……」

皇太子「…うむ。ご苦労であった」
459 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 23:04:09.85 ID:v5y8Mp6o
エリート「…月、ですか?」

皇太子「…ああ。少し曇っているがな」

右秘書官「では、我らは警備艇への荷物運びと準備をして参ります」

右文官「必要な物があらば、言って下され」

皇太子「助かる」

カツカツカツ…

エリート「……」

皇太子「…なぁ、エリート」

エリート「……はい」

皇太子「国、とは一体何なのであろうな」

エリート「…?」

皇太子「国家とはそんなに必要不可欠なものなのかな」

エリート「人々が平和に暮らす為には、不可欠と私は思います」

皇太子「……成程な」

エリート「……」
460 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 23:05:03.62 ID:v5y8Mp6o
テクテクテクテク

東方参謀「…青年子!元気であったか!」

青年子「…伯父様っ!」

タッタッタ…ギュウゥ

青年子「……!?」

東方参謀「いやぁ…大きくなったなぁ!」

青年子「く、苦し……っ」

門兵「こ、この方が…先生の姪っ子ですか…!?」

東方参謀「そうだ。文句あるか?」

門兵「い、いえ…っ」

東方参謀「さぁ、外は寒い。司令部へ入るとしよう」

青年子「は、はい…っ。失礼致します」

門兵「…………」

スタスタスタスタ…

門兵「……はっ!仕事仕事…っ」
461 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 23:08:58.26 ID:v5y8Mp6o
テクテクテク…

青年子「東方参謀様っ、今の門兵の顔…絶対バレていますよ!」

東方参謀「そうか?そんな事はないと思うがのぉ」

青年子「……はぁ」

東方参謀「さて、まずは東方の上層部に顔合わせせねばならん」

青年子「…はい」

東方参謀「まず、東方魔道長。ヤツは完全な左翼派だ。決して近寄るでないぞ」

青年子「ええ。前回ので身に染みてます……」

東方参謀「…ふむ。次に東方副指令。ヤツはどっちつかずの無派閥といったところか…」

青年子「そうなんですか?」

東方参謀「特に聞いた事はないな。まぁ裏で繋がっておるかもしれぬがな」

青年子「…ならば、とりあえず様子見ですね」

東方参謀「最後に東方指令。あ奴は右翼も左翼も毛嫌いしておる」

青年子「……ええ」

東方参謀「だが、だからこそ付け入る隙はあるとも考えられる」
462 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 23:12:47.80 ID:v5y8Mp6o
青年子「…なるほど」

東方参謀「まず、ワシ以外に頼るべきは東方指令」

青年子「つまり…東方指令様へ挨拶に行くのですね?」

東方参謀「…そういう事だ」

カツカツカツ…コンコン

東方指令「…何だ」

東方参謀「失礼するぞ」

東方指令「…何だ、ジジイか」

東方参謀「今日からしばらくワシの姪が滞在する。宜しくな」

東方指令「何!?ボクの許可なしで何を勝手に……」

テクテクテク

青年子「…は、始めまして」

東方参謀「ワシの姪で、青年子と申す。ちと人見知りが激しくてすまんな」

チラッ

青年子「よ、よろしくお願い…します…」
463 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 23:19:41.86 ID:v5y8Mp6o
ドキィ!!

東方指令「――っ!!」

東方参謀「…?」

東方指令「…君、い…いくつだ!?」

青年子「僕ですか…あ、いや…!わ、私ですかっ!?」

東方指令「僕…?ボクと一緒だ……」

青年子「22歳ですっ!!」

東方指令「……」

ジーッ

青年子(す…凄い見てる…っ。これは絶対…バレた!!)

東方指令(スラリと戦士も高くて…ボーイッシュで…まるでボクの理想じゃないかっ)

青年子(もしバレたら…何と言えばいいんだろう。考えてなかった……)

東方指令(…ああ、立ち振る舞いも男っぽい…っ。年下なのに何てカッコイイのだろう…!)

東方参謀「…それで、滞在は許可してくれるのか?」

東方指令「…仕方ないな。東方参謀の親族とあらば追い出すわけにもいくまい。何日でも居るといいっ!」
464 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/07(火) 23:21:39.26 ID:dS.XMeso
役職なら司令じゃね?
465 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/07(火) 23:29:24.21 ID:yE0hJwIo
あれ?司令と青年子フラグたってね?
466 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/07(火) 23:32:15.58 ID:v5y8Mp6o
うわわあぁ!間違えた!!
指令ではなく『司令』です!このたわけ!ごめんなさい!
467 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/07(火) 23:38:59.68 ID:TV1kS1go
>スラリと戦士も高くて
これは背が高いってことなのか戦士よりも高いってことなのか
468 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 23:41:25.09 ID:v5y8Mp6o


青年子「それでは…失礼します」

東方司令「も、もう下がるのか?」

東方参謀「先程着いたばかりで疲れておる。それとも…何か用でもあるのか?」

東方司令「いや…そういうわけではないが…」

東方参謀「ならば失礼するぞ。また明日な」

東方司令「ま、待て!」

青年子「!?」

東方司令「…部屋は…どうするのだ?」

東方参謀「部屋?そんなものワシの部屋で良かろう」

東方司令「しかしだな、親族とはいえ男女一つの部屋に……」

東方参謀「このバカ司令がぁ!そんな事あるわけがなかろう!…行くぞ」

東方司令「あ……っ

ガチャッ…パタン

東方司令「…青年子……か」
469 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/07(火) 23:44:39.80 ID:v5y8Mp6o
青年子「……はああぁぁ〜」

東方参謀「何かよく分からんが気に入られたようだな」

青年子「そ、そうですか?心臓に悪いですよ…っ」

東方参謀「ふっふ、しかし変装もバレておらぬようだし…出だしは好調よ」

青年子「……はぁ」

東方参謀「ひとまずはワシの部屋を拠点とするがいい」

青年子「ありがとうございます」

東方参謀「本当の勝負は明日からよ。ワシは協力はせん…己で頑張るがよい」

青年子「無論、そのつもりです…!」

東方参謀「……ふん」

テクテクテク…

東方参謀「ここがワシの部屋だ。好きに使うがいい」

青年子「ありがとうございます」

東方参謀「風呂は部屋のシャワーで我慢せい。食事は食堂…場所は知っておるな?」

青年子「はい。大丈夫です」
470 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/07(火) 23:45:19.66 ID:v5y8Mp6o
>>467
予測変換で早まりました…。戦士よりは低いです…
471 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/07(火) 23:53:24.62 ID:wFWB0UAO
『スラリと背も高くて』か…流石に今回は分からんかったwww
472 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/07(火) 23:58:08.66 ID:v5y8Mp6o
ダメだー!寝ます!!ご支援ありがとうございましたー!!!!
おやすみなさいです!!!!!!ノシ

〜オマケ〜

パッカパッカパッカ…

帝「もうすぐ日没か……」

女剣士「少し急ぎまするか」

帝「いや、こうしてのんびりとした道中も乙なものよ」

魔道士「たのしいですよねー!」

戦士「さむくなけりゃあな……」

召喚士「……マント使う?」

盗賊「あ……っ」

魔道士「双子星……」

召喚士「今日も綺麗に…二つ並んで輝いてますね……」

帝「……ああ」

盗賊「…うん」

帝と盗賊は二人馬を併せ、しばし無言で二つ星を見上げた。
473 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/08(水) 00:38:14.72 ID:ys/88iEo
つまり東方司令<青年子<戦士か
なにはともあれ今日も一日>>1
474 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/08(水) 01:14:03.58 ID:b1gua3ko
>>1
青年子と召喚士子どっちが可愛いのか気になるなwwww
475 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/08(水) 03:38:51.20 ID:b7kAJYDO
うっ・・・ふう 
魔道士ちゃんが一番だろ
476 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/08(水) 03:47:30.71 ID:W8wlPEAO
御館子ちゃんまだー?
477 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/08(水) 11:00:16.51 ID:j2bPJ6Uo
山田先生みたいになるからだめです
478 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/08(水) 11:05:19.71 ID:5htB.aAo
>>1
身長表や体重表も欲しいところだが
設定は>>1の脳内にしかないから代わりにつくってもあげられないし
人数多すぎて作るだけでも大変そうだな
479 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/08(水) 12:39:20.78 ID:YD2Yqi2o
魔道士ちゃんと盗賊ちゃんの男装マダァ?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン
480 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/08(水) 12:43:22.50 ID:pthKOSso
いちおつおつ
何だか男装の麗人(帝)とか女装して美人とかでフラグ建築ラッシュか?

>>1は女装しなくても愛してるぜ///
481 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/08(水) 14:23:04.82 ID:gRIJp6.0
1乙
縁結びか…本当結婚してない人ばっかだね
482 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/08(水) 17:45:51.75 ID:NGZgXbwo


コトッ

青年子「ありがとうございます」

東方参謀「…室内なのだ、変装を解いたらどうだ?」

コーヒーを啜りながら東方参謀は促す。

青年子「そ、そうですよね…っ。洗面所お借りします…!」

テクテクテク…パタン

青年子「……はぁ」

バシャバシャバシャ

青年子「…えっと、これだっけ?クレンジングオイル…かな?」

ゴシゴシ…バシャバシャバシャ

青年兵「…ふーっ」

カチャッ…テクテクテク

青年兵「ありがとうございました。はぁ…サッパリした」

東方参謀「化粧まで落としてしまって良かったのか?」
483 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/08(水) 17:46:23.62 ID:NGZgXbwo
青年兵「ええ。化粧は一応……学んできましたから……」

東方参謀「いや、そうではなく…外出はせんのか?」

青年兵「夜は大人しくしてます。下手に出てドジを踏んでも仕方ありませんから」

東方参謀「…全く、何故このような事を引き受けたのか……」

青年兵「…ははっ、全くですね」

東方参謀「殿下を始め奴らの気まぐれに振り回される事はないぞ?」

青年兵「確かに断れない状況だったのもありますけど…」

東方参謀「……」

青年兵「先日の失敗がずっと胸に引っ掛かってまして……」

東方参謀「こういうチャンスを待っておったのか…?」

青年兵「そういう事ですね」

東方参謀「…成程な、安心したわ」

青年兵「…?」

東方参謀「女装が趣味だなどと言い出さなくてな…うわーっはっはっは!」

青年兵「ち、違います!」
484 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/08(水) 17:46:53.26 ID:NGZgXbwo
東方参謀「奥の部屋を使うが良い」

青年兵「ありがとうございます」

東方参謀「…明日以降、づおするつもりだ?」

青年兵「寝ながら考えてみます」

東方参謀「……ふん」

スタスタスタ…

青年兵「…部屋、ありがとうございます」

リビングを立ち札東方参謀の背に、青年兵は一礼し奥の部屋へと向かう。

青年兵「ここ…か」

テクテクテク…パタン

青年兵「…はぁー。疲れた〜!」

部屋へ入るや否や布団に倒れこむ青年兵。

ボフッ

青年兵「……明日から…どうしようかな……ははっ」

うつ伏せのまま顔を上げ、青年兵は窓に映る月をぼんやりと眺めた。
485 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/08(水) 17:47:34.89 ID:NGZgXbwo
〜ターミナル、船内〜

コンコン

右秘書官「まもなく出航します。宜しいですか?」

皇太子「いつでもいいぞ」

エリート「警備艇は問題なさどうですか?」

右文官「うむ。だがしかし、兵らも東方まで行った事はないらしくてな」

エリート「先程伺いました」

右秘書官「足の速い小型艇ですが、。少し時間がかかりそうです」

皇太子「急ぐ旅でもあるまい」

エリート「確かに。今宵の内に出向出来れば問題ありませんよ」

右秘書官「まさにだな。それは問題ない」

海兵「お荷物の準備、整いました!」

右秘書官「ご苦労。では参りましょう」

皇太子「……うむ」

承諾の返事を発しながら、皇太子を先頭に一同は警備艇へと乗り移った。
486 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/08(水) 17:48:32.90 ID:NGZgXbwo
ボーッ

海兵「出航致します」

右秘書官「軍船は15分後に本国へ出航せよ」

海兵「はっ」

右秘書官「尋問を受けても知らぬ、と通しておくのだ」

海兵「殿下らはターミナルで降りた、とお伝え致します!」

エリート「…いいぞ、出してくれ」

敬礼で見送る海兵らを横目に、警備艇はターミナルを出航する。

右文官「……いよいよか」

皇太子「楽に行こうではないか。険しい顔だと東方の者も驚くぞ」

エリート「…はぁ」

皇太子「空を見てみよ。曇り空も晴れて、月が綺麗ではないか」

エリート「……」

皇太子に促され一同は夜空にぼんやり浮かぶ月をじっと眺めた。

皇太子を除く三人は一抹の不安を抱えたまま、東方へと入国するのであった。
487 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/08(水) 17:49:48.84 ID:NGZgXbwo
〜東方の都、現在〜

皇太子「……」

エリート「東方の月は如何ですか?」

皇太子「特に変わりはないな…。だが、本国よりもよく輝いている」

エリート「そうですか…?私には同様に見えますが……」

皇太子「そうか?月は人の心を映し出すと言う。お前の心が汚れているのかもな」

エリート「殿下!!」

タッタッタッタッタ

隊長「まもなく帝が戻られるようです」

皇太子「おぉ、待っていたぞ!」

ザッ

エリート「では、参りましょうか」

右秘書官「我らは船にて待機しております。左翼の事も気掛かりだしな…」

右文官「朗報お待ちしてますぞぉ!」

皇太子「ははっ。では、行ってくる」
488 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/08(水) 17:50:17.85 ID:NGZgXbwo
皇太子らが帝の城へと発つ頃、城門前には人だかりが出来ていた。

ザワザワザワッ

町人「ほ……ほんとにあれが…上様なのか!?」

町娘「上様がお姫様だったなんて……きゃーっ!!」

老人「おぉ…っ!なんと見目麗しいお姿か…っ!生きてて良かった……」

パッカパッカパッカ

魔道士「すっごい人の数ですね…!!」

召喚士「ええ。きっと上様が女性と分かり、それを一目見ようと…」

盗賊「…だろうな」

戦士「…ですってよ、上様」

帝「…なんだか…照れ臭いのう」

女剣士「馬の進路を塞ぐでない!どけ、上様がお通りになられるのだぞ」

帝「まぁ、そう邪険にするでない。折角集まってくれたのだからな」

ニパッ

町娘「きゃあぁーっ!!」
489 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/08(水) 17:55:12.63 ID:NGZgXbwo
〜城内〜

名代「…お帰りなさいませ」

帝「今、戻ったぞ」

家老「しかし…凄い歓声でしたな……」

名代「あまりの興奮に失神した者もおるようです」

戦士「マジかよ……」

帝「それで、本国の方々は?」

名代「上様がお戻りになられたと隊長殿、西方参謀殿へお伝えしました」

家老「もう間もなく来られると思いますぞ」

帝「それはいかんな。急ぎ、身支度を整えねば」

家老「女中どもは上様の後に続け。急ぎ身支度を整えよ!」

女中「はぁいー」

ゾロゾロゾロゾロ…

名代「召喚士殿らにも同席して頂きたいが…宜しいか?」

召喚士「もちろんですっ!」
490 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/08(水) 18:04:42.43 ID:Lq4OwHQP
帝は佳子様っぽいと思うな
491 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/08(水) 18:10:42.42 ID:NGZgXbwo


エリート「殿下!何をなさっているのです…行きますよ!」

皇太子「ああ、今すぐ行くよ」

西方参謀「…?」

ガラガラガラッ…パッカパッカ

足軽頭「隊長殿、お迎えに参りました」

隊長「おぉ、これはこれは……」

エリート「殿下、お迎えが参られましたぞ!」

皇太子「すまんな。フォーマルは着慣れてなくてなぁ……」

西方参謀「すぐに終わりますので」

足軽頭「いえいえ、お構いなく」

皇太子「……よし、待たせた」

エリート「では参りますよ。全く…」

皇太子「うむ。おぉ、これはわざわざの出迎え…感謝致す」

足軽頭「い、いえいえっ!滅相も御座りませぬ!」
492 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/08(水) 18:15:40.54 ID:NGZgXbwo
ガラガラガラッ…

皇太子「いやぁ、緊張するな…」

エリート「…そうは見えませんが」

隊長「東方の皆様も人柄が良く、すぐに打ち解けるでしょう」

西方参謀「その通り。ご心配無用ですわ!……ヒック」

皇太子「手土産はこんなもので良かったかな?」

エリート「そういえば何を持参したのです?」

皇太子「いや、文化も違うと思って色々とな…」

モサッ

エリート(……だからあんなに時間かかってたのか…っ)

足軽頭「間もなく城です。お待たせ致しました!」

隊長「…さぁ、いよいよですな!」

西方参謀「歴史の1ページになると良いですなぁ…」

エリート「殿下、頼みましたよ!」

皇太子「……ああ。本国や東方……ひいては世界の為にな」
493 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/08(水) 18:26:51.53 ID:NGZgXbwo
ザッザッザッザッザ

エリート「…こ、これが東方の城か」

隊長「本国での王宮にあたる代物ですが、司令部兼用と言ったところですかね」

西方参謀「王宮と要塞を兼ね備えてるわけですわ」

皇太子「成程なぁ。南方司令が建造している赤壁に近いか」

足軽頭「失礼致します!本国の方々、お見えになられました!」

名代「ご苦労」

女中「お襖、失礼致します」

カラッ

皇太子「……失礼致す」

名代「本国の皇太子様、で在らせられまするな…?」

皇太子「いかにも。貴公は?」

名代「はっ。上様の側近で名代…と申しまする。以後、御見知りおきを…」

皇太子「うむ、宜しく頼む。こちらは私の側近でエリートと申す」

エリート「お初にお目にかかります。エリートと申します」
494 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/08(水) 18:30:53.08 ID:NGZgXbwo
名代「宜しくお願い致します。では、中へどうぞ…」

ススッ

皇太子「……おや?」

畳の広がる部屋の右脇、見覚えのある顔に皇太子は声を発す。

召喚士「……」

座する召喚士らは無言のまま会釈だけを返し、その横に隊長と西方参謀が並び座った。

名代「お二方は正面のこちらへ」

エリート「はっ」

チラッ

魔道士「……!」

ニコッ

エリート「!!」

にっこりと笑顔で手を振る魔道士。エリートはすぐさま目を背け正面を向きなおした。

エリート(…やはり私は正常だ。……昨日がどうかしていたのだ…っ!!)

名代「もう間もなくお見えになられると思います」
495 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/08(水) 18:39:56.21 ID:NGZgXbwo
ザッザッザ

家老「これはこれは…遠路はるばるご苦労様で御座いまする」

名代「こちらが皇太子様と側近のエリート様です」

皇太子「お初にお目にかかる。宜しく頼む」

名代「こちらは家老殿。上様の後見人で御座いまする」

家老「いやいや、上様においては一人立ちなされ…今は補佐もしておりませぬよ」

エリート「…では、政務の一切は帝様が執り仕切られておると…!?」

家老「まだ若すぎる故、全て…というわけではありませんがな…」

名代「大まかな方針や決定権は上様がお持ちで御座います」

皇太子「まだ幼いと伺ったが……大したものだな…っ」

エリート「…え、えぇ。想像以上でした…っ」

ザッザッザ

女剣士「上様、お見えになられまする!一同面を下げよ!!」

ザッ

皇太子「……」
496 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/08(水) 18:40:47.13 ID:1kTCaTYo
皇太子と帝だと…
497 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/08(水) 18:43:33.38 ID:NGZgXbwo
シズシズシズ…

帝「どうか楽に。遅くなり申し訳御座らぬ……」

スゥッ

エリート「――っ!!」

帝「初めてお目にかかる。帝…と申しまする」

皇太子「本国第一皇子、皇太子と申します」

帝「わざわざのお越し、痛み入りまするぞ」

皇太子「いやはやとんでもない。しかし……」

帝「……?」

皇太子「まだお若いと伺っておりましたが…女性であられたとは…」

エリート「お、驚きました……」

帝「これは…失礼…」

家老「私とて知ったのはつい先程ですよ。はははっ!」

帝「色々と事情がありましてな。性別を偽っておりました」

皇太子「成程。そうであられたか」
498 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/08(水) 18:53:40.08 ID:NGZgXbwo
師走ェ…ここまでにて失礼します!ご支援ありありでした!ノシ

>>473>>478
この辺りは特に決めてませんのでご想像でお任せしますよ!

>>474
そのうち白黒付くかもしれません!(?)

>>476-477
容易に想像出来ましたww

>>475>>479-480
逆も面白そうですね。たしかに変装多かったかもしれません…
>>1は女装しませんがありがとうございます!

>>481
むしろ主要キャラで既婚者いませんでした
誰かさんがもうじき結婚するかもしれません
499 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/08(水) 18:56:41.80 ID:uLmBWQAO
>>1乙

誰かさん…
王子×帝ですね、わかりますん
500 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/08(水) 19:07:23.55 ID:ys/88iEo
>>1おつ
>>499そんなことになったら西方と俺達の戦争が始まるぜ
501 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/08(水) 19:56:30.33 ID:stFh5sEo
ちょっと西方いってくる
502 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/08(水) 20:29:50.10 ID:q/JXZeQo
マジレスすると俺×帝だから大丈夫だ落ち着け
503 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/08(水) 20:32:51.97 ID:ys/88iEo
>>502
             ____
           /      \
          / ─    ─ \
        /   (●)  (●)  \
        |      (__人__)     |  < ないない
         \     ` ⌒´    ,/
 r、     r、/          ヘ
 ヽヾ 三 |:l1             ヽ
  \>ヽ/ |` }            | |
   ヘ lノ `'ソ             | |
    /´  /             |. |
504 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/08(水) 21:10:19.65 ID:jfF8xJ60
きゃあぁーっ!上様ぁぁぁーーっ!!
505 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/08(水) 22:35:04.28 ID:S/CVAUQo
皇太子×帝・・・趣味性格は相性よさそうだがいかんせん年齢差が・・・
506 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/08(水) 22:41:42.96 ID:Vtk6X.DO
何言ってんだよおまいら。

俺×>>1だよ
507 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/08(水) 22:51:52.30 ID:4tPCDcDO
>>1乙!
日常パートもいいなぁ
魔道士はナチュラルにエリートを惑わす悪い女だなww
508 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/08(水) 23:17:10.27 ID:W8wlPEAO
ドッペル戦士×ウィッチちゃん
509 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/08(水) 23:28:37.87 ID:0dGUw3Eo
俺×俺
510 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/09(木) 00:02:10.17 ID:9ctSd6Ao
剣士×弓使い一択しかないってのも問題だな
登場人物の女性側の適齢期過ぎは悪い容姿でないので性格が難有りだとして
男性陣は見た目が問題なのだろうか
あとエリートはまた心の声が漏れないかなぁ
511 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/09(木) 01:17:11.43 ID:JlFfhf2o
>>508
512 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/09(木) 08:20:40.05 ID:YEqySUAO
>>1

元許婚であったエリートに対して笑顔で手を振る魔導師ちゃん…
そんな小悪魔なところもたまらないです
513 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/09(木) 17:34:19.73 ID:./MI3x.P
まだかな、まだかな〜
514 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/09(木) 17:46:00.28 ID:Xb4UJ6DO
学研の〜
515 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/09(木) 18:25:25.19 ID:p/Zsu.DO
青年子まだかな〜
516 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/09(木) 18:46:41.70 ID:M1K0t7Io
\マダだよー!/
517 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/09(木) 19:04:16.09 ID:./MI3x.P
              "'ミ;ェ,、
                ヾ、ヾヽ、
                 ヾ,  ヾ; 、
               _  ゙、 __...>、ヽ--- ...___
              / `'<゙、/  ヾ;ヽ    ` : 、
            ,.:"   ,.へ,;;iぐ‐:、  ヾ;ヾ;、    ヽ.
           ,.'   ,.' /ヽ, '||「へ,\  ゙、 ゙:\    ゙、
          ,.'    //-ッ,゙、ll;、ヘ \\ ゙,  ゙:\ ヽ. ゙、
          / /  .///;;,'公;!ムヽ;;\'\`l、、 ゙ヽヽ. ヽ:;:゙、
         .///.; ;.///;〃     ゙;:i゙;ヾ;、ヾ'l、.\、 ;,.ヽ`ヾ、;:゙、
        ///.;:,..;:/〃/.|! _.    i.!--ヾ:_バヽ;:\'':;;.,   `''゙、
        ,'/i.i:.:,':;//i l/иニ_,     l! =┬ッ;゙、ト!i'、;:;:\ \. ヽヽ
        l .!i i:;!//,|!.レ´/lツぃ   l!  :゙l/l;ツ辻|} ゙、゙、.\ \ヾヾ、
        ! { ∨/,i!| |、ム.゙i;リj:       :,l∠ル竹!|.l、゙,゙,;:;::\:;:ヽ.゙ヾ
         ! .i゙,'l!l ! l ゙、 >'‐゙'.:::}     :: :  `リノ l.!,,ゝ,゙, 、:;:;\;:ヾ{
          l ! | | l i;   く.:::        ,:'!!;:;l|゙,゙,ヾ、:;:;:;:ヽ;゙、 
          !{ ! .|,:゙ヽ!゙、    っ     /::リ!;:ノ! ii゙ハヾ;、;\;:゙゙,
          ゙,l  !lヽ:;|;:l`i;:..,_  ''   /:::::/:;i/;:|;:;l;l;:;゙!i:,ヽヽ\゙、
           ゙、 ,' l ;`|:;:i:;!:;:;:;`i;‐;...,,.‐'´:::::::::::::'λ;{:;:i;:|:;:;!:i;:, ゙、ヽヾ゙,
           .゙メ ノ ;:/!;:;リ;:ノ:;:ノ;:;:i::-|::::::::::::::::,':( ヾ;:li:!:;:;!l:i;:; ゙, ゙ぃ ゙、
           ,.' / /_j;;ノ;:: -'‐"::::::ノ::::::::::::, ':::::ヽ, ヾ,:;:;:!;:i、:;:, ゙、j.j゙,. ゙、
          .// /,.'´  / '' : ;:.;:::::::::::::::::::,.:':::::::::::::j:..  \.゙,:;゙ぃ;:,.'ン゙,゙, ゙;
         ,' /:'゙/   (      ':,::::::::,:':::.:.__ :::::::::::::::::::::` :、ヽヾ、;゙,゙,゙,
         {/,:;:,'    )      ' ' _. -" `ヽ.' ' ' ' : :.::::::`':`、ヽ;.. i.゙,
         / ,:;:;i  .::i  , ',.-,      } ,:‐''    \       ゙、;゙,:;i. ゙,
        { :{;:;:! .::::i, ' ./ {ノ''i_   〈 ,,ィ:     \ .....      ゙,;l;:|i. i
        .i ;:i;:;i... -亠ァ'    ::{ 〉 ;:...  ゙<_-‐、::...    \:::::      };};:!i. i
        {/ , -_ニ,ィ゙   ..::::::ム-;';::;:'    ̄`''::、::..    }:''     ,゙,';i;:!. }
       / ,. -''" / {::   .::::::::::::人‐ヽ        ゙i:::    !    ,':,';j;:;| j
     i'´ . ..| ./ ./-',゙i;:. ::::::::::::/ぃヽ;:゙、       i::::   i     ,':,';:j:;:j.,'
     `、:.:.:ノ' ,."/.:/  ::::::,.:'i:、:い ヾ、.       j:::   j.     ,':,';:;j:;:j/
      }/..:,.'/ .:/  .::::/::::!:::ヾ,. ゙, :.゙,\...   ..,':::   j    ,'::j;:;:i:;:/
     ./ .:.:.:/ .:.:/   .:::/:::::i:::::::::゙,. ゙, : !、 ヽ:::::::/::::   j.    ,':|:i:;:;:|/
     〈.:.:.:.," ,.-::7   .::::/::::::i:::,, :::::i l : !ぃ ゙、:/:::::   j   ,':|:!!;:i;:i!
      ヽ/ / ,.:"   .:::::1:::::j i::i ::li  : l゙ヾ, /::::::   .!   ,'|;:l;li:;:;ii
       〉",.ァ'     .::::::,'.i::::j j::::i :l.!  : l:::::∨.:::::   i.   /;:l;:;i:;ii:;:{
518 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/09(木) 19:57:21.49 ID:YEqySUAO
お前らの流れが全く読めない
519 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/09(木) 19:59:27.66 ID:9AfRh9go
読むのではない、感じるのだ
520 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/09(木) 20:03:40.34 ID:lJhOfZYo
>>518
あれ?私はいつ書き込んだんだ
521 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/09(木) 20:04:35.48 ID:17n.h7k0
読めたっ!
次は>>1が来るよ↓
522 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[saga sage]:2010/12/09(木) 21:16:38.68 ID:mzVlTcDO
わたしですのAA↑
523 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/09(木) 21:26:47.43 ID:KWNo5w.o
はぁ…今日はやばかった。お待たせしましてすみません…
そして謎のカップリングの流れ!!
そして>>517は召喚子さん!?青年子さん!?↓続き
524 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/09(木) 21:27:31.03 ID:KWNo5w.o
名代「それでは、本題へと入りましょうか」

エリート「…ええ。そう致しましょう」

召喚士(あの二人って…何だか似てるなぁ…)

皇太子「本日来た事については、説明は不要ですな?」

帝「…うむ。事情は隊長殿、西方参謀殿から伺っております」

皇太子「この場で即答は求めておりません。まずは我らの意思を……」

帝「…ですな。我々としても時間を頂きたい」

エリート「失礼ですが、どの程度……」

帝「…半年といったところかのう」

エリート「半年…ですか。それは何か事情が…?」

皇太子「エリート」

名代「構いませんよ。互いに濁したところで利点は御座いません」

皇太子「…痛み入る」

帝「実はな、東方は一枚岩ではないのだ」

エリート「……」
525 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/09(木) 21:28:09.13 ID:KWNo5w.o
帝「先日、その二人には話したが…私が東方全てを納めておるわけではない」

エリート「敵対勢力がいると?」

家老「敵対…というわけではないんだがな」

名代「上様の存在を認めておらぬ者達がいるのです」

帝「まだ幼い上、かつては老中が権力を握っていたのでな…」

名代「老中というのは後見人として上様を盾に実権を握っていた男です」

家老「そちらの召喚士殿らの働きもあって、それも無事解決したのじゃ」

皇太子「……ほぉ」

召喚士「……」

帝「まずはその残存勢力をまとめ上げると共に……」

名代「上様の存在を認めさせなくてはなりません」

エリート「…成程。事情は大いに分かりました」

帝「世話をかける…申し訳ない」

エリート「何を仰られます、お気になさらないで下さい」

皇太子「うむ。我々も出来る限りに協力はさせて頂くつもりだ」
526 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/09(木) 21:29:10.30 ID:KWNo5w.o
帝「…いや、それには及びませぬ」

皇太子「……?」

帝「やはり、東方を納める立場…我が国の事は我が国のみで解決したい」

盗賊「……」

皇太子「…相分かった。手出しは野暮であるな」

帝「重ね重ね申し訳ない…っ」

皇太子「いやいや、しかし窮地の際は早急に申しされよ」

名代「有難う御座いまする」

エリート「あの、お伺いさせて頂きたいのですが……」

家老「なんであろうか?」

エリート「つい先日、ヤマタノオロチを討伐されたと伺いました」

魔道士「……」

エリート「それは…まことで御座いましょうか?」

名代「…紛れもなく、倒しました」

帝「本国の皆々には大いに助けられた。感謝しておる」
527 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/09(木) 21:29:50.05 ID:KWNo5w.o
召喚士「……上様」

エリート「その先にいる者……ご存知であられますよね?」

帝「……うむ」

名代「魔王…ですな?」

エリート「はい。我々の同盟に於いて、最大の目的はそれです」

帝「魔王……討伐か」

皇太子「兵や軍船、その他食糧なども含めて全ての負担は本国が担う」

家老「何と…っ!」

エリート「同盟による有事の際の通行許可、及び道案内等の協力……」

帝「構わぬ」

エリート「……!?」

帝「それについては構わぬ。問題ないぞ」

エリート「…よ、宜しいのですか?あっさりと…っ」

名代「上様が仰るのなら…特に異論は御座りませぬ」

帝「……だ、そうだ」
528 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/09(木) 21:30:27.93 ID:KWNo5w.o
皇太子「快い返答を頂けて、此方も何よりだ」

帝「いえいえ、此方こそ」

エリート「では…結論と致しましては……」

帝「うむ。お時間さえ頂ければ、同盟の話…問題はない」

エリート「おぉ…っ!」

皇太子「良かった。これで胸を張って帰国出来るな…はははっ」

名代「此方こそ、本国のお力を多々借りる事と相成りそうですが…」

皇太子「うむ、幾らでも協力する。存分に使ってくれ」

家老「これは頼もしい御言葉ですなぁ…!」

魔道士「よ…良かったですねぇ…っ!」

盗賊「…ああ!」

エリート「帝様がご聡明な方で助かりました」

帝「そのような事はない。国主足る者、当たり前の事だ」

戦士「……うーむ。どこぞの王子に聞かせてやりたい」

召喚士「そ、そういえば…同い年だっけ……ははっ…」
529 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/09(木) 21:30:54.31 ID:KWNo5w.o
〜西方、西の山あい〜

王子「…ぶぇーっくし!!」

西国兵「王子、風邪ですか?」

召喚兵「西方も冷えてきたからなぁ…」

王子「…いや、どうせ神官が愚痴をこぼしてるんだろ」

西国兵「…あ、あぁー」

召喚兵「ですよね〜」

王子「…おい、ジョークなんだから納得するなよ」

西国兵「え、あ…すみません」

親衛隊「王子、この先に魔物はいないようですよ」

王子「だってさ。ほれ、はよ行け」

召喚兵「ちょ、ちょっと!?押さないで下さいよ!」

王子「ちゃっちゃと作らないと、魔王討伐なんて夢のまた夢だぞ?」

西国兵「わ、分かっておりますよっ!」

王子「分かってんならちゃっちゃと進む!もう日も暮れちゃったぞ!」
530 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/09(木) 21:32:08.96 ID:KWNo5w.o


名代「では、これより会食とさせて頂きます」

皇太子「これはわざわざ…」

帝「此方としても堅苦しい会談は早々に終わりとしてくてな…」

皇太子「はははっ、ごもっもと」

家老「皆様方も行きますぞ。お疲れ様でした」

召喚士「いえ、特に何も出来ず……」

名代「良いのです。両国を知る皆様方が証人として携わって頂けた」

エリート「今回も力を借りる事となってしまったな。感謝する」

戦士「なーに、本国と東方…互いの平和の為です!なぁ…?」

盗賊「……ああ」

魔道士「何はともあれ良かったです!おめでとうございます」

隊長「まだ正式に決まったわけじゃねぇけどな…」

西方参謀「まぁな。だが決まったも同然だ…めでたいじゃねぇか!がはは!」

魔道士「そうですよね!えへへっ!!」
531 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/09(木) 21:32:53.64 ID:KWNo5w.o


一同は階下にあたる大広間へと移動し、両国主を交えた会食へと臨む。

広い畳上を、女中らが忙しなく支度を整えている。

家老「さぁさぁ、どうぞ。お掛け下さいませ」

皇太子「うむ」

エリート「失礼します」

皇太子とエリートは椅子ではなく座布団に座るという、

東方の慣れぬ作法に戸惑いながらも、帝と家老に並び上座へ腰掛ける。

名代「楽になさって下さい」

皇太子「ああ、お気遣い感謝する」

返答代わりに一礼すると、名代は帝の脇、一段下がった配膳の前へ座する。

名代「上様も足を崩されたら如何です?正座する必要はございませんよ?」

帝「足を崩すと…下着が見えてしまうではないか。ボソボソッ」

名代「……はぁ」

『着替えれば良いものを』。心で思ったが名代はそれを心中にぐっと留めた。
532 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/09(木) 21:33:45.52 ID:KWNo5w.o
テクテクテク…ドスッ

戦士「いよっと」

魔道士「はー。なんだか緊張しましたねー」

戦士「まぁ俺らは何もしてないけどな」

盗賊「…うん」

召喚士「とりあえずこれで東方も安心だね」

戦士「西方に続いて…歴史的な立会い人になれたな!」

召喚士「俺達って運がいいのかもね」

魔道士「本当ですね!」

家老「さぁ、お注ぎ致しましょう。杯を」

戦士「おっと、すいません」

名代「隊長殿、西方参謀殿もどうぞ」

隊長「これはわざわざ……」

西方参謀「いやぁ…東方の酒、すっかり気に入りましたぞ!…ヒック」
533 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/09(木) 21:34:23.90 ID:KWNo5w.o


名代「では……」

帝「うむ」

スクッ

帝「今宵……我ら東方は、本国との同盟について承諾するものである」

家老「……」

帝「しかしながら今時点に於いては、東方内部の情勢も不安定であり…」

エリート「……」

帝「まずはこれを解決する事が、本国にとっての誠意となろう」

皇太子「……」

帝「東方一丸となりこれに取り組み、一日も早く同盟を締結する所存である!」

召喚士「……」

帝「ひとまずは目出度き門出を祝い……乾杯!」

魔道士「乾杯〜!!」

皇太子「…乾杯!」
534 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/09(木) 21:35:10.54 ID:KWNo5w.o


家老「いやぁ目出度い目出度い!」

隊長「家老殿、さぁどうぞ」

家老「これはこれは…おっとと!」

西方参謀「…いやぁ以外とすんなりいって良かったですわ…ガハハ」

エリート「それについてなのですが……」

隊長「……?」

エリート「あ、いえ…。後ほどお話致します」

西方参謀「左翼の件…ですかい?」

エリート「……ええ」

ズイッ

皇太子「お前ら…このような席で話をするでない」

隊長「し、失礼致しました」

西方参謀「殿下の仰るとおり。その件については後にしましょうや」

エリート「…ですね」
535 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/09(木) 21:35:59.63 ID:KWNo5w.o
楽しい宴の席はあっと言う間に過ぎるもの。彼らの会食も同様に、

和気藹々と打ち解けた頃、閉会の刻を迎えたのだった。

テクテクテク

帝「いやはや、今宵はご足労頂き…感謝致します」

皇太子「此方こそ。丁重な御持て成しありがとう」

帝「本日は此処へお泊り下され。それとも…既に手配を…?」

皇太子「お恥ずかしながら何も…。折角のお誘いです、甘んじさせて頂く」

帝「それは良かった。家老、部屋の用意を」

家老「ははっ」

帝「宜しければお見せしたいものが。お時間は良いかな?」

皇太子「無論…喜んで。エリート、少し外すぞ」

エリート「はい」

名代「上様、どちらへ…?」

帝「ん、ああ。天守閣へな」

皇太子を連れ、帝は天守閣への階段を進む。
536 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/09(木) 21:37:25.73 ID:KWNo5w.o
テクテクテクテク…

帝「ここが天守閣…。普段は使われておらぬが…」

皇太子「……おぉ、これは…っ!」

帝「如何か?此処からは都…いや、更に遠くまで見渡す事が出来る…」

皇太子「絶景ですな。宵闇というのも風情があって良い」

帝「……」

皇太子「月が…綺麗ですなぁ」

帝「……ええ」

二人は夜空に浮かぶ朧月をじっと眺める。

皇太子「上様はお好きですかな?」

帝「帝、で結構。……月は好きですよ。優しい気持ちになれるから」

皇太子「…良い心をお持ちだ」

帝「心……ですか?」

皇太子「月は己の心を映し出すと申してな。きっと綺麗な心をされておるのだろう」

帝「……い、いや…どうであろうな」
537 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/09(木) 21:38:20.15 ID:KWNo5w.o
皇太子「……帝殿」

帝「…何でしょうか」

皇太子「帝殿は『国』というものをどうお考えか?」

帝「国……?」

皇太子「そう、国……」

帝「難しい質問ですな」

皇太子「はははっ。これは失礼」

スッ…テクテクテク

帝「国は…月と同じではないだろうか」

皇太子「……」

帝「人の心そのもの。それが国のようにも思えまする」

皇太子「……成程」

帝「都合の善し悪しや喜怒哀楽。全てを含めて築き挙げるが国かと」

皇太子「……」

帝「いや、これは私の勝手な解釈だ。忘れて下され」
538 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/09(木) 21:40:00.12 ID:KWNo5w.o
天守閣の縁に歩み寄る帝の後を追い、皇太子も横に並び返事を返す。

皇太子「いえいえ、感銘しますよ」

帝「……」

皇太子「人と人が助け合うように、国も同じ…か」

帝「……うむ」

皇太子「互いに心通わせる事が出来れば…一つにもなれると?」

帝「…難しいかもしれません。しかし不可能ではないでしょう」

皇太子「……」

帝「だが、私は無理に一つとなる必要はないと思うております」

皇太子「……ほう」

帝「人同様、色々な国があるからこそ面白い。そうは思えませぬか?」

皇太子「…成程」

帝「勿論、多数の国が在らば国同士揉める事もあるでしょう」

皇太子「……」

帝「それを無くすべく解決する者こそ、その国を治める…即ち、我々の役目かと」
539 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/09(木) 21:41:19.49 ID:KWNo5w.o
皇太子「…いやぁ、深いですな」

帝「そんな事は……」

皇太子「ありがとう、帝殿」

帝「…?」

皇太子「いや、貴重な意見が聞けて有意義であった」

帝「…それは何より」

皇太子「まだお若いのに…しっかりしていらっしゃる!」

帝「と、とんでもない…っ」

皇太子「私も少し気合を入れねばならぬようですな。はははっ」

帝「…頑張りましょう。ふふっ」

皇太子「ええ!はっはははは!」

帝「…それでは戻りましょうか。皆も待っておる」

皇太子「ですな」

帝「…ええ」

天守閣より広がる夜景を後に、帝と皇太子は皆の元へと戻って行った。
540 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/09(木) 21:43:22.75 ID:KWNo5w.o


エリート「……と、言うわけです」

隊長「……っ」

西方参謀「そうか…。殿下の急な訪問はそういう事もあったのか…」

エリート「東方滞在中に何とか一手打たねば…」

隊長「かしこまった。我らも何かしら考えてみよう」

西方参謀「……しかしだな、難しいですなぁ」

エリート「右秘書官殿、右文官殿も動いてくれているとは思いますが…」

召喚士「そういえば…青年兵くんは一緒じゃないんですね」

エリート「えっ?あ、ああ…青年兵か……」

戦士「…?」

エリート「青年兵なら単身、東方司令部に潜り込んでいるよ」

魔道士「だ、大丈夫なんですか!?」

エリート「……おそらく」

召喚士「……?」
541 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/09(木) 21:50:43.58 ID:KWNo5w.o
ご飯とお風呂済ませてきます!
542 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/09(木) 22:42:39.38 ID:NsOdQIQ0
>>1乙!

皇太子「月が…綺麗ですなぁ」

帝「…え、」

名代/エリート「ロリコンかよっ/ですかっ!!」ガタッ

雷忍「ぐぬぬ。」
543 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/09(木) 22:49:13.56 ID:5jNBx..o
続きが来たかと思えば

正直うざいし何が言いたいのかよくわからない
544 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/09(木) 22:51:58.24 ID:iqeC45wo
つまり月が綺麗ってことだよ
545 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/09(木) 23:28:34.60 ID:KWNo5w.o


青年子「お待たせしました!」

東方参謀「…ほう。手馴れたものだな」

青年子「そんな事は…。バレたら最後ですから必死ですよ……」

東方参謀「成程な…。では行くか」

青年子「はい」

すっかり女性の様相へと変わり果てた青年兵は裏返った声で返答した。

そして慣れぬ内股での歩行で、東方参謀の後ろにつき従い食堂を目指す。

テクテクテクテクテク…

東方兵「……!?」

東方参謀「おはよう。どうかしたか?」

東方兵「…そ、そちらのご夫人は……?」

東方参謀「ワシの姪でな。……手を出すなよ?」

東方兵「だ、出しませぬ……っ!」

東方参謀「もし手を出したら…分かっておるなぁ?うわーっはっはっは!」
546 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/09(木) 23:29:33.37 ID:KWNo5w.o
やべ…いっこ飛ばした!!>>545なしでお願いします!
547 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/09(木) 23:30:13.24 ID:KWNo5w.o
〜遡る事早朝、東方司令部にて〜

モゾッ

青年兵「……朝、か」

これ程、憂鬱な朝が未だかつてあったであろうか。青年兵はそんな事を思いながら、

昨日その場の勢いで潜入の、しかも女装での受諾をした事に後悔した。

青年兵「とにかく…準備しなきゃ」

一人洗面台に向かい、洗顔と化粧を施す鏡の中の男。

その滑稽な姿に、青年兵の気持ちを更に滅入らせるには十分であった。

青年兵「……ははっ」

独り言のように苦笑を浮かべていると、背後で戸の開く音と共に、

白髭をたくわえた男性、東方参謀が姿を見せた。

東方参謀「おはよう。よく眠れたか?」

青年兵「いえ……あまり……」

東方参謀「……で、あろうな。朝食にするか」

青年兵「はい。今、身支度を終えますので……」
548 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/09(木) 23:30:47.02 ID:KWNo5w.o


青年子「お待たせしました!」

東方参謀「…ほう。手馴れたものだな」

青年子「そんな事は…。バレたら最後ですから必死ですよ……」

東方参謀「成程な…。では行くか」

青年子「はい」

すっかり女性の様相へと変わり果てた青年兵は裏返った声で返答した。

そして慣れぬ内股での歩行で、東方参謀の後ろにつき従い食堂を目指す。

テクテクテクテクテク…

東方兵「……!?」

東方参謀「おはよう。どうかしたか?」

東方兵「…そ、そちらのご夫人は……?」

東方参謀「ワシの姪でな。……手を出すなよ?」

東方兵「だ、出しませぬ……っ!」

東方参謀「もし手を出したら…分かっておるなぁ?うわーっはっはっは!」
549 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/09(木) 23:31:25.26 ID:KWNo5w.o
〜食堂〜

ザワザワザワッ

青年子「……っ」

東方参謀「注目の的だな……」

青年子「……ええ」

東方兵「あれ…誰だ!?」

魔道兵「東方参謀の姪らしいぞ!」

東方伍長「マジかよ…っ。アリだな」

テクテクテク…コトッ

青年子……あ、おはおようございます」

東方司令「お、おぉ…おはよう。偶然だな…ははっ」

東方参謀「…何と分かりやすい女だ」

東方司令「き、今日はボクが司令部内を案内してやろう。ありがたく思え!」

青年子「え!?あ、あぁ…ありがとうございます」

東方司令「…ふふっ、礼には及ばん!」
550 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/09(木) 23:32:07.91 ID:KWNo5w.o
カラカラカラッ

東方副指令「おはようございます」

東方参謀「おぉ、副指令」

東方副指令「そちらの方が姪でいらっしゃいますか?」

東方参謀「そうなのだ、青年子…と申す」

青年子「は、始めまして」

東方副指令「これはこれは。姪はかわいいものですよね」

東方参謀「貴殿も姪がいたな…。白虎長と申したか」

東方副指令「ええ。あの子も立派に務めております」

東方司令「おい、青年子が困っているだろうが。大人しく食せ」

東方副指令「おっと…すみません。あ、そうそう司令」

東方司令「何だ?」

東方副指令「朝食が済みましたら会議室へ…。左翼士官殿がお呼びです」

東方司令「――っ。……仕方ない、案内はまた今度!」

青年子「は、はい…っ!」
551 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/09(木) 23:35:23.42 ID:KWNo5w.o
カチャカチャッ

青年子「ご馳走様でした」

東方司令「口に……合ったか?」

青年子「はいっ。とても美味しかったです」

東方司令「そ、そうか…!」

東方参謀「ほれ、左翼士官『殿』が待っておるのだろう?」

東方司令「五月蝿いっ!時間は言われてない。いつ行こうがボクの勝手だ」

東方参謀「……全く」

カツカツカツ

東方魔道長「……」

東方司令「……おう。どうした?」

東方魔道長「その者は…?」

東方参謀「ワシの姪だ。文句あるか?」

東方魔道長「……司令、左翼士官がお待ちです。早急に会議室へお向かい下さい」

東方司令「……はいはい。行けばいいんだろ行・け・ば!」
552 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/09(木) 23:38:34.57 ID:KWNo5w.o
ガタッ…テクテクテク

東方司令「な、何か不自由があったら…すぐボクに言えよ?」

スタスタスタ

青年子あ、ありがとうございます」

東方参謀「…やっと邪魔者が去ったか」

青年子「……はぁ」

東方参謀「これでしばらくは自由に動けるであろう」

青年子「そうですね。午前中は司令部内を散策してみたいと思います」

東方参謀「うむ。ワシは兵の鍛錬があるのでな、中庭におる。何かあったらすぐに申せ」

青年子「助かります」

東方参謀「…それでは、頑張れよ『青年子』さん。うわーっはっはっは!」

青年子「……」

カチャカチャッ…スタスタスタ

東方兵「あっ、食器はそのままで結構です!自分がやりますので!」

青年子「…あ、ありがとう…ございます」
553 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/09(木) 23:44:06.06 ID:VXiZ5QAO
青年子ちゃん人気ありすぎワロタww
どうでもいいけど、東方司令部の食堂の光景とホグワーツのそれがなんか重なる
554 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/09(木) 23:44:58.50 ID:KWNo5w.o
テクテクテクテク…

魔道兵「ど、どちらへ行かれるのですか!?宜しければ案内致しましょうか!?」

青年子「い、いえ…っ。大丈夫です…ありがとう」

テクテクテクテク…

東方伍長「お嬢さん…宜しければ……」

テクテクテク

東方伍長「この僕と……あれぇ!?」

テクテクテクテク…

東方兵「何かお探しですか!?」

青年子「い、いえ…特に。色々と見学させて頂いてます〜」

東方兵「そうでしたか!こちらは娯楽室です。その奥が図書室…それで……」

青年子(成程。基本構造はどの司令部も同じなのだな)

東方兵「何か書物など読まれるのであれば…ご、ご自由にどうぞ!」

青年子「ありがとうございます」

ニコッ…スタスタスタ
555 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/09(木) 23:47:39.32 ID:KWNo5w.o
〜娯楽室〜

青年子(ここは娯楽室か……)

テクテクテク

東方兵「聞いたか?」

魔道兵「ああ、東方の話だろ?」

青年子(……東方?まさか…殿下の身に何か!?)

コソッ

東方兵「本当にヤマタノオロチが…倒されたのか!?」

魔道兵「分からん。あくまで行商の話だしな……」

青年子(ヤマタノオロチが……!?)

東方兵「もしそうなら…この司令部も……」

魔道兵「再編成かもしれんなぁ。これでようやく本国に帰れるかもなぁ…」

青年子「……」

ガタッ

青年子「しまっ……」
556 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/09(木) 23:50:34.97 ID:KWNo5w.o
東方兵「誰かいるのか!?」

魔道兵「……っ」

ソーッ…テクテク

青年子「こ、こんにちは〜」

魔道兵「あぁ!?た、確か…青年子さん…?」

青年子「すみません…道に迷ってしまって……」

東方兵「そうでしたか。ここは娯楽室…出て左へ真っ直ぐ行けば正面へ戻れますよ」

青年子「あ、ありがとうございます〜!」

東方兵「……い、いえ…自分はその…っ」

青年子「……あ、あのぉ」

東方兵「はいっ!?」

青年子「先程何か…東方の事をお話されていたようですが…」

魔道士「あ、えぇ…。東方に興味がおありで…?」

青年子「え、ええ。一度行ってみたいなぁと思っておりまして〜」

東方兵「そうですか…!これからは行きやすくなるかもしれませんよ!」
557 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/09(木) 23:54:46.54 ID:KWNo5w.o
青年子「そうなんですの!?」

魔道士「何でも先日、ヤマタノオロチという大物が倒されたと噂でしてね」

東方兵「そのバケモノがわれらや東方を困らせていたのですよ」

青年子「そ、そうなんですか〜」

東方兵「ヤマタノオロチのせいで我ら、何年、赴任生活をしているか……」

魔道士「お陰で縁もなく…。はぁ……」

青年子「やはり…帰りたいですものね…」

東方兵「はい。実家も年に一度行ければ良いですからね」

魔道士「今年なんて新年の満月がカブりやがったからなぁ…」

青年子「じゃ、じゃあ他の方も早く東方司令部を離れたい…と?」

魔道士「……あまり…大きな声では言えませんがね、ははっ」

東方兵「内緒にしておいて下さい!」

青年兵「モチロンです!ふふっ。あ、では失礼致します」

東方兵「え、あ…はいっ」

魔道士「ま、また…!」
558 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/09(木) 23:57:54.79 ID:KWNo5w.o
テクテクテク…

東方兵「……青年子さん」

魔道兵「何だろうな…。あのボーイッシュな感じと中身の清楚なギャップ」

東方兵「時折見せる儚い表情」

魔道兵「かと思えば男らしいような振る舞い…」

東方兵「不思議な魅力がある…」

魔道兵「うむ。何故か気になってしまう…」

東方兵「……やめとけよ。お前じゃ相手にされん」

魔道兵「お前こそ…」

東方兵「……はぁ、早く帰りたい」

魔道兵「本国にゃあ、あんな女性がまだまだ居るんだろうなぁ…」



青年子「そうか…。東方司令部の皆は早く本国へ帰りたがっているのか…」

テクテクテク…ピタッ

青年子「…これは……使えるかもしれない…っ!!」
559 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/10(金) 01:24:09.56 ID:qMm.NYAo
I love you => 月が綺麗ですね
560 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/10(金) 02:42:57.30 ID:6KhrRYDO
↓ここから濃厚なホモスレになります
561 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/10(金) 05:45:51.23 ID:H4lH8oAO
>>1
青年兵最後の最後で気が抜けてるぞwwww
562 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/10(金) 08:01:20.89 ID:BfUfDoDO
>>543 夏目漱石 月が綺麗ですね でggr
563 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/10(金) 08:08:47.72 ID:A2Km5s2o
>>562
で、それをわざわざ改変して書き込む意図は?
564 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/10(金) 09:27:48.61 ID:s9imy5so
>>いちおつ。
毎日更新恐れいる。
565 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/10(金) 09:41:17.28 ID:mKV9QFY0
>>563
お顔が夕陽の様ですね。
566 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/10(金) 09:57:02.38 ID:A2Km5s2o
煽るって事は改変肯定か

>>565なんか改変書きなよ
567 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/10(金) 10:09:45.93 ID:0n7VpoMo
↑ここまで濃厚なホモスレでした
568 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/10(金) 11:22:33.82 ID:AQjs2Kg0
1乙
569 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/10(金) 12:28:26.12 ID:mKV9QFY0
>>567
それなら「井戸が綺麗ですね…。」だろ。
570 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/10(金) 12:51:29.47 ID:TXAnc6AO
>>557
魔道士が東方司令部に就職したようです
571 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/10(金) 16:37:23.72 ID:l3.is9wo
〜本国、経済機関庁舎〜

タッタッタッタッタ…バンッ!!

左大臣「何だァ、騒がしいなァ」

左文官「……や、やられました…っ」

左秘書官「…?」

左文官「帰艦した軍船に…殿下は乗っておりません!!」

左秘書官「何ぃ!?」

左大臣「……それで、行き先はァ?まさかまだ東方司令部に?」

左文官「いえ…っ、司令部は昨日…日没前に発たれたと……」

左秘書官「軍船は何時、ターミナルを出航したのです!?」

左文官「話では0時…。その時既に殿下の姿はなかったと…」

左秘書官「…ターミナルで行方を眩ましたか」

左文官「そのようだ……」

左秘書官「…まさか殿下は。……左大臣様」

左大臣「…東方か」
572 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/10(金) 16:38:10.67 ID:l3.is9wo
左秘書官「別の船に乗り換えて向かった可能性が高いですね」

左文官「しかし、東方の情勢で船の出港は厳しく制限を…」

左大臣「そんなもの…どうとでもなるであろう」

左秘書官「大方、国軍の巡回警備艇でも使用したのでしょう」

左文官「…お、追いますか?」

左大臣「今から追ったところで何とかなるものでもあるまい」

左文官「……っ」

左大臣「…さて、どうするかなァ」

左秘書官「殿下の帰国日程だけでも把握した方が良いかと…」

左文官「賛成です。帰国のタイミングを狙って議会を……」

左大臣「…できるかァ?」

左文官「速度の出る船と東方までの船頭をすぐに手配致します」

左秘書官「私が東方へ行きましょう」

左文官「よ…宜しいのか!?」

左大臣「…よぉし、頼んだぞ」
573 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/10(金) 16:40:59.02 ID:l3.is9wo
〜東方司令部、中庭〜

東方参謀「そうだ!魔法付加は互いの力を均衡にする事が重要…」

スタスタスタ

東方参謀「…む?」

東方司令「……はあぁーっ」

ブオッ!!……ズズウウゥゥンッ

東方兵「お、おぉ…っ。お見事…!」

縦真っ二つに斬り裂かれた大岩を見つめ、兵らが唸る。

東方参謀「仕方ない。ひとまず休憩とする」

東方兵「はい!ありがとうございました!」

ザワザワ…ワイワイ…

東方司令「……」

東方参謀「珍しいな。鍛錬嫌いのお主が……」

東方司令「…ふん」

東方参謀の言葉を無視して、剣を振り回す東方司令。
574 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/10(金) 16:41:30.41 ID:l3.is9wo
ヒュンヒュンッ

東方司令「どーせお前もボクが小さくて弱々しく見えると思ってんだろ」

東方参謀「…いや、ババアだとは思っているが……」

ブンッ!!

東方参謀「うおっ!?」

東方司令「ジジイに言われたくないわ!」

東方参謀「……ふん」

チャキッ…カシャッ

東方司令「青年子、何者なのだ?」

東方参謀「…んー?」

東方司令「ボクの目は誤魔化せないよ。何の目的だ?」

東方参謀「どうだかのう。本人にでも問いただしてみたらどうだ?」

東方司令「…まぁ何者でも構わんが余計ないざこざは起こすなよ」

東方参謀「……それで、どうするつもりだ?」

東方司令「…どうもしないよ。あれ程の女性、そうはいないからね」
575 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/10(金) 16:42:18.65 ID:l3.is9wo
怪訝な表情を浮かべる東方参謀を余所目に、東方司令は言葉を続ける。

東方司令「静観したボクを罰するというなら、部外者を招いたお前も同罪だぞ?」

東方参謀「そんな真似するわけなかろう」

東方司令「…ま、まさか…愛人ではなかろうな?」

東方参謀「…このワシを愚弄するか…?」

東方司令「……」

東方参謀「…全く」

ザッザッザッ…クルッ

東方参謀「何だ…?」

東方司令「……き、今日から彼女には個室を用意するからな!」

ザッザッザッザッザ

東方司令「…全く。思いっきり誤魔化されておるではないか」

去りゆく東方司令の姿を眺め、東方参謀は頬を掻く。

東方参謀「…さぁて、休憩終了。昼食までもうひと踏ん張り励むぞ」

東方兵「はいっ!!」
576 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/10(金) 16:43:56.26 ID:l3.is9wo
〜本国、経済機関庁舎〜

左文官「船の手配が完了致しましたぞ」

左秘書官「ありがとうございます」

タッタッタッタッタ

左翼兵「申し上げます!」

左秘書官「…どうした?」

左翼兵「東方への入港ですが、問題ないとの事です」

左文官「おぉ、それは何より……」

左翼兵「何でも戦闘が終了した為、出入港の制限を解除すると…」

左秘書官「…?」

左大臣「ほぉ、早いなァ。東方もやるではないかァ」

左翼兵「はいっ。しかもヤマタノオロチだという話です」

左大臣「!?」

左文官「な…何だとぉ!!」

左翼兵「いやはや…これで本国も安泰……」
577 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/10(金) 16:47:00.86 ID:l3.is9wo
左大臣「確かなんだろうなァ!?その情報はァ!!」

左翼兵「!?……ま、まだ正式通達ではありませんが…っ」

左秘書官「……」

左大臣「…おい」

左秘書官「分かっております。しかし殿下は絡んでいないと考えますが…」

左大臣「ただの偶然かァ?それにしては時期が悪すぎる」

左秘書官「昨日、本部に派遣した者らがおります」

左大臣「あァ。別の一手の連中かァ…。そうだな、探らせよう」

左文官「すぐに連絡を…!」

左大臣「それで、どうする?」

左秘書官「予定に変更は御座いません。東方へ参ります」

左大臣「世話をかけるなァ」

左秘書官「何を仰られますか」

左文官「何卒、気を付けてな」

左秘書官「はっ。それでは行って参ります」
578 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/10(金) 16:47:59.11 ID:l3.is9wo
〜東方司令部〜

青年子「……やっぱりそうなんですか」

東方兵「出来る事なら…ですけどね」

青年子「…ありがとうございましたっ!」

当方兵「あ、いえ……」

青年子「あ、そうだ」

ゴソゴソッ

青年こ「良かったら…どうぞ」

東方兵「これって……本国パティシエの…」

青年子「ご存知ですか!?このチョコ美味しいですよねー!」

東方兵「い、いいんですか…?」

青年兵「はいっ!どうぞ!」

東方兵「で、では遠慮なく……」

ヒョイッ…パクッ

東方兵「…あぁ、この味…久し振りだなぁ……!」
579 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/10(金) 16:49:32.93 ID:l3.is9wo


東方兵「ありがとうございました!」

青年子「いえいえこちらこそ引き止めてしまって…ごめんなさい」

テクテクテク…

青年子「…殿下に貰ったチョコが意外なところで役立ったな」

ショルダーバッグの口を広げ、青年子はチョコをその中に戻す。

青年子「やはり皆、本国の味を忘れられないんだなぁ…」

カラカラカラッ

東方副司令「おぉ、こちらにおりましたか」

青年子「副司令様!?どうかなさったのですか?」

東方副司令「間もなく昼食の時間ですのでお迎えにと思いまして」

青年子「そうでしたか、それはわざわざありがとうございます!」

東方副司令「いえいえ。それでは食堂へ向かうとしましょうか」

青年子「はい!あ…っ、車椅子押しますね!」

東方副司令「おぉ、これは助かる。ありがとう」
580 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/10(金) 16:53:20.83 ID:l3.is9wo
カラカラッ…

青年子「副司令様のご家族はどちらにいらっしゃるのです?」

東方副司令「私のかい?南方にいるよ」

青年子「そうなんですかぁ。……寂しくはありません?」

東方副司令「そうだねぇ…。寂しいといえば…寂しいかなぁ」

青年子「……」

東方副司令「しかしまぁ、これも仕事だからね。仕方ない」

青年子「……え、ええ」

東方副司令「青年子さんだったね。君はどこの生まれなのだい?」

青年子「私は本国です

東方副司令「そうかぁ…。両親や兄弟は?」

青年子「……母が…病気で」

東方副司令「…そうか。しっかりと孝行するんだよ?」

青年子「……はい」

東方副司令「…おっと、食堂だね。助かったよ…ありがとう」
581 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/10(金) 17:42:07.61 ID:l3.is9wo
〜東方、現在〜

戦士「女装して…司令部に潜り込んだぁ!?」

エリート「…ああ」

召喚士「な、なんという大胆な……」

戦士「お前……」

エリート「え…?」

召喚士「い、いえっ!こっちの話です!!」

魔道士「青年兵さんの女装…かぁ…」

盗賊「……見て…みたいのか?」

魔道士「あっ、い…いえ…!」

戦士「…お気楽なこった」

名代「本国も何やら、内部事情が慌しいようですな」

エリート「ええ…。劣勢というわけではありませんが…」

召喚士「そうなると左翼の動きも気になりますね…」

エリート「ああ。油断は出来んな」
582 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/10(金) 17:46:50.22 ID:l3.is9wo
〜国軍本部、昼頃〜

国軍兵「…ご、ご苦労様ですっ!」

左翼官「うむ」

カツカツカツカツ…

男隊員「何だ、アイツら…?」

女隊員「経済機関から資料の調査がどうのって言ってたッスよ」

男隊員「…ふーん」

女隊員「隊長もしばらくいないし…何かあったんスかねぇ?」

男隊員「さぁな。俺らは言われた事をやる…そんだけだ。行くぞ」

〜資料室〜

左翼官「邪魔するぞ」

資料室長「こ、これはご苦労様です」

左翼官「…よし、始めよ」

左翼官の号令により、多数の者が資料を片っ端から物色を始めた。

資料室長「こ、これは一体……?」
583 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/10(金) 17:51:58.78 ID:l3.is9wo
左翼官「気にするな。持ち出したりはせん」

資料室長「は、はぁ…」

カツカツカツ…パラパラッ

左翼官「…在籍した者からトップクラスのワーカーまで……」

パタン

左翼官「よくもまぁ…これだけ集めたものだ」

資料室長「……」

左翼官「…どうだ、何か見つかったか?」

左翼兵「い、いえ…!」

左翼官「些細な事でも良い。とにかく情報を集めるのだ」

左翼兵「左翼官様、これなどいかがでしょうか…?」

左翼官「…どれ」

パラパラパラ…パラッ

左翼官「…あまり役には立たぬな」

左翼兵「…つ、次はあちらを調べてみます!」
584 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/10(金) 18:29:27.37 ID:l3.is9wo
こんばんは!ご支援ありがとうございます!
今日も何だか忘年会とかあるみたいなので…
深夜更新出来たらしたいところですが明日見て頂ければ…

それでは、本日もありがとうございました!ノシ
585 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/10(金) 18:38:51.35 ID:jBa6tVwP
いいな忘年会
オレなんて1人自営だから、忘年会をやったってねぇ・・・
586 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/10(金) 19:38:48.78 ID:wQmXcfYo
俺は自宅警備員仲間の兄貴と忘年会するよ
587 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/11(土) 00:07:09.86 ID:bjRWpgAO
>>1

今ちょうど忘年会の四次会から解放されて、終電に乗ろうとしてる話題にタイムリーな俺…
飲酒前後にウコン飲んだけど、明日は二日酔い確定かな…
酔った勢いで画面にダイブして魔導師ちゃんと末永く幸せに幸せに暮らしたい
今まで充分虐げられてきたんだ、俺だってそろそろ見知らぬ世界にワープしちゃった的な物語の主人公になったって良いだろうに…
588 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/11(土) 02:50:35.87 ID:R/RqOJko


左翼官「…こっちはワーカーか。とんでもない数だな」

パシッ…パラパラッ

左翼長「M-1031…天才。あぁ、功績ランク一位の…」

コトッ…パシッ…パラパラッ

左翼官「……S-44。再来の先代朱雀先生か」

タッタッタ

左翼兵「左翼官様っ!これを…!!」

左翼官「ん?何か見つかったか?」

パラッ…

左翼官「……妹?」

左翼兵「その妹は一般人らしく、資料はありませんでした」

左翼官「そうか」

左翼兵「しかしながらこれを…」

左翼官「……?王宮従者一覧?」
589 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/11(土) 02:51:51.60 ID:R/RqOJko
パラパラパラッ

左翼兵「あっ、この者です。生年月日が一致致します」

左翼官「同一人物と見て良さそうだな」

左翼兵「そして…この者が…」

ススッ…パラッ

左翼官「!?」

左翼兵「…間違いありません」

左翼官「…だ、だがこの程度なら左大臣様も存じておろう」

左翼兵「はい。当時の重鎮は左翼、右翼関係なく大混乱のようでしたので…」

左翼官「このような事が国民に知れては一大事だからな……」

左翼兵「そして、落胤ですが…ここで情報が途切れております」

左翼官「……この年に手放したとみて良いな。いつだ?」

左翼兵「今から21年前になりますかね」

左翼官「…よし、その年の女児に関する出生記録を全て洗い出すのだ」

左翼兵「はっ!」
590 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/11(土) 02:52:45.48 ID:R/RqOJko
カツカツカツ

左役人「失礼します」

左翼官「どうした…?」

左役人「左大臣様からの指示書です」

左翼官「指示書?まだ何か追加事項が…?」

左役員「詳しくは指示書をご覧下さい」

カサッ

左翼官「…!?な、何と…っ」

左翼兵「いかがなさいました?」

左翼官「東方にてヤマタノオロチを破ったそうだ」

左翼兵「っ!?」

左翼官「本部にてその裏を取れとご命令だ」

左翼兵「……なんと」

左翼官「仕方ない。調査は後日改める。司令室へ向かうぞ!」

左翼兵「はっ!!」
591 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/11(土) 02:53:28.02 ID:R/RqOJko
〜司令室〜

秘書官「…あ、どうも」

左翼官「司令はいらっしゃるかな?」

秘書官「…はぁ。何か御用でしょうか?」

左翼官「少しお聞きしたい事がありましてな」

秘書官「…しばしお待ちを」

テクテクテク…パタン

左翼官「……」

カツカツカツカツ

副司令官「…ん?左翼官か?」

左翼官「これは副司令官様」

副司令官「総司令に何か用か?」

左翼官「…ええ、まぁ」

カチャッ

秘書官「……どうぞ」
592 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/11(土) 02:54:36.43 ID:R/RqOJko
カツカツカツ…

左翼官「失礼致します」

司令官「…ん。副指令も一緒か」

副司令官「外でたまたま会いました」

司令官「それで、何の用?」

左翼官「実は、東方にてヤマタノオロチを討伐したとの噂が…」

司令官「…へぇ。それは凄いね」

左翼官「ご存知ないので…?」

司令官「…さぁ。特にまだ何も伺ってないが」

副司令官「実はまさに、その件についての伝書が……」

カサッ

司令官「隊長からか…。東方にいるんだね」

左翼官「……」

司令官「…だってさ。ほら」

一読した後、司令官は伝書をそのまま左翼官へ手渡す。
593 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/11(土) 02:55:54.16 ID:R/RqOJko
左翼官「失礼致します」

カサッ

左翼官「……っ」

司令官「良かったね。これで本国も危機が減ったよ」

副司令官「しかし油断はなりませんぞ」

司令官「そうだねぇ。完全に龍脈を封じたわけじゃないしね」

左翼官「……ありがとうございます」

カサッ

司令官「国民への発表は後ほど行うよ。各司令部にも早々に伝令を送る」

副司令官「手筈を整えておきます」

司令官「……ん」

左翼官「…それでは、失礼致します」

司令官「もう終わり?」

左翼官「そのご確認をさせて頂きたかったのみですので」

司令官「…そう。ご苦労様」
594 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/11(土) 02:56:55.12 ID:R/RqOJko
カツカツカツ…

左翼兵「いかがでした!?」

左翼官「やはり噂の通りであった。急ぎ、経済機関へ戻るぞ」

左翼兵「はっ!」

カツカツカツ

格闘家「……」

左翼官「……」

カツカツカツカツカツ

格闘家「……?」

無言のまますれ違う見慣れぬ文官らに、格闘家は首を捻りながら司令室へと向かう。

秘書官「格闘家さん。司令は今、副指令とお話中ですよ」

格闘家「…そうでしたか。ならば改めまする」

秘書官「もうじき終わるとは思いますけど…良いのですか?」

格闘家「…ええ。特に急ぎではないので」

秘書官「そうですか。一応、来られた事のみお伝えしておきます」
595 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/11(土) 11:46:57.61 ID:UBE8TFU0
1乙
国王の子供ってことかな…?
596 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/11(土) 14:02:26.50 ID:wVJ0ydMo
召喚師の母親とかじゃなく?
597 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/11(土) 18:12:01.48 ID:id5.G1ko
21年前の女児が召喚氏の母親なわけがない
598 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[saga]:2010/12/11(土) 20:39:07.06 ID:f.MAVYAO
こんな時期にそんな御飾りにしかならんものを探して擁立でもする気か?魔力信仰ウゼ
左大臣糞だな

皇太子がむばれー
599 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/11(土) 21:31:23.84 ID:2p/wWkko
ヤマタノオロチ討伐と偉業を成し遂げた東方の女帝のニュースは瞬く間に本国を駆け巡り
情報を重く見た女性誌は単独取材を敢行、国内を纏めたい東方側の思惑もあり
東方の女帝特集を本国、東方両国で発行する事に成功する
この特集は創刊史上類をみない程の売り上げとなり、東方市場の重要性を知らしめ
国家間流通の礎を気付く事となる
600 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/12(日) 00:18:18.47 ID:zSofVYDO
一瞬だけ>>1が来てたのかと思った
601 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/12(日) 03:09:18.37 ID:5LG0ME6o
〜司令室〜

副司令官「しかし…驚きましたなぁ…」

司令官「意外と早かったね」

副司令官「まさか…予言でご存知だった…とか?」

司令官「そんなわけないよ。事細かな予言なんて、都度聞かないとね」

副司令官「……なるほど」

司令官「それにしても……」

副司令官「ええ…。またも朱雀先生です」

司令官「……頼もしい限りだ」

副司令官「全くです。……しかし、宜しいのでしょうか」

司令官「んー?」

副司令官「あまりワーカーに頼りきりというのもどうかと」

司令官「まぁ仕方ないんじゃないの?国軍が頼りないからだろう?」

副司令官「…それはそうかもしれませんが」

司令官「国軍付など利用してこその存在だろう?……ふっふ」
602 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/12(日) 03:10:20.44 ID:5LG0ME6o
〜経済機関庁舎〜

左翼官「……」

左文官「……左大臣様…っ」

左大臣「やはり情報は確かであったかァ」

左文官「しかし、東方のみの力で倒せるものでしょうか…?」

左大臣「右翼が絡んでいる…そうもうしたいのだなァ?」

左文官「……はい」

左大臣「どうだろうなァ。東方の情勢などそれ程耳にするかえではないしなァ」

左翼官「左秘書官殿は東方へ向かわれたのですか?」

左文官「ああ。夜には到着するであろう」

左大臣「それで、もう一つの件はどうであったァ?」

左翼官「依然調査中です。進展は若干ですがございました」

左大臣「それは何より。調査を継続せよ」

左翼官「……はっ」

左大臣「焦る必要はないがァ…それ程時間があるわけでもない。互いになァ」
603 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/12(日) 03:10:47.13 ID:5LG0ME6o
〜東方、現在〜

エリート「そんな理由で今頃、左翼連中も慌しい事だろう」

召喚士「……なるほど」

隊長「何とか帰国までに打開策を練っておきたいところだな……」

戦士「出来る限りの協力はするぜ」

ザッザッザ

皇太子「それは助かる」

魔道士「殿下」

帝「皆の者、待たせたな…すまん」

盗賊「……いえ」

名代「城下町は如何でしたか?」

皇太子「非常に素晴らしいものを見させて頂いた」

名代「それは何よりで御座います」

皇太子「東方は良い国だ。改めてそう感じたよ」

帝「痛み入る。有難う」
604 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/12(日) 03:11:13.59 ID:5LG0ME6o


テクテクテク

皇太子「そうだ、そろそろ小腹が空かぬか?」

魔道士「え…?まぁ…確かに……」

召喚士「何かあるのですか?」

皇太子「大したものではないが、手土産を持参した」

戦士「手土産…?」

帝「それはわざわざ申し訳ないな」

皇太子「では夜食としようか」

魔道士「はいっ!」

ゴソゴソッ…ドサッ

名代「ず…随分な量ですね……」

皇太子「そうか…?」

魔道士「あっ!これ…パティシエのチョコレートじゃないですか!」

召喚士「有名なんですか?」
605 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/12(日) 03:12:01.86 ID:5LG0ME6o
魔道士「本国では有名なお菓子屋さんですよっ」

召喚士「へぇ〜」

盗賊「……これは?」

エリート「それはフィナンシェですね」

戦士「フィナンシェ?」

エリート「経済機関に代々伝わる軽食さ」

皇太子「日々多忙な彼らは食事をまともに摂る時間もない時がある」

召喚士「へぇ…大変だなぁ……」

エリート「そんな中で糖分の摂取と空腹を満たす為に作られたものだそうだ」

戦士「日々の生活の中で生まれた一品て事か…」

名代「日常の生活から新たな物を生み出す。素晴らしい事ですね」

帝「それでは折角のご好意だ。頂くとしようか」

名代「茶をお持ち致します」

帝「では皆、こちらへ……」

魔道士「はいっ!!」
606 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/12(日) 03:12:36.94 ID:5LG0ME6o


魔道士「いただきますっ!」

盗賊「……モグモグ」

帝「これが『ぱてぃしえちょこれーと』か……」

ドキドキ…パクッ

名代「い、如何ですか…?」

帝「……お、美味しい…っ!!」

皇太子「それは良かった。ならばこちらも……」

帝「えぇと…『ふぃなんしぇ』であったな」

パクッ

帝「……おおぉぉ」

戦士「こりゃうめぇな!どこに売ってるんです?」

エリート「病院の裏手にある小さな菓子屋かな」

召喚士「今度行ってみましょうか!」

魔道士「はいっ!美味しい〜えへへっ!!」

帝「はわぁ〜。美味しいのぉ〜!」
607 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/12(日) 03:13:13.89 ID:5LG0ME6o
召喚士「ほんと美味しいですね!」

魔道士「はいっ!えへへへ〜!」

帝「これは…?」

エリート「チーズスフレですね」

帝「……美味しいのう。では、これは…?」

皇太子「どれ…?おぉ、これは白桃のジュレだな」

帝「……おおぉぉっ、これも美味しい…!」

エリート「あとは…こちらが……うわぁ」

皇太子「パンナコッタだが…形が崩れてしまったな。これは無理に食べずとも……」

パクッ

帝「……ほおおぉぉ〜!」

皇太子「…はははっ!気に入って頂けたようで良かった!」

帝「うむ!うむっ!どれも素晴らしくて…まるで宝石箱のようだ」

皇太子「それは何より」

帝「…そうだ、折角なので東方の菓子も食べて頂くとしよう」
608 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/12(日) 03:13:41.08 ID:5LG0ME6o


コトッ

皇太子「…おっ、これは…!!」

帝「存じておられたか?」

皇太子「確か『アンミツ』ですな。食べさせて頂いた」

帝「そうであったか…。これは失礼……」

皇太子「いやいや、大変美味であった。土産に持ち帰ろうと思っていたところだ」

パクッ

皇太子「……うん。実に上品な味で素晴らしい」

名代「続いてこちらが羊羹です」

エリート「……『ヨウカン』ですか?」

名代「はい。よう噛んで食べるよう、そのなが付いたと言われております」

皇太子「…ほぉ」

パクッ…モグモグモグ

皇太子「…確かに…噛めば噛む程、味が広がるな」
609 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/12(日) 03:14:09.19 ID:5LG0ME6o
帝「茶に良く合う一品ですぞ」

皇太子「…確かに。これは茶が引き立ちますな」

魔道士「東方のお菓子も美味しいですねぇ!」

戦士「ああ。上品な味がするよな」

盗賊「…うむ。それが粋なところだ」

西方参謀「酒には合いそうもねぇなぁ……」

隊長「お前はほんと酒しかねーのか……」

名代「東方は酒の肴も豊富ですよ」

西方参謀「何っ!?それは是非、土産に買わなくては…!」

隊長「観光じゃねーっつの…」

皇太子「良いではないか。任務も終えたのだ。自由にしたまえ」

西方参謀「ほれっ、殿下のお墨付きだ。明日は帰国前に土産をば…」

隊長「…ったく」

帝「…ふふっ」

召喚士「はははっ!!」
610 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/12(日) 03:14:37.35 ID:5LG0ME6o


帝「いやはや、馳走になった」

皇太子「こちらこそ。大した物でもなく」

名代「まことに有難う御座いました」

エリート「こちらこそ」

テクテクテク…

家老「お、済みましたかな?それではお部屋にご案内致します」

エリート「恐れ入ります」

隊長「では殿下、また明日」

皇太子「お前らは泊まっていかんのか?」

西方参謀「いやぁ…既に宿を取ってしまっておりましてな…ははっ」

エリート「そうですか。それではまた明日」

隊長「失礼致します」

帝「うむ。今宵はありがとう。感謝する」

ザッザッザ
611 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/12(日) 03:15:05.84 ID:5LG0ME6o
魔道士「私達も行きましょうか」

戦士「だな」

召喚士「それでは俺らも宿を取っているので」

名代「はい。お疲れ様でした」

皇太子「うむ。また明日…頼む」

召喚士「はい」

盗賊「……では」

帝「ゆっくり休んでくれ」

魔道士「はいっ。ありがとうございます!」

テクテクテクテクテク

帝「……素晴らしい者達に恵まれておりますな」

皇太子「…ああ。勿体無いくらいだ」

帝「少し…羨ましいな」

皇太子「貴女の人望であれば、自ずと集まりますよ」

帝「…だと良いな。しかし失った時の辛さもある……か」
612 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/12(日) 03:15:32.02 ID:5LG0ME6o


テクテクテクテク

魔道士「何だかお腹いっぱいになっちゃいましたね!」

戦士「たらふく食って…太るぞ?」

盗賊「……うっ」

魔道士「それを言わないで下さいっ!今日だけです!」

召喚士「たまにはいいじゃないですか…っ。ははっ」

盗賊「…お、旅籠が見えてきたな」

戦士「わりっ、先に行っててくれ」

召喚士「どこか行くの?」

戦士「ああ、ちょっとな。すぐに戻るよ」

魔道士「気を付けて下さいねーっ!」

戦士「おーう!」

盗賊「……どこへ…行くのだろう?」

召喚士「きっと……」
613 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/12(日) 03:19:45.65 ID:5LG0ME6o
いやはや遅くなってすみません
一旦寝てまいります!また後ほど!!ノシ

>>599
これ……アリですね!なんだか絵が浮かびましたww

〜オマケ〜

ガラッ

隊長「たっだいまー!」

女将「あらあら、今日は遅かったですねぇ〜」

西方参謀「上様と大事なお話がありましてなぁ〜」

女将「それはそれは…お疲れ様でございました」

西方参謀「女将、これ……お土産です」

女将「何です?」

隊長「本国の菓子です。甘い物はお好きですか…?」

女将「あらまぁ!もちろん好きですわよ〜。それじゃお茶でも淹れましょうかっ!」

西方参謀「しかしですね……私が心から好きな物…ご存知ですか?」

テクテクテク…

西方参謀「そ、それは……貴女…っていねぇし!!」

隊長「おーい何してんだ〜?早く来いよ〜」
614 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/12(日) 03:43:39.40 ID:LPbVXoDO
おつおやすみ
615 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/12(日) 06:54:28.06 ID:WGtyNOko
藤蔵の戦姫もセンター特集で取り上げられ
上様より身近な戦う女性として羨望の的となる
インタビューをカットされた魔道士は暫く盗賊と口を利かなかったという

まで妄想したけど抜けてた
616 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/12(日) 21:59:08.05 ID:5LG0ME6o
ザッザッザ…

戦士「お勤めご苦労さん」

鬼丸「おーっ、てっきりもう帰ったのかと思ってたぜ」

戦士「何だかんだ色々あってな。まだいるよ」

鬼丸「大変だなー」

戦士「まぁ仕方ねぇ事さ」

鬼丸「人間も色々苦労するもんだなぁ」

戦士「まぁな……」

ドスッ

鬼丸「んで、今日はどうしたんだよ?」

橋の縁に座り込む戦士に鬼丸が問う。

戦士「……別に〜」

鬼丸「…ぐははっ!用もねぇのに来たのかよ!」

戦士「悪いかよ…っ」

鬼丸「いやいや、悪くはねぇな!」
617 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/12(日) 21:59:38.53 ID:5LG0ME6o
戦士「……あのよ」

鬼丸「んー?」

戦士「お前は魔族なんだよな…?」

鬼丸「今更何言ってんだ?人間に見えるか?」

戦士「いやっ、まぁそうなんだけどよ……」

鬼丸「じゃあ何だってんだ?まさか妖怪にでもなりてぇのか?」

戦士「バカ言え」

鬼丸「だよな、グハハ!」

戦士「何で魔族裏切ったんだ?」

鬼丸「裏切った?」

戦士「人間の味方してんじゃねぇか」

鬼丸「まーそういう事になるか」

戦士「……」

鬼丸「でも、そりゃ結果的なモンだ」

戦士「……?」
618 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/12(日) 22:00:05.42 ID:5LG0ME6o
鬼丸「自分の好きに生きてぇ。そう思った時にお前に会った」

戦士「……」

鬼丸「んでだ、お前らと生きた方が楽しそう。ただそんだけだ」

戦士「……そうか」

鬼丸「俺にとっちゃ妖怪だろうが人間だるが関係ねぇわ」

戦士「……強いな」

鬼丸「そうか?よく分かんね…グハハッ!!」

戦士「魔族ってのはみんなお前みたいな考えしてんのか?」

鬼丸「どーだかなぁ。でも、人間よりは正直なんじゃねぇかな」

戦士「……」

鬼丸「人間てのは面倒だよなぁ……」

戦士「……ああ、全くだよ」

鬼丸「同じ種族同士で争ったり、ややこしったらありゃしねぇぜ」

戦士「……ほんとだよ」

鬼丸「相棒もそうなのか?」
619 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/12(日) 22:00:35.38 ID:5LG0ME6o
戦士「え……っ?」

鬼丸「人間同士、殺しあったりする事あんのか?」

戦士「お生憎様、経験ねぇな」

鬼丸「いずれはすんのか?」

戦士「……」

鬼丸「……」

戦士「……分からん」

鬼丸「ふーん。大変だなぁ」

戦士「俺は……」

鬼丸「……んー?」

戦士「俺は、自分の大切な人が傷つけられたら……」

鬼丸「……」

戦士「傷つけられたら、その相手を躊躇なく殺す」

鬼丸「ほぉ」

戦士「そういう気持ちと覚悟は常に持ってる」
620 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/12(日) 22:01:36.75 ID:5LG0ME6o
鬼丸「気持ちと覚悟……ねぇ。んで、実際はどうなんだ?」

戦士「知るかよ。そんな状況になった事もねぇし…」

鬼丸「……」

戦士「あっちゃならねんぇんだ。そんな状況はよ…っ」

鬼丸「お前は正直だ。だから俺はお前が好きなんだ」

戦士「……」

鬼丸「いいんじゃねぇの?そんぐらいの気構えでよ」

戦士「…お前が言うと説得力ねぇな」

鬼丸「……グハハッ!そりゃそうだわ!」

戦士「……さーて」

ザッ

鬼丸「行くのか?」

戦士「おう、仕事の邪魔しちゃ悪いしな」

鬼丸「仕事ったって、ヤマタノオロチ倒して妖怪もほとんど来ねぇよ」

戦士「……そっか」
621 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/12(日) 22:02:14.22 ID:5LG0ME6o
鬼丸「んじゃ、またな」

戦士「おう」

ザッザッザ

戦士「……あのよ」

鬼丸「…?」

戦士「龍脈封じちまったら…お前らどうなるんだ?」

鬼丸「あ…?」

戦士「魔王倒したら……どうなっちまうんだ?」

鬼丸「分かってんだろ?」

戦士「……」

鬼丸「んな事ぁ誰も知らねぇよ」

戦士「……?」

鬼丸「何百年、何千年と…そんな事あったのかよ?」

戦士「…それもそうだな」

鬼丸「やってみにゃ分からんな」
622 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/12(日) 22:02:50.66 ID:5LG0ME6o
戦士「……もしだ」

鬼丸「…あ?」

戦士「もし、それでお前らが消滅しようとも…俺はやるぜ」

鬼丸「……」

戦士「何千、何万の人間が平穏に暮らせる。だから俺は…やる」

鬼丸「……ああ、それでいい」

戦士「……」

鬼丸「俺らが行き着く先、相容れる存在じゃなぇ。狩るか狩られるかだけだ」

戦士「……」

鬼丸「強い種族が生き残る。当然の真理だよ」

戦士「……じゃあな」

ザッザッザ…

戦士「ありがとよ鬼丸…。少し気が楽になったよ」

ザッザッザ…

戦士「…さぁて、大切な奴らの所へ帰るかね…!」
623 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/12(日) 22:03:22.30 ID:5LG0ME6o
〜旅籠〜

魔道士「…はーっ、サッパリした〜!」

盗賊「…良い湯であった」

魔道士「ほんと・・・お肌ツルツルですねっ!エヘヘ!」

ガラガラッ

魔道士「あっ、おかえりなさーい!」

戦士「おう。お…っ、風呂上りか」

魔道士「そうですよー!ほらっ、スベスベです〜」

盗賊「……」

戦士「何コソコソしてんだお前は」

盗賊「…べ、別に……っ」

戦士「召喚士は?」

魔道士「お座敷で他の皆さんと寛いでますよっ」

戦士「そっか。んじゃ俺も邪魔すっかね」

盗賊「……」
624 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/12(日) 22:04:39.68 ID:5LG0ME6o
スタスタスタ

召喚士「あっ、戦士。おかえりー」

西方参謀「おーう!呑むかぁ?」

戦士「うっし、いただきますか!」

女将「今、器をご用意しますわね〜」

隊長「とにかくだ、東方の件はこれでひとまず落着」

召喚士「ですね」

西方参謀「問題は左翼の連中だな……ヒック」

戦士「何か策はあんのかい?」

隊長「今のところはねぇな」

西方参謀「殿下らも明日、それについて作戦会議をされるだろう」

西方参謀「俺らも参加して、とにかく少しでも手助けをする」

戦士「当然よ!」

召喚士「あとは……青年兵くん、大丈夫かなぁ…」

心配そうに呟くと、召喚士は手元の酒を一気に飲み干した。
625 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/12(日) 22:05:13.69 ID:5LG0ME6o
〜東方司令部〜

東方兵「そうですね…。まぁ欲を言えば…ですけど…」

青年子「…なるほど。ありがとうございました」

東方兵「あっ、いえいえ…」

スッ…テクテクテク

青年子(彼も同じか…。やはりみんな……)

東方参謀「どうだ、順調か?」

青年子「東方先生…!」

東方参謀「…まぁ座れ」

青年子「はい」

カチャッ…ストッ

東方参謀「今日はここまでにしておけい」

青年子「……?」

東方参謀「反対側の出入り口を見てみろ」

青年兵「!?」
626 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/12(日) 22:06:01.02 ID:5LG0ME6o
カツカツカツ

左翼士官「……ご苦労様です」

東方魔道長「おぉ、どうだ…順調か?」

左翼士官「ええ。明日には一通り片付きそうです」

東方魔道長「…まぁ座れ」

左翼士官「…はい」

カチャッ…ストッ

東方参謀「左翼の奴ら、相当…力を入れておるようだのう」

青年子「ええ。次の議会で右翼の軍権を大幅に削るつもりのようです」

東方参謀「…全く。しばらく落ち着いていたかと思えば…いい迷惑だ」

青年子「……すみません」

東方参謀「お前が謝ることではない」

青年子「……っ」

東方参謀「右翼の力を奪って、左翼は何をするつもりなのだ?」

青年子「…考えうるは…殿下の失脚かと」
627 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/12(日) 22:07:21.95 ID:5LG0ME6o
東方参謀「…やはりそれしか狙いはあるまいか」

青年子「……」

東方参謀「右翼の軍事力が低下すれば、必然的に戦闘は……」

青年子「本国は絡まず、国軍のみに留まるでしょう」

東方参謀「殿下も戦いに赴く事はなくなるな」

青年子「ええ…っ」

東方参謀「それはそれで、逆に良いのではないのか?ふっふ……」

青年子「た、確かにそうかもしれませんが……」

東方参謀「厳しい言い方だが、戦わぬ殿下はただのお飾りにすぎんな」

青年子「……はっきり仰いますね…っ」

東方参謀「事実を述べたまでだ。魔力のない殿下にとって戦いとは…」

青年子「己が出来る唯一の手段とお考えなのでしょう…」

東方参謀「…全く。若すぎるな」

青年子「……」

東方参謀「まぁそれが、殿下の……ん?」
628 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/12(日) 22:09:51.57 ID:5LG0ME6o
テクテクテク

東方司令「何やら難しい話をしてるな」

東方参謀「…こやつも軍の仕事に興味があるみたいでな」

東方司令「何っ!?そ…それは……いいな」

青年子「…?」

東方司令「なんなら、ボクの元で働くか!?斡旋するぞ?」

青年子「か…考えておきます〜」

スクッ

東方司令「も、もう…戻るのか…?」

青年子「す、すみません。もう食べ終えてしまって…」

東方司令「……そうか」

青年子「それでは、失礼します〜」

東方司令「あっ、今日の部屋は…4階の一番奥に用意した!そこを使えっ!」

青年子「わ、わざわざすみません〜。ありがとうございます…っ」

東方司令「い、いや…気にするな。ふふ…っ」
629 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/12(日) 22:47:00.14 ID:dZN1Qi.o
人間の共通の敵・・・魔物がいなくなったら
今度は人間同士の争いとかが起こるのだろうか・・・


それなら魔物は滅びないほうがいいのか
難しいな・・・
630 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/12(日) 22:50:12.00 ID:AXFLNx6o
50部あたりで天人が天から降ってきて戦争しかけてくるから問題ない
631 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/12(日) 23:11:47.98 ID:zSofVYDO
>>1乙っす
東方司令可愛いよ東方司令
632 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/13(月) 00:08:01.41 ID:MZD9Gzko
今週はかなりペースが落ちそうです…
もうイラレは飽きたお…年賀状ェ…

本日もご支援感謝です!おやすみなさい!ノシ

〜オマケ〜

帝「はあぁ〜。東方のお菓子…美味しかったなぁ」

ウズウズ

帝「買いに…行っちゃおうかな」

ズイッ

女剣士「駄目です」

帝「おわっ!……どこに行っておったのだ!?」

女剣士「ちょっと…色々と……」

帝「そ、そうか……」

女剣士「お菓子なら私が買って参りますから」

キラキラキラッ

帝「よ、良いのかっ!?」

女剣士「……はい」
633 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/13(月) 00:19:07.33 ID:jrOESsk0
1乙
盗賊は何でこそこそしてたんだろ?
634 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/13(月) 00:21:43.16 ID:2Xg.LtIo
本国のお菓子じゃくてか
635 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/13(月) 01:30:45.58 ID:9UYE8h6o
湯上がりたまご肌を見られるのが恥ずかしいからですね
636 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/13(月) 06:24:00.36 ID:NBwWYIDO
前に胸の谷間をちらっと見られたの思い出したんじゃね
637 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/13(月) 18:10:45.67 ID:z4JVa0go


青年子「…えっと、ここか」

テクテクテク…カチャッ…パタン

青年子「……はぁ〜」

バサッ…ボフッ

青年子「着替えは…後でいいや。少し休も…」

かつらを外しベッドに倒れこむ青年兵。

青年子「流石に疲れた……」

衣服や化粧もそのままで虚ろな瞳を閉じ、しばし仮眠を取る。

青年子「……すーっ、すーっ」

コンコン

青年子「すーっ…すーっ…」

コンコンコンコンコン!!

青年子「はい……あ!いや…っ、はぁ〜い♪」
638 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/13(月) 18:17:24.36 ID:z4JVa0go
ガバッ

青年子「か、かつらかつら…っ!!」

バタバタバタッ!!…タッタッタ

青年子「…は、はぁい」

東方司令「…おう。起きてたか」

青年子「司令…!?」

東方司令「今、いいか?」

青年子「えっ!?あ、あの……っ」

東方司令「邪魔するぞ」

グイッ…テクテクテク

青年子「!?」

東方司令「…寝てたのか?すまんな、起こしてしまったようだ」

青年子「い、いえ…大丈夫です」

東方司令「それなら良かった」
639 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/13(月) 18:18:00.53 ID:z4JVa0go
青年子「一体…どうなさったのです?」

東方司令「ん〜……」

青年子「……?」

東方司令「いや、せっかくの客人だ。持て成そうかと思って」

青年子「そんな…お気遣いなく……」

東方司令「良い良い。ボクが好きでやってるわけだし」

ドンッ

青年子「…酒、ですか?」

東方司令「飲めるか?」

青年子「す、少しくらいなら…。弱いもので」

東方司令「……カワイイ」

青年子「へ…?」

東方司令「何でもないっ!さぁ、飲もう!」

青年子「は、はいっ!いただきます!」
640 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/13(月) 18:18:38.94 ID:z4JVa0go
〜東方、旅籠〜

隊長「青年兵か…。アイツは良い」

召喚士「…?」

隊長「お前らも付き合い長いんだろ?」

戦士「まぁ、それなりにはなぁ…」

西方参謀「あの若さであんだけしっかりしてんだ。大丈夫だよ」

隊長「そうそう。文武両道ってヤツだ。心配ねぇよ」

召喚士「だと、いいですけど……」

西方参謀「しっかし女装してまで潜り込むとは…がはははっ!!」

戦士「誰かさんも耳が痛いんじゃねーのか?」

召喚士「…やめて。思い出したくないから……」

隊長「是非、拝んでみたいわな!はははっ!」

西方参謀「本国帰ったら見せて貰おうぜ」

隊長「変な趣味に目覚めてたりしてな!わっははは!」
641 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/13(月) 18:19:26.87 ID:z4JVa0go
召喚士「……」

戦士「…気にすんな。お前の事じゃねぇ」

召喚士「……」

隊長「東方も以前ほど左翼一辺倒てわけじゃなさそうだしな」

西方参謀「少なくとも上層部はな。特に東方参謀が大きい」

召喚士「東方先生って方ですか?」

隊長「そうだ。あの人は以前、陛下直属だったりもしたからな」

西方参謀「無派閥ながらどっちかってーと右翼に理解あり、って感じだな」

戦士「そりゃ頼もしいな」

隊長「あとは…魔道長は完全に左翼だし、副司令は分からんな…」

召喚士「東方司令はどうなんです?」

西方参謀「あれも右翼のハズなんだが…。それよりも中身がマズイ」

隊長「酒癖がヒドすぎる。国軍でも三本の指に入るなありゃ」

召喚士「……」
642 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/13(月) 18:20:03.84 ID:z4JVa0go
〜東方司令部〜

青年子「あ、あのぉ……」

トローン

東方司令「にゃんだよ〜。ボクの酒が飲めないってのかぁ?」

青年子「そ、そろそろ…控えた方が……」

東方司令「うるさーい!ボクの勝手だぁ!」

ヌギッ

青年子「うわぁーっ!!」

東方司令「にゃんだよ…?はらかににゃって…にゃにが悪い〜!」

青年子「は、裸はマズイですって!!」

東方司令「女同士でウマイもマズイもあるかぁ〜!お前もにゅげ〜!」

青年子「ちょ、ちょっとぉ!!」

東方司令「にゅふふっ。よーし分かった…今日はボクが一緒に寝てやるぅ〜」

青年子「……結構です」
643 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/13(月) 18:20:57.11 ID:z4JVa0go


東方司令「……にゃむにゃむっ」

青年子「……あ、危なかった」

半裸状態の東方司令をベッドへ寝かせ、青年兵は退室する。

テクテクテクテク

青年子「色んな意味でこれ以上の潜入は危ないな……」

〜東方参謀の部屋〜

コンコン

東方参謀「何奴?」

カチャッ…スタスタスタ

青年子「失礼します」

東方参謀「お前か。どうした?部屋は用意してあったはずだが…」

青年子「ちょっと諸事情がありまして……」

東方参謀「…?」
644 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/13(月) 18:21:26.65 ID:z4JVa0go


東方参謀「うわーっはっはっは!!」

青年子「笑い事じゃないですよ!」

洗面所まで響く東方参謀の笑い声に、顔を洗いながら青年兵が怒る。

東方参謀「すまぬすまぬ。災難だったな」

青年子「これ以上は流石に厳しいです」

東方参謀「ん…?帰るのか?」

青年子「そうしたいところですが、左翼士官様がいる以上は…」

東方参謀「そうだな。先に奴を帰らせたいところだな」

青年子「ええ…」

フキフキッ

青年兵「…よし、バッチリ!」

東方参謀「やはり素顔であった方が冴えてみえるぞ?」

青年兵「当たり前です!」
645 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/13(月) 18:21:55.89 ID:z4JVa0go


東方参謀「それで、どうするつもりだ?」

青年兵「え…?」

東方参謀「何か頼みに来たのであろう?」

青年兵「…流石は東方先生ですね」

東方参謀「伊達に歳はくっておらん」

青年兵「一つだけ、お願いがございます」

東方参謀「何だ?」

青年兵「今度は『青年子』ではなく、青年兵として訪れます」

東方参謀「…成程。ワシにアポイントを取る口実を作る気か」

青年兵「お願い出来ますか?」

東方参謀「断っても強引に来るのだろう?構わん、好きにせい」

青年兵「助かります!では…これより一度、司令部を発ちます」

東方参謀「今なら裏門から出られるはずだ、気を付けい。ではまた明日会おう」
646 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/13(月) 18:22:26.59 ID:z4JVa0go
〜東方、旅籠〜

召喚士「それじゃ、おやすみなさい」

女将「はいはい、お休みなさい」

隊長「また明日な〜!」

戦士「女将に迷惑かけんなよ〜?」

西方参謀「ばっきゃろい!女将はなぁ…天使だぞぉ!がっははは!」

戦士「……行こうぜ」

召喚士「う、うん」

テクテクテク

戦士「青年兵も殿下も…みんな頑張ってんなぁ」

召喚士「東方の皆もそうだし…俺らももっと力になりたいね!」

戦士「そうだな…!まぁ今は異国の地から青年子さんを応援しようかね!」

召喚士「青年兵くんだよ!もうっ!」

本国と東方。それぞれの思惑を胸に、広がる一つの夜空は更けていった。
647 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/13(月) 18:22:59.26 ID:z4JVa0go
〜次の日〜

盗賊「…おはよう」

戦士「おっす」

魔道士「おはよーございますっ」

召喚士「おはようございます。あれ、隊長さん達は…?」

盗賊「…見てないぞ?」

女将「ほらほらっ、しっかりなさいなぁ。お水飲みます?」

隊長「あ…あぁ、すいません……」

西方参謀「だらしねぇ野郎だなぁ…ヒック」

隊長「てめぇが強すぎるだけだ……ボケ」

戦士「……ま、いつも通りだな」

魔道士「ですね…」

召喚士「先に行ってますよ〜?」

隊長「あぁ、すまん…。すぐに行く……痛…っ!」
648 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/13(月) 18:23:26.02 ID:z4JVa0go
〜東方司令部、食堂〜

フラフラッ

東方参謀「……おはよう」

東方司令「……あぁ」

ヨロッ…トスッ

東方参謀「また二日酔いか…。飲みすぎだ」

東方司令「五月蝿い…。それより、お前の姪はどこへ行った?」

東方参謀「早朝一番で帰ったぞ」

新聞を片手にコーヒーをすする東方参謀は冷たくあしらう様に即答する。

東方司令「なにぃ!?……いたっ!痛たた…っ!」

東方参謀「大声出すからだ。バカモノ」

東方司令「ボクの許可なく帰らせるなんて…何という……」

東方参謀「何故許可を取らねばならん…」

東方司令「……くぅ…っ!!」
649 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/13(月) 18:23:55.76 ID:z4JVa0go
東方参謀「大の大人が泣きべそかくでない」

東方司令「泣いてなどおらぬわ!」

バシッ!!…バシャッ!!

東方参謀「な、なにをす……熱っ!!」

東方司令「のん気に食事なんてしやがって!さっさと働け!」

タッタッタ

東方参謀「まだ就業時間ではないわ!!」

東方司令「…ふんっ!」

東方参謀「…全く、人の頭を叩きおって。何だと思っておる」

カラカラッ

東方副司令「どうしました?東方先生ともあろうお方が…床など拭いて…」

東方参謀「…ああ、ちょっとな」

東方副司令「…?ところで、姪御さんはどちらに?」

東方参謀「今朝方、本国へ戻ったぞ」
650 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/13(月) 18:24:32.20 ID:z4JVa0go
東方副司令「そうでしたか。それは良かった」

東方参謀「…?」

東方副司令「あれを……」

反対側の壁に目をやる二人。底に集まる人だかりをじっと見つめる。

東方参謀「…またも左翼か」

ザワザワザワ…カツカツカツ

左翼士官「ご苦労様でしたな」

左秘書官「……いえ」

東方魔道長「それで、どうなのだ?」

左秘書官「後ほどお話致します。まだ公にしたくはありませんので…」

東方参謀「確か…左秘書官だったか?」

東方副司令「左大臣様の側近ですね」

東方参謀「…今日も一段と騒がしくなるな。全く…いい迷惑だ」

東方副司令「……」
651 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/13(月) 18:31:47.45 ID:z4JVa0go
こんばんは。ご支援ありがとうございます!
何か良い事はありませんかね…サンタさん…

それでは、仕事してきます…
652 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/13(月) 18:36:14.83 ID:hatGGMSO
面白いよな、よく書けるもんだ
素直に尊敬するよ


この>>1の爪の端っこほどでもいいから才能が欲しいや
653 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/13(月) 18:41:47.74 ID:91F8TgEP
おお、一仕事終えて見にきたら
がんばってー
654 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/13(月) 19:14:48.85 ID:Qiyt1gwo
>>652
爪の端っこでも俺に入れたら才能過多で脳死しそうだ
655 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/14(火) 16:36:30.86 ID:gxDU1OoP
もうそろそろかな?
ソワソワ
656 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/14(火) 16:50:26.92 ID:7xUg6mko
     __
     /。 \
    |ノ ゚|
    ノ ゴ ハ
657 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/14(火) 18:06:23.88 ID:VrLEGQco
〜東方、都の港〜

テクテクテク

エリート「…やぁ、早いな。おはよう」

魔道士「おはようございます!」

召喚士「殿下は船内ですか?」

エリート「ああ」

右文官「エリート殿、こちらが…朱雀先生か?」

エリート「ええ、そうです」

召喚士「召喚士と申します」

エリート「こちらは右文官殿。殿下の懐刀だ」

右文官「いやいや何を申す。噂は聞いておるぞ、今後とも宜しくな」

エリート「隊長殿と西方参謀殿は…?」

戦士「もうじき…来るんじゃないすかね」

エリート「……?」

右文官「ともかく、中で殿下がお待ちだ。参られよ」
658 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/14(火) 18:07:04.27 ID:VrLEGQco
〜船内〜

皇太子「おう、おはよう。昨日は世話になった」

魔道士「こちらこそご馳走様でした〜」

皇太子「いやいや、気にする程の物でもない」

右秘書官「こちらは…?」

皇太子「大商家の一人娘、魔道士さんだ」

魔道士「よろしくお願いしますっ!」

右秘書官「大商家…?あぁ、あの……」

エリート「それに朱雀先生、一番槍のご子息で戦士殿」

召喚士「召喚士と申します」

戦士「戦士です」

召喚士「こちらが東方の大名、藤蔵家の姫君で盗賊さんです」

盗賊「……宜しくお願いします」

右文官「改めて並ぶと…凄い面子だな…っ」

右秘書官「え、ええ…」
659 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/14(火) 18:07:36.29 ID:VrLEGQco
間もなく隊長と西方参謀の二人も合流し、簡易的な作戦会議が始まった。

隊長「……遅くなりまして…申し訳ありません」

皇太子「構わん」

エリート「顔色が優れませんが…大丈夫ですか…?」

隊長「ええ…。気にせず進めて結構…」

右秘書官「では…。昨晩、殿下らが東方の城へ向かった後の事です」

召喚士「……」

右秘書官「左秘書官が単身、東方へ乗り込んで参りました」

西方参謀「何ぃ!?」

右秘書官「ご安心を。丁重にお引取り頂きました」

戦士「よく、大人しく帰ったなぁ……」

右文官「駄々をこねるので、ちょいと権力をお借りしたまでよ」

隊長「…?」

右秘書官「東方の管理官であられる、代官…という方にお力添え頂きました」

西方参謀「代官…?あぁっ!あの俺らを最初に追い返した奴か!」
660 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/14(火) 18:08:44.98 ID:VrLEGQco
右文官「存じておるのか?」

隊長「一度会った程度です」

皇太子「全く。そんな事になっておるなら早急に知らせれば良いものを…」

右文官「いやいや、折角の会合なのだ。邪魔するわけにはいかんと思ってな」

右秘書官「とにかく、左翼は確実に情報を欲しがっておりますね」

エリート「ヤマタノオロチが倒された事も…当然、耳に入っているだろうしな」

戦士「よく分からんのだが、結局何がどうなるんだい?」

皇太子「…うむ。順を追って話すとしようか」

魔道士「お願いします!」

右秘書官「左翼の最大の目的は近日中に議会を行う事です」

魔道士「議会…ですか?」

右文官「そう。ある提案を可決する事だ」

エリート「それが先日、こちらが強引に押し込んだ『屯田制』だ」

召喚士「屯田…あぁ、北方で大軍師さんが実施されてる……」

右秘書官「そう。予算案にて他機関の予算を削ってまで通したのだ」
661 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/14(火) 18:09:16.22 ID:VrLEGQco
右文官「それが今になって、議会で白紙にされようとしておる」

右秘書官「議会は非常にシンプルです」

戦士「シンプル…?」

皇太子「多数決を取って多かった方が勝ち。ただそれだけだ」

召喚士「そのようですね。それで確か東方司令部を…」

右秘書官「ええ。あの一画を駆逐しない事には、我らに勝ち目はありません」

盗賊「……数は?」

右秘書官「司令部の半数…いや、最悪四割程度を篭絡出来れば…」

戦士「結構接戦なんだな…」

右文官「かつてと違って南、北、西の三司令部は右翼寄りだからなぁ」

魔道士「そうなんですか?」

召喚士「言われてみれば…確かに……」

右秘書官「総司令殿や右大臣様が頑張っておりましたからね」

右文官「国軍の内部事情だからあまり詳しくは言えんがな」

盗賊「…なるほど」
662 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/14(火) 18:09:51.34 ID:VrLEGQco
右秘書官「話を戻します。五ヵ年計画はご存知ですね?」

召喚士「……はい」

右秘書官「あの計画が始まってから間もなく三年が経ちます」

魔道士「私達がパーティーを組んだのとほぼ同時期ですよね」

右秘書官「下準備は終わったのです。今後は軍備を増強しなくてはならない」

エリート「四年目で兵力を上げ、最後の一年で…叩く」

右文官「何としてもこの一年が勝負なのだ」

右秘書官「それを否決されてしまっては…どうしようもありません」

召喚士「左翼は…どうしてそこまで…」

エリート「軍備は自衛の為にあるもので、防衛手段に過ぎぬそうだ」

右文官「暴力などでは解決にならん…とな。表向きではそう申しておるわ」

戦士「……裏では?」

エリート「……」

皇太子「私の失脚、及び共和制を目指してるのだろう」

魔道士「共和制?」
663 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/14(火) 18:45:06.59 ID:VrLEGQco
エリート「王の存在しない国、という事です」

皇太子「まぁ、結果だけみれば彼らの志は理想的なのかもしれんな」

右文官「殿下…っ!」

右秘書官「確かにそうです。争う事なく皆が平等に平和な暮らしをする」

エリート「出来る事ならば我らとてそうしている…っ」

召喚士「……」

エリート「しかしそんな理想論だけではどうにもならぬからこそだな…」

戦士「最小限の被害でカタをつける…ってか」

右秘書官「国民とて望んではいますが、無理な事は承知な上です」

魔道士「じゃあ何故、左翼の方々はこだわるのです…?」

右文官「先程も述べたように、詭弁にすぎぬ」

エリート「兵力を減少させ利を得る連中がいる……」

盗賊「……まさか」

エリート「左翼は魔族と通じている。内通者は左翼…いや、左大臣だ」

魔道士「――!!」
664 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/14(火) 18:46:09.46 ID:VrLEGQco
右秘書官「左大臣だけとは限りません。他にもいるはずです」

エリート「国軍の中や、ヘタをすればワーカーにもいるかもしれん」

右文官「そやつらが結託して、表面上は分からぬように足を引っ張っておる」

召喚士「……っ」

皇太子「あまり物騒な話をするな。証拠があるわけではなかろう?」

右秘書官「しかし、それ以外に理由が浮かびませぬ」

エリート「ひとまずは東方司令部の連中を味方に付けるか……」

西方参謀「議会を開かせない方法を考えるしかないですなぁ…ヒック」

隊長「何か手はあるか?……決定打が思い浮かばぬ」

右秘書官「東方司令部の件ですが、青年兵から伝書が届きました」

隊長「何っ!?」

右文官「今朝方、ワークショップに来た近況の報告だ」

召喚士「それには…何と…?」

右秘書官「こちらをご覧下さい」

皇太子「……うむ」
665 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/14(火) 18:46:37.62 ID:VrLEGQco
〜東方司令部〜

ザッザッザ…

青年兵「殿下への連絡も送った。東方参謀様への連絡も送った。あとは…」

ザッザッザ…スッ

門兵「…これは、青龍召喚隊の…っ!」

青年兵「今は殿下直属の近衛兵、青年兵です」

門兵「ご苦労様であります!」

青年兵「東方参謀様に面会を。許可は取っております」

門兵「はっ!ご案内致します!!」

青年兵「ありがとうございます」

ザッザッザッザ…

東方兵「お、おい…あれは!?」

魔道兵「確か…右翼はの青年兵様だな…っ」

東方兵「先日に続き何の用だろうか…?」

魔道兵「今は左翼もいるってのに…ここも慌しくなってるな…」
666 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/14(火) 18:47:05.19 ID:VrLEGQco
ザッザッザ

門兵「では呼んで参ります。しばしお待ちを」

青年兵「どうも」

カチャッ…パタン

青年兵「…ふーっ」

溜息とも安堵の声ともとれる深い息を一つ吐き、青年兵は応接室の椅子へ座る」

青年兵「……」

コンコン…ガチャッ

門兵「失礼致します。東方参謀様、お連れ致しました!」

青年兵「…ご無沙汰しております。『青年兵』です」

東方参謀「…ほう、確か殿下直属の……」

青年兵「はい。本日はお話があり、参りました」

東方参謀「…下がって良い」

門兵「はっ!」

テクテクテク…カチャッ…パタン
667 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/14(火) 18:55:26.83 ID:VrLEGQco
東方参謀「…全く。本当にその姿でやってくるとは…見かけによらず豪胆よ」

青年兵「女装よりはマシです。ははっ」

東方参謀「それで、東方の情勢はどうだ?」

青年兵「こちらも詳細は掴めていませんが、ヤマタノオロチは倒したようです」

東方参謀「うむ。らしいな」

青年兵「殿下も東方の王と会談に成功し、。順調なようです」

東方参謀「同盟成立か…!?」

青年兵「いえ、昨晩の段階では会談中だと」

東方参謀「とにかくアポイントは取れたわけか……」

青年兵「会談の場には召喚士さんらも同席したとの事で…」

東方参謀「召喚士…?あぁ、朱雀先生だったか」

青年兵「召喚士さん達は東方にも大きな繋がりを持っていますからね」

東方参謀「……」

青年兵「盗賊さんも居ますし、東方の上層部にも顔が利きます」

東方参謀「国軍付のワーカーとはいえ、それは頼もしいな」
668 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/14(火) 18:56:18.64 ID:VrLEGQco
〜東方、都の港〜

右秘書官「青年兵は東方司令部にて一つの発見を致しました」

魔道士「発見…ですか?」

右秘書官「東方司令部の人間は魔道兵らが中心です。それはご存知ですな?」

召喚士「ええ」

右秘書官「彼らは何の為に東方司令部へ来たか…」

戦士「あれだ、龍脈の力を抑える…えぇと……」

魔道士「月の宴、ですね!」

右文官「左様。勿論彼らとて好き好んで来たわけではない」

盗賊「……」

右秘書官「つまり…魔道兵であるが故に、半ば強引に配属となったわけです」

召喚士「なるほど…。ん、まさか……っ」

右秘書官「魔道兵らとて家族や故郷や友人がおります」

西方参謀「…読めてきたぞ。……早く帰りたいよなぁ」

右秘書官「本国東側出身者、及び配属を希望した者は全体の一割程度」
669 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/14(火) 18:59:07.16 ID:VrLEGQco
右文官「そして完全な左翼派、左大臣に縁のある者が約一割」

エリート「この二割が靡く事は薄い」

隊長「それでも残りは少なくみても八割程度……」

召喚士「議会に必要な議決権は四割…」

戦士「残りの奴らの更に半分が寝返れば…!!」

右秘書官「この勝負、我らの勝ちです」

魔道士「凄いじゃないですかっ!」

西方参謀「しかしだなぁ……」

盗賊「…?」

西方参謀「それをそうやって為すんだい?」

魔道士「え…?」

西方参謀「まさか『お前ら帰りたい奴は右翼に付いて来い!』とか言うつもり?」

右秘書官「それが問題なんです」

隊長「核の部分がまだ未定ってわけかよ……」

右秘書官「いかにして、彼らを右翼側へ説得させるか…。そこが勝負です」
670 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/14(火) 19:00:26.02 ID:VrLEGQco
〜東方司令部〜

東方参謀「…なるほどな。お前の考えは分かった」

青年兵「殿下らもおそらく同様の考えだと思います」

東方参謀「それで、どうするつもりなのだ?」

青年兵「幾ら故郷や本国へ戻れるからとて、そうそう靡くとは思えません」

東方参謀「それはそうだ。上司や先輩、左大臣一派の目もあるしな…」

青年兵「ええ。本国へ戻っても雑用に回されたりしたらたまりませんからね」

東方参謀「そういう体質は好かんな」

青年兵「我らはそのような事はしてません。総司令は完全実力主義ですから」

東方参謀「それは分かっておる。それで、結論は?」

青年兵「……個人的な意見を申せば、逆手を取りたいと思います」

東方参謀「逆手?」

青年兵「はい。強制的に帰らせる方法を取ります」

東方参謀「まさか……っ!」

青年兵「東方司令部を…解体致します」
671 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/14(火) 19:01:30.17 ID:VrLEGQco
〜東方、都の港〜

隊長「司令部をなくすだぁ!?」

右秘書官「ええ。それが一番手っ取り早いかと」

西方参謀「随分大胆な策だな…っ」

エリート「しかし、それでは東方司令部の兵があぶれる事となるぞ?」

隊長「そうだ。どこの司令部だって許容量がタンマリあるわけじゃねぇぞ…?」

西方参謀「西方司令部でも魔道兵は欲しいが…全員は無理だな」

魔道士「あ、あの…なくすというのは具体的にどうやって……?」

右秘書官「左翼が議会を開く前に、こちらが先手を打って議会を開きます」

戦士「なるほど…!」

右文官「さすれば並行は無理。こちらの議会を終わらせてから左翼の議会だ」

右秘書官「そこで我々は『東方司令部の解散』を議題として挙げます」

エリート「賛成多数なら東方司令部は解散。反対多数なら…」

右秘書官「東方司令部は安泰」

隊長「それじゃ意味ねぇぞ?」
672 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/14(火) 19:02:22.65 ID:VrLEGQco
右秘書官「簡単な制約を付ければ良いのですよ」

盗賊「制約?」

右秘書官「例えば『解散を希望するが、否決の場合は一生このまま』とか」

西方参謀「ひでぇ……」

右秘書官「例えばの話です。解散すれば彼らは強制的に本部へ帰還」

右文官「三司令部へは本国から右翼派を派遣し、本部の容量を減らす」

エリート「右翼派なら不満も出にくいだろうし、北以外は苦ではないからな」

隊長「戦いたい奴は北に送り込みゃいいんだよ。初代特遊も居る事だしな」

右秘書官「兵らが求めるものは『戦い』、『娯楽』、『安全』の三つです」

戦士「そうか。戦いたい奴は北。安全に働きたい奴は本国…」

魔道士「娯楽…は何ですか?」

西方参謀「何でも良いのさ。そいつが好きな物ならなぁ…ヒック」

右秘書官「そう。西方参謀殿であれば酒がそうです」

西方参謀「そうそう。旨い酒が飲めるならどこででも働くぜぃ!がははっ!」

右文官「女でも演劇でも賭け事でも、とにかく大陸東には何もない」
673 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/14(火) 19:03:36.85 ID:VrLEGQco
エリート「かといって安全でもないし、他ほど魔物がいるわけでもない」

戦士「…そりゃ帰りたくもなるわ」」

魔道士「あるといえば、ターミナルか魔道学校くらいですもんね…」

戦士「面白くもなんともねぇ…」

右秘書官「しかも、見かけ上は軍事力を低下させる形にもなります」

エリート「確かに司令部を一つ、解散するわけですからね」

西方参謀「でもよ、解散しただけじゃあんまり変わらんのじゃないか?」

右秘書官「確かにその後の議題で左翼に戻る可能性も考えられます」

右文官「議決権が士官クラスのみなところがキーなのだ」

隊長「そうかっ!東方司令部でなくなれば、階級が落ちる可能性がある!」

エリート「待遇は維持したままで階級だけ下がれば、議決権は剥奪出来ます」

右秘書官「さすれば左翼の議決権は減り、次の議会にも勝てます」

戦士「すげぇ…!完璧じゃねぇか!」

皇太子「回りくどいな。そこまでせねべならんのか」

右秘書官「お察し下さい。これは殿下の為でもあるのですよ」
674 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/14(火) 19:05:23.41 ID:VrLEGQco
〜東方司令部〜

東方参謀「…まぁ確かに、合理的ではあるな」

青年兵「事後処理が大変ですけどね…」

東方参謀「解散するも良し。そのまま残して入れ替えるも良し…か」

青年兵「ええ。ヤマタノオロチを倒したとはいえ、龍脈も気がかりですし」

東方参謀「歴史ある司令部だからな。機能停止にするのも寂しいものがある」

青年兵「場合によっては、議会の提案は人事の入れ替えだけでも」

東方参謀「とにかく、奴らに先駆けて議会を起こすという策だな?」

青年兵「はい。あとはタイミングです」

東方参謀「今朝方な、左秘書官が来ておったぞ?」

青年兵「えっ!?」

東方参謀「詳しい話は知らぬが、東方へ入国出来なかったらしい」

青年兵「成程…。東方で殿下らが動いたのかもしれませんね…」

東方参謀「東方魔道長や左翼士官らと何やら話しこんでおったわ」

青年兵「……そうですか」
675 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/14(火) 19:11:42.58 ID:VrLEGQco
こんばんは。忙しくて自分でも何書いてるか分からなくなってきた…
ちょっと来れない日が生じるやもしれませぬ…極力頑張りますがすまぬ!

>>652>>654
それはないです!いくらでもあげます!
もしあるなら絵とか文章とか上手い人にお譲りしたいです

>>653
ありがとうございます!!

>>655-656
久々にこの流れww


本日もお疲れ様でした!ご支援感謝!
     __
     /。 \
    |ノ ゚|ノシ
    ノ ゴ ノ
676 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/14(火) 21:13:19.80 ID:bcufhyQ0
>>1

あの日、勢いで貼ったノゴハAA
まさか定着してしまうとは…
エリカやハスターは一度きりで終わったのに…
677 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/14(火) 23:33:22.08 ID:6n4wPuY0
1乙
678 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/14(火) 23:54:47.81 ID:I7Nm0LIo
飲みすぎて全然わかりません。
何が起きているのですか?
679 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/15(水) 03:28:38.16 ID:63s9v6DO
王子「ぬるぽ」
680 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/15(水) 05:47:07.38 ID:tM1w6MDO
玉子「がっ」
681 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/15(水) 08:29:44.13 ID:sAfeaEAO
>>1

難しい話はよくわからんが、とりあえず左大臣が魔物と繋がるなら
俺は魔導師ちゃんと繋がりたい
682 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/15(水) 11:46:02.07 ID:P.gW6WMo
いちおつおつ
やっぱり>>1の話は面白いが
過労にならないか心配ではある
683 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/15(水) 18:09:08.86 ID:grvBA9Qo
こんばんは!今日もご支援ありがとうございます!

>>676
犯人っ!?いつもありがとうございます!

>>677-678>>681
ありがとうございます!適当に解釈して頂ければ大丈夫です!
産業で…

左翼「殿下陥れて悪い事しちゃうぞー^^」
右翼「させねーよ!先に議会開いちゃうもんねー^^」
召喚士達「お手伝いしまーす!!」

>>679-680
王子と…玉子!?

>>682
ありがとうございます!励みになります!
過労は大丈夫です!参ってるのは精神的な方なので…

↓続き
684 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/15(水) 18:09:47.91 ID:grvBA9Qo
〜東方魔道長の部屋〜

左秘書官「何…っ!?青年兵が来ただと!?」

左翼士官「そのようです」

東方魔道長「性懲りもなく…。どういうつもりだ…?」

左秘書官「単身なのですか?」

左翼士官「ええ。東方参謀殿と面会されているようで…」

東方魔道長「……」

左翼士官「どうみます?」

左秘書官「議会に向けての篭絡でしょうね」

左翼士官「それならご心配なく。ここ数日、私も動いております」

東方魔道長「左大臣様は何と?」

左秘書官「殿下の帰国と同時に議会を開くおつもりのようです」

左翼士官「準備は整えております。問題ありません」

東方魔道長「ならば良いが。あの小僧の動きが気になるな」

左秘書官「……確かにそうですね」
685 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/15(水) 18:11:34.90 ID:grvBA9Qo
〜応接室〜

東方参謀「お前の来訪は奴らの耳にも届いておるだろうな」

青年兵「ですね。まぁ…構いませんよ」

東方参謀「大した自信だな」

青年兵「僕の動きが牽制や撹乱になるなら、殿下らも動き易いですし…」

東方参謀「……」

青年兵「それに、正面から正々堂々と打ち破ってやりますよ…!」

東方参謀「……うわーっはっはっは!!」

青年兵「その程度が為せねば、大元帥など夢のまた夢です」

東方参謀「はっはっは!言いよるわ。そのまま潰されるでないぞ?」

青年兵「はい。……さて、と」

東方参謀「また、説得に回るのか?」

青年兵「それもそうですが、撒いた種に水をやりに…」

東方参謀「…ほぉ」

青年兵「左秘書官様も気になるので、こっそりと動かせて貰いますよ」
686 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/15(水) 18:12:19.60 ID:grvBA9Qo
〜東方、都の港〜

右秘書官「では、先手を打って議会を起こすという方針で宜しいですな?」

右文官「異論なしだ」

エリート「うむ。あとはその手筈だが…」

右秘書官「殿下が帰国されては左翼に先手をとられてしまう…」

隊長「殿下にはもうしばし、東方へ滞在頂く形になるか…」

皇太子「それは構わんが…」

西方参謀「殿下抜きで議会を開くってのか?」

エリート「……」

右秘書官「手はありますが、青年兵次第ですね」

皇太子「彼は優秀だ。我々の考えなど汲みとってくれよう」

召喚士「ええ。青年兵くんならきっと…!」

右秘書官「分かりました。それでは手配を進めます」

エリート「それでは、私は殿下と共に東方に残ります」

皇太子「…うむ」
687 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/15(水) 18:12:47.06 ID:grvBA9Qo
隊長「俺らは帰国した方が良さそうだな」

西方参謀「あぁ。役目も終えたし、さっさと方向をあげにゃあならん」

魔道士「私達はどうします…?」

召喚士「えぇと……」

右秘書官「出来れば共に来て貰えないか?」

戦士「俺らがか?」

右秘書官「少し手助けをして頂くかもしれぬ」

盗賊「……」

召喚士「構いませんか?」

魔道士「私は別に問題ないですよっ」

盗賊「…ああ」

戦士「構わんぜ」

右秘書官「助かります。それではすぐに出航手続きを行います」

右文官「昼過ぎには発ちたい。今のうちに要件があれば済ませておいてくれ」

召喚士「分かりました」
688 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/15(水) 18:13:36.11 ID:grvBA9Qo


戦士「さーてと、昼までどうすっかね…」

魔道士「船内に居ても…あまりお役にはたてないですしねぇ」

召喚士「お世話になった方に挨拶して、その後はお土産でも買いましょうか」

盗賊「…そうだな」

テクテクテク

皇太子「おや、どちらか行かれるのか?」

魔道士「はいっ。ちょっと街の方へ…」

皇太子「…そうか。ならば、ご一緒しても宜しいか?なぁ、エリート」

エリート「!?」

西方参謀「構いませんよ。こっちは我々がやっておきますから」

右秘書官「お二人はしばらく滞在なさるのですから、逆にお勧めしますよ」

エリート「…すみません」

皇太子「それでは行くとしようか!手をかけるな。はははっ」

召喚士「こちらこそ…!殿下とご一緒出来て光栄です!」
689 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/15(水) 18:14:21.25 ID:grvBA9Qo
>>687
× 西方参謀「あぁ。役目も終えたし、さっさと方向をあげにゃあならん」

○ 西方参謀「あぁ。役目も終えたし、さっさと報告をあげにゃあならん」
690 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/15(水) 18:14:49.48 ID:grvBA9Qo
〜都〜

皇太子「…夜も良いが、やはり日中が非常に良い」

盗賊「…?」

皇太子「東方の話さ。日が出ている時の街並みはとても素晴らしい」

魔道士「分かる気がします!」

戦士「俺は夜の方が賑やかで好きだなぁ」

エリート「それで、これからどこに?」

召喚士「名代さんの屋敷へ行こうと思います」

皇太子「おぉ、そうか。ならば我らも共に挨拶へ伺うとしよう」

エリート「ええ」

召喚士「名代さんには色々とお世話になりましたからね」

魔道士「そうですよね〜」

召喚士「その後に城へ行って、上様に挨拶をして……」

戦士「土産買って帰国だな!」

盗賊「…うん」
691 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/15(水) 18:15:17.16 ID:grvBA9Qo
〜名代の屋敷〜

名代「よくぞ参られた。皇太子様まで有難う御座いまする」

皇太子「いやいや、こちらこそ」

召喚士「俺達は昼過ぎに帰国する事になりました」

名代「おぉ、そうであったか。此度も多々、感謝致す」

召喚士「とんでもない。こちらこそありがとうございました」

戦士「巫女さんは……」

名代「気にせずとも良い。私の不徳の致すところ……」

盗賊「……」

魔道士「小姓さんもお怪我をされたと聞きましたが…」

名代「…ああ。大丈夫、命に別状はない。じき良くなるであろう」

魔道士「良かったぁ…!」

盗賊「……」

名代「ネクロマンサー、と言ったか」

召喚士「…はい」
692 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/15(水) 18:15:44.22 ID:grvBA9Qo
名代「厄介な敵だな」

召喚士「ええ。奴は他の魔物と違い、特に危険です」

名代「そのようだな」

戦士「俺らも因縁があるからな。巫女さんの仇はきっと…」

名代「……頼む。もし力が必要な時はいつでもお貸しするぞ」

召喚士「ありがとうございます」

名代「皇太子様とエリート殿はまだご滞在で?」

エリート「ええ。本国内が慌しく、もう少し滞在させて頂きます」

名代「それは何より。時間があれば色々とご案内させて頂こう」

皇太子「ありがたい。感謝する」

名代「……召喚士殿。あれから術の方はどうだ?」

召喚士「特に進展は……。あ…っ」

名代「…?」

召喚士「そういえば一度、頂いた札が発動した事がありました…!」

名代「式神が…!?それは不思議な事だな」
693 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/15(水) 18:16:18.37 ID:grvBA9Qo
召喚士「あの時は確か……」

戦士「詩人とかいうワケ分からん奴が来て、何かしたんだよな」

召喚士「そうそう。そしたら途端に魔力の制御が利かなくなって…」

エリート「四属性以外の、東方の式神とやらまで発動したと?」

召喚士「ええ。意識が朦朧としてたのであまり覚えていませんが…」

名代「やはり…互いの術に何か繋がりがあるのかもしれんな…」

皇太子「その後は試したのか?」

召喚士「ええ。貰った札が二枚残ってましたので試しました」

名代「結果は…?」

召喚士「特に何も…。やはり使役は出来ませんでした…」

名代「そうか……」

エリート「召喚術もまだまだ未知なる部分が多いからな…」

召喚士「ええ…。あと二年、いや一年以内にもっとうまく扱えるようになれれば…」

皇太子「まぁそう急く事もない。君は今でも十分強い」

名代「ええ。某もそう思いまする」
694 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/15(水) 18:16:47.38 ID:grvBA9Qo
召喚士「そんな事は…っ。もっとうまく…強くなれれば」

エリート「たくさんの人が救える…と?」

召喚士はゆっくりと、無言で頷く。

皇太子「自惚れるんじゃないぞ、召喚士くん」

召喚士「!?」

皇太子「君一人の働きで、戦争が勝てるなどと言う程、甘いものでは無いんだぞ」

召喚士「……」

皇太子「それに、後ろを振り返ってみよ」

召喚士「……?」

クルッ

皇太子「君の後ろには、いつも頼もしい仲間がいるではないか」

召喚士「……っ」

名代「まだ若い身だ。背伸びせず、自分の出来る範囲でやれば良いのだ」

エリート「現に、君の力には感謝しきれないくらい助けられているよ」

召喚士「……はい」
695 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/15(水) 18:17:44.71 ID:grvBA9Qo


魔道士「それでは、失礼します!」

召喚士「色々と…ありがとうございました!」

名代「こちらこそ有難う。また来てくれ」

戦士「是非!!」

盗賊「…ああ」

名代「私も式神について、もう少し研究を進めてみるつもりだ」

召喚士「宜しくお願いします…!」

名代「この後は…城へ行かれるのかな?」

エリート「そのつもりです」

名代「私も夜には参るが、今は上様もいらっしゃるであろう」

皇太子「うむ。それではまた後ほど」

名代「召喚士殿、気を付けてな」

召喚士「はいっ!それではまた!」

門の前まで見送る名代に笑顔で、一同は屋敷を後にした。
696 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/15(水) 18:18:16.82 ID:grvBA9Qo
〜帝の城〜

門番壱「こ、これは!皆様方!!」

門番弐「ささっ、どうぞお通り下さいませ!!」

召喚士「あ、ありがとうございます」

スタスタスタ

戦士「…ここの門番にも顔を覚えられちまったな」

皇太子「凄いな。顔パスではないか」

魔道士「東方に西方に各司令部…。国軍本部も…ですね…」

エリート「おそらく世界で一番顔が広いのではないか?」

戦士「……ははっ、嬉しくねぇ」



家老「これはこれは、よくぞお越し下さった!」

召喚士「上様にはお会い出来ますか?」

家老「…ん、あぁ。居るには居るのだが…ちと立て込んでてなぁ」

召喚士「……?」
697 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/15(水) 18:18:44.36 ID:grvBA9Qo
〜天守〜

帝「……もう一度申してみよ」

女剣士「腕の未熟を痛感致しました。しばし休暇を頂戴したく……」

帝「…して、どうするつもりだ?」

女剣士「はっ。再び世界を見て参ろうと思いまする」

帝「…東方を離れると申すのだな?」

女剣士「……申し訳御座りませぬ」

帝「ヤマタノオロチを倒し、これから東方平定に忙しくなる」

女剣士「承知の上で御座いまする。しかし……」

帝「……」

女剣士「その先にある壁を越える為に御座いまする」

帝「…成程な」

女剣士「大切な時機にお力添え出来ぬ責は、後ほどこの命を以って…」

帝「…分かった、許可しよう。但し、そなたの命は私が預かる」

女剣士「……はっ!!」
698 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/15(水) 18:19:27.04 ID:grvBA9Qo


帝「待たせたな。良いぞ」

家老「…終わったようですなぁ。ではどうぞ」

召喚士「失礼致します」

ススッ

帝「一同揃って、如何なされた?」

召喚士「はい。本日、我ら四名帰国する事となりました」

帝「……そうか」

盗賊「上様に於いては、多大なるお力添えと無礼の数々、誠に……」

帝「構わぬ。此方こそ貴殿らには大変感謝しておる。有難う」

戦士「滅相もない」

帝「何か褒美を遣わしたいところだが…何分、情勢が不安定でな」

召喚士「お構いなく。俺らが好きで勝手に行った事です」

帝「しかしだな…っ。そうだな…盗賊よ」

盗賊「はっ」
699 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/15(水) 18:19:53.94 ID:grvBA9Qo
帝「確約は出来ぬが、東方平定の暁には知行を増やすという事でどうだ?」

盗賊「!?」

帝「そなたもいずれは藤蔵へ戻るのであろう?」

盗賊「……は、はぁ」

帝「その折には知行を今の倍、いや五倍でも構わぬ」

魔道士「ち…知行って何ですか?…ボソボソッ」

召喚士「さ、さぁ……ゴニョゴニョ」

盗賊「めめめ、滅相もございません!そのような恩賞…受け取れませぬ!」

帝「しかし…他に思いつかぬ……」

盗賊「そ、それに私は藤蔵を出た身。戻る事はありませぬっ!」

帝「そうなのか?」

盗賊「…は、はいっ!」

帝「……そうか。しかし藤蔵も世継ぎがおらねばお家断絶…」

盗賊「……そ、それは父上にお話下されっ!わ、私は無関係で御座りまする!」

帝「…ふふっ、それではそう致そう」
700 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/15(水) 18:20:21.29 ID:grvBA9Qo


エリート「我らはもうしばらくご厄介になりまする」

帝「それは何より」

皇太子「本国の菓子もまだあるしな…はははっ」

帝「お、おぉ…っ!」

家老「上様、若い内からそのような物ばかり食しておられると…太りまするぞ?」

帝「……」

魔道士「……耳が…痛いですね」

盗賊「……ああ」

戦士「おっと、もうこんな時間か。そろそろ…」

召喚士「だね。それでは、ここらで失礼致します」

帝「うむ。見送ろうぞ」

召喚士「いえいえ、大丈夫です!」

帝「そうか…?」

魔道士「はいっ!お気遣いありがとうございますっ!えへへ!」
701 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/15(水) 18:20:48.86 ID:grvBA9Qo
ザッザッザッザッザ

エリート「では、我らはこのまま城に残るとしよう」

召喚士「はい。ありがとうございました!」

魔道士「エリートさんもお気を付けて!」

エリート「あ、ありがとうございます…」

皇太子「ではまた後ほど、本国で会おう」

戦士「一足先に本国でお待ちしてます!」

盗賊「…では、また」

エリート「何かあればすぐに知らせてくれ!」

召喚士「はいっ!!」

ザッザッザ

戦士「あとは土産買って…東方ともおさらばか」

魔道士「何か戦士さんのその台詞、久々に聞きました!」

戦士「そうかぁ?」

召喚士「……あれ、盗賊さん?」
702 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/15(水) 18:21:17.18 ID:grvBA9Qo
盗賊「…すまぬ、先に行っていてくれ」

魔道士「どこか寄るんですか?」

盗賊「ちょっと…藤蔵門にな」

魔道士「あ…っ」

戦士「先に行ってるぜ。船で会おう」

盗賊「…うん。すまんな」

召喚士「いえ…っ。では行きましょう」

スタスタスタ…

盗賊「……」

エリート「では我らも城内に戻りましょう」

皇太子「だな。それでは、失礼する」

盗賊「…はい」

ペコリ…ザッザッザッザッザ

盗賊「……」

城門の前に一人残った盗賊。そのまま向きを変え、西にある藤蔵の詰め所へ向かう。
703 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/15(水) 18:21:59.52 ID:grvBA9Qo
〜藤蔵門〜

テクテクテク

火忍「……くあぁ」

ポケー

火忍「……平和だねぇ」

詰め所の石段に寝転び、青空を見上げる火忍。

火忍「…こんな日は二人で休暇を取って、名所観光なんてのが最高だよなぁ」

ピーヒョロロー

火忍「それで夜はしっぽりと温泉などに浸かり……こ、混浴で…っ」

ザッザッザ

火忍「……その後は一つの布団で……姫えぇ!!」

ズイッ

盗賊「何だ?」

火忍「姫ええぇぇーっ!?」

盗賊「だから、何だというのだ…っ?」
704 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/15(水) 18:22:27.20 ID:grvBA9Qo


盗賊「…いや、いきなり土下座されても意味が分からぬ」

火忍「……聞こえてらっしゃったので…?」

盗賊「私を呼んだであろう?何かあるのか?」

火忍「…何もありませぬ!(良かった!!)」

盗賊「すまんな…っ。急に顔を出して」

火忍「どう致しました?」

盗賊「うむ。急であるが本日戻る事と相成った」

火忍「なん……ですと……!?」

盗賊「だから、挨拶に…な」

火忍「……」

盗賊「…どうした?」

火忍「い、いえ…っ!何でもありませぬ!」

盗賊「…そうか」

火忍(お顔を出して頂けただけでも十分だろっ!前向きに考えるんだ!俺っ!!)
705 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/15(水) 18:22:58.87 ID:grvBA9Qo


盗賊「なぁ、火」

火忍「はい」

盗賊「……これ」

ズイッ

火忍「……雷の奥義書、ですか」

盗賊「私が持っていて…良いものなのかなぁ」

火忍「姫……」

盗賊「私は……」

火忍「藤蔵を捨てた身」

盗賊「!?」

火忍「あ…いえっ、そう思われている気がしましてな…」

盗賊「……うん」

火忍「…良いではありませんか!」

盗賊「……?」
706 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/15(水) 18:23:57.00 ID:grvBA9Qo
火忍「雷は親や兄弟がなく、孤児でした」

盗賊「うん…」

火忍「我らは死すれば、一族の者が後を継ぎます。しかし奴は居ない」

盗賊「……」

火忍「雷にとっての家族と言えば、姫や若…御館様なのです」

盗賊「……っ!」

火忍「その雷が姫に託したのです。断れますか?」

盗賊「……」

火忍「もし姫がどうしても…というなら、鬼丸にでも渡して下され」

盗賊「……ひぐっ」

火忍「どうします…姫?」

盗賊「わ、私は……ひぐ…っ、頑張ってみるよ…っ!」

火忍「…ええ、それでこそ姫です」

盗賊「……う…っく」

火忍「…さ、涙をお拭き下され。雷に笑われますぞ?」
707 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/15(水) 18:24:51.83 ID:grvBA9Qo


盗賊「ありがとな、火」

火忍「いえいえ、こちらこそ…ご足労有難う御座りまする」

盗賊「また来る。皆にも宜しく伝えてくれ」

火忍「畏まりました!」

盗賊「……じゃあ、元気でな」

火忍「姫も!!ご武運をっ!!」

盗賊「うん」

笑顔で両手を振る火忍に微笑み、盗賊は詰所を去って行く。

テクテクテク

火忍「……行ってしまわれたか」

ピーヒョロロロー

火忍「分かっちゃあいるが、近すぎて手に入らねぇもんもあるわなぁ」

クルッ…ドサッ

火忍「あー空が青くて平和だねぇ、カカッ。……なんてな」
708 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/15(水) 18:28:12.67 ID:YkEJzqg0
カカカッだと謙虚なナイトの足音に聞こえるがカカッだとイケメン雷忍になる不思議
709 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/15(水) 18:39:35.86 ID:grvBA9Qo
ここまでにて失礼致します!ありがとうございました!
それでは、失礼致します〜!ノシ

>>708
雷忍「バックステッポは某の奥義に御座るよ…カカカッ!」
710 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/15(水) 19:53:39.89 ID:lRB49QAO
汚いなさすが忍者きたない
711 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/15(水) 20:07:52.38 ID:Q.bFdmc0
1乙
戦士はこういう派閥争いとか面倒臭がると思ったけど
案外乗り気だね、カカッ
712 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/15(水) 23:05:02.39 ID:KoozOOso
式神がうんぬんのくだりはその19の576あたり参照
713 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/15(水) 23:57:19.81 ID:mjS4eBUo
東方の空は今日も青く、白い雲をたなびかせ広がっている。

盗賊「……しばしさらばだ。…東方」

それは彼らの胸にぽっかり空いた穴の、それに似て、

戦士「土産はこんなもんでいいか」

魔道士「ちょっと待って下さい!あっ、これもいいなぁ…っ」

召喚士「あははっ」

ゆっくりと流れる刻が自然と覆い包んでくれる。

隊長「……名残惜しいなぁ」

西方参謀「全くだよ。俺は絶対…東方に住むぜ!」

しかし彼らへの試練はそれを許さず、

帝「…こ、これは美味っ!」

エリート「これはザッハトルテですね」

皇太子「冷やしておいて良かった。程よい加減だ」

胸に空いた穴を塞ぐ間もなく、新たな試練が待ち受けている。

名代「……これからが…本当の勝負だ」
714 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/15(水) 23:58:05.93 ID:mjS4eBUo

東方での一戦は大きな力と団結力を生み出した代償として、

右秘書官「…よし、準備は出来ました」

右文官「ああ。あとは……」

大きな犠牲を生む事となってしまった。

女剣士「……」

しかし彼らはそれを忘れる事はないだろう。

東方参謀「…どうだ?」

青年兵「大方、準備は整いました」

そして迎えるは新たな試練。即ち、

左文官「……いよいよですな」

左大臣「あァ。いよいよだなァ…!」

右翼対左翼の、人間同士の戦いが今、始まる。



    〜第二十七部、完〜
715 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/15(水) 23:59:45.79 ID:8WXWyR6o
おつ
716 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/16(木) 00:04:27.41 ID:MHDVLKQo
たったこれだけなのですが、長くなりそうなので前後半分ける事と致します
二十八部はオッサンの口喧嘩のみの予感…面白味が…ない…
では、おやすみなさい!ノシ

>>711
派閥争いは面倒だけど、魔物と通じてる節のある左翼は許せねぇ…
みたいな感じですかね…

>>712
ご親切にありがとうございます!!

〜オマケ〜

召喚士「結局お土産は何を買ったんですか?」

魔道士「前回同様、おしろいと…今回はこれっ!」

召喚士「シャンプー…ですか?」

魔道士「これは椿油です!髪の毛がツヤツヤするんですよっ!」

召喚士「へぇ〜!……戦士は何を買ったの?」

戦士「これだ」

召喚士「何それ…赤い布?」

戦士「これは『ふんどし』っつってな。東方のパンツだ」

召喚士「へぇ〜!どうやって穿くのそれ?」

戦士「……さぁ?」

召喚士「えっ?」

戦士「えっ?」
717 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/16(木) 00:04:30.92 ID:WeayoPco
乙っ!
718 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/16(木) 00:23:28.71 ID:yvUnIADO
乙です。
六尺褌
719 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/16(木) 01:49:30.93 ID:hwyIQEDO
>>1乙!
明日から展開される舌戦も楽しみにしてるぜ!
年末で忙しいだろうけれど頑張ってな!
720 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/16(木) 02:17:41.60 ID:6FMjbwSO
>>1おつ〜
オッサン達の舌戦なのに壮大な幕引きだなwwww楽しみにしてるぜ!
721 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/16(木) 02:23:54.55 ID:b0MU6TQ0
>>1乙!
どうせ舌戦を繰り広げるならば
お互い「ぐぬぬ。」と感じて言葉に詰る時間を計測し
その時間に応じて、黒歴史を公開するようにしたらどうだ?
因みに、ジャッジ(裁判官)が「コレは相手の黒歴史より酷い」と感じるまで披露する形で
722 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/16(木) 03:45:57.38 ID:m7BDswDO
おっさん達の舌が交ざり合う・・・ゴクリ
723 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/16(木) 05:46:09.71 ID:vuEHLgDO
>>1
VIPの頃から毎日のように見てますよ
登場人物もかなり増えたなぁ
投票所なんだが50項目以上はダメみたいね

雷…
724 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/16(木) 05:50:47.93 ID:6PBWBwAO
>>1
戦士は盗賊にでも聞いたら良いと思うの

絶対張り倒されるけど
725 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/16(木) 11:55:32.16 ID:Zs0HdYYo
そういえばくノ一は諜報や暗殺などの任務のため
忍術として性技も磨くんだよな…
くノ一雷遁奥義!みたいな。。。。
726 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/16(木) 18:21:17.69 ID:BLsOipko
カタッ…カタカタガタガタガタッ…ドサッ

資料室長「地震か……?」

パラパラパラ…パラッ

資料室長「……落ちないよう新しい棚でも手配して頂くか」

パラッ…

『議会』

◆議会の可決、否決については議決権の多数決により決定する。

◆議決権は士官以上の職務者が保有するものとする。[1]

◆議会の進行は本国内、議事堂に於いて本会議をするものとする。

◆本会議後、各司令部又は要所にて答弁、演説を行い投票を促すものとする。[2]

◆議会の開会においては各機関の責任者、又は代行者の承認を必要とする。

[1]但し、士官以上でなくとも、一部要職者に於いては議決権を得る場合がある。

[2]但し、必須事項ではない。

パタンッ

資料室長「…よいっしょ。これで全部かな」
727 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/16(木) 18:22:50.37 ID:BLsOipko



召喚士「行けっ!コカトリス!!」

    〜第二十八部〜

728 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/16(木) 18:23:55.95 ID:BLsOipko
〜東方司令部〜

青年兵「……あ…っ」

カツカツカツ

東方司令「ん?」

青年兵「ご、ご苦労様です…!」

東方司令「…はぁ」

青年兵「……っ」

タッタッタッタッタ

東方司令「……何だ?」

俯き気味に走り去る青年兵を目で追い、東方司令は首を傾げた。

タッタッタ…テクテクテク

青年兵「…はぁ、何だか気まずいなぁ」

テクテクテク

青年兵「……さーて。頑張れよー青年兵っ!」

両手で己を頬を叩き、青年兵は食堂の扉をゆっくりと開いた。
729 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/16(木) 18:24:42.81 ID:BLsOipko
〜食堂〜

青年兵「…流石に昼時、混んでるなぁ。えぇと……」

キョロキョロ

青年兵「……いたっ!!」

カツカツカツカツ…ザッ

東方伍長「…おっ、青年兵じゃねぇか」

青年兵「先輩、偶然ですね」

東方伍長「コイツは魔道学校の後輩でよぉ」

東方兵「へぇ」

東方伍長「なぁ、青年兵……」

スクッ

青年兵「……」

東方伍長「どうした…?険しい顔して……」

青年兵「失礼ですが先輩、あなたは伍長ですよね?」

東方伍長「……?」
730 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/16(木) 18:25:37.18 ID:BLsOipko
青年兵「申し訳ないが、僕は中尉です。士官にその言葉遣いはいかがなものか」

東方伍長「な…っ!」

青年兵「伍長が中尉である僕にその態度はいかがなものかと申しているのだ」

東方伍長「……っ」

ザワザワザワッ

東方兵「ご、伍長…っ」

青年兵「直属ではないにしろ、立場をわきまえて頂きたいな」

東方伍長「……くっ!」

カツカツカツ

東方参謀「どうした?」

魔道兵「何やら、本国の士官と伍長が揉めている様です…!」

東方参謀「……ほぅ」

青年兵「あなたが東方司令部に居る間に、私はあなたの上になったのです」

東方伍長「ちっ」

青年兵「しかも今の私は近衛所属。先輩とは大違いなのですよ」
731 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/16(木) 18:26:24.50 ID:BLsOipko
東方伍長「…お、俺だって…好きで東方司令部なんかに……」

青年兵「何か?」

東方伍長「本国に居れば…ち、中尉殿と同様の立場だったと自負…します」

青年兵「なら、戻れば宜しかろう」

東方伍長「戻れるもんならなぁ、とっくに戻って……お、おります…っ」

青年兵「…はははっ。負け惜しみにしか聞こえませんな」

ザワザワザワ

青年兵「…皆さんもですよ。こんな若造に先を越されて、悔しくないのですかね」

魔道兵「……っ」

青年兵「己で動こうともしなければ道は拓かれない…。お忘れなく」

テクテクテク

青年兵「…チャンスは逃さぬものですよ。いつ転がってくるか分かりませんからね」

テクテクテク

東方伍長「あの野郎…っ、ナメやがって…!」

魔道兵「……本国にさえ戻れりゃ、くそ…っ」
732 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/16(木) 18:27:06.34 ID:BLsOipko
カツカツカツカツ…

青年兵「…はぁ、心が痛む」

東方参謀「ならば、やらなければ良かろう」

青年兵「!!……東方先生」

東方参謀「なかなか大胆な手を打ったな」

青年兵「士官でない皆様には反感を買いましたが……」

東方参謀「あの場に居合わせた士官は危機感を抱いただろうな」

青年兵「…だと良いのですが」

東方参謀「議会はいつ開くつもりだ?」

青年兵「これより本国へ戻ります。明日には提案致します」

東方参謀「……早いな」

青年兵「今回ばかりは後手に回っては手遅れですからね」

東方参謀「と、いう事は……」

青年兵「ええ。これで失礼します」

東方参謀「次に会うのは…本会議後の各部演説の時か」
733 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/16(木) 18:29:18.72 ID:BLsOipko
青年兵「おそらくは…」

東方参謀「…ふん。せいぜい気を付ける事だな」

青年兵「ありがとうございます」

カツカツカツカツカツ…

青年兵「……あっ」

東方副司令「これはどうも」

青年兵「ご苦労様です」

東方副司令「先程、士官達が動揺しておりましたよ?」

青年兵「申し訳ありません……」

東方副司令「ふふっ、お手柔らかに頼みますよ。中尉殿」

青年兵「はい…。では、失礼致します」

カツカツカツカツ…

東方副司令「……」

東方司令「…帰ったのか?」

東方副司令「これは司令…。そのようです」
734 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/16(木) 18:42:25.99 ID:BLsOipko
東方司令「…全く。右だ左だと騒がしい事だ」

東方副司令「ええ…っ」

東方司令「それで、お前はどうするんだ?」

東方副司令「私ですか?…あまり、興味がありませんなぁ」

東方司令「…そうなのか。てっきり左翼派かと思っていたぞ」

東方副司令「そういう司令はどうなさるのです?」

東方司令「ボクはいつも白紙さ。そんなものは上が好き勝手すればいい」

東方副司令「う、上って…。司令も十分上の立場で……」

東方司令「ボクだってやりたくてやってるわけじゃない。そんなものは要らん」

東方副司令「はぁ……」

東方司令「まぁいいさ。ここも暇になった事だし、少しくらい揉め事も構わんか」

東方副司令「ふ、不謹慎ですぞ!」

東方司令「デカイ声を出すな…っ。頭に響く……」

東方副司令「ま、また二日酔いですか…!?」

東方司令「……うるさい!」
735 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/16(木) 22:29:23.37 ID:fqCIS5s0
1乙
うーん…
736 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/16(木) 23:44:01.99 ID:MHDVLKQo
〜東方、都〜

テクテクテク

盗賊「……」

テクテクテク

盗賊(お土産……買っておこうかな)

テクテクテク

盗賊(でも…欲しい物ないし、渡す人もいないか)

女剣士「おい」

盗賊(戦士…何買ったんだろ。あとで聞いてみようかな…)

女剣士「おい!」

盗賊「!?」

女剣士「忍のくせに鈍感な奴だな」

盗賊「…確か……女剣士?」

女剣士「…頼みがある」

盗賊「……?」
737 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/16(木) 23:44:37.75 ID:MHDVLKQo
〜港〜

右秘書官「では、間もなく出航致します」

戦士「アイツ…どこほっつき歩いてんだか……」

魔道士「盗賊さん、帰ってこないですねぇ…」

召喚士「あっ、帰ってきましたよ!」

テクテクテク

盗賊「…すまん…待たせた」

西方参謀「おや?その嬢ちゃんは確か……」

女剣士「……」

盗賊「…頼みが…あるそうだ」

右秘書官「…?」

女剣士「本国まで乗せて行って貰えないか…?」

隊長「あぁ?東方から出るのか!?」

召喚士「う、上様はいいんですか…?」

女剣士「承知の上だ。案ずるな」
738 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/16(木) 23:45:16.70 ID:MHDVLKQo


右文官「では、出航するぞ!」

戦士「おう!」

魔道士「忘れ物…ないですよね?えぇと……」

召喚士「盗賊さん」

盗賊「……ん?」

召喚士「何か…ありましたか?」

盗賊「…え?」

召喚士「いや、少し…スッキリしたような感じが…」

盗賊「…そうかもな」

召喚士「え…?」

盗賊「…いや、何でもない」

戦士「おぉーい、船内で食事済ませるってよー!」

召喚士「うんっ!今行くよーっ。行きましょう、盗賊さん!」

盗賊「……ああ」
739 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/16(木) 23:46:07.08 ID:MHDVLKQo
〜本国、王宮〜

門兵「ご苦労様であります!」

青年兵「……どうも」

カツカツカツカツ

青年兵「右大臣様はいらっしゃいますか?」

近衛兵「青年兵殿!…少々お待ちを」

青年兵「……」

カチャッ

右大臣「…戻ったか」

青年兵「ただいま帰還致しました」

右大臣「それで、如何にするつもりだ?」

青年兵「殿下らへは既にご報告済みであります。あとは……」

右大臣「…私の力が必要か」

青年兵「…申し訳ありません。それにもう一人……」

右大臣「……あやつか。良かろう…迅速に伝令を送ろう」
740 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/16(木) 23:59:55.01 ID:MHDVLKQo


青年兵「…では、失礼致します」

右大臣「うむ。こちらの事は任せておけ」

青年兵「…お願い致します」

カツカツカツカツカツ…

右大臣「まだまだヒヨッコと思っておったが…なかなかどうして…。ふっふ」

カツカツカツ…

青年兵「……もうこんな時間か」

冬の日没は早く、辺りはあっという間に暗闇が包み込む。

タッタッタ

門兵「青年兵様!!」

青年兵「…?」

門兵「港に……東方からの船がっ!!」

青年兵「何っ!?すぐに行く!!」

門兵「あっ!せ…青年兵様!」
741 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 00:20:12.04 ID:KX.F2cAo
〜本国、港〜

戦士「……帰ってきたぜ、本国!」

魔道士「帰ってきましたね〜!」

戦士「しかし帰りはあっという間だったな…」

召喚士「潮の流れがあるからね」

盗賊「…それに…東方は日没が早いからな」

魔道士「なるほど…っ」

右文官「ゆっくりしたいのは山々だが、急ぎ王宮へ向かうぞ」

隊長「俺らはひとまず、国軍本部に戻るとする」

西方参謀「報告が山ほどあるからな」

右秘書官「はい。それでは…ご苦労様でした」

召喚士「ん…?あれ……」

タッタッタッタッタ

青年兵「皆様、ご無事で!!」

召喚士「青年兵くん!」
742 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 00:25:20.30 ID:KX.F2cAo
青年兵「噂はこちらでも伺っておりますよ。お疲れ様でした!」

召喚士「青年兵くんこそ……色々大変だったみたいだね…」

青年兵「…ま、まぁ。あまり思い出させないで下さい…っ」

西方参謀「がっははは!是非、拝みたいものですな〜」

魔道士「西方参謀さんっ!」

西方参謀「おっと、んじゃ…行くとすっか」

隊長「ああ。それじゃあな、失礼する」

戦士「お疲れっした」

スタスタスタ…

右文官「それで、こちらの首尾は?」

青年兵「はい。王宮でご説明致します」

右秘書官「うむ。殿下とエリート殿は東方に留まっている」

青年兵「はい。好都合です」

右秘書官「……流石だな。殿下の仰られた通りだ」

青年兵「……?」
743 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/17(金) 00:32:19.47 ID:KX.F2cAo
こんばんは!なんとかポジティブに生きたいです
此度もご支援ありがとうございました!

>>723
増えすぎて分かり難いですね…申し訳ない…
投票所はそうだったのですね。なるほど…

それでは、おやすみなさい!ノシ

〜次回予告〜

占い師「本国へと戻った召喚士達」

占い師「そこではついに、右翼と左翼の激突が始まる」

占い師「互いの信念と理想を掛けて…向かえる人類の運命とは!?」

占い師「次回、第417話【右翼、魂の座】」

占い師「この次も、サービス、サービスゥ!」
744 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/17(金) 01:13:27.67 ID:uMtc3Sgo
おつおつ
745 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/17(金) 01:14:32.61 ID:.PFQ/oDO
>>1乙!
青年兵達の策が上手くはまるといいなぁ
>>1も仕事に負けないで頑張ってくれな

更新楽しみにしてるぜー
746 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/17(金) 01:16:05.11 ID:1IcrPTAo
現在の日付[2010/12/17] 時刻[01:15:00] これは412日と15時間5分51秒前のレスです。
747 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/17(金) 07:40:59.08 ID:SVD9Suso
おつおつおつ
やはり>>1が一番可愛い
すごく眠い
みんな出勤、私夜勤明け
748 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/17(金) 07:57:47.11 ID:eR4LesAO
弓使いに夜のサービスしてもらいたいでござる
749 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/17(金) 08:52:47.43 ID:EwDK7RcP
青年兵「どうした伍長?私は中尉だぞ?」

東方伍長「青年兵・・・様・・・くっ!・・・」

召喚士(国軍付きワーカー)「おーい!せいねんへいく〜ん!」

青年兵「あ、召喚士さん!」

東方伍長「え?」

ってならないかな?
750 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/17(金) 12:46:51.37 ID:SVD9Suso
>>749
うけwwたwwwwwwwwww
751 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 17:14:27.17 ID:kd3YQy6o
〜経済機関、庁舎〜

左文官「何っ!まことか…!?」

左翼官「間違いありません」

左文官「……」

コツコツコツ…

左大臣「何かあったかァ?」

左翼官「左大臣様…!」

左文官「東方より船が戻ったそうです」

左大臣「何ぃ…?」

左翼官「しかしながら、殿下はまだお戻りないとの事で……」

左大臣「……ほぉ」

左文官「おそらく議会を引き伸ばす為に、滞在を延期したようですな」

左大臣「悪あがきだなァ、愚策よ。私なら逆手にとる」

左翼官「逆手…ですか?」

左大臣「そう。先に議会を開いてしまうのさァ。ふっははは!」
752 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 17:15:04.34 ID:kd3YQy6o
左翼官「な、成程……」

左文官「ひとまずは、左秘書官殿らを東方司令部より引き揚げさせましょう」

左大臣「そうだなァ。下準備も進めておかねばならん」

左翼官「早速、手配致します」

左文官「うむ」

左大臣「他の連中の動きはどうだァ?」

左文官「青年兵が何やら動いておりましたが、気にする事もないでしょう」

左大臣「…些細な事でも後の憂いになる事もある。目は離すなァ」

左文官「…ははぁ」

左大臣「本会議と東方司令部さえ落とさねばァ…負ける事はない」

左文官「ですね。そこは徹底的に固めております」

左大臣「無論だァ。もしここで左翼が負けるような事があればァ…」

左文官「ま、万に一つも……っ」

左大臣「もしもの話だァ。負ければ今後、左翼に勝ち目はなくなるという事だァ」

左文官「……胆に命じておきまする…っ!」
753 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 17:15:55.55 ID:kd3YQy6o
〜王宮〜

門兵「おかえりなさいませ!!」

右秘書官「ご苦労様です」

魔道士「そういえば…女剣士さんは!?」

右文官「途中のターミナルで降りたぞ?」

召喚士「え!?そうなんですか…?」

魔道士「船内でも全然見かけませんでしたし…。お話したかったなぁ…」

右文官「うむ。挨拶くらいと思ったのだが…さっさと行ってしまったわい」

盗賊「……不器用なのだろう。察してやれ」

戦士「……ほー」

盗賊「…な、何だよ…っ」

戦士「別に」

青年兵「さて、こちらです」

右文官「私は報告を上げねばならん。あとは皆に任せたぞ」

右秘書官「はい。報告はお任せ致します」
754 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 17:16:36.55 ID:kd3YQy6o
〜会議室〜

右秘書官「それで、本国の動きはどうなのだ?」

席に着くやいなや、開口一番で右秘書官は青年兵に問いかける。

青年兵「順調……と言うわけではありませんが、難航もしてはおりませんね」

右秘書官「ほぅ…」

青年兵「つい先程、右大臣様にご依頼を致しました」

戦士「依頼…?」

青年兵「ええ。明日には事が動くかと思います」

右秘書官「早いな…っ。お見それした」

青年兵「いえ…。それで、殿下とエリート様は何と…?」

右秘書官「こちらに一任するそうだ。一応書面も頂いてきた」

青年兵「……畏まりました」

右秘書官の差し出す書面を受け取り中を読む青年兵は、力強く頷く。

青年兵「あとは…役者が揃えば……」

盗賊「…?」
755 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 17:17:10.68 ID:kd3YQy6o
右秘書官「この直前となって、まだ手を打つのか…っ」

青年兵「策は二重にも三重にもあった方が良いものです」

右秘書官「我ら政治屋には浮かばぬ発想よ…っ」

青年兵「……すみません」

右秘書官「いや、褒めておるのだ。頼もしい限りだよ」

青年兵「ありがとうございます」

右秘書官「……さて、朱雀先生方には議会に出席して頂こうと思っている」

召喚士「え!?」

青年兵「僕も考えておりました」

戦士「俺らが話し合いに参加すんのかよ…っ。めんどくせぇ……」

右秘書官「難しい事を述べる必要はない。目で見たものを伝えてくれれば…」

魔道士「目で見た…もの?」

青年兵「東方の情勢です」

召喚士「…なるほど」

右秘書官「東方司令部に対しての牽制だ。怖がらせてやってくれ…ふふっ」
756 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 17:17:49.18 ID:kd3YQy6o


青年兵「では、また明日…宜しくお願い致します」

召喚士「俺らで力になれるのであれば…」

戦士「でもよ、本当にいいのか?」

青年兵「…?」

戦士「だってよ、俺らは一介のワーカーだぜ?それがお偉いさんの会議に…」

右秘書官「ご心配なく。貴方達は『国軍付』ワーカーなのです」

青年兵「流石に議決権はありませんが、部外者でもありませんよ」

盗賊「……成程な」

右秘書官「今日は王宮で休まれると良い。すぐに手配しよう」

召喚士「えっ!?いや…そんな滅相もない…っ」

右秘書官「遠慮する事はありません。ゆっくり旅の疲れを癒して下さい」

魔道士「ち、ちょっと…っ!」

テクテクテクテク…

右秘書官「すまんが、宿泊用の部屋を四つ手配してくれ」
757 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 17:18:44.65 ID:kd3YQy6o
近衛兵「はっ。伝えて参ります」

戦士「な、なんだか…大層な事になっちまったな……」

盗賊「……う、うん」

右秘書官「では、私と青年兵はこれで失礼する」

青年兵「失礼します」

テクテクテク…パタン

召喚士「え…えぇと……」

魔道士「何だか、王宮に宿泊出来るみたいですね…」

戦士「…い、いいのかな?」

盗賊「……さぁ」

コンコン…カチャッ

召使い「失礼致します。お部屋のご準備が出来ましたので、ご案内致します」

召喚士「あ、ありがとうございます」

戦士「…こうなっちまったら断るわけにいかんわな。行くかぁ」

魔道士「そうしましょう!滅多に経験出来ませんよっ」
758 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 17:20:01.64 ID:kd3YQy6o
テクテクテクテク…

戦士「……へぇ」

魔道士「どうしたんです?キョロキョロして……」

戦士「いや、だってよ…。王宮なんて入った事ねーから……」

盗賊「…う、うん」

召喚士「うわ…。あの絵高そう…っ」

魔道士「そっかぁ。皆さんは初めてなんでしたっけ…?」

戦士「お前…来た事あんの?」

魔道士「父の付き添いですけど…何度か…」

戦士「あ、そっか…。元婚約者はエリートさんだしな」

召喚士「…元?」

戦士「あれ?破談したんじゃなかったっけか…?てっきりそうなのかと…」

魔道士「い、いいじゃないですかっ!そんな話やめましょうよ…!」

召喚士「は、はは…っ」

盗賊「……」
759 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 17:22:10.36 ID:kd3YQy6o
テクテクテク…

召使い「こちらです。向かって右から四部屋お使い下さいませ」

魔道士「ありがとうございますー!」

召喚士「一人一部屋とは…豪華ですね…」

カチャッ

戦士「うおっ!広っ!!」

盗賊「…ほ、ほんとだ」

召使い「何か御座いましたら、あちらにいる係の者に声をお掛け下さいませ」

召喚士「ありがとうございます」

召使い「食事、入浴の際は、ご連絡致します。ごゆっくりどうぞ」

テクテクテクテクテク…

戦士「……はぁ。すっげー」

召喚士「とりあえず…荷物置きましょうか…」

盗賊「…だな」

魔道士「それじゃまた後で!」
760 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 17:22:59.67 ID:kd3YQy6o
パタンッ…スタスタスタ

召喚士「……広すぎて…逆に落ち着かないな」

コンコン

召喚士「はーい。……戦士かな?」

カチャッ…テクテクテク

召喚士「――っ!!」

魔道士「お邪魔しますー」

召喚士「ま、魔道士さんっ!?」

魔道士「はい?」

召喚士「……い、いえっ」

魔道士「お取り込み中でしたか…?」

召喚士「ま、まさか…っ!どうしたんです!?」

魔道士「…い、いえっ。特に用があるわけでは…ないですけれどぉ」

召喚士「……お茶!お茶淹れましょうか!」

魔道士「は、はいっ!」
761 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 17:23:33.64 ID:kd3YQy6o
コポコポコポ…

召喚士「どうぞ」

魔道士「ありがとうございます!」

コトッ…コクコクコクッ

魔道士「……はぁ、美味しい」

召喚士「東方土産に買っておいて良かったです」

魔道士「えへへっ!本当ですね!」

召喚士「……」

ズズーッ

魔道士「……」

召喚士「……」

魔道士「…………」

召喚士「…………」

魔道士「あのっ!」

召喚士「あのっ!」
762 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 17:25:08.55 ID:kd3YQy6o
魔道士「どうぞ……」

召喚士「い、いえ…っ。魔道士こそどうぞ…」

魔道士「じゃ、じゃあ…。こほん」

召喚士「……」

魔道士「あの…っ、エ…エリートさんの事なんですけど…」

召喚士「エリートさん…ですか?」

魔道士「はい…。その…何と言うか、私はエリートさんとは…そのぉ…」

召喚士「は、はい」

魔道士「親同士が勝手に決めたことであって、私は…そ、それに……」

召喚士「……?」

魔道士「エ、エリートさんももう何とも想ってないようですし…だからそのぉ…」

モジモジ

召喚士「そ、そうですか……」

魔道士「えっとその…っ、な…何言ってるんでしょうね…っ。ふ、ふふ…っ」

召喚士「え…?あ、は…はははっ!」
763 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 17:25:54.23 ID:kd3YQy6o
〜東方、帝の城〜

エリート「ふぇ〜っくし!!」

皇太子「どうした?風邪でも引いたか…?」

エリート「いえ…。どうせ左翼が噂でもしているのでしょう」

皇太子「…上手くゆくかな」

エリート「我らに出来る事と言えば。東方にて待つ事のみです」

皇太子「信じるしか出来ないか…。歯がゆいな」

エリート「……それも力ですよ」

テクテクテク

帝「ここにおったか。茶が入ったぞ」

皇太子「これは有難い。今日のデザートはだな……」

帝「おおぉぉ!?き…今日は何だ!?」

皇太子「はっはっは。出てのお楽しみだ」

帝「むぅーっ」

エリート「…ははっ。お気楽なものだ…っ」
764 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 17:28:32.52 ID:kd3YQy6o
〜国軍本部〜

カツカツカツ

国軍兵「ご苦労様です」

隊長「あいよ」

秘書官「これは隊長、ご無沙汰ですね」

隊長「まぁな。出張帰りだよ」

西方参謀「総司令はいるかい?……ヒック」

秘書官「はい。どうぞ、お入り下さい」

カチャッ

隊長「失礼します」

司令官「……ん。東方から戻ったのかな?」

隊長「つい先程、戻って参りました」

司令官「…ん、ご苦労さん。話は聞いてるよ」

西方参謀「報告書です」

スッ
765 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 17:29:11.65 ID:kd3YQy6o
隊長「ヤマタノオロチを倒し、龍脈を封じました」

司令官「ご苦労さん。東方も思ったより…力持ってるね」

西方参謀「彼らは大したものですよ」

隊長「付加や魔法などほとんど持たぬくせに、魔物を追い払っております」

司令官「それは凄いな」

西方参謀「集団戦法に優れており、死をも恐れてはおりませぬ」

司令官「悪く言えば捨て身だね。古風な事だ」

隊長「同盟については、東方サイドから提案がありまして…」

西方参謀「内乱を平定するまでしばし時間が欲しいとの事ですわ」

司令官「…ん。まぁそれは国軍の仕事じゃあないしね。政治屋に任せよう」

隊長「……間もなく、議会があると思われます」

司令官「左翼のだろう?耳には入っているよ」

隊長「いや、右翼のです」

司令官「……?」

隊長「右翼が先手を打って、議会を開会致します」
766 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 17:30:35.64 ID:kd3YQy6o
司令官「……へぇ」

隊長「何卒、宜しくお願い致します」

司令官「……ははっ。それは面白い事になりそうだ」

隊長「……失礼致します」

クルッ…カツカツカツ…パタン

西方参謀「…喋りすぎじゃねぇのか?…ヒック」

隊長「総司令は絶対左翼に付かん。断言出来る」

西方参謀「国軍上層部にも内通者がいんだぞ?忘れてたわけじゃ……」

カツカツカツカツ…

青龍先生「……おぉ、久々に見る顔じゃな」

隊長「先生こそまだしぶとくこの世に未練か?」

青龍先生「ヒョッヒョッヒョ!言ってくれるわ!」

西方参謀「久々に先生とも飲みたいですなぁ…ヒック」

青龍先生「そうじゃな。しかし今は病んでおってな…。完治したら飲もうかの」

西方参謀「楽しみにしてますわ!」
767 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 17:33:55.94 ID:kd3YQy6o
カツカツカツカツ

副司令官「おや、珍しい面子だな」

隊長「お疲れ様です」

西方参謀「先程、東方より帰国し報告に…」

副司令「それは何よりだ。ご苦労様」

青龍先生「それじゃ、儂もそろそろ行くとするかの…」

副司令「病院ですか?」

青龍先生「うむ。検診なのでな」

隊長「お大事に」

青龍先生「ヒョッヒョ。ありがとうよ」

カツカツカツ…

西方参謀「だいぶ悪いんですかい?」

副司令「そう聞いておる…。今、先生を失うのは痛いところだ…」

隊長「既に齢を越えてるしなぁ…。惜しい話だよ…」

西方参謀「ああ…。もう少し遅く生まれていれば……」
768 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 17:35:09.14 ID:kd3YQy6o
副司令「では、失礼する」

隊長「はっ!」

カツカツカツ…

西方参謀「…あの二人は右翼…だよな?」

隊長「知らん。聞いた事もねぇわ」

タッタッタッタッタ

男隊員「隊長っ!!」

女隊員「戻ったなら言って下さいッスよ!」

隊長「おー、悪かったな!さっき戻ったとこだ」

男隊員「んで、どうなんだ?」

隊長「バッチリよ。ヤマタノオロチも討伐した」

女隊員「おぉー!さすがッス!!」

西方参謀「コイツは何もしてねーけどな…。がははっ!」

隊長「あぁ!?」

西方参謀「冗談だって冗談!がっははは!」
769 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 17:36:42.05 ID:kd3YQy6o
〜王宮、客室〜

召喚士「……」

魔道士「……」

召喚士「…あ、あのぉ」

魔道士「は、はい」

召喚士「魔道士さんは…夢とかありますか?」

魔道士「夢…ですか?」

召喚士「もしこの先、平和になったら……」

魔道士「……正直、まだ思い浮かびませんね」

召喚士「ですよね…」

魔道士「というか、平和に暮らせる想像が付かないです…」

召喚士「……ですよね」

魔道士「あっ、でも…」

召喚士「…?」

魔道士「私、先生になってみたい…かも…」
770 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 17:37:55.56 ID:kd3YQy6o
召喚士「先生ですか…?」

魔道士「はいっ!魔道学校に通っていて…思ったんです」

召喚士「…へぇ、先生ですか!」

魔道士「人に何か教えるって難しそうだし、技術も必要ですけど…」

召喚士「ええ…」

魔道士「子供好きですし、魔法とか料理とか、色んな事で役に立ちたいです!」

召喚士「良い夢ですね!」

魔道士「そ、そうですか…?えへへ…っ」

召喚士「そうかぁ…先生かぁ……」

魔道士「召喚士さんはあるんですか?」

召喚士「…いえ、俺も全然想像出来ませんよ」

魔道士「…ですよねぇ」

召喚士「普通に暮らしたいですね。結婚して子供と一緒に遊んで…」

魔道士「結婚…ですか…っ」

召喚士「ええ。両親を早くに亡くしたからでしょうか…憧れますね。そういうの」
771 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 17:39:33.66 ID:kd3YQy6o
魔道士「…召喚士さん」

召喚士「…い、いやっ!結婚といっても相手はいないですし…夢っていうか…」

魔道士「え!?あ、はい…っ!」

召喚士「だからその、何ていうか夢というより理想で、それは現実でなくてえっと…」

魔道士「…ふ、ふふっ」

召喚士「…ふふふっ」

魔道士「ふふっ、えへへ!!」

召喚士「は、ははっ…あははっ!」

魔道士「えへへ…っ」

召喚士「……」

魔道士「…………」

召喚士「……魔道士…さん……?」

魔道士「……ぁ」

召喚士「……」

二人の瞳が合いしばし時間が止まる。そして、魔道士の瞳がゆっくりと閉じる…。
772 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/17(金) 17:41:43.82 ID:AmGdosEo
ああああああ…!!!!
773 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 17:52:32.72 ID:kd3YQy6o
コンコン…カチャッ

召使い「失礼致します……あっ、こ…これは失礼致しました…っ!」

召喚士「い、いやいやいや!何も失礼ではありません!こちらこそ失礼を!」

魔道士「そそそうです…っ!何でもないんです!何でも!!」

召使い「…は、はぁ」

召喚士「ど、どうかなさいましたかぁ!?」

召使い「お夕食の準備が整いました」

魔道士「ほ、本当ですかぁ〜良かった!」

召使い「…?」

召喚士「えっと…お食事はどちらまで!?」

召使い「一階奥の広間までお越し下さいませ」

召喚士「分かりました!すぐ行きます!」

魔道士「そ、そうですね!行きましょうかっ!

召使い「…は、はい」

召喚士「いやぁ、お腹空いたなぁ!はは…っ」
774 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 17:53:04.64 ID:kd3YQy6o


テクテクテク

戦士「ん?お前ら早いな」

召喚士「な、なんかお腹減っちゃってさ!はは…っ!」

魔道士「そうなんですよ…えへへ…っ!」

戦士「…?」

テクテクテク

盗賊「…お待たせ」

戦士「お、全員揃ったか。んじゃ入るか」

〜広間〜

盗賊「……」

召喚士「……」

戦士「……すんげ」

盗賊「…あれ…何?」

魔道士「シャンデリアですね…。にしても…大きい」
775 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 17:53:36.97 ID:kd3YQy6o
カツカツカツ

右文官「おぉ、待っていたぞ。さぁさぁどうぞ」

召喚士「こんばんは」

右秘書官「今日はビュッフェ式にしたから、遠慮なく食してくれ」

戦士「…おぉ!」

盗賊「……おぉ」

魔道士「あ…っ」

カツカツカツ…

右大臣「魔道士さんか。ご無沙汰だな」

魔道士「右大臣様…」

スゥッ

右大臣「よいよい、畏まらんでくれ。ご両親はお元気かな?」

魔道士「……ここ最近、なかなか会う暇がなくて…」

右大臣「…そうか。たまには顔を見せてやると良い。喜ぶぞ」

魔道士「はい…っ」
776 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/17(金) 17:53:46.25 ID:EwDK7RcP
おいいいいいいいいいいいいいいい!!!
あああああああああ!!!!!111
モウダメポ・・・
777 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/17(金) 17:54:55.14 ID:EwDK7RcP
あれ?
778 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/17(金) 17:55:07.88 ID:kd3YQy6o
右大臣「……君が朱雀先生か」

戦士「…いや、こっちです」

召喚士「召喚士と申します」

右大臣「成程。噂はよく耳にしているよ。大活躍のようだな」

召喚士「あ、ありがとうございます」

右大臣「……これから、更に戦いは厳しさを増すと思う」

召喚士「…はい」

右大臣「…うむ。頑張ってくれ、この世界の為に」

召喚士「ありがとうございます…!」

青年兵「召喚士さん、こちらのテーブルへどうぞ」

右文官「酒もあるぞ?飲むかな…?」

戦士「喜んで頂きます!!」

盗賊「…モグモグ」

魔道士「盗賊さん…座って食べましょうよ…っ」

盗賊「…はい……モグモグ」
779 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/17(金) 17:55:50.60 ID:wuPFscDO
>>1とセックルしたらいかせてもらえない気がしてならないんだぜ…
780 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 17:56:09.86 ID:kd3YQy6o


戦士「いっただっきまーす!」

魔道士「ローストビ−フ…。美味しそう〜」

スクッ

召喚士「…?」

盗賊「…おかわり…取ってくる」

戦士「いつにも増して食うなぁ…」

魔道士「船内も軽食でしたし、お腹空いたんですよ!」

召喚士「……」

戦士「…しかし、西国の城も凄かったが…本国は桁違いだな…っ」

召喚士「流石って感じだね」

戦士「青年兵の野郎…いっつもこんなモン食ってんのか…」

召喚士「ど、どうだろうね…」

魔道士「でも、本国や国軍のお仕事って大変そうですよ〜?」

召喚士「ええ。自由はないですしね…」
781 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 17:57:03.14 ID:kd3YQy6o
戦士「そうだよなぁ。縛られるのはイヤだよなぁ…」

魔道士「でも食事やお酒は毎日タダで楽しめますよ?」

戦士「……うーむ」

召喚士「それぞれ良いところも悪いところもあるって事だよ」

魔道士「そうですよっ!」

テクテクテク…カチャッ

盗賊「……?」

戦士「…いや、何でもねぇ」

盗賊「……モグモグ」

魔道士「明日、何があるんでしょうね?」

召喚士「あまり詳しい事は聞いてないので分かりませんが…」

盗賊「……」

召喚士「おそらくは、議会絡みではないかと…」

戦士「だろうなぁ。青年兵がかなり頑張ってたみたいだし…」

召喚士「東方司令部は解決したのかな…?」
782 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 18:01:10.33 ID:kd3YQy6o
青年兵「一応は大丈夫だと思いますよ」

テクテクテク

魔道士「青年兵さん!」

青年兵「楽しまれてますか?」

戦士「…まぁな。全く、良い物食ってるよな…」

青年兵「僕らもこんなご馳走久々ですよ…」

戦士「そうなのか!?」

青年兵「ここに来てから、食事をする時間もロクにありませんから…」

盗賊「……モグ……モグ」

戦士「……青年兵!俺は今…モーレツに感動している!!」

グッ

青年兵「は、はぁ…」

召喚士「そ、それで…東方は大丈夫なんだね」

青年兵「ええ。少しは変化が見えるはずです……戦士さん、痛いんですが…」

戦士「あ、ああ。すまんすまん…ははは!」
783 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 18:47:04.65 ID:kd3YQy6o
青年兵「本当に東方の力が必要なのはもう少し後ですしね」

盗賊「…?」

青年兵「議会はまず、本国にて本会議を行います」

魔道士「本会議…?あっ、新聞で読んだ事があります!」

青年兵「本国にて働く士官、要職者。そして各部司令や拠点司令が集まり討論します」

戦士「…ほぉ」

青年兵「そこでまず半数近くの投票が行われるのです」

召喚士「なるほど、その後に各部署の投票が…」

青年兵「そういう事です。そしてその前に両陣営が演説を行います」

魔道士「演説ですか…!」

青年兵「はい。…ここで東方司令部を口説き落とせればと思ってます」

戦士「大変な仕事だなぁ…」

青年兵「まぁ、その為に打てる手は打っておきました」

召喚士「東方司令部のみんなが協力してくれるといいね!」

青年兵「はい。東方先生はともかく……問題は……」
784 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 18:55:24.91 ID:kd3YQy6o
〜東方司令部〜

東方参謀「……」

カチャッ…ゴクッゴクッ

東方司令「……ふー」

自室の窓辺に寄りかかり、書物を手にコーヒーをすする東方司令。

東方司令「……空しい」

ドドドドドド…

東方司令「――っ!?」

バッ!!

東方司令「何だ……この威圧は!?」

異変に気付いた東方司令は、慌てて窓から外を覗く。

東方司令「…魔族ではないな。人間か…っ」

バッ!!…タッタッタッタッタ…

東方兵「し、司令っ!?どちらへ……」

東方司令「五月蝿い!どけっ!!」
785 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/17(金) 19:01:28.75 ID:kd3YQy6o
ババッ!!…タッタッタ……ザッ

東方司令「……どこだ…?」

キョロキョロッ

東方司令「こっちか!?」

クルッ…タッタッタッタッタ

東方司令(この感じ…ワザと威圧を発しているな…っ)

タッタッタ

東方司令(その狙いは……)

ザッ…

東方司令「……腕試しか?でも、運が悪かったな!」

ザッザッザ

東方司令「ボクがいるここに挑発かけた事…後悔するよ」

女剣士「……」

東方司令「……女か?」

女剣士「……女!?」
786 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/17(金) 19:02:28.27 ID:kd3YQy6o
こんばんわ、寒いですねー!少し落ち着きましたですよ〜!
では、これにて帰宅致しますのですよ。ご支援ありがとうございました!ノシ
787 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/17(金) 20:26:34.47 ID:ZC1rjMDO
>>1乙っす
女剣士と東方司令の対決楽しみです
788 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/17(金) 20:44:59.44 ID:K.pcPV2o
レズ同士かよ
789 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/17(金) 21:08:30.13 ID:ESRcmz60
1乙
女剣士は非処女なのにレズビアンなの?
790 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/17(金) 21:12:01.80 ID:mgghY6AO
つレイプ
791 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/17(金) 21:36:37.80 ID:unQxX1Q0
そうだといいな
792 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/17(金) 22:03:11.91 ID:Tt0TTjMo
〜演説〜

青年兵「右翼を応援してください!」

東方兵「…」シーン

青年兵「…しかたない」

ドタドタドタ…トテトテトテ

青年子「右翼を応援してください!」

青年兵「もちろんだー!!!」うぉー!!!!

東方司令「するする!僕は前からちょう右翼だよ!!!」

青年子「…(フクザツな心境だ グスン)」

続かない
793 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/17(金) 22:09:19.82 ID:K.pcPV2o
そういうのいいから
794 :362[sage]:2010/12/17(金) 22:22:28.85 ID:SVD9Suso
対決がここそこで!

だが読者対決は断わる!!!
いちおつおつおつ
795 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/17(金) 22:24:27.44 ID:SVD9Suso
名前欄がっ
ホントスンマセン
796 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/17(金) 23:29:39.98 ID:efJBrcAO
>>1乙!!

>>762
エリートさんはまだ何とも想ってるだろうなww
797 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/17(金) 23:32:56.58 ID:r0x8v2AO
>>1
今日は何時にもまして小ネタが多いなwwww
798 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/18(土) 02:16:45.15 ID:CibBcwUo
月を遮る雲が通り抜け、光が地上を照らす。

ドキーン!!

東方司令(……な、なんと…格好良い…っ)

ドキーン!!

女剣士(……な、なんと…可愛らしい…っ)

東方司令(…はっ!青年子さんという人がありながら…ボクは何て事を…!)

女剣士(…はっ!上様という方がありながら…私は何て事を…!)

東方司令(それにしても……)

チラッ

女剣士(それにしても……)

チラッ

東方司令(……素敵だ…っ)

女剣士(……可愛い…っ)

東方司令(しかし…これも任務の一部。心を鬼にしなくては……)

女剣士(しかし…これも修行の一部。心を鬼にしなくては……)
799 : ◆1otsuV0WFc2010/12/18(土) 02:17:23.07 ID:CibBcwUo
東方司令「……な、何だよ」

女剣士「お前こそ……何だ」

東方司令「何だとは何だ!挑発してきたのはお前だろう!?」

女剣士「…ふっ。腕に自信がないのなら、大人しく退がるのだな」

カチン

東方司令「…ほー。ボクに大口叩くじゃないか」

女剣士(ボク…!?可愛……いや、惑わされるな!)

東方司令「もう頭来た。後悔するがいいさ」

女剣士「お前のような小柄な少女では話にならん。もっと強い……」

東方司令「少女は許す。しかし、誰が小柄だってぇ…?」

ゴゴゴゴゴゴ…

女剣士(……なっ、何だこの威圧は…っ!?)

東方司令「ちょっと背が高いからって…調子に乗るなよ?この年増…」

女剣士「誰が年増だ!私はまだ[ピーーー]才だ!!」

東方司令「[ピーーー]才!?ボクより年下じゃないか!!」
800 : ◆1otsuV0WFc2010/12/18(土) 02:18:55.43 ID:CibBcwUo
女剣士「はぁ!?お、お前…その外見で一体……」

東方司令「……悪かったな。ボクは……[ピーーー]才だぁ!!」

ヒュンッ!!

女剣士「早……っ!!」

猛ダッシュで前方へ駆け寄る東方司令を警戒し、女剣士が後方へ跳ぶ。

スタッ

女剣士「……っ」

東方司令「言うだけあるな。なかなかの素早さだ」

女剣士(試したのか…っ。舐めてくれる…!)

東方司令「さぁて、そろそろ本気でやりあうとするか……」

女剣士「……?」

巨大な布を剥ぎ取る東方司令。その姿を女剣士は呆然と見つめる。

スッ…ゴソゴソッ

女剣士「な……っ!?」

布の中より顔を見せるのは、その風貌に似つかわぬ巨剣、ツヴァイハンダーであった。
801 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/18(土) 02:19:37.27 ID:CibBcwUo
ドンッ…スチャッ

女剣士「バ…カな!?ツヴァイハンダー!?」

ジャキッ…ザッザッザ

女剣士「そ、その身体で……そんな大剣を軽々と…っ!」

東方司令「…どうした?やらないのか?」

女剣士「……くっ!」

スラッ…チャキッ

東方司令「戦う前から硬いようでは…結果は見えてるな」

女剣士「そんなもの、やってみなければ……」

東方司令「分かるよ。君は強い」

女剣士「……」

東方司令「…でも、まだ上を知らない。それだけ」

女剣士「く……ぅ」

東方司令「退く事もまた、強さのうち……」

女剣士「黙れぇ!!」
802 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/18(土) 02:21:19.57 ID:CibBcwUo
鞘を投げ捨てた女剣士はがむしゃらに東方司令へと斬りかかる。

それを受けてツヴァイハンダーを手にした彼女は半目で口元を緩めた。

ブオッ!!…キィンッ!!…ガキイィンッ

東方司令「…ほぉ、悪くはないな」

女剣士(剣捌きが……は、早いっ!?)

いとも容易く己の刀を弾き返され、女剣士に動揺が走る。

女剣士(だが……っ!)

ツヴァイハンダーの元来の弱点、それはその大きさと重さ故の対応速度。

女剣士(この速さなら……どうだっ!)

ブンッ!!

だがそれは、この使い手には通じない。単なる愚策に過ぎなかった。

女剣士「!?」

東方司令「ボクといい剣といい、お前は見かけで判断した事が失敗だよ!」

流れるように大剣を捌き、防御行動へと入る東方司令。

女剣士「す、全て払いのけただとぉ……!?」
803 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/18(土) 02:22:05.61 ID:CibBcwUo
ザッ

東方司令「…ふぅん。基礎はしっかりしているな。大したものだ」

女剣士「……余裕だな」

東方司令「余裕?余裕なんかないよ」

女剣士「……」

東方司令「お前の力量はかなりのもの。ボクだって必死だよ」

女剣士「……っ」

東方司令「そう見えないのは、頭に血が昇ってるからじゃないのか?」

女剣士「黙れ……っ」

幾多の戦いを潜りぬいて来た東方司令にとって、一対一の対峙は少なくない。

普段からは考えられぬ冷静さを見せるのは、百戦錬磨の成せる技である。

東方司令「お前はまだ戦い慣れてない。場数が違うんだよ」

女剣士「ベラベラと……っ!」

東方司令「技は磨けても、実践経験はなかなか鍛えられないからなぁ」

女剣士「黙れと言っているっ!!」
804 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/18(土) 02:23:10.86 ID:CibBcwUo
ダンッ!!…ヒュオンッ!!…ブンッ!!

東方司令「斬撃が容易く見えるぞ?」

女剣士「小癪なぁ!!」

東方司令「手数を繰り出せば良いというものではないぞ?」

女剣士「は……あぁ!!」

ブンッ…チュインッ!!…ガインッ!!…ヒュオッ

東方司令「そうこうしているうちに……息もあっという間に上がる」

女剣士「はぁ……はぁ、はぁ……っ」

東方司令「才能はあるのに勿体ない。良き師に巡り合えなかったか……」

女剣士「私は……私はぁ!!」

東方司令「……やれやれ」

渾身の一撃を振り下ろす女剣士。それを右方に避け、

東方司令のツヴァイハンダーが大津波のように唸りをあげる。

女剣士「――っ!!」

眼前に寸止められた大剣を、女剣士が薄目で捉えた時、既に勝負は決していた。
805 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/18(土) 02:31:49.04 ID:CibBcwUo
ごめんなさい…寒すぎて震えが止まらないので布団に潜ります…
また後ほど!今日もご支援ありがとーございます!

>>787-791
東方司令は男に憧れているのでレズっぽいですが、
女剣士は男に嫌悪がある女好きって感じですかね…
お父上の剣聖が色々あったので苦労したようです
描写はおそらくないですが…あってもあっちのスレ…かな…

>>792-793
こ、これは裏技!!しかし素性が……

>>794-795
お気にせず!私は誤字りまくりで最早謝罪では足りないくらいでありんす…

>>796
エリートさんも早く諦めないと生涯独身になりそうな予感…

>>797
日常パートはなるべく小ネタを挟みたいと思います!

では、おやすみなさい!ノシ
806 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/18(土) 03:04:57.58 ID:s9w46r6o
1乙
こんな時間までありがとな〜
寝る前に確認してよかったわ!

土日ちゃんと休めよ!
807 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/18(土) 04:23:00.28 ID:F/sUqKk0
1乙
無理はしないでくれよ
808 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/18(土) 04:29:43.69 ID:e4YAWIDO
おお!深夜更新来てた!!
>>1乙 みんなも言ってるけれど無理せず身体に気をつけてな−
809 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/18(土) 10:35:10.68 ID:yXBd84Qo
エリート生涯独身でもいいんじゃフガフガ
いちおつおつ
女剣士ってもっと強いかと思っていたから、やっと修行したがる意味を理解
810 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/18(土) 16:02:10.64 ID:qBGJp.DO
>>1
東方司令は大剣使いか……どこまで俺を魅了するんだ……東方司令可愛いよ東方司令
811 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/18(土) 17:25:31.65 ID:ofg3k6AO
>>1
大剣部類ならクレイモアとかフランヴェルジュとかあるけど
>>1ってツヴァイハンダー好きだな
812 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/18(土) 17:50:22.07 ID:YwRBxooo
日本のファンタジー物だと一番一般的な両手大剣だしね
ただフランヴェルジュは刃の種類をあらわす言葉だから、大剣とは限らないよ
813 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/18(土) 21:58:00.51 ID:rz7.rzso
東方司令がツヴァイハンダーなのは、伏線なかったか?皆総司令の弟子で、ほかの司令も使ってたはず
あとは天才と魔剣士もそのうちきっと明かされるよね?
814 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/18(土) 23:22:37.70 ID:pK71cTIo
いろんな武器の使い手をみたい。
RPGで一般的な斧や弓矢なんか達人ってかんじのやつはまだでてきてないし
そもそも弓矢とか弓使い以外で使ってる奴いたっけ?
815 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/18(土) 23:50:14.63 ID:CibBcwUo
ビタァッ!!

女剣士「――っ」

ソーッ…チラッ

女剣士「!!」

東方司令「……」

女剣士「何故……だっ」

東方司令「……?」

女剣士「何故っ、剣を止める!」

東方司令「何だ?殺生をするつもりだったのか?」

女剣士「……っ」

東方司令「殺して欲しかったのか?」

女剣士「そうではない!…そうでは…っ」

東方司令「じゃあ何だ?殺す気もないのに真剣を抜いたのか…?」

女剣士「……」

東方司令「甘ったれるな!!」
816 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/18(土) 23:51:27.91 ID:CibBcwUo
ビクッ!!

女剣士「っ!!」

東方司令「お前は何がしたいのだ?」

女剣士「わっ、私は……」

東方司令「ひとたび鞘を抜いたなら、死をも厭わぬ覚悟を決めろ」

女剣士「……」

東方司令「でなくば、剣など手にするな!」

女剣士「……っ」

東方司令「人間相手は始めてか?いや、経験が少ないのか…」

女剣士「私は……」

東方司令「覚えておくんだな。魔物だろうが人間だろうが……」

ザッザッザ

東方司令「剣を交えれば、命のやり取りなのだ」

女剣士「……くぅ」

ザシャッ
817 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/18(土) 23:52:08.73 ID:CibBcwUo
東方司令「それを踏まえて、もう一度やるか?」

女剣士「……」

東方司令「……ふっ」

ザッザッザ…スゥッ

東方司令「立て」

女剣士「……手は…借りぬ」

パシッ

東方司令「……全く、強情なヤツだな」

女剣士「……」

東方司令「とにかく付いて来い。単身とはいえ司令部に喧嘩を売ったのだ」

女剣士「…好きにしろ」

東方司令「案ずるな。死罪などにはしないさ」

女剣士「……」

東方司令「早く立て。ボクの手を借りぬと言ったのはお前だろう?」

女剣士「……っ」
818 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/18(土) 23:52:35.06 ID:CibBcwUo
〜本国、王宮〜

魔道士「はぁ〜。美味しかったですねっ!」

召喚士「ええ!」

召使い「ご入浴の準備が出来ております。ご案内致します」

戦士「風呂の時間も決まってんのかよ…っ」

召使い「さぁ、どうぞ」

テクテクテクテク…

盗賊「……ここか?」

戦士「……で、でけぇ」

召喚士「他に入られている方が…?」

召使い「おりません、交代制ですから」

戦士「こんなだだっ広い風呂を…貸切かよ……」

召使い「お召し物はこちらに。着替えはこちらをご使用下さい」

召喚士「あ、ありがとうございます……」

召使い「お嬢様方はこちらへどうぞ」
819 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/18(土) 23:53:06.02 ID:CibBcwUo


カポーン

戦士「……うへぇ」

召喚士「すご…」

戦士「ライオンの口から湯が出てるぜ」

召喚士「つ、作り物だよ…ははっ」

スタスタスタ

召喚士「わぁっ!?」

召使い「……?」

戦士「な、何なんだ!?」

召使い「お背中を……」

召喚士「け、結構ですからっ!」

召使い「左様ですか…?」

戦士「大丈夫!!」

召使い「…畏まりました。皆、下がりましょう」
820 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/18(土) 23:53:33.63 ID:CibBcwUo
スタスタスタ

召喚士「……はぁ」

戦士「…やっぱ俺、王宮暮らし無理だわ」

召喚士「……うん」

ザバッ…

戦士「はぁ〜」

召喚士「……なんだか広くて逆に落ち着かないね」

戦士「…まぁなー。でも泳げるぜ!」

バシャバシャッ

召喚士「わっ!……もうっ、戦士〜!」

戦士「ははっ!わりぃわりぃ!」

召喚士「あはははっ!」

戦士「……さーて、いよいよ明日かぁ」

召喚士「だね…!」

戦士「頑張ろうな。俺らもよ!」

召喚士「うんっ!」
821 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/18(土) 23:54:24.94 ID:CibBcwUo


カポーン

魔道士「ひえぇ…っ」

盗賊「……」

召使い「何か御座いましたら、外にて待機しておりますので」

魔道士「あ、ありがとうございます…っ」

盗賊「……凄いな」

魔道士「あーっ!これ、話題の新製品ですよ!?」

盗賊「…シャンプーか?」

魔道士「はいっ!トリートメントもコンディショナーもある…!」

盗賊「……流石だな」

魔道士「タ、タダで使っちゃっていいんですかね…?」

盗賊「…備え付けてあるんだから…いいんじゃない?」

魔道士「……じゃ、じゃあ」

盗賊「……」
822 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/18(土) 23:55:08.54 ID:CibBcwUo
ザブザブッ…ザパァ

魔道士「…うわぁ、お湯も凄いっ!」

盗賊「……花が浮いてる」

魔道士「いい香り〜」

盗賊「……ほんとだ」

魔道士「なんだかお肌ツルツルになりそうですね〜」

盗賊「…うん。保湿効果が良さそうだな」

魔道士「東方の温泉も良かったですけれど、これもなかなか…」

盗賊「……だな」

魔道士「……」

盗賊「…抱きつくなよ?」

魔道士「な、何故分かったんですか!?」

盗賊「…長い付き合いだからな」

魔道士「…そうですよね!えへへっ!!」

盗賊「……ふふっ」
823 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/18(土) 23:55:43.95 ID:CibBcwUo
〜会議室〜

右文官「各部署へ伝令は完了したのだな?」

青年兵「成程…。まだ連絡はないのですね?」

バンッ

本国兵「南方司令部より返答の伝令が参りました!」

右秘書官「まことか!?……ご苦労」

カツカツカツ…

右大臣「慌しくなってきたな……」

青年兵「右大臣様…!」

右秘書官「完了ですか?」

右大臣「……ああ。問題なく明日だ」

青年兵「……ありがとうございます」

右文官「かなり短期間で詰め込んだが…これで準備万端ですな」

右秘書官「ええ。憂いはなくなりました」

青年兵「はい」
824 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/18(土) 23:56:12.26 ID:CibBcwUo


魔道士「それじゃ、おやすみなさーい!」

召喚士「おやすみなさい。また明日…!」

戦士「頑張ろうぜ」

盗賊「……うん」

テクテクテク

戦士「んじゃ、おやすみ」

召喚士「うん。おやすみ!」

ガチャッ…パタン

召喚士「……」

テクテクテク…ボフッ

召喚士「……いよいよ、か」

ゴロン

召喚士「…今日は寝よう」

目を閉じ眠る召喚士。再び目を開けた朝に、戦いの火蓋は切って落とされた。
825 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/18(土) 23:56:58.63 ID:CibBcwUo
〜東方司令部〜

カツカツカツ…

東方兵「あ…っ、司令…!お、お疲れ様であります!」

東方司令「…ご苦労」

東方兵「…?あの…そちらの方は?」

東方司令「客人だ。心配するな」

女剣士「……」

東方兵「そ、そうでありますか!」

東方司令「ああ。部屋には誰にも近づけさせるな」

東方兵「は、はぁ……」

カチャッ

東方司令「入れ」

女剣士「……」

東方司令「…どうした?早く入れ」

女剣士「…あ、あぁ」
826 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/18(土) 23:57:39.19 ID:CibBcwUo


コポコポコポ…カチャッ

東方司令「……ほら」

女剣士「…ど、どうも」

東方司令「何故ボクがキミを助けるのか…。不思議か?」

女剣士「……」

東方司令「…ま、今は気まぐれって事にしておいてくれ」

女剣士「……あ、あの…っ」

東方司令「…?」

女剣士「もし…っ、もしその…邪魔でなければ……」

東方司令「な、何だ?」

女剣士「私を、弟子にして貰えないだろうか…でしょうかっ!」

東方司令「!?」

女剣士「貴女の元で是非、剣を学びたいのです…!」

東方司令「えぇっ!?」
827 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/18(土) 23:58:09.82 ID:CibBcwUo
ザッ…ガバッ

女剣士「この通り、お願い致しますっ!」

東方司令「で、弟子ってそんな……」

女剣士「貴女はとても魅力的な方だ」

ドキーン!!

東方司令「――!?」

女剣士「そのような華奢な身体であれだけの剣技を……」

東方司令「……」

女剣士「頼むっ!邪魔をするつもりはない…!だから……」

ゾクゾクッ

女剣士「だ……駄目かな…っ?」

東方司令「……」

女剣士「……っ」

東方司令「…す、好きにしろっ!但し、ボクの稽古は厳しいぞ…?」

女剣士「…ほ、本当か!?」
828 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/18(土) 23:58:36.62 ID:CibBcwUo
東方司令「ああ。今日からここに住むといい」

女剣士「…恩に着ます!」

東方司令「…ふふっ。ならば…まずは風呂に入ろうか……」

女剣士「……?」

東方司令「あ、いや…っ、随分その…ほら、汚れているから…っ」

女剣士「…ああ、そういう事か。かたじけない」

東方司令「…し、仕方ないからボクも一緒に入るとするか…!」

女剣士「…は、はぁ」

東方司令「ち、ちょっと準備してくるっ!」

女剣士「…?」

タッタッタ

東方司令「…ゴメン、青年子さん。ボクは…ボクは…っ」

コンコン…カチャッ

東方兵「失礼致します!」

東方司令「!?……うわぁっ!!」
829 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/18(土) 23:59:13.20 ID:CibBcwUo


東方兵「……何も…殴らなくても」

東方司令「いきなり出てきたお前が悪い。それに立ち入り禁止と言っただろ」

東方兵「はぁ…すみません……」

東方司令「それで何だ?急ぎの用なんだろうな…?」

東方兵「はっ!勿論であります。これを……」

スッ

東方司令「伝令か…?」

東方兵「はっ。明日の夕刻までに本国へと召集であります」

東方司令「何ぃ!?明日だと…っ?」

東方兵「何でも緊急事態だとか……」

女剣士「…ど、どうかなさったのか?」

東方司令「……罰が当たった」

東方兵「はい?」

東方司令「……何でもない…こっちの話だ。すぐに出発の手配を整えろ」
830 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 02:17:52.41 ID:yGEGD72o
〜次の日〜

召喚士「……ん」

モゾッ

召喚士「……何だ?」

窓の外から聞こえる騒音に、召喚士はベッドより起き上がり覗き込む。

召喚士「…馬車?……凄い数だな」

パッカパッカパッカ…ドドォ

南方兵「到着いたしました」

ザッ

南方司令「ご苦労!」

南方兵「では、国軍本部にて待機しております!」

南方司令「……本国か。いつ振りだろうか」

ザッザッザッザッザ

西方司令「やぁやぁ!南方司令…久しぶり」

南方司令「おぉー!東方司令!!」
831 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 02:19:03.30 ID:yGEGD72o
西方司令「い、いや…私は西方の…あぁそうか、影が薄いから…あぁ」

南方司令「いやぁお元気そうで何より!!」

西方司令「何とか皆のお陰で生きてます…」

南方司令「しかし急な呼び出しで困ったものですなぁ!はっはっは!」

西方司令「ああぁ…。きっと職務怠慢で極刑なんだ…はあぁ」

南方司令「他の者はまだ来てないようですな」

西方司令「早く来すぎてしまいました…。なんと申し訳ない……」

南方司令「何を仰る!早いに越した事はありません!中へ入りましょう、さぁ!」

西方司令「はあぁ…もうダメだ……」

カツカツカツカツ…

右秘書官「これは南方司令に西方司令。早いですね」

南方司令「なぁに、一大事って知らせを聞いてね。すっ飛んできたよ!」

西方司令「えぇえぇ…。遅刻したらまずいと思い、寝ずに参りました…」

右秘書官「それは申し訳ありません。各部も多忙な刻に……」

南方司令「気にするな。まぁ…あいつ等この私が居なくては何も出来んがね…ははは!」
832 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 02:21:10.19 ID:yGEGD72o
〜南方司令部〜

南方副司令「……いやぁ、はかどるな」

南方弓長「手がかかりませんから」

南方参謀「まぁ、貴方達ヒドイ言いようね」

南方魔道長「じゃあ何か?お前さんはそんな事ないってのか?」

南方参謀「まっさか〜」

南方副司令「何だよ…結局満場一致じゃねぇか」

〜本国〜

右秘書官「西方司令様も大丈夫ですか?」

西方司令「いやぁ私なんぞ居なくとも、西方司令部は安泰ですよ」

右秘書官「そう…ですか?」

西方司令「いや……むしろ私なんか居ない方が良いんです……」

右秘書官「……」

西方司令「それに、西方には素晴らしい参謀がおりますからねぇ」

右秘書官「……?」
833 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 02:22:42.40 ID:yGEGD72o
テクテクテク…

西方参謀「司令!?早いなぁ……ヒック」

西方司令「な、何で君がここにぃ!?」

西方参謀「何でって、昨日東方からの任務を終えて戻ったばっかですぜ?」

西方司令「そんな…っ!君が居ないなんて…西方司令部はおしまいだぁ…!」

隊長「……お前んとこの司令は相変わらずだな」

西方参謀「……あぁ。さて、と…仕方ないわな」

隊長「戻んのか?」

西方参謀「報告書も上げたし、司令が来てるんじゃ西方司令部が心配だ」

隊長「はいよ、ご苦労さん」

西方参謀「それでは失礼しますわ。ウチの司令、宜しく頼みますぜ…ヒック」

南方司令「あぁ!任しておきたまえ!!」

テクテクテク…

西方司令「はあぁ…。もう…この命を以って償うしかないな……」

右秘書官「……あ、あの…とりあえず中へ入りましょうか」
834 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/19(日) 04:06:47.73 ID:L54VxMAO
>>1乙!!
こいつらめんどくせえww
835 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/19(日) 08:56:12.30 ID:Ff31lGko
俺のイメージでは戦士は帝国重装歩兵。
836 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/19(日) 12:54:09.85 ID:H3WRwBwo
俺の中では戦士=クラウかなぁ

各司令と召喚士一行の再会がたのしみすぐる
837 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/19(日) 14:10:36.52 ID:EFjLloAO
どうでもいいことにレス使うのはおこがましいと思わんかね?
838 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/19(日) 15:15:41.30 ID:/gQiBPUo
>>837
掲示板というものをはき違えてやしませんか?
そんなの突き詰めたらお前のレスも無駄無駄無駄
839 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/19(日) 15:41:36.17 ID:H3WRwBwo
うぅ、元凶の俺が言うのもなんだが争わないでくれ……
840 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/19(日) 17:08:16.10 ID:fG20ahIo
真・スルー 何もレスせず本当にスルーする。簡単なようで一番難しい。
偽・スルー みんなにスルーを呼びかける。実はスルーできてない。
予告スルー レスしないと予告してからスルーする。
完全スルー スレに参加すること自体を放棄する。
無理スルー 元の話題がないのに必死でスルーを推奨する。滑稽。
失敗スルー 我慢できずにレスしてしまう。後から「暇だから遊んでやった」などと負け惜しみ。
願いスルー 失敗したレスに対してスルーをお願いする。ある意味3匹目。
激突スルー 話題自体がスルーの話に移行してまう。泥沼状態。
疎開スルー 本スレではスルーできたが、他スレでその話題を出してしまう。見つかると滑稽。
乞食スルー 情報だけもらって雑談はスルーする。
質問スルー 質問をスルーして雑談を続ける。
思い出スルー 攻撃中はスルーして、後日その思い出を語る。
真・自演スルー 議論に負けそうな時、ファビョった後に自演でスルーを呼びかける。
偽・自演スルー 誰も釣られないので、願いスルーのふりをする。狙うは4匹目。
3匹目のスルー 直接的にはスルーしてるが、反応した人に反応してしまう。
4匹目のスルー 3匹目に反応する。以降5匹6匹と続き、激突スルーへ。
841 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 21:34:44.81 ID:yGEGD72o
カツカツカツ…

右秘書官「ではこちらでお待ち下さい」

右文官「おぉ、お二方。お早い到着で」

南方司令「ははは!何事も一番乗りが肝心」

右秘書官「本国内であれば外出も許可します」

南方司令「それは有難い……」

カチャッ

将軍「…おぉ!これはご無沙汰しております!」

西方司令「これは海峡の将軍殿…!」

南方司令「なんだ、一番乗りじゃなかったのか……」

将軍「いやぁ、こんな機会でもないとなかなか本国には来ませんからな」

西方司令「何かご用が…?」

将軍「久々に妻子の顔と……父の墓参りをね」

南方司令「……あぁ」

西方司令「大元帥様ですか…。あれから随分経ちますなぁ……」
842 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 21:35:20.05 ID:yGEGD72o


将軍「では、私は外出して参ります」

西方司令「あ、はい」

カツカツカツ…バタン

南方司令「俺もどこか行ってくるとしようかな」

カチャッ

西方司令「…おや?」

東方司令「……よう」

南方司令「お前さんか。元気でやってるか?」

東方司令「……キミは相変わらず、むさ苦しいな」

南方司令「ははは!!言葉を間違えるな。『熱い』だ!」

東方司令「変わらないよ……。西方司令も元気そうだな」

西方司令「…そうでしょうか。最近、生きているのが辛くて……はぁ」

南方司令「バカ者っ!正義の使者がそんな事を口にするな!」

東方司令「…だからイヤなんだよ…っ」
843 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 21:35:55.83 ID:yGEGD72o
南方司令「あとは北方司令が来れば、久々の全員集合だな」

東方司令「……バカ。ヤツは…死んだ」

南方司令「……あっ」

西方司令「そ、そうですよ…。彼はもう……」

ガチャッ

左翼長「…おー、各司令お揃いで」

西方司令「これはこれは、新東方司令」

左翼長「敬語はよして下さいや。階級はおたくらのが上だ」

西方司令「しかし…貴公も今は同じ司令ですし……」

東方司令「それに、キャリアはボクらより長い。であろう?初代特遊の左翼長殿」

左翼長「はぁ…。そんじゃあ互いに敬語抜きにすっか」

南方司令「それがいい。堅苦しいのはゴメンだ…ははは!」

東方司令「…ん?どこか行くのか?」

左翼長「ちょいと馴染みがいるそうなんでな。顔を拝んでくる」

西方司令「そうですか…。物騒ですからお気をつけて!身代わりなら私が…っ」
844 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 21:36:25.35 ID:yGEGD72o
パタン…カツカツカツ

左翼長「逃げるってわけでもないんだが……」

カツカツカツ

左翼長「やっぱりアイツらに何と言っていいか…。言葉が見付かんねぇよ」

カツカツカツ…コツ

左翼長「えぇと、ここか?」

召喚士「……左翼長…さん!?」

左翼長「おぉー召喚士!丁度良かったぜ!」

召喚士「どうしたんですか!?」

左翼長「招集でな。…東方の話、聞いたぜ。よくやったな!」

召喚士「ええ。でも、俺らの力じゃないですよ」

左翼長「謙遜すんなって」

ガチャッ

戦士「おわ…っ!召喚士に……おじさん!?」

左翼長「よう」
845 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 21:37:15.83 ID:yGEGD72o


左翼長「いやぁ、しかし四人とも元気そうで何よりだわ」

魔道士「左翼長さんもお元気そうで!」

召喚士「それにしても…大変ですね」

左翼長「まぁな。本来は司令なんてやりたくもねぇ……」

戦士「めんどそうだもんなぁ……」

魔道士「でも、また急な話ですよねぇ」

左翼長「敵さんの目を欺く為だろ?」

盗賊「……?」

左翼長「考えてもみな。何でわざわざ殿下が東方へ残ったのか…な」

盗賊「……つまり」

召喚士「開会の権限……ですね」

左翼長「そう。上から陛下、殿下。そして左大臣……」

魔道士「あ……っ!!」

左翼長「……そういう事さ」
846 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 21:38:28.88 ID:yGEGD72o
〜経済機関〜

グシャッ!!

左大臣「……やってくれるわァ……!!」

左文官「……っ」

左大臣「まさか…右大臣を使ってくるとはなァ……」

左翼官「い、如何致しましょう…?」

左大臣「如何ァ?決まっておろう!急ぎ左秘書官らを呼び戻せ!!」

左翼官「ははっ!」

左大臣「奴等ァ、今晩にも開会するつもりだァ」

左文官「い、今…早急に資料を作らせております!」

左大臣「人を使って…無駄だとは思うがァ、少しでも本国に集まった奴等を……」

左文官「諜略ですな…?畏まりました!!」

左大臣「予想していたとはいえ、右翼も随分と急くようになったわァ」

左文官「……」

左大臣「仕方ない…。初日は見に入るとするかァ……」
847 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 21:39:33.95 ID:yGEGD72o
〜国軍本部〜

カツカツカツ…

国軍兵「……こ、子供…っ!?」

衛兵「どなたかの親族だろ?ほら、議会があるって話だし…」

本国兵「あぁ…」

カツカツカツ

副司令官「…おや、博士。西方司令とご一緒なのでは…?」

博士「一緒には来たけど、僕は総司令に用があるのら」

副司令官「そうでしたか。ではご案内致します。……おい」

衛兵「は、ははっ!」

副指令「研究機関長…博士殿を司令室へ案内せよ」

国軍兵「――っ!!」

副指令「では、後ほどまた」

博士「それじゃ案内を頼むのら……すまんのら。子供の案内をさせてな〜」

国軍兵「い、いえ…っ!こっ、これは大変失礼致しました!!」
848 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 21:40:51.15 ID:yGEGD72o
〜司令室〜

秘書官「博士様、お越しになられました」

司令官「……ん」

カチャッ…テクテクテク

博士「元気そうで何よりなのら」

司令官「君も元気そうじゃないか。……飴、食べるかい?」

博士「……子供扱いはやめるのら」

司令官「…冗談だよ。それで、何か良い報告かな?」

博士「前から進めている『電話』の実戦配備に目処が立ったのら」

司令官「……それは良いニュースだ」

博士「しかし、先日削られた予算のお陰で生産が間に合わんのら」

司令官「……困ったね」

博士「何とかならんか?結界石と穴は順調なんだろ?」

司令官「……分かった。何とか考えてみよう」

博士「頼むのら。それじゃ…先に王宮へ行ってるのら!」
849 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 21:41:39.44 ID:yGEGD72o
〜王宮〜

コンコン

魔道士「はーい!」

青年兵「失礼します。議会は今夜21時から開会となりました」

盗賊「……そうか」

青年兵「まだお時間もありますので、仮眠や外出などご自由にどうぞ」

魔道士「ありがとうございますっ」

青年兵「では、失礼致します」

魔道士「青年兵さんは休まれるんですか?」

青年兵「いえ、僕はまだやる事が多々ありまして……」

盗賊「…大変だな」

青年兵「いえいえ、お構いなく。皆さんこそすみません……」

魔道士「こちらも気にしないで下さい!」

青年兵「召喚士さんと戦士さんには先程お伝えしましたので。それでは」

魔道士「はいっ。ありがとうございます!」
850 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 21:42:34.05 ID:yGEGD72o
テクテクテク…

戦士「しっかし夜からとはなぁ……」

召喚士「一日じゃ終わらないみたいだし、仕方ないのかもね……」

戦士「まぁな〜」

カツカツカツ

騎士団長「おや、君らは確か……」

召喚士「……騎士団長さん…でしたよね?」

騎士団長「おぉ、やはり朱雀先生かっ」

戦士「ご苦労様っす」

騎士団長「君らこそ。数々の武功は耳にしているぞ」

召喚士「そんな事は……」

騎士団長「北での一戦から更に磨きをかけてようではないか」

戦士「国軍付になっちまったし、お国の為に頑張りますよ」

騎士団長「それは頼もしい。こちらも負けてはいられないな!それでは失礼」

召喚士「はいっ!」
851 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 21:44:02.66 ID:yGEGD72o
テクテクテクテク

戦士「左翼長のおじさんやら来師団長やら……」

召喚士「各方面から国軍の人が集まってるね」

戦士「あぁ」

カツカツカツ…

青龍士官「……!?」

召喚士「…こ、こんにちは」

青龍士官「朱雀先生……!」

召喚士「ど、どうも……」

青龍先生「……お声を掛けて頂き、恐悦至極。失礼致します」

カツカツカツ…

戦士「……すっかり有名人だな。朱雀先生っ!」

召喚士「や、やめてよ……もうっ」

戦士「はははっ!いいじゃんか。味方は多いほうが頼もしい!」

召喚士「そりゃそうだけどさ……」
852 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 21:44:30.98 ID:yGEGD72o
コツコツコツコツコツ

占い師「あら、二人してどうしたの?」

白虎長「久しぶりじゃない!」

召喚士「占い師さん、白虎先生!」

戦士「本国のオンパレードだな……」

白虎長「……?」

占い師「東方司令見なかった?」

召喚士「東方司令も来られてるんですか!?」

白虎長「そりゃそうよ。各部の主要人物は全員召集よ」

戦士「そら、こんなにも居るもんだわ」

占い師「全く…。どこ行ったのかしら…?」

召喚士「あの、占い師さん」

占い師「ん〜?」

召喚士「あれから具合はいかがですか?」

占い師「あー、この通り元気よっ。まぁ、力は戻ってないけどね…ははっ」
853 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 21:44:57.99 ID:yGEGD72o
召喚士「そうですか……」

占い師「気にしないで。そのうち戻るわよきっと。それに……」

召喚士「……?」

占い師「なければ…それでも……」

白虎長「占い師、行くわよ〜」

占い師「…ゴメンね。それじゃ、また後でねっ」

召喚士「は、はいっ!」

戦士「そんじゃ」

コツコツコツコツコツ…

召喚士「…占い師さん、まだ……」

戦士「ありゃ本人の問題だろ。気にする事はねぇよ」

召喚士「そうだけど……」

戦士「俺らがどうこうして治るもんでもないさ」

召喚士「……そうだよね」

戦士「……ん?」
854 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 21:45:27.63 ID:yGEGD72o
カツカツカツ…ザッ

召喚士「……な、何か…ご用でしょうか?」

体躯の良い甲冑を纏った長身の男が、二人に声をかける。

――「君達が噂の朱雀先生か」

戦士「…アンタは?」

――「失礼。私は南西砦長と申す」

召喚士「始めまして。召喚士です」

南西砦長「貴公らの活躍は遥か南西の地にも届いているよ」

戦士「南西?」

南西砦長「貴公らも南西の鉱山は訪れた事があるだろう?」

召喚士「鉱山…?あぁ…っ!」

南西砦長「今は機能していないが、あの近くにある砦の事さ」

戦士「……へぇ」

召喚士「昔は使われていたんですか?」

南西砦長「そのようだ。私も当時の人間ではないから、詳細は分からぬが……」
855 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 21:45:57.93 ID:yGEGD72o
召喚士「……なるほど」

南西砦長「かつては魔王討伐の拠点であったと聞いている」

召喚士「魔王討伐の…!?」

戦士「確かあの辺りの魔王っていやぁ……」

召喚士「アンラ・マンユ……!」

南西砦長「知っているのか…!?」

戦士「あの…炎のバケモンのとこか……」

召喚士「……っ」

南西砦長「…いつかは、貴公らの力を借りる事になるやもしれぬな」

召喚士「……頑張ります」

南西砦長「もし近くに来る機会があれば、是非訪ねてくれ。歓迎する」

召喚士「ありがとうございます!」

南西砦長「……では」

カツカツカツ…

戦士「……その槍、立派なもんですね」
856 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 21:47:01.18 ID:yGEGD72o
南西砦長「…これかい?あぁ、ちょっとした代物でね」

戦士「……ゾディアックですかい?」

南西砦長「……参ったな。そんな事まで知っているのか」

戦士「ちょいとワケありで…」

南西砦長「そうか…。これはゾディアックの一つで通称『トライデント』だ」

召喚士「トライデント……」

南西砦長「穂先が三叉になっているだろう?それが由来さ」

戦士「てぇ事は、南西砦長さんは槍の使い手で…?」

南西砦長「まぁそういう事になるかな。一番得意な得物かな」

戦士「……なるほど」

南西砦長「君も槍使いなのかな?」

戦士「使い手なんて言えるモンじゃないっすよ……」

南西砦長「なぁに、自信を持て。戦績を考えれば明白ではないか」

戦士「……どうも」

南西砦長「それでは、また議会で会おう」
857 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 21:47:59.78 ID:yGEGD72o
カツカツカツ…

召喚士「南西の砦か……」

戦士「まだまだ知らない国軍の拠点てのもあるもんだな」

召喚士「それにしても……」

戦士「ゾディアックか……」

召喚士「全部で12本だっけ?」

戦士「らしいが、俺には関係ねぇ話だ」

召喚士「……うん」

タッタッタッタッタ

魔道士「ここにいらしたんですかっ。探しましたよ〜」

召喚士「魔道士さん、盗賊さん」

盗賊「議会は21時からだそうだな」

戦士「ああ。どうする?街でもぶらつくか?」

魔道士「はいっ!せっかくなんで買い物でもして行こうかと…」

召喚士「…そうですね。それじゃあ街へ行きましょうか!」
858 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 21:48:36.84 ID:yGEGD72o


パッカパッカパッカ…

王宮兵「総司令官…ご到着ーっ!!」

ザッ

副司令「…では、参りましょうか」

司令官「……ん」

カツカツカツカツカツ

副司令「……青龍先生!?」

青龍先生「…おぉ、これはご苦労さん」

副司令「お身体は大丈夫なのですか!?」

青龍先生「大丈夫なわけなかろう…ヒョッヒョ」

副司令「なれば、無理なさらずとも……」

青龍先生「死にかけの老いぼれが力になれるのじゃ。無茶せんでどうする」

司令官「……これは献身的な事だ」

青龍先生「お前らが不甲斐ないからじゃろうが、莫迦者」
859 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 21:49:04.99 ID:yGEGD72o
司令官「…ははっ、手厳しいねぇ」

副司令「ささ、中へ参りましょうぞ」

青龍先生「はいはい。どっこらせっと……」

カツカツカツ…

右秘書官「これは皆様方、ご足労…誠に有難う御座います」

青龍先生「全くじゃよ。わざわざ来ずとも何とかなるようならんのか」

右秘書官「……今後の課題として受け止めておきましょう」

副司令「待機はこちらの部屋か?」

右秘書官「ええ。隣は各部司令がお控えです」

副司令「成程。では失礼しようか」

カチャッ

副司令「……司令?」

司令官「先に行ってていいよ」

副司令「……はぁ」

司令官「……」
860 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 21:49:32.01 ID:yGEGD72o
カツカツカツ…カチャッ

司令官「……やぁ」

ガタタッ!!

西方司令「……っ!!」

南方司令「総司令……」

東方司令「……っ」

司令官「皆、元気そうで何よりだね」

西方司令「……ご無沙汰……しております!」

南方司令「お元気そうで何より!!」

司令官「…お前は先日会ったであろう?」

南方司令「あれ?そうでしたっけか…!はっははは!!」

司令官「…ん?どうした?」

東方司令「……師匠っ」

司令官「軍服を纏っている以上、その呼び名はやめたまえ」

東方司令「ではせめて……お、お顔を…っ」
861 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 21:49:59.73 ID:yGEGD72o
司令官「…やれやれ。君は相変わらずだね」

カシャッ…コトッ

東方司令「……お変わりなく…っ。何よりです!」

司令官「……ん」

グイッ…カシャッ

西方司令「北方司令は…気の毒でした……」

司令官「仕方ないよ。彼の運命さ」

東方司令「ボク達は……」

司令官「今回の事、分かっているね?」

南方司令「分かってますよ。間違っても左翼の好きにゃあさせませんよ!」

司令官「しくじれば赤壁の予算も消えるよ?」

南方司令「……この命に代えても頑張ります!!」

東方司令「現金なヤツだ……」

司令官「東方司令部も削減になるよ?」

東方司令「……何が何でも阻止致しますっ!!」
862 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 21:50:31.50 ID:yGEGD72o
〜街〜

魔道士「…はぁ〜っ、満喫したぁ…!」

戦士「買いすぎだっつの」

魔道士「だってぇ、なかなか本国に来られないんですもん〜」

召喚士「まぁ今のうちに買い溜めしておきましょうよ」

盗賊「……だな」

戦士「…おっと、もう夕暮れかぁ」

召喚士「随分冷えてきたなぁ〜」

盗賊「…ああ」

魔道士「そういえば、もうじきクリスマスですよっ!」

戦士「んなモンしてる暇あんのか?」

魔道士「え〜っ!?だって去年も何もなかったし……」

召喚士「せっかくなんで今年は何かしましょうか!」

盗賊「…クリスマスか……いいな」

戦士「……ったく。好きだねぇ…そういうの」
863 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 21:51:24.83 ID:yGEGD72o
テクテクテク

召喚士「あれ!?」

魔道士「あっ!将軍さんっ!?」

将軍「……おぉ、君達か!」

戦士「お久しぶりっす」

将軍「色々と話は聞いているよ!それにしても……」

戦士「…?」

将軍「戦士くんが…一番槍の息子だったとはなぁ……」

戦士「やめて下さいよ。俺は俺、親父は親父っすよ」

将軍「……そうだな」

盗賊「…?」

将軍「…あ、いや……戦士くんの言う通りだな。わっははは!」

召喚士「これから王宮へ戻るのですが、一緒に行かれますか?」

将軍「そうだな。丁度、私も向かおうと思っていたところだ」

魔道士「良かった!それでは一緒に行きましょうっ!」
864 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 21:52:56.31 ID:yGEGD72o
続々と王宮内へ人が集い始める。時刻は19時過ぎ。

辺りは一段と暗くなり、街並みにもその緊張感が漂う。

町人「いよいよなんだろ?議会」

店員「ああ。今回はかなり大規模な話し合いみてぇだぞ?」

町人「俺らが平和に暮らせるんならどっちが勝ったっていいさ」

店員「まぁな…。おっと……」

本国兵「道端で話し込むな!裏通りに移るか屋内へ入れ!」

町人「おぉ厳しい事…」

店員「しゃーねぇさ。要人がワンサカいるんだからなぁ」

テクテクテク

本国兵「ほらっ、早く下がれ!馬車が通るぞ!!」

ガラガラガラッ…パッカパッカパッカ

左秘書官「街も事態の重さに気づいておるようですな」

左文官「それはそうであろう。自分達の行く末なのだ……」

左大臣「……馬を飛ばせ。遅刻などしては面子が立たぬわァ」
865 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/19(日) 21:59:19.85 ID:yGEGD72o
書き溜め終了…ご飯食べてお風呂入ってまた書き溜めてきます!
しかし…好きなものって無意識にオマージュしちゃうものなんですねぇ…反省
866 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/19(日) 22:47:32.93 ID:H3WRwBwo
乙っ!

好きなものって何ぞや?
867 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/19(日) 22:52:04.12 ID:ma70nkAO
乙!
好きなもの?
868 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/19(日) 23:05:15.91 ID:0dBq.MSO
東方司令がいっぱいだ
869 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/19(日) 23:05:54.17 ID:0dBq.MSO
東方司令がいっぱいだ
870 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/19(日) 23:21:40.10 ID:QvkYVaUo
>>851の青龍士官が突然じじいになってる
871 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/19(日) 23:29:55.31 ID:F.lL2B.o
つ 脳内変換
872 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/19(日) 23:37:07.51 ID:QvkYVaUo
なにがつだよしねよ
873 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 23:50:25.72 ID:yGEGD72o


ザワザワザワ

来賓室に集う国軍の士官達と、本国の政治官達。

通常はなかなか顔を合わさぬ彼ら。この時ばかりは互いに緊張が走る。

男隊員「おーヤダヤダ。これじゃ飯も美味しく頂けねぇや」

女隊員「全くッスね。あ…トマトジュース」

男隊員「何!?」

隊長「おー来たか」

女隊員「隊長」

男隊員「来たかたって、大した距離でもあるまいし…本国務めは全員召集でしょうが」

隊長「そりゃそうだけどよ」

カツカツカツ

騎士団長「失礼。飲み物を取らせてくれないか」

男隊員「おっとすいません」

女隊員「今のは確か……」
874 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 23:51:06.10 ID:yGEGD72o
隊長「本国の騎士団長だな……」

カツカツカツ

男隊員「政治屋?こっちに来んぞ?」

カツカツ…ザッ

高官「……」

隊長「お前か。何か用か?」

高官「……いや、飲み物を取りに来ただけだ」

隊長「…あっそ」

コトッ

高官「…どうするつもりだ?」

隊長「あぁん、探りか?悪いが今回の件ばかりは俺も絡んでねぇぞ」

高官「……」

隊長「お前こそどうするつもりだ…?」

高官「……私は」

男隊員「お、おいあれ……っ!」
875 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 23:51:46.63 ID:yGEGD72o
カツカツカツカツ…

この男の入場により、ざわついた声は消え去り、冷たい空気が会場内に走った。

左大臣「……」

右大臣「…来たな」

青年兵「……ええ」

遠目からそれを見つめる右翼派の連中も表情が一層険しくなる。

右文官「…ついに始まる、と言ったところか」

右秘書官「あとは精一杯やるだけですよ」

カツカツカツ…

左大臣「……」

司令官「……」

カツカツカツ…

左大臣「……」

博士「……」

中央を堂々と奥へ進む左大臣の挙動に、会場内の視線が一気に集まった。
876 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 23:52:33.03 ID:yGEGD72o
召喚士「……あれは…?」

南方司令「左大臣さ。初めてか?」

魔道士「南方司令さん!」

南方司令「いよう。東でも大活躍だったみたいだな!」

戦士「…そっちはどうなんです?」

南方司令「順調よ!君達も早く見に来るといい」

召喚士「それはもう是非……」

カツカツカツ

東方司令「何だ?キミも彼らと顔見知りだったのか?」

南方司令「…という事はお前もか!?」

西方司令「ややっ!これは朱雀先生!!」

召喚士「東方司令さんに西方司令さん…!」

戦士「各部の司令が集合か…!なかなかお目にかかれねぇや」

盗賊「…ああ」

魔道士「ほんと、改めて考えても凄いですよねっ」
877 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 23:53:38.05 ID:yGEGD72o
カツカツカツ…

左翼長「お前らはほんと…顔が広いというか……」

戦士「おじさん」

左翼長「これだけ国軍と繋がりを持つワーカーも珍しいぞ?」

南方司令「全くだ!はっははは!」

テクテクテク

博士「司令、どこに行ってたのら?」

西方司令「これは博士!はあぁ…放ったらかしで私はなんと…もう駄目だ、死のう…」

博士「おや、見覚えのある顔……」

召喚士「召喚士です」

博士「ああ、そうそう。西国と同盟の時にいた連中なのら!」

魔道士「はいっ!」

東方司令「研究機関とまで顔見知りなのか…!?」

西方司令「えぇ…そのようで……」

南方司令「コイツはたまげたな!はっははは!!」
878 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 23:54:17.01 ID:yGEGD72o
左翼長「ここに集まった奴、全員知ってるんじゃないのか?」

召喚士「い、いや…流石にそれは……」

戦士「でもまぁ…一通りは知った顔だな……」

盗賊「…う、うん」

魔道士「えぇと…総司令官さんに副司令官さん。特殊遊撃の皆さん…」

盗賊「…青年兵達」

戦士「騎士団長さんにさっき挨拶された南西砦長さん」

召喚士「青龍先生と召喚隊の方。白虎先生に占い師さん……」

左翼長「…全く。どうなってんだよ」

東方司令「知るか」

右秘書官「間もなく会場へと移動致します。会食はこの辺りで……」

ザワザワザワ…

魔道士「あっちの…スーツの方々は?」

南方司令「あれは本国のお役人どもさ。つまり政治屋だよ」

左翼長「ほぼ全員が左翼派だ。関わるだけ無駄なこった」

召喚士「……」
879 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 23:54:51.67 ID:yGEGD72o
20時50分頃。来賓室に居た全ての者が移動する。

王宮内ではあるが別の建物。議事堂である。

ザワザワザワ…

召喚士「ここが議事堂か…」

戦士「場違いってカンジだよなぁ」

占い師「そう?よく似合ってるわよ、フォーマルな格好も」

魔道士「占い師さん!」

占い師「早く入りましょ。外は寒いわ…」

白虎長「先生っ、大丈夫ですか…!?」

青龍先生「ヒョッヒョッヒョ。気にするでない…」

召喚士「青龍先生…っ」

青龍先生「おぉ、朱雀先生か。ご苦労さん」

盗賊「…大丈夫ですか?」

青龍先生「ヒョッヒョ。こうやって女性の同情をかってるんじゃよ」

白虎長「……全くもうっ!」
880 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 23:55:32.87 ID:yGEGD72o
青龍士官「先生、お手を」

青龍先生「……なんじゃ、男が釣れてしまったわい」

タッタッタ

青年兵「先生っ!」

青龍先生「青年兵か……」

青龍士官「……」

青年兵「お体が悪いのでは…!?」

青龍士官「お前の役目ではないだろう。行け」

青年兵「……っ」

青龍士官「行けと言ったのだ」

青年兵「先生を……頼む…っ」

タッタッタッタッタ

青龍先生「…ヒョッヒョ。邪険にする事もなかろうて」

青龍士官「彼には彼の立場がありますから」

青龍先生「…全く。強情な弟子どもじゃの……ヒョッヒョッヒョ」
881 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 23:56:45.43 ID:yGEGD72o
タッタッタ…カツカツカツ

青年兵「……」

司令官「気にする事はない。彼は面子を保ってくれたのだ」

青年兵「司令…っ」

司令官「分かっているとはいえ、公のばで右翼を丸出しにするのはねぇ」

青年兵「ええ。右翼どころか、左翼にも青龍先生にも迷惑がかかります」

司令官「…ん。ならいい」

青年兵「…今日は宜しくお願いします」

司令官「……」

タッタッタッタッタ

司令官「…順調じゃあないか」

占い師「……」

司令官「君の予言を信じて良かったよ」

占い師「司令…っ」

司令官「今日の結果も、分かれば良かったのにねぇ…」
882 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 23:57:27.21 ID:yGEGD72o
20時55分。議事堂内における各席に、一同が腰を据える。

戦士「うへぇ、すっげぇ……」

魔道士「私達の席も決まってるんですね」

召喚士「中央から左右に分かれてるんだ」

カツカツカツ

副司令官「それが右翼、左翼の起源だよ」

召喚士「副司令さん」

副司令官「君らが今日座るのは、あの右の手前」

盗賊「……」

副司令官「右翼側の参考人席だ」

召喚士「参考人……」

副司令官「別段難しく考える必要はない。聞かれた事に応えれば良い」

魔道士「き、緊張しますね…っ」

副司令官「但し、述べる言葉は全て真実のみ。宜しいな?」

召喚士「……はい」
883 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 23:58:10.85 ID:yGEGD72o
ザワザワ…ガタッ

男隊員「隊長は…大佐席か」

女隊員「大佐と言っても上級大佐ッスけどね」

スッ

占い師「こんばんは」

女隊員「あっ、こんばんはッス!」

占い師「貴方達、少佐だったのね…。もっと上なのかと思ってた…」

男隊員「一介の特遊隊員だぜ?アンタこそ上かと思ってたよ」

占い師「あら、私だって一介の事務よ。予言がなければね」

女隊員「…あれ?中将席、一個空いてるッスね…」

占い師「北方司令が亡くなったから……」

男隊員「繰上げで左翼長がなるんじゃないのか?」

占い師「いずれはなるだろうけど…今は上級大佐据え置きよ」

男隊員「隊長と一緒か…」

女隊員「…大佐席も一個空いてるッスよ?」
884 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 23:59:06.09 ID:yGEGD72o
占い師「ああ。あそこは彼よ」

女隊員「…?」

男隊員「ん!?あのガキんちょ、大佐かよ…っ」

占い師「博士の事?だって彼、研究機関の長でしょ?技術士官よ」

女隊員「うへぇ…。若いのに凄いッスね」

男隊員「若いってレベルか…?」

女隊員「……あの席、いつまで空席なんスかねぇ」

最前列、一つだけポッカリと空いた席を見つめ、女隊員が呟く。

占い師「司令がなりたがらないし…そのうち誰かが座るわよ」

男隊員「お前が目指したら?」

女隊員「嫌ッスよ。大元帥なんて想像しただけで疲れるッス…」

男隊員「…だろうな。俺もガラじゃねぇしなりたい奴がなりゃいいさ」

占い師「……そうね。なるべき人は自然となるものよ」

女隊員「そうッスよね!」

占い師「さ、無駄話はおしまい。もうそろそろ始まるわよ」
885 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/19(日) 23:59:46.89 ID:yGEGD72o
一同と対面する二つの席。それぞれの大臣が着席する。

左大臣「……」

右大臣「……」

その中央にある一席に、白髪を蓄えた老人が腰を落とし、声を上げる。

議長「此度の議会に於いて、議長を務めさせて頂きます。異議のあるものは――」

右秘書官「いよいよ始まったか……」

右文官「あやつはどうした?連絡はないのか…!?」

青年兵「それが…まだ……」

コソコソと談話する右翼を見つめ、左翼が顔を見合わせる。

左文官「何やらあるようだな…?」

左秘書官「一つ空席があります。遅れている者がおるようですね」

左翼官「もう時間です。間に合わなければ途中参加は残念ながら……」

ギィ…バタンッ!!

議長「……?」

左秘書官「なっ、何ぃ!?奴は……っ!!」
886 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/20(月) 00:00:33.94 ID:blCCtNoo
スゥッ

本堂正面の扉がすぅっと開き、隙間より白い羽がひらひらとはみ出す。

青年兵「来たっ!!」

右文官「全く…っ、ヒヤヒヤさせおって!」

カツカツカツカツカツ…

左大臣「…厄介な奴を呼んだものだァ」

左文官「く…っ!!」

カツカツカツ…ザッ

魔道士「あ…あれはっ!」

召喚士「……大軍師さん!!」

大軍師「遅くなり、誠に申し訳御座いません」

議長「急ぎ、ご着席を」

大軍師「…はい」

隊長「…ん?大佐席じゃないのか?」

左翼長「…ああ。奴は今回、あっちだよ」
887 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/20(月) 00:01:34.55 ID:blCCtNoo
カツカツカツ…ストッ

大軍師「…これは朱雀先生。ご無沙汰してます」

召喚士「こ、こんばんは」

魔道士「大軍師さんも参考人なんですか?」

大軍師「屯田についてですからねぇ…ふふっ」

戦士「こいつは頼もしいな!」

盗賊「……ああ」

議長「時間です。それでは、これより開会致します」

カンカンッ

議長「それではまず、開会当事者である右大臣」

右大臣「……はっ」

議長「開会における議題を述べなさい」

右大臣「はい。此度の議会に於いては、屯田における予算の増加。及び……」

左大臣「……」

右大臣「東方司令部の解散を提案致します」
888 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/20(月) 00:26:10.21 ID:1HdgjsDO
>>1乙!
いよいよ議会か!
頭脳戦wwktkするぜー!
東方司令部の解散に対する皆の反応が楽しみだ!!
889 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/20(月) 00:38:12.73 ID:blCCtNoo
>>866-877
久々に∀やらファイブスター物語見たんですけど…
女装やら色々と…パク…無意識なんですけどね…

>>870
ほんとだ…すみません…

ご支援ありがとうございます!それではおやすみなさい!ノシ
以下、オマケ。都合により若干変更が発生するかもしれませんので参考程度に…

〜国軍階級〜

大元帥:
元帥:
上級大将:司令官
大将:副司令官
中将:各部司令
少将:騎士団長、青龍先生、将軍
准将:
上級大佐:エリート、左翼長、隊長、大軍師
大佐:白虎長、各部副指令、博士<技術士官>
中佐:各部参謀、各部魔道長、各拠点長
少佐:占い師、男隊員、女隊員、南方弓長、(バーテン)、(戦士父)
大尉:
中尉:青年兵
少尉:各部副官、青龍士官
准尉:
曹長:格闘家
軍曹:ボス
伍長:東方伍長
兵長:
上等兵:
一等兵:
二等兵:

()は現役当時。<技術士官は>通常二階級下
890 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/20(月) 01:13:47.03 ID:0JRpwiIo
こうやって見ると、主人公一行の顔の広さは、やばいな
本国だけでコレで、後の国ではどこ行っても英雄扱いって、どこ行っても宿とっちゃいけないレベルだろ
891 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/20(月) 01:41:08.33 ID:mJuAtcDO
乙です。
おぉ FSSとは懐かしい
連載は四半世紀前のアニメージュで読みましたわW
892 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/20(月) 01:45:21.60 ID:XvnFBogo
で、スパイや飛行機はどこかね(゚Д゚ = ゚Д゚)
893 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/20(月) 18:10:50.29 ID:cvyNusUo
ドヨッ…

左翼長「今…なんつった…!?」

博士「東方司令部……解散。そうきこえたのら…っ」

ザワザワザワ

議長「コホン、静粛に」

右大臣「屯田においては後ほど話すとして、まずは東方司令部」

東方司令「司令部の解散…だとぉ!?」

将軍「なっ、何という…!」

右大臣「皆も存じておる通り、龍脈の主…ヤマタノオロチは倒れた」

スッ

右大臣「ここにあるものが、殿下からの報告書である」

政治屋「やはり…噂は本当であったのか…!」

高官「……」

左大臣「異議あり」

議長「左大臣、発言を許可する」
894 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/20(月) 18:11:58.99 ID:cvyNusUo
左大臣「右大臣、貴公は開会をした過ぎぬ。いわば部外者だァ」

右大臣「なれば、貴公もそうであろう」

左大臣「如何にも。あとは当人同士に任せようではないかァ」

右大臣「……っ」

左大臣の一言により、右大臣は再び着席する。

議長「…それでは、右大臣の提案について意見のある者」

スッ

議長「左秘書官」

左秘書官「東方司令部解散の意図が分かりかねます」

スッ

議長「右秘書官」

右秘書官「東方司令部の任務を考慮すれば、明白な事です」

左秘書官「つまり、ヤマタノオロチを倒したがために不要であると?」

右秘書官「東方司令部の主たる任務はご存知であろう?」

左秘書官「月の宴と心得るが」
895 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/20(月) 18:12:50.29 ID:cvyNusUo
右秘書官「その通り。龍脈の主であるヤマタノオロチを倒したのであれば……」

左秘書官「しかし、完全に龍脈が途絶えたわけではなかろう」

右秘書官「それは承知。しかし案ずる事もなくなったのは事実」

左秘書官「どこにそのような根拠が……」

右秘書官「もし魔王軍が龍脈の正常化を望むのならばこそだ」

左秘書官「……?」

右秘書官「考えてもみよ。龍脈を取り戻すに奴等が如何な手を打つか」

ザワザワザワ

右秘書官「当然、初手は龍脈の根源を正常化するであろう」

騎士団長「成程。まずは東方の根源を奪還するか……」

南西砦長「その上で新たな主を据え置く……と」

右秘書官「その上で、次は東方司令部へ攻撃をかけてくる。私はそう思うが」

左秘書官「攻撃…?ならば尚更の事、東方司令部は……」

右秘書官「少なくとも、今の東方司令部では勝てぬ、と踏んでおります」

左秘書官「なに…っ!?」
896 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/20(月) 18:13:41.02 ID:cvyNusUo
右秘書官「あのように魔道兵に偏った編制では防衛は難しい」

左秘書官「……そんな事はあるまい」

右秘書官「その辺りはプロに伺うとしましょう」

チラリ

東方司令「……難しいだろうな。現状の戦力では」

左秘書官「っ!!」

ザワザワ…

右秘書官「なればこそ、負け戦をする必要はございません」

左秘書官「攻め入られる前に、放棄すると……?」

右秘書官「生憎、付近には何故か村や町も御座いませんので……」

左秘書官「……」

右秘書官「その上で、東方司令部の兵を各部へ組み込めば……」

左秘書官「組み込む?」

右秘書官「ええ。多方面の増強にもなります。何せ軍事予算が少ないもので」

左秘書官「その為の屯田であろう?」
897 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/20(月) 18:14:38.30 ID:cvyNusUo
右秘書官「数に限りが御座います。それとも……屯田を強化しても良いと?」

左秘書官「そうは言っておりません」

右秘書官「とにかく、現状の東方司令部は不要という事を申し上げたい」

左秘書官「では、再び龍脈が戻ったら如何なさるのだ?」

右秘書官「戻らぬよう、未然に防ぎます」

左秘書官「根拠がない」

右秘書官「根拠はこれから訪れます」

左秘書官「……?」

右秘書官それが程、右大臣様が示した書と共に送られてきた……」

ゴソッ……バッ

右秘書官「これです」

白虎長「あれは……!?」

隊長「何か書いてあるな……よく見えねぇ」

右秘書官「これは東方の王『ミカド』より承りし書面に御座います」

ドヨッ
898 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/20(月) 18:15:39.68 ID:cvyNusUo
右秘書官「要約して読ませて頂きます。『今は同盟は組めない』……」

西方司令「っ!!」

南方司令「……なに!?」

右秘書官「『だが半年以内に東方を統一し本国との同盟に備えよう』……」

ザワザワザワ…

右秘書官「東方には依然、反乱分子がおります。平定後に同盟をと……」

左秘書官「捏造ではあるまいな?」

右秘書官「……原本です。傷付けぬ様頼みますよ」

カツカツカツ…スゥッ

左秘書官「鑑定眼のある者と、東方情勢に詳しいものは前へ」

右秘書官「議会中であるぞ」

左秘書官「議長、許可を願います」

議長「……分かりました。許可しましょう」

ゾロゾロゾロ

左秘書官「自席での検証に許可をお願いします」
899 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/20(月) 18:16:32.97 ID:cvyNusUo
議長「宜しい。大切な書です…くれぐれも扱いには注意されよ」

左公文書「はい。……これは殿下のサインで間違いないか?」

鑑定眼「……そのようで…ボソボソ」

議長「他に意見のあるもの」

スッ

議長「左文官」

左文官「仰りたい事は分かったが、司令部を一つ潰す事はないと考える」

右秘書官「それは先程も申し上げたはずです」

左文官「貴公が述べておるのは、全て五ヵ年計画とやらに基づいてのもの」

右秘書官「……」

左文官「かつて我々は、東方司令部の支えによって事無きを得てきたのだ」

右秘書官「では、一生このまま人類は過ごせと…?」

左文官「無いに越した事はないが、事実こうして生きてきたのだ」

右秘書官「それでは、東方の者は見捨てろと仰るのか?」

左文官「そうは申していない。鎖国を執ったのは彼らだぞ」
900 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/20(月) 18:17:46.82 ID:cvyNusUo
右秘書官「それはそうですが……」

左文官「何も他国にまで兵を派遣するなど蛮族の為す事ではないか」

右秘書官「何を仰います!本国、ひいては東方を守る為ではないですか」

左文官「それならば自衛で十分ではないのかね?」

右秘書官「それで多くの人間が死んでいるのです」

左文官「攻めればもっと人が死ぬんだぞ」

右秘書官「だからこそ、短気決戦で損害を最小限にするべきなのです」

左文官「根拠がないのだよ。貴公らの言動にはな……!」

コンコン

議長「静粛に」

左文官「予言などという非現実的な根拠で、全ての者を納得させられるのか?」

右秘書官「……予言は絶対です」

左文官「現に一度、外したではないか」

ザワッ

占い師「…………」
901 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/20(月) 18:18:35.93 ID:cvyNusUo
左翼長「……」

右秘書官「あれ以来、一度も外れてはいません」

左文官「もしまた外れたらどうする?大損害を再び出すというのか?」

右秘書官「予言抜きにしても、計画は順調に進んでおります」

左文官「……ほぉ」

右秘書官「今や本国内の統制は、かつてない程円滑であり順調」

左文官「根拠は?」

右秘書官「昨今における魔物の出現率を見れば明白でありましょう」

左文官「……」

右秘書官「ともかく、司令部を解散するにしろ何にしろ、東方出兵は必然なのです」

ザワザワザワ…

司令官「……」

副司令官「……」

右秘書官「東方の情勢については参考人を召致しております」

スッ
902 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/20(月) 18:19:22.49 ID:cvyNusUo
右秘書官「召喚士殿、皆様方もお願いします」

議長「召喚士、戦士、魔道士、盗賊。発言を許可する」

ドヨッ

左翼官「……あれは…ワーカーではないのか!?」

政治屋「部外者を入れるとは…どういう事かっ!」

右文官「部外者ではない。れっきとした国軍付なるぞ!」

左翼士官「国軍付と言っても所詮はワーカーであろう!」

右文官「国軍付は国軍所属と同等の権利がある事を負わすれか!」

政治屋「……むうぅ」

右秘書官「議長、問題はありませんな?」

議長「……うむ。議決権はないが参加には問題ない」

右秘書官「…では、お願い致します」

スゥッ

召喚士「え……えっと……」

ジーッ
903 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/20(月) 18:20:34.12 ID:cvyNusUo
召喚士(……し、視線が凄い…っ)

青年兵「……」

司令官「……」

左大臣「……」

議長「…………」

召喚士(……な、何を言えばいいんだろ)

魔道士「わ、私達は…つい先日まで東方におりました」

ザワザワザワ

国軍曹長「誰だあれ…!?」

左翼官「……?」

魔道士「東方は、本国と全然違います。街も人も……」

隊長「……」

左翼長「……」

魔道士「魔物だって全然違うし…凄く…強いし」

占い師「……」
904 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/20(月) 18:21:48.02 ID:cvyNusUo
白虎長「……」

魔道士「でも、住んでる人は同じ人間で…とっても温かくて…」

騎士団長「……」

南西砦長「……」

魔道士「あっ、ここにいる盗賊さんも東方の方なんですよ!ねっ、盗賊さん!」

盗賊「っ!?」

魔道士「でも東方は、本国ほど魔法とかあるわけじゃなくてその……」

東方司令「……」

南方司令「……」

魔道士「まだ、凄く強い敵が残ってるんです。だから…助けてあげないと…」

男隊員「……はっはは、面白い女だ」

女隊員「シーッ!静かにするッスよ!」

魔道士「何て言うか…戦う事は良い事ではありません。でも……」

青龍先生「……」

左大臣「……」
905 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/20(月) 18:22:42.93 ID:cvyNusUo
魔道士「人が傷ついていくのは、もっと良くないと思うんです」

シーン…

魔道士「……あ、あれ…っ。ごご、ごめんなさいっ!!」

議長「……意見のあるもの」

スッ

議長「召喚士」

召喚士「今の魔道士さんの発言ですが、その通りだと考えます」

左文官「何がかな?」

召喚士「東方はヤマタノオロチを討伐し、一応の落ち着きを見せております」

左文官「……先程伺ったよ。国内の平定に努めておるのだろう?」

召喚士「ええ」

左文官「貴公らが言うように兵を進めるならば、何故平定に手を貸さない?」

召喚士「ミカドとの約束です。東方の揉め事は東方の力で解決したいと」

左文官「ならば放っておけば良いではないか」

召喚士「東方内の事は殿下もそのおつもりです」
906 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/20(月) 18:25:17.78 ID:cvyNusUo
左文官「……?」

召喚士「分かっておられるのでしょう?……魔王討伐です」

ザワッ

召喚士「本国が力を貸す……軍事同盟はこの一度きりと考えます」

左文官「……」

召喚士「東方が平和になれば、本国も楽になります」

右文官「その通りだ!東側の軍備もそれこそ減らせるというもの」

左文官「なればその時に東方司令部を解散すれば良かろう」

右文官「ぐむ…っ」

召喚士「しかしそれでは遅すぎます」

左文官「……遅いだと?」

召喚士「五カ年計画によれば、東方の魔王討伐は……」

スッ

議長「青年兵」

青年兵「……およそ、二年以内と考えます」
907 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/20(月) 18:52:52.48 ID:DVOzNEAO
こんな風に寒い日は>>1とコタツに入ってチュッチュッしてたい


クリスマスには>>1と2人で布団の中でチュッチュッしてたい
908 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/20(月) 19:20:57.33 ID:/R2YzHM0
あーそれで>>1がまた途中で消えたのかーなるほどなー
909 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/20(月) 19:22:05.61 ID:xrtYw9Io
身の危険を感じたんだな
910 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/20(月) 20:02:15.92 ID:/10ltAAO
面白いとでも思ってんのかな
911 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/20(月) 20:19:52.19 ID:.6St8YAO
左の連中は証拠だの根拠だの五月蝿いな

当たり前の言動だから仕方ないけど
912 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/20(月) 20:55:08.70 ID:RCrftIEo
おつおつおつ
肉弾戦も面白いが舌戦もたまらん ジュルリ

にしても各司令も個性派揃いだなww
913 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/20(月) 21:28:30.92 ID:3qZ9uOY0
>>1乙ー。

東方参謀「ええい!右だの左だの煩いわ!!東方の行く末は東方ファイトで決めるが、我が司令部の掟なりっ!行くぞ、青年兵ィ!貴様が勝てば、右翼の勝利。儂が勝てば、左翼が勝利でどうだ?…ふはは!口だけは達者になりよって…いざ、尋常にィ!東方ファイト・レディー…ゴォウッ!!」
914 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/20(月) 21:55:56.41 ID:7KsVDYs0
1乙
魔王討伐か…
915 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/20(月) 23:25:44.80 ID:blCCtNoo
左文官「二年なら早いものではないか」

青年兵「逆です。二年間、どのように防衛するのです?」

左文官「……」

青年兵「繰り返し言いますが、今の東方司令部では支えきれません」

左文官「何…ぃ!?」

青年兵「魔力一辺倒のあれでは駄目だと申しているのです」

左文官「しかしだな……」

青年兵「龍脈を途絶えさせた今、役目は終えたのです」

左文官「魔道兵さえおれば、他に頼らずとも……」

青年兵「先程の魔道士さんのお話、よく思い出して下さい」

左文官「……?」

青年兵「東方は何故、魔力を戦闘に介入させず持つのです?」

左文官「……さ、さぁな」

青年兵「そこに東方の魔物と龍脈。何か秘密があるのではないでしょうか」

左文官「……っ」
916 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/20(月) 23:27:13.26 ID:blCCtNoo
左文官「二年なら早いものではないか」

青年兵「逆です。二年間、どのように防衛するのです?」

左文官「……」

青年兵「繰り返し言いますが、今の東方司令部では支えきれません」

左文官「何…ぃ!?」

青年兵「魔力一辺倒のあれでは駄目だと申しているのです」

左文官「しかしだな……」

青年兵「龍脈を途絶えさせた今、役目は終えたのです」

左文官「魔道兵さえおれば、他に頼らずとも……」

青年兵「先程の魔道士さんのお話、よく思い出して下さい」

左文官「……?」

青年兵「東方は何故、魔力を戦闘に介入させず持つのです?」

左文官「……さ、さぁな」

青年兵「そこに東方の魔物と龍脈。何か秘密があるのではないでしょうか」

左文官「……っ」
917 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/20(月) 23:28:36.23 ID:blCCtNoo
青年兵「根拠、と申すのなら…東方そのものが根拠でしょう」

スッ

議長「隊長」

隊長「それについては口添えさせて貰う」

青年兵「隊長さん……」

隊長「俺も先日、東方で彼らの戦いぶりを目の当たりにしてきた」

ザワッ

隊長「確かに東方は、我が国よりも技術的には劣る……」

盗賊「……」

隊長「しかしだ。魔法も使わず、統制された集団戦法で見事追い払っていた」

青年兵「つまり……どうみます?」

隊長「東方の魔物は卓越した物理攻撃なら、退けられる」

召喚士「俺も目撃しました。更に言えば……」

左文官「……」

召喚士「東方の魔物は、魔法が聞きにくいと思います」
918 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/20(月) 23:32:09.42 ID:blCCtNoo
バックエンドなんたらって出たのに…
>>916重複です。大事な事ではないです…申し訳ありません
ついでにレスをば…

.>>907
今日は暖かかったような…でもありがとうございます///
クリスマスは頑張って更新してます…多分…

>>908-910
偶然です。いや、本当に!

>>911-912
オッサン共の口喧嘩で盛り上がりが…いや、個人的にですけど
客観的に問題ないのであれば頑張ってみます!

>>913
これは!!ww

>>914
早く討伐までいけるよう頑張ります!
919 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/20(月) 23:41:48.50 ID:blCCtNoo
ドヨドヨドヨッ

議長「静粛に」

召喚士「何度か東方でも戦っておりますが、全体的に魔法が効き難いと言えます」

戦士「ああ。無傷ではないが、有効的ではないな」

召喚士「もちろん、全てがそうと言うわけではありませんが……」

左文官「もう良い、分かった」

青年兵「実戦の経験者がこう言うのです。お分かり頂けたようで……」

左文官「しかしだ、それと司令部の解散はまた話が別」

青年兵「……と、言いますと?」

左文官「何も不要だからとて解散する必要もあるまい」

青年兵「……」

左文官「魔物が攻めて来る可能性もある。そう申したではないか」

青年兵「如何にも」

左文官「それに、現在東方司令部に居る者らはどうなる?身柄を保証出来るのかね?」

青年兵「……」
920 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/20(月) 23:45:44.84 ID:blCCtNoo
左文官「他の司令部とて枠が多いわけではあるまい。のう、各部司令殿!」

南方司令「人では欲しいが……予算がなぁ」

西方司令「はあぁ…。この命をもってお詫び致しますうぅ」

左文官「まさか……全員を本国で受け入れるなどと?」

青年兵「何が何でも維持したようですね。魔道兵を」

左文官「な、何を申しておる!?」

青年兵「何か理由がおありなのですか?」

左文官「……そのようなものはない!」

青年兵「じゃあこうしましょう。仰るとおり、東方司令部は維持致しましょう」

左文官「!?」

召喚士「……青年兵くん?」

青年兵「但し、お話した通り…魔道兵ばかりでは防衛は困難…」

左文官「……」

青年兵「再編成を致しましょう。東方司令部だけではありません。国軍全体をです」

左大臣「なに…ぃ!?」
921 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/21(火) 00:04:31.10 ID:sM2siy2o
うぐぐ…偏頭痛が……
それでは、本日もご支援ありがとうございました!
おやすみなさい!ノシ

〜オマケ〜

幼女「クリマスス…?」

弓使い「そうよ〜。幼女ちゃんはやった事……ない?」

幼女「うん…。お父も興味なかったし……」

弓使い「そっかぁ…。じゃあさ、今年は三人で盛り上がりましょうかっ」

幼女「ほんと…っ!?」

弓使い「うんっ!剣士が帰ってきたら早速お願いしましょ」

幼女「やったぁ〜!」

カチャッ

剣士「ただいま〜」

弓使い「遅かったわねぇ」

剣士「うん。最近色々と忙しくてね…ははっ。ん、どうした?」

幼女「あ、あのね…っ、私……クリスマスしたいのっ!」

剣士「クリスマス…?あぁ、もうそんな時期だね!そっか…それじゃあパーティーでもしようか!」

幼女「やったぁーっ!」

弓使い「良かったわねぇ!さーて、それじゃあ今から準備しなきゃねっ」

幼女「うんっ!するーっ!!」
922 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/21(火) 02:07:48.64 ID:l0aBJYSO
幼女にクリスマスプレゼント買わなきゃ
923 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/21(火) 02:57:35.05 ID:ZH9EGADO

おだいじに無理なさるな
924 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/21(火) 04:57:07.05 ID:f0ta72AO
ぐぬぬ……剣士め……!弓使いとイチャつきやがって!
925 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/21(火) 05:48:58.58 ID:6QuuoUSO
うぐっ………死にてぇぇ………
926 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/21(火) 06:27:08.38 ID:NtKyHADO
>>1乙っす
この三人にはいつまでも幸せに平和に暮らしてもらいたいものだ
927 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/21(火) 08:01:56.21 ID:dve0Dawo
いちおつおつおつ
あんたと筆力凄いよ
ちょっとススけた聖夜になりそうだがw
928 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/21(火) 10:17:49.43 ID:iNA0iL2o
幼女ちゃんに姉妹が出来るかもな訳ですな
929 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/21(火) 13:30:54.64 ID:EqUbY/M0
1乙
国軍の再編成は楽しみだな
930 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 17:51:13.61 ID:PLfae5wo
ザワザワザワ…

副司令「国軍全体の再編…だと…!?」

左翼長「…ほぉ、こいつはまた思い切った事を」

スッ

議長「左翼官」

左翼官「今の発言、此度の主旨とはややずれております」

青年兵「そうですか?」

左文官「貴公らの議題は東方司令部の解散であろう?」

青年兵「解散が難しいと申したのは、そちらですよ?」

左文官「しかしだな……そんなもの唐突に……」

青年兵「私は、殿下のご意向を一任されております」

左翼官「……つまりそれは、殿下のご意向であられると?」

青年兵は無言で頷く。

左翼官「……総司令殿、如何なのですか?」

司令官「……ん、いいんじゃない?」
931 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 17:52:26.38 ID:PLfae5wo
ザワザワ…

議長「静粛に」

青年兵「国軍トップの許可も出ました。問題ありませんね?」

左翼官は下唇を噛み、着座する。

青年兵「解散が難しいのであれば、剣兵や弓兵、召喚兵を均等し配置致します」

右文官「…ど、どうなのだ…ゴニョゴニョ」

右秘書官「青年兵…っ」

青年兵「それで如何ですか?……左大臣様」

ザワッ

左大臣「……」

スッ

議長「左大臣」

左大臣「……良かろう」

ザワザワッ!!

左秘書官「……左大臣様」
932 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 17:52:58.20 ID:PLfae5wo
背後から声をかける左秘書官を右手で制し、左大臣は言葉を続ける。

左大臣「てっきり思い違いをしておったわァ」

青年兵「……」

左大臣「私はなァ、右翼の連中が左翼の議決権を減らす為に……」

ドヨドヨドヨッ

左大臣「東方司令部を解散するのかと、そう思っていたァ……」

青年兵「……」

左大臣「この通り、深くお詫び申し上げる」

スクッ……スッ

将軍「左大臣様が……」

東方司令「頭を……下げた!?」

青年兵「おやめ下さい、左大臣様…っ」

左大臣「…しかし、貴殿の話を聞いてすっかり疑いは晴れましたわァ」

青年兵「……」

左大臣「再編制なら議決権は変わらぬ。それで良いのだなァ?」
933 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 17:53:30.14 ID:PLfae5wo
青年兵「……私は構いません」

ザワザワ

右文官「あやつ…っ、それでは結局……」

右秘書官「……青年兵を信じましょう」

左大臣「…ふん、分かった。本日はここまでとしようかァ」

右大臣「良いだろう。再開は12時間後だ」

議長「それでは、議会初日は以上で閉会とする。宜しいな?」

左大臣「あァ」

右大臣「異論なし」

議長「これを以って、議会初日を閉会とする。次回は12時間後」

ガタッ…ザワザワザワ

議長「任務のある者以外は、必ず集まられたし。以上!」

ゾロゾロゾロ

召喚士「お、終わったのかな…?」

青年兵「はい、お疲れ様でした」
934 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 17:54:12.76 ID:PLfae5wo
ゾロゾロ…テクテクテク

左翼官「……お疲れ様でした」

左大臣「あァ」

左秘書官「書面は間違いなく殿下のサインでした」

左文官「すると、本物か!?」

左秘書官「訳しましたが、確かに東方からの同盟許諾に関する内容です」

左翼官「……」

左大臣「それにしても…厄介な奴を組したなァ…」

左秘書官「大軍師ですか?前回の会談以降調べましたがあれは……」

左大臣「…奴もだがァ、あの小娘よ」

左文官「あぁ、朱雀の一行ですか」

左大臣「あの小娘の発言で、堂内の空気がガラリと変わってしまったわァ」

左翼官「若い女というだけで興味を惹きますからな。何か気にかかりますか?」

左文官「まぁ、奴らのい発言も初日のみでしょうし、案ずるに及びません」

左大臣「そうよなァ。さて、見は終わりだァ。明日よりこちらも攻めるぞ」
935 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 17:54:50.67 ID:PLfae5wo
ワイワイワイ…ゾロゾロ

召喚士「はぁ〜緊張した……」

青年兵「いえいえ、流石ですよ。お陰で助かりました」

召喚士「いや…っ、どちらかというと……」

チラッ

魔道士「……ふぇ!?」

右秘書官「…魔道士殿、有難う御座いました」

魔道士「えぇ!?い、いやっその…私は思った事を勝手に述べただけで……」

右文官「いやいや、何かこう…胸に響きましたよ。はっははは」

右大臣「……」

戦士「まぁ役に立てて何よりだ」

魔道士「戦士さん、何もしてないじゃないですかっ」

戦士「あん?俺は口先でどうこうすんのは苦手だ。こっちよ、こっち!」

裾を捲くり力瘤をポンポンと叩きポーズを取る戦士。

それを見て盗賊も同様に裾を捲くり、力瘤を作り、ならんでポーズを取る。
936 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 17:55:43.77 ID:PLfae5wo
戦士「細っそ!!」

盗賊「……う、五月蝿いっ!外見で判断するな!」

右文官「わっはははは!!」

盗賊「……むぅ」

青年兵「これで左翼にも、東方の情勢と同盟不可避である事は印象付けました」

右文官「しかしだ青年兵。どうするつもりなのだ?」

右秘書官「お前、最初から解散などするつもりなかったのだな?」

右文官「何っ!?」

青年兵「確かに解散は現実的です。しかし、その場凌ぎにしかすぎません」

右大臣「互いに遺恨を残すし、強引な手を使えば反発も買う」

右秘書官「本当に……やれるのだな?」

青年兵「我が命に代えてでも……!!」

右大臣「不退転の覚悟か……」

右秘書官「一度申したのなら撤回は出来ぬ。やるしかないぞ」

青年兵「はい!!」
937 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 17:56:17.29 ID:PLfae5wo


右大臣「では、ゆっくり休んでくれ。ご苦労であった」

青年兵「また明日も宜しくお願い致します」

魔道士「はいっ、お休みなさい」

テクテクテク…

戦士「もう3時か……」

盗賊「…だな。今日は休むとしよう」

戦士「しっかしよく分かんねーんだが……」

召喚士「何が?」

戦士「何がってか…全部?」

魔道士「確かに何が何だかサッパリです……」

召喚士「青年兵くんは東方司令部を口説き落とすつもりなんだよ」

戦士「何ぃ!?」

盗賊「…口説き落とす…って」

魔道士「だ、だって東方司令部は……」
938 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 17:56:51.49 ID:PLfae5wo
召喚士「ええ。左翼がほとんどです。でも、それを変えようとしている…」

戦士「出来るのか?」

召喚士「…どうだろ。俺らが東方へ行っている時に手を打っていたようだし…」

魔道士「だから、解散ではなく編制を……」

盗賊「…自信があるのだろう」

召喚士「ええ。それに青年兵くんの事、保険もあると思いますよ」

戦士「確かに、しくじりゃ終わりなんだもんな」

魔道士「議決権は変わらず、左翼の皆さんに議会を起こされて……」

盗賊「…屯田制を潰され…終わり」

召喚士「承知の上で言ったとあれば、かなり自信があるんだと思いますよ」

戦士「まぁそいう事だわな」

魔道士「頑張って貰いましょう!応援くらいしか出来ませんけど…!」

盗賊「…そうだな」

召喚士「俺らも出来る限り、助けましょう!」

魔道士「はいっ!!」
939 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 17:57:32.39 ID:PLfae5wo


カラカランッ…トクトクトクッ

透き通ったグラスに、甲高い声を響かせ輝く氷が一つ二つと投下され、

その上から琥珀色のウィスキーがゆっくりと、グラスの中に大海を作り出す。

右大臣「……ロックで良かったかな?」

青年兵「ありがとうございます」

右大臣「なに、息子も相手をしてくれんでな。酒が貯まる一方よ」

青年兵「……はぁ」

ずらりと並ぶ棚の中の酒瓶。銘柄はどれも彼の手が届くような代物ではない。

青年兵「い、頂きます」

カラン…ゴクッ

青年兵「……はぁ」

右大臣「このウィスキーは『レジェンド』。50年前の代物だ」

青年兵「50年ですかっ!?」

右大臣「つい先程、封を切ったが…やはり味が劣化しているな」
940 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 17:58:46.28 ID:PLfae5wo
青年兵「そ、そうですか?私は美味に思えましたが……」

右大臣「まぁ、50年も前のウィスキーなど味も覚えておらんがな。はっははは」

青年兵「はは…っ」

右大臣「このウィスキーはな、『レジェンド』つまり『伝説』なのだ」

青年兵「伝説……」

右大臣「そう。伝説がパズズを倒した時、記念に作られたものだ」

青年兵「!!」

右大臣「このまま生涯、封を切らずにおこうかとも思ったのだが…」

青年兵「……っ」

右大臣「気にするな。折角ならば開けねば損というもの」

青年兵「右大臣様……」

カランッ…ゴクッゴクッ

右大臣「……ベースになるレジェンドの味に加えて、50年の歳月」

青年兵「……」

右大臣「古き風の中に新しい風が入り込み、心地良い風味になったと思わんかね?」
941 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 17:59:43.84 ID:PLfae5wo
青年兵「……素晴らしい下味あっての事です」

右大臣「確かにそうであるな」

青年兵「此度の事、勝手な判断だとは存じております……」

右大臣「構わぬ。殿下も『青年兵に一任する』と書いておった」

青年兵「……」

右大臣「確かにお主の言う通りだ。解散や再編に留まっては意味がない」

青年兵「はい」

右大臣「折角新しい事をやろうとしているのに、全てがそうでなくてどうする」

青年兵「仰る通りで」

右大臣「左右翼の壁まで撤廃する気か?」

青年兵「そこまでは考えておりませんよ。今は東方司令部の説得のみです」

右大臣「今は……か。はっははは!」

青年兵「説得、及び再編が整えば…国軍は真価を発揮致します」

右大臣「……良かろう。責は私も背負ってやる!何が何でもやり遂げるのだ!」

青年兵「…はっ!」
942 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 18:00:59.04 ID:PLfae5wo
〜客室〜

召使い「お帰りなさいませ」

召喚士「あ…こ、こんばんは」

召使い「申し訳御座いません……」

盗賊「……?」

召使い「実は、他の来賓が予想以上で御座いまして相部屋にて宜しいでしょうか?」

戦士「相部屋?あぁ、俺と召喚士…魔道士と盗賊って事か」

召使い「はい……」

魔道士「それなら全然問題ないですよ!ね、盗賊さんっ!」

盗賊「…ああ」

召使い「申し訳ございません…。では、こちらの二部屋をお使い下さいませ」

召喚士「タダで泊めて頂いてるんですから、気にしないで下さい」

召使い「有難う御座います。8時から朝食及びご入浴が可能で御座います。では」

戦士「んじゃ、また明日な〜」

魔道士「お休みなさーい!」
943 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 18:02:12.34 ID:PLfae5wo
テクテクテク

戦士「先にシャワー借りんぜ!」

召喚士「うん」

テクテクテク…バタン

召喚士「……はぁ」

洗面所へ入る戦士を横目に、召喚士はソファーの上へ身体を預ける。

召喚士「色々と……大変なんだなぁ……」

うつ伏せに寝返りながらあくび交じりに一人呟く。

召喚士「頑張れ、青年兵くん……すーっ、すーっ」



ガチャッ…スタスタスタ

戦士「おーい、シャワ……」

スタスタ…バサッ

戦士「ったく……ゆっくり休みな、召喚士」

召喚士「すーっ……すーっ……」
944 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 18:02:45.57 ID:PLfae5wo
王宮内に差し込む朝日の光。華やかな宮殿を更に高貴な物へと仕立て上げる。

しかし、内部に居る人間にとっては、重い一日の、始まりの合図に過ぎなかった。

召喚士「……んっ」

戦士「起きたか?おはよう」

召喚士「戦士…?あ、そっか俺……」

戦士「起こしちゃ悪りぃから、そのまま寝かせておいたよ」

召喚士「ごめん…。お尻が痛いや…ははっ」

戦士「どうする?メシ食いに行くか?」

召喚士「うん。シャワーだけ浴びてくるよ」

バルコニーの手前で片腕立て伏せをする戦士は、空いた左手で手を振る。

コンコン

戦士「はいよー」

魔道士「おはようございます!朝食行きませんかー?」

戦士「召喚士がシャワー浴びてっからちょい待ってくれ。すぐ行く」

魔道士「はーいっ!!」
945 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 18:03:29.39 ID:PLfae5wo
ガチャッ

召喚士「お待たせしました。おはようございます」

盗賊「…おはよう」

魔道士「それじゃ行きましょうかっ」

テクテクテクテク

戦士「うおっ、良い匂い!」

召使い「おはようございます。朝食はビュッフェ形式でございます」

盗賊「…やった」

戦士「どーれ……」

ドンッ

戦士「あ痛……」

南方司令「おぉ、すまん!おはよう諸君!今日も良い天気だな!」

戦士「……朝っから元気っつーか、全開っすね」

南方司令「そうか?なーに、私の本気はこんなものではないぞぉ?はっははは!」

召喚士「……」
946 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 18:04:21.57 ID:PLfae5wo
テクテクテク

東方司令「……邪魔だ。五月蝿い。どけ。以上」

南方司令「おはよう!!」

東方司令「――っ。デカイ声を出すな……」

南方司令「何だぁ?体調不良か?日頃の管理がなってないぞ!」

占い師「ただの二日酔いよ」

魔道士「おはようございます!」

白虎長「水ぅ……」

東方司令「それはボクが汲んだものだぞ!」

白虎長「いいじゃない。五月蝿い声出さないで……」

占い師「……はぁ」

テクテクテク

隊長「朝っぱらから賑やかな連中だな。注目されてんぞ?」

占い師「一緒にしないで頂戴っ」

召喚士「おはようございます」
947 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 18:05:47.10 ID:PLfae5wo
女隊員「おはようッス!」

男隊員「おいおい…トマトジュースがないじゃねーか…!」

召使い「す、すぐにお持ち致しますっ!」

戦士「…どうも落ち着かんな。あっちで食おうぜ」

盗賊「…だな。モグモグ」

召喚士「じゃ、じゃあ…また後ほど」

テクテクテクテク

男隊員「不思議な奴らだよ」

隊長「全くだ、何故かこう、人が集まってくるんだよな」

南方司令「そういう星の下に生まれたのだろう。そう、強いて言うなら正義の…」

スタスタスタ

西方参謀「何を一人でブツブツ申しているのです?」

南方司令「…おぉ、西方司令!今日も良い朝だな!!」

西方司令「……はい。今日も憂鬱な一日が…はあぁ……」

東方司令「五月っ蝿いなぁ…もう!」
948 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 18:06:53.67 ID:PLfae5wo
カチャッ

戦士「いっただっきまー……」

左翼長「おはよう」

戦士「んぐっ!ゴホッ!ゲホッ!!」

魔道士「戦士さんっ!?もう……っ」

フキフキ

戦士「い、いきなり声掛けんじゃねぇ!」

左翼長「悪い悪い。隣いいか?」

召喚士「どうぞ」

ストッ

左翼長「議会が終わったら、北へ来ないか?」

召喚士「北ですか…?」

盗賊「……何かあるのか?」

左翼長「大きな声じゃ言えねぇが、例の盗賊団の件だ」

召喚士「盗賊団…?あぁ、最北の村の……」
949 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 18:08:04.69 ID:PLfae5wo
左翼長「手配中の女頭領を筆頭とする連中の所在が掴めた」

戦士「何!?」

左翼長「以前のアジトはもぬけの殻だったが、新しいアジトを掴んだんだ」

召喚士「なるほど…。どこかへ潜伏していたんですか?」

左翼長「詳しい事は分からんが、どうやら西方に居たようだな」

盗賊「…西方?」

左翼長「とにかく、贖宥状も反故にしやがった奴らだ。もはや野放しには出来ん」

戦士「なーるほどなぁ」

召喚士「でも、議会の行方も気になりますね……」

左翼長「議会が終われば各部演説に移る。その時に…」

召喚士「東方司令部の演説だけ、見させて貰えませんか?」

左翼長「東方の…?まぁ、それは構わんが」

召喚士「それからなら…構わないですよね?」

魔道士「はいっ!」

戦士「…まぁ、仕方ないわな」
950 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 18:09:23.30 ID:PLfae5wo
ズイッ

南方司令「何を勝手に決めているのかな?」

魔道士「うわぁ!」

召喚士「ま、魔道士さんっ!?」

フキフキ

魔道士「あ…っ、ご…ごめんなさいっ!」

戦士「アンタらは急に出てくるのが礼儀なのかよっ!」

南方司令「すまんすまん。おい、北方司令」

左翼長「あん?」

南方司令「白虎先生らを勝手に借りようなどと、そうはいかんぞ」

召喚士「朱雀…です……」

盗賊「…気にするな」

左翼長「今、本人から承諾されたところだ」

南方司令「困る!非常に困る!!」

戦士「何が困るんだよ……」
951 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 18:10:49.27 ID:PLfae5wo
南方司令「実はな、君達に頼みたい事があるのだ」

魔道士「頼み…?何でしょうか?」

南方司令「うむ。南東国に魔物の集団らしき動きがあってな」

召喚士「南東国…!?」

南方司令「しかもだ、あまり大きな声では言えんのだが……」

戦士「どっかで聞いた台詞だな」

左翼長「どこもかしこも大きな声じゃ言えねぇんだとさ」

南方司令「その集団に人間らしき者も混じっているそうなのだ」

魔道士「人間が…!?」

召喚士「それって…スグリーヴァ様の元にいる魔物ではないんですか?」

戦士「あの辺りならそうだよな。人間てのも法師さんじゃあ…」

南方司令「それがどうも違うようなのだ。本人にも確かめてみた」

盗賊「……」

左翼長「レジスタンスか…?」

盗賊「…?」
952 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 18:12:13.55 ID:PLfae5wo
南方司令「華国の者なのか、全くの部外者なのか、何も分からん」

戦士「駄目じゃねぇか」

南方司令「そこでだ、華国に縁のある君達に頼みたい!」

召喚士「……なるほど」

左翼長「そんなモン自分で何とかしろよな…」

南方司令「バカモノ!これは正義だ!北こそ自分達で何とかしろ!」

左翼長「はぁ!?」

召喚士「ま、まぁまぁ…落ち着いて下さい…っ!」

南方司令「それじゃあどっちにするのだ?」

左翼長「先に言い出したのはコッチだ。どうするんだ?」

魔道士「そ、そんな事言われましても……」

戦士「かと言って、どっちも放っておくわけにゃいかんしなぁ…」

召喚士「仕方ないですね。それじゃあ……」

南方司令「南か!?」

左翼長「北か!?」
953 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 18:13:04.14 ID:PLfae5wo
召喚士は他の三人と顔を合わせ、四人は力強く頷く。

召喚士「……どちらも行きます!」

左翼長「……はぁ!?」

戦士「平等に両方行けばいいんだろ?」

南方司令「ならば、先に南だな。一刻を争う……」

魔道士「いえっ、同時に行きますよ!」

左翼長「まさか……」

盗賊「…久々に、二手に分かれるか」

召喚士「戦力は半減かもしれませんが、心配しないで下さい」

南方司令「成程…っ!ダブルチームか!」

左翼長「……なんだか、無茶言ってすまんな」

戦士「今更何を……」

召喚士「とにかく、議会終了後の東方司令部での演説後に…」

左翼長「分かってる…それは承知の上だ。頼むぞ!」

南方司令「恩に切る!」
954 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 18:13:54.56 ID:PLfae5wo


戦士「…ったく。去って行く時はアッサリだな」

盗賊「……モグモグ」

召喚士「どこも大変何だね」

魔道士「みたいですねぇ…」

ストッ

大軍師「それだけ貴方達がお強くなられたという事ですよ」

魔道士「大軍師さんっ!」

大軍師「お久し振りです。東方の話、聞きましたよ」

召喚士「な、何だかあっと言う間に広まってしまってて…」

大軍師「東奔西走とはまさにこの事ですねぇ……ふっふっふ」

戦士「まぁ、やれる事はどこに行ってもやってやるつもりさ」

大軍師「頼もしい限りです」

召喚士「屯田は順調ですか?」

大軍師「ええ。日は浅いですが、徐々に畑や作物も広がっておりますよ」
955 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 18:14:29.37 ID:PLfae5wo
戦士「それは何より!」

大軍師「とはいえ、やはり北の地ですからね。魔物の脅威は取り払われません」

盗賊「……」

大軍師「その為の屯田なのですがねぇ」

魔道士「そうですよねぇ……」

大軍師「まぁ仕方ありませんね。在る物で賄うしかないですから…ふっふ」

召喚士「あとは議会の結果次第ですか…」

大軍師「そういう事です。今日もお願いしますよ…朱雀先生」

スッ…カチャッ

大軍師「では、失礼します」

召喚士「は、はい…っ」

戦士「なんだか…何考えてんのか分からんよなぁ」

魔道士「ちょっと謎めいた感じの方ですよね…」

盗賊「……」

召喚士「悪い人ではないのでしょうけど…」
956 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 18:15:15.80 ID:PLfae5wo
カツカツカツ…ザッ

大軍師「おはようございます」

司令官「……ん」

大軍師「これだけ国軍の要職者が集まると…壮大ですねぇ」

司令官「……そうかな」

大軍師「色々探るにも、分かり易くて良いですねぇ」

司令官「そうかい?」

大軍師「右翼と結託して計りましたか」

司令官「まさか。彼らに振り回されてるだけだよ」

大軍師「偶然にしろ狙ったにしろ、良い機会ですね」

司令官「……」

大軍師「内通者、一気に炙り出してみますか」

司令官「それは君の役目だろう?任せるよ」

大軍師「どこまでが計算なのか。怖いお人だ…ふっふ。では失礼致します」

司令官「……」
957 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 18:15:57.94 ID:PLfae5wo
ガチャッ

魔道士「あっ、青年兵さん!」

召喚士「本当だ。青年兵く……」

ザワザワザワ…シーン

青年兵「……」

カツカツカツカツカツ

政治屋「……」

左翼官「……」

カツカツカツカツ…コトッ

青年兵「おはようございます。コーヒーを」

召使い「は、はい…っ」

ガチャッ…カツカツカツ

左大臣「……おはよう」

青年兵「おはようございます」

現れた両者が並び立ち挨拶をかわす。と同時に室内は静寂に包まれた。
958 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 18:17:44.49 ID:PLfae5wo
左大臣「……すっかり憎まれ役になってしまったなァ」

青年兵「そうですか?憎まれる筋合いが解りかねますが」

左大臣「ふっふ。言ってくれるじゃあないかァ」

青年兵「私は殿下のご意志をただ、成し遂げたいだけです」

左大臣「本当に殿下の意思なのかァ?」

青年兵「どういう意味でしょうか?」

左大臣「別に意味などない。そう突っ掛かられても困るぞ」

青年兵「それは失礼致しました。では……」

スッ

左大臣「今日からが本番よ。互いになァ」

青年兵「……」

ペコリ…カツカツカツカツ…

左大臣「…ふっはははァ。コーヒー、ブラックでだァ」

召使い「は、はいっ!ただいま…!」

左大臣「…青年兵…かァ。ふっふ」
959 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 18:18:36.44 ID:PLfae5wo
カツカツカツ…カチャッ

召喚士「お、おはよう」

青年兵「おはようございます。良い天気ですね〜!」

盗賊「……」

青年兵「…どうか…しましたか?」

召喚士「い、いや……別に……」

青年兵「そうですか。さて、いただきます!」

モグモグ…カチャカチャッ

青年兵「うん、美味しい!皆さんは食べられましたか?」

戦士「おう、食い終わったとこさ」

青年兵「それは何より。ん、これも美味しいなぁ」

カツカツカツ

右文官「おはよう」

青年兵「おはようございます」

右秘書官「30分後に会議室へ。今日の打ち合わせをしよう」
960 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/21(火) 18:19:16.97 ID:PLfae5wo
青年兵「はい。すぐに向かいます」

カツカツカツ…

戦士「…うげぇ、分刻みのスケジュール」

魔道士「た、大変ですね……」

青年兵「何だか急に忙しくなってしましましたね…はははっ」

モグモグモグ

青年兵「…よし、それでは失礼します」

盗賊「…もう…行くのか?」

青年兵「ええ。食べ終わりましたし、皆も待っているようですから」

召喚士「き、気を付けてね…!」

青年兵「ありがとうございます!」

カツカツカツカツカツ…

戦士「何だか…急に別人みたいに見えてきた…」

魔道士「ほ、本当ですね…」

召喚士「青年兵くん……」
961 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/21(火) 18:21:57.78 ID:PLfae5wo
こんばんは。とりあえずここまでにて!
残りはオマケでも投下して次スレ行こうと思います!
ちょっと年賀状作ったりで来られるかアレですが…

では、ご支援ありがとうございました!ノシ
962 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/21(火) 18:58:46.39 ID:/t6Ah9wo
お尻が痛いだと!?
おのれ戦士・・・
963 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/21(火) 18:59:24.38 ID:3REobi6o
乙乙
964 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/21(火) 20:14:24.67 ID:opO6bl20
1乙
965 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/21(火) 20:21:00.82 ID:r3jwD2DO
>>1乙!
大量更新過ぎて濡れた!
青年兵エリート商社マンみたいだな!
966 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[saga sage]:2010/12/21(火) 20:38:17.23 ID:ay.yDUDO
>>1乙!
忙しいと言いながら、毎日投下してくれてありがとう!


>>左大臣「…ふっはははァ。コーヒー、ブラックでだァ」
もうセロリさんにしか見えない…
967 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/21(火) 21:03:45.74 ID:41gjcbEo
俺にもそう見えたwwwwwwww
968 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/22(水) 00:13:06.87 ID:HAqQQnQo
大軍師「ごほん。それでは……」

ザワザワザワ

大軍師「え〜『今年もやりますっ!国軍お疲れ様でした!忘年会!』を開催致します」

ワーワーワーッ!!

大軍師「ではまず、総大将であられる司令官様よりご挨拶をお願い致します」

南方司令「いよっ!アンタが大将!!」

隊長「当たり前だろ……」

テクテクテク

司令官「…ん、それでは楽しんでくれ」

西方副司令「……?」

騎士長「終わりかよっ!」

大軍師「司令官様からの挨拶でした。ありがとうございました」

西方参謀「もういいからさっさと飲もうぜ〜!」

東方司令「そうだ」

白虎長「そうよそうよ〜!」
969 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/22(水) 00:14:00.51 ID:HAqQQnQo
南方魔道長「三巨頭が揃っている……これは不吉な……」

大軍師「え〜待ちきれない方もおられるようですので、乾杯に進みたいと思います」

ワーワーワー

大軍師「乾杯の音頭は、副司令官様お願い致します」

南方司令「いよっ!アンタが副将!!」

南方副司令「いい加減にしろ!」

南方参謀「南方の恥だわ……」

南方弓長「全くです……」

テクテクテク

副司令「えー、此度はこうしてお集まり頂き〜」

青年兵「……」

副司令「…であるからして、つまりはそういう事ではなく〜」

格闘家「…………」

副司令「…そこで、私はこう思うわけです。あえて言おう、カスであると!」

博士「……すぴ〜すぴ〜っ……すーっ」
970 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/22(水) 00:14:43.80 ID:HAqQQnQo
〜30分後〜

副司令「…つまり、我々はもっと大きな志を持ってだな」

大軍師「……ありがとうございました!素晴らしいお話でした!」

男隊員「大軍師殿が声を荒げた!?」

女隊員「本気ッスね……」

大軍師「では、青龍先生お願いします」

青龍先生「……乾杯〜」

一同「カンパーイ!!」

チンッ!!

副司令「…そう!そして人類は新しい時代を今こそ〜」

南方司令「さぁ〜飲むぞーっ!!」

西方参謀「おうよ!」

白虎長「おうよー!ぐびっぐびっ!」

東方司令「おうよ〜。ボクの酒を飲めぇ〜!」

占い師「アンタ達は何でもう酔っ払ってるのよおぉーっ!!」
971 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/22(水) 00:15:14.84 ID:HAqQQnQo
〜北方司令部席〜

参謀「ささ、どうぞ」

将軍「おっと、これはすまん」

騎士長「久々に何もかも忘れて…ゆっくり出来るな〜」

左翼長「そうしたいのは山々だけどなぁ」

参謀「そうも言ってられませんよね…」

騎士長「ああ…」

将軍「うむ……」

騎士長「・・・だぁ〜!今日ぐらい仕事の事は忘れて飲むぞ!」

左翼長「お、おぉ…!」

参謀「そうですよね…っ」

将軍「……し、しかし…なぁ」

左翼長「……うぅむ」

参謀「やはり…心配……」

騎士長「……だあぁーっ!!」
972 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/22(水) 00:15:56.20 ID:HAqQQnQo
〜西方司令部席〜

西方参謀「……っぷはぁ!!」

西方副司令「何杯目よ…?」

西方参謀「さぁ?20から先は数えてねぇ!がっははは!!」

西方副司令「……」

博士「オレンジジュースおかわりなのら」

西方司令「はあぁ……」

博士「……?」

西方司令「博士がお酒を飲めないのは私のせい…死んで詫びるしか……」

博士「……関係ないのら」

西方参謀「そうだ、関係ねぇ!飲め飲め〜!」

西方副司令「関係あるわよっ」

西方司令「そう…関係あるのです。それは全てにおいて私の責……」

西方参謀「そうだそうだ!司令が死んで詫びろいっ!がはは!」

西方副司令「……すいませーん、席のチェンジお願いします」
973 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/22(水) 00:16:39.29 ID:HAqQQnQo
〜東方司令部席〜

東方司令「……うへへ〜」

東方魔道長「……」

東方副司令「あ、あの…司令?」

東方司令「おら、ジジイども。もっと飲め〜」

東方副司令「い…いやっ、私ももう十分……」

東方司令「にゃに〜!?ボクの酒がのめらいってのかぁ〜?」

東方魔道長「……参謀は?」

ガシャッ!!(スポットライトの点く音)

東方副司令「な、何だ!?」

東方参謀「わーっはっはっは!ワシはここだ、ここにおる!」

バッ!!

東方参謀「答えよっ!流派……う、うわぁ〜!」

ドンガラガッシャーン!!

東方魔道長「年寄りの酔っ払いは手に負えんな」
974 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/22(水) 00:17:17.91 ID:HAqQQnQo
〜南方司令部席〜

南方司令「んで?」

南方副司令「唐突すぎる。何が『んで?』なんだよ」

南方司令「酒が入ったらコ・イ・バ・ナだろ?」

南方参謀「司令……帰ったら?」

南方司令「弓長っ!紅一点の君から聞きたいな!」

南方参謀「きいぃ〜!私もいるでしょっ!!」

南方弓長「司令……」

南方司令「おぉっ!?」

南方弓長「以外なら、誰でもいいです」

南方司令「……」

南方副司令「大体よ、司令はいんのかよ?」

南方司令「正義のヒーローは恋になどうつつを抜かさん!」

南方魔道長「はいはい」

南方参謀「すいませーん。ウチの司令が帰るらしいんでお願いしまーす」
975 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/22(水) 00:17:53.13 ID:HAqQQnQo
〜本国席〜

大軍師「さぁ、どうぞ」

司令官「…ん」

青年兵「先生も、さぁどうぞ」

青龍士官「いやいや、さぁどうぞ」

青年兵「……先生、どうぞ!」

青龍士官「はいどうぞ」

トクトクトク

青年兵「あっ!」

青龍先生「ヒョッヒョッヒョ。……女にモテたい」

白虎長「そう思って、来てやったわよジジイ〜」

占い師「ち、ちょっと…!司令の前よ!?」

白虎長「しれい〜?それはしつれい〜なーんてね〜あはははっ」

青龍先生「……」

司令官「……」
976 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/22(水) 00:18:43.02 ID:HAqQQnQo
テクテクテク…ポイッ

占い師「ここで大人しくしてなさいっ」

白虎長「なに〜逃げる気ぃ〜?」

占い師「あのねぇ…!」

テクテクテク…ポイッ

東方魔道長「コレも頼む」

占い師「ちょっと…っ!?」

東方司令「おんやぁ〜?独身の会ですかぁ〜?」

占い師「アンタもでしょ!ブッ飛ばすわよっ!」

女隊員「おっ、ここは女性席ッスか?お邪魔するッス!」

占い師「女隊員ちゃん!いらっしゃい!そしてありがとう!」

女隊員「……?」

東方司令「…キミ…は?」

女隊員「特殊遊撃所属、女隊員ッス!よろしくッス東方司令殿っ!」

東方司令「…キミ、今日からボクのもの…じゃない、東方司令部に来ない?」
977 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/22(水) 00:19:36.41 ID:HAqQQnQo
グビグビグビッ

女隊員「しかし皆さん、お綺麗なのに男に縁がないッスよね〜」

ピクッ

東方司令「キミ…いくつだ?」

女隊員「28ッス!」

白虎長「ちょっと若いからって…図に乗るんじゃないわよ小娘……」

占い師「私はいいのよ」

女隊員「おぉ!大人ッスね……」

占い師「私には予言があるもの。いずれ良い人が……」

女隊員「今まで見えたんスか?」

占い師「……」

白虎長「っていうか、予言の力…戻るの?」

占い師「……」

東方司令「それ以前に、自分の予言は見えないんだろ?」

占い師「……」
978 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/22(水) 00:20:32.61 ID:HAqQQnQo


青年兵「さぁお待ちかね!豪華景品が当たるビンゴ大会ー!」

南方司令「いぇーい!!」

青年兵「一気にいきますよー?51、6、23、41、25……」

南方司令「きたああぁぁ!!ジャスティスビンゴオオォォ!!」

青年兵「……南方司令、これ…6と9が逆です」

南方司令「ノオオォォ!!」

白虎長「あー暑いわねぇ」

バイーン!!

東方司令「……くっ!」

チマッ

白虎長「アンタに勝ち目はないのよっ!」

東方司令「男が胸だけ見てると思うなよっ!美脚こそ至高!!」

スラーン

白虎長「うっ……!」

占い師「はいはい。醜い争いはやめましょうねー」
979 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/22(水) 00:21:33.37 ID:HAqQQnQo


大軍師「宴もたけなわの頃ですが、そろそろ閉会致したいと思います」

西方参謀「飲み足りねぇぞー!!」

南方副司令「お前は飲みすぎだ」

大軍師「最後に副司令……」

副司令「本国〜港のぉ〜カモメがぁ〜三羽〜」

大軍師「……ではなく、司令…閉めの言葉をお願い致します」

司令官「…ん。皆、今日は日頃の疲れを癒し…さぞ楽しんだであろう」

白虎長「楽しみましたー!」

司令官「明日から再び、気をしき締めて頑張ってくれ。以上」

隊長「短っ!!」

大軍師「以上をもって忘年会を終わりに……」

博士「待つのらー!」

大軍師「……?」

博士「この新開発した『カメラ』で、記念写真を撮るのら!」
980 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/22(水) 00:22:24.39 ID:HAqQQnQo


ワイワイガヤガヤ

東方参謀「こらっ、押すでない!」

南方弓長「狭いんだから仕方ないでしょ」

博士「…よし、ではいくのら!」

左翼長「その穴から矢とか飛んで来ないだろうな?」

博士「そんなわけないのら!じゃあ真ん中に司令を置くのら」

青龍士官「司令を…?」

博士「仮面被ってるから矢が飛んでも平気なのら」

男隊員「おいっ!」

テクテクテク…スッ

司令官「…ん」

参謀「座るんかいっ!」

博士「さーて、今度こそ!」

タッタッタ…ジーッ…カシャッ
981 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/22(水) 00:25:30.11 ID:HAqQQnQo
騎士長「……終わりか?」

博士「うむ。終わりなのら」

隊長「さーて帰るとすっか」

女隊員「お疲れ様ッス!」

東方司令「帰っちゃうの……?」

南方副司令「俺らも行くか。んじゃ、お疲れさん」

南方魔道長「おら司令、行くぞ」

南方司令「ビンゴ……何も当たらなかった……」

南方弓長「あら?南方参謀は?」

大軍師「いえ、見ておりませんが……」

西方副司令「先に帰ったんじゃないの?」

占い師「まっさかー」

司令官「それじゃご苦労」

西方司令「司令…すみませんでした。閉会の責任は私が……」

参謀「……」
982 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/22(水) 00:27:09.27 ID:HAqQQnQo


テクテクテク

東方司令「……うえぇ…気持ち悪い」

南方参謀「あーら、そのこオネーサン。ちょっと寄ってかない?」

東方司令「…こんな路地裏でなにをしてる」

南方参謀「ちょっとビジネスよ」

東方司令「ビジネス…?」

南方参謀「今や本国二丁目といえば…私のお・み・せ」

東方司令「……帰る」

南方参謀「ちょっと待って!貴女にうってつけのお店なのよっ」

東方司令「……?」

南方参謀「お願い!覗くだけでいいから!気に入らなかったらお代も結構!」

東方司令「……本当だな?」

南方参謀「はーい、一名様ご案内〜!」

東方司令「お、おい…っ!まだ行くとは言って……」
983 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/22(水) 00:28:07.59 ID:HAqQQnQo
グイッ…テクテクテク

召喚子「い、いらっしゃいませー(何でこんな事を……)」

青年子「ようこそー(恥ずかしい……)」

東方司令「…………」

召喚子「あ、あれ!?」

青年子「もしもーし?」

東方司令「……きゅうぅ」

バタン…ブシュウウゥゥ

召喚子「鼻血っ!?」

青年子「店長ーっ!お客様がっ!!」

南方参謀「きゃーっ!医者を呼んで頂戴っ!!」

ドクター「どうしました!?うわっ、これはひどい…出血多量ですね……」

召喚子「な、なんとか処置を……」

ドクター「これは助からないかもしれません…。覚悟だけはしておいて下さい…」

青年子「えぇ!?」
984 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/22(水) 00:28:34.92 ID:HAqQQnQo
チュンチュンチュン

白虎長「……頭……痛い」

東方司令「記憶が…何もない……」

占い師「……疲れた…眠い」

ガチャッ

博士「…墓場だな」

占い師「一緒にしないで頂戴…」

博士「昨日の写真が出来たのら」

占い師「ほんとっ!?見たい見たい!」

博士「あっ、こら!ちょっと待つのら!それには……」

占い師「……な。何よこれっ!?」

博士「……心霊写真とでも言うべきものなのら」

占い師「し…死んだ人間まで写せるの?写真って凄い…!」

博士「い、いや…それは偶然たまたまたマグレ奇跡であって…そのぉ……」

占い師「……それにしても…軍人でもないのに、楽しそうに飲んじゃって。ふふっ」
985 : ◆1otsuV0WFc[sage saga]:2010/12/22(水) 00:29:30.16 ID:HAqQQnQo
ピラッ…ヒラヒラヒラ

師匠「やっべー!俺らが盗み酒してんの、バッチリ写っちまってるぞ!?」

マジシャン「何だと!?こりゃしくじったな……」

師匠「だーから言ったんだ。イヤだって……」

マジシャン「タダ酒飲めるってホイホイ付いて来たのはお前だろ!」

師匠「あぁん?」

マジシャン「お?やんのか?おっ?」

師匠「……ま、いっか。死んでも元気ですってアピールになっただろ。がははっ!」

マジシャン「まーな。恋しくて早く来てくれるかもな」

師匠「縁起でもねー事、言ってんじゃねぇ!」

マジシャン「ハッハ!!そりゃそうだ!!」

師匠「さてと、そろそろ帰るかね」

マジシャン「…だな。今度はあっちで宴会だ!」

師匠「おっ、いいな!師匠酒かっぱらっておくか!」

マジシャン「ハッハ!そいつぁいいや!!」
986 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage saga]:2010/12/22(水) 00:34:20.48 ID:HAqQQnQo
以上でオマケ終了でございます!
前スレ>>995さん、リクありがとうございました!

そして…23スレ目でございます!
引き続きよろしくお願いしますですー!
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1292945466/

それではおやすみなさい!次回は次スレから…かな?ノシ
987 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[saga sage]:2010/12/22(水) 00:35:22.22 ID:W/uucQDO
深夜更新キテルー!!

国軍の忘年会とかたまらんなwww
司令官も酔っ払って噛んでるし、久しぶりの師匠&マジシャン登場だし、>>1乙!いつもありがとうございます。

おれらも忘年会やりたいなーなんて…
988 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/22(水) 00:38:42.87 ID:WGDGBMYo
マジシャンさんは死んでない…死んでなんかない(´;ω;`)
989 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/22(水) 01:28:04.44 ID:CHj/VVIo
おまけで死亡判明って前にもあったよな・・・
990 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/22(水) 01:40:09.16 ID:mz4Kd6Eo
そのどちらも生存を望まれていた人だしな
短髪・・・マジシャン・・・
991 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/22(水) 04:18:56.13 ID:4xyDysA0
1乙
忘年会かいいな
992 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/22(水) 07:55:54.30 ID:vky3vo60
乙梅
993 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/22(水) 08:45:40.79 ID:36pfi3oo
乙乙
994 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/22(水) 08:56:14.25 ID:Iu6HijAo
>>1乙梅
995 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/22(水) 10:53:54.07 ID:dYqCXW.o
くそっ!写真のくだりで笑いながら泣いちまった!!くそっ!
996 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/22(水) 12:42:18.22 ID:T3UmcnMo
マジシャンの元気な?姿見て
占い師の力が復活するといいな
997 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/22(水) 14:27:51.93 ID:tGVMKWQo
1乙
仲間に入れてもらえなかった魔剣士って・・・
998 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/22(水) 17:00:33.31 ID:3Gh54rYo
1000なら召喚士と盗賊にフラグ立って魔道士がやききもちやいて4角関係の修羅場になった後、解決してラブラブ編へ!
999 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします[sage]:2010/12/22(水) 17:16:03.70 ID:.y8aeYDO
↓東方司令が一言
1000 :以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/22(水) 17:27:40.04 ID:H/ucw/E0
青年子ちゃん…
1001 :1001Over 1000 Thread
    ´⌒(⌒(⌒`⌒,⌒ヽ
   (()@(ヽノ(@)ノ(ノヽ)
   (o)ゝノ`ー'ゝーヽ-' /8)
   ゝー '_ W   (9)ノ(@)
   「 ̄ ・| 「 ̄ ̄|─-r ヽ
   `、_ノol・__ノ    ノ   【呪いのトンファーパーマン】
   ノ          /     このスレッドは1000を超えました。
   ヽ⌒ー⌒ー⌒ー ノ      このレスを見たら期限内に完成させないと死にます。
    `ー─┬─ l´-、      完成させても死にます。
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上条「その常識をぶち壊す!」 @ 2010/12/22(水) 15:32:50.01 ID:I31l0720
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年末か年始にかけて泊まりで出掛けようと思ってるんだが @ 2010/12/22(水) 15:07:24.13 ID:eKnDpIDO
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なすくじ @ 2010/12/22(水) 14:00:54.37
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ディアボロの大冒険「リンゴ乞食に慈悲を」 @ 2010/12/22(水) 12:39:07.73 ID:NX5P/O60
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エロ音声総合 vol.47 @ 2010/12/22(水) 09:50:18.58 ID:Z7mURk60
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